「ふつつかものですが、よろしくお願いします」
三つ指ついてご挨拶。
突然、彼はあたしを肩にのせると、そのまま寝室に運ぼうとする。
「こんな荷物みたいな運び方イヤ!ちゃんとお姫様抱っこしてください」
あたしが彼の背中を叩きながら抗議すると、
「生意気言な女だな」
彼は、あたしのお尻をぶって無造作にベットに放り投げる。
もう、酷い!
でもベッドでは一転、彼のとろけるようなやさしい愛撫。
「ああっん、もう。あなたは女の扱いを良く知っているわ」
「静かにしろ!」
あたしは素直に口を閉じる。だって女の子は素直が一番だもん。
そして暗闇の中で聞こえるのは、あたしの小さな喘ぎ声だけ。
翌朝、目を覚ますと、あたしは急になんだか嬉しさと悲しさがないまぜになって、彼の胸に顔をうずめる。
泣きじゃくるあたしの頭を、彼はやさしくなでた後、あごに手を添えてキスしてくれた。
「お前は俺のものだ」
「はい、あたしはご主人さまのものです」
この時、初めてあたしは彼のことを『ご主人さま』って、自然に呼ぶことができました。
ご主人さま、ご主人さま、ご主人さま。
なんて素敵な響きでしょう。
彼は男で、あたしは女。
オンナ、オンナ、オンナ。
あたしは生まれて初めて女であることが嫌でなくなりました。それどころか、自分が女であることが嬉しくて堪りません。
オンナ、オンナ、オンナ。
彼は男で、あたしは女。
彼はご主人さまで、あたしは彼のもの、彼の奴隷なんだわ。
ドレイ、ドレイ、ドレイ。愛の奴隷だわ。
『奴隷は女の幸せ』っていう古い諺がふと頭に浮かびました。なんて女を馬鹿にした嫌な諺だろうって思ってたけど、女の本質をよく表しているわ。女は奴隷になって初めて本当の女になるんだわ。女は奴隷になって初めて本当の幸せを知るんだわ。
奴隷でない女って可哀そう、だってまだ本当の女の喜びを知らないんだもの。
男の人って可哀そう。だって男の人は決して知ることがないんだもの。
そう思うと、なんだか男の人が可愛く思えてきました。
男の人って、すぐ女を見下したり蔑んだりするけど、もうそんなの気にならないわ。
それに、男の人に馬鹿にされり、からかわれたりしても、男の人に構ってもらうのって何だか嬉しい。
そういえば、子供のころ男の子にスカートめくりされた時、とっても恥ずかしかったけど、なんだかどきどきしたことを思い出しました。他にも階段を昇っている時、下からスカートの中を覗かれたり、海で水着をチラチラ見られた時なんかも・・・
あれって嬉しかったんだわ。
男の人ってとってもHだけと、本当は女の方が嫌らしいのかも・・・