「ところで、セイバー。」
「何だ、マスター。」
遠坂凛は剣士に話しかける。
「アナタが聖杯に望む願いって何? 確かモードレッドってアーサー王の子でその王に叛逆したサーヴァントよね?」
すると、セイバーは少し不機嫌そうな顔をする。
「ああ、そうだ。」
「何で叛逆なんか・・。」
「決まってる、あの王がオレを認めなかったからだ。」
「・・・!」
「あの王がオレを認めれば、あんなこともしなくて済んだ。だが、あの王は最後までオレを認めなかった・・!」
セイバーは腹立たしそうに言う。だが、それは何処か認められたい、そんな風にも思えた。
「オレの願いはな、マスター。選定の剣に挑戦させてほしいんだ。」
「あのアーサー王が抜いたっていう・・?」
「ああ。」
「抜けなかったらどうするの?」
「抜けないハズがないッ!」
強く言うセイバーに凛も
「ハぁ・・分かったわよ。アナタなら抜けるわよ。」
と言うしかなかった。
セイバーは満足そうに微笑む。
「それよりも、マスター」
「何よ?」
「服、買ってくれないか?この恰好、普段の生活でも鎧なのはな・・。」
「しょうがないわね・・。」
「恩に着るぞ、マスター。」
わがままなサーヴァントだな、と思いながらも内心仕方ないかという気持ちもあった。
「叛逆の騎士」モードレッドの正体がまだ自分と同じくらいの年齢の少女だと思うとこれくらいは仕方ないか、と思えてしまう。
☆☆☆
「閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ」
ここは神威町で最も霊脈があると言われる「白幡神社」(しらはたじんじゃ)。
ここでも英霊の召喚が始まっていた。
召喚しようとしているのは白幡 弥生(しらはた・やよい)
この神社の巫女で同時に魔術師でもある。
足にまで伸びる長い漆黒の髪は何か嫌なものを呼び出そうとしていた。
「告げる――。汝の身は我がもとに。我が命運は汝の剣に。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に我は常世全ての善となる者。我は常世全ての悪を敷く者。されど汝はその眼を混乱に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手探る者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
・・当たりかハズレか・・? 弥生は息を飲む。
ゴォッ!
神社は煙に包まれる。
煙が晴れ、そこに現れたのは・・
「ヴゥ~・・・」
黒い鎧を纏った騎士だった。
見た目は16歳くらいの少女。しかし、まともに言葉をしゃべれる感じではなかった。
騎士の姿を見ると、セイバーと見て、取れなくもないが、この異様な黒い闘気、そして狂い用・・・。
「アナタ、バーサーカーね?」
「ヴヴ・・。」
バーサーカーと呼ばれるサーヴァントは頷く。
しかし、真名はどう聞き出すか?
まともに答えてくれるとも思わない。
「バーサーカー、アナタ、真名は?」
それでも弥生は必死に聞き出そうとする。
「ア・・・-・・サー・・」
アーサー?
アーサーと言ったのだろうか?
歴史上、アーサーと言うと、あのアーサー王のことを言うのでは・・?
しかし、何でまたバーサーカーとして召喚されたのか分からなかった。
召喚されるなら剣士のサーヴァントであるセイバーが妥当と思われる。
「・・・・」
しかし、そんなことはどうでもよかった。
弥生にとって間違いなく「当たり」のモノだった。
☆☆☆
10年前、冬木で行われた第四次聖杯戦争は謎の大火災が起き、その火災後、冬木の聖杯は消えてしまう。
イヤ、正確には消えてはいないが、消息が不明となった。
そして、十年後、その聖杯は神威町で見つかる。
そして、今この神威町で聖杯戦争がおころうとし、すでに六騎のサーヴァントの召喚が完了している。
残り一体は、「キャスター」 魔術師のサーヴァントである。
今までの聖杯戦争とルールは同じ。七騎が争い、残った一騎が勝者となる。
令呪も三画あり、三回だけサーヴァントを従わすことが可能である。
その為には、もう一騎召喚されなければ、本格的な戦争にはならないわけである。
そんな中、既に戦闘を行うサーヴァントがいた。
戦ってるのはセイバーとアーチャーだ。
夜の10時、場所は誰もいない学校のグラウンド。
アーチャーとは弓使いのことを刺す。だが、このアーチャーは双剣を扱っていた。
「聞いたことないぞ、剣を扱うサーヴァントがいるなんて・・。」
「フン、コレは武器の一つに過ぎん。」
セイバーの白銀の剣とアーチャーの双剣が激しくぶつかる。
☆☆☆
「やっと終わった~・・」
バイトを終えた私、月見揚羽(つきみ・あげは)は真っ直ぐ家に帰ろうとしていた。
「あ、メール」
親友の優香からだ。
メールの内容は、
『明日の時間割なんだっけ?』
今日に限らず、毎日送られてくるメールだ。
毎日毎日来るので、私は少しうんざりしてる。
『古典、数学、英語Ⅱ、ライティング、美術、体育』
とサッと送る。
するとすぐに
『ありがとう、助かったよ~(笑)』
正直この(笑)マークにイラッとする。
「ハア・・」と溜め息をつきながら学校前を歩くと、何やら騒がしい。
誰もいないハズなのに、こんなにうるさいのは気味が悪い。
しかし、学校で何が起きてるのか気になった私はこっそり学校の中へと入る。
「音がするのは裏グラウンドのほうかな・・?」
私の通う学校はグラウンドが二つあり、前と裏に分けられている。
私はその裏のグラウンドに行ってみる。
すると…
二人の戦士が戦っていた。
いや、戦士?
とにかく一人は全身鎧で白銀の剣を使っており、もう一人は長身で白髪の髪で、双剣を扱っていた。
とにかく攻撃が速すぎて何が起きてるのか分からない。
すこし、その戦闘に見惚れていたが、しばらくし・・
「コレ・・。多分逃げないとマズイよね・・」
これだけ激しい戦闘なら巻き込まれる可能性も十分にある。
・・ここを去らなきゃ・・
ゆっくり歩くが途中、ゴミとして落ちていた空き缶を謝って蹴ってしまい、
カンカラカーンという高い音を響かせてしまう。
すると、激しく斬り合っていた戦士はピタッと剣戟をやめこちらに視線を向ける。
「・・・ヤバッ・・!」