2人の夢の軌道   作:梨善

14 / 81
〜前回のあらすじ〜
新たな1歩を踏み出し、輝きを目指し始めた梨子。
そして、自室でのんびりしている和哉に1本の電話が入る。


#9 ある日の夜

ある日の夜。

自室のベッドの上でのんびりしながらμ'sの曲を聞いていると電話がかかってきた。

スマホのディスプレイに表示された名前は梨子。

 

そういえば、連絡先交換したんだった。

 

曲を一旦止め、通話ボタンを押そうとした時、なぜか指が止まる。

 

「あ、あれ?」

 

着信音が鳴り続ける。

それと一緒に俺の心臓の音もどんどん大きくなる。

 

もしかして、緊張・・・してる?

 

「落ち着け。ただ梨子から電話がかかってきただけだ。うん」

 

もしかして、デートの誘い?

 

「ないないないないないないないない。自惚れし過ぎだから。馬鹿か!」

 

1人で喋りながら心を落ち着かせる。

 

「OK。きっと千歌の勧誘が、とか曲についてだよ。大丈夫。・・・って、誰に話してるんだろ」

 

指を震わせながら通話ボタンを押す。

 

「・・・もしもし」

『和哉くん?梨子だけど、夜にごめんね』

 

梨子の声だ。

 

・・・それ以外だったら事件なんだが・・・。

 

「いや、大丈夫だよ。どうかしたの?」

 

少しだけ声が上ずる。

 

『私ね、千歌ちゃんたちとスクールアイドル始めるの』

「本当!?」

 

梨子の報告で声が大きくなり、思わず立ち上がる。

 

『うん。いつか、和哉くんが言った通りだね』

「覚えてたの?」

 

嬉しそうに言う梨子の言葉に俺は驚く。

小学生の時、俺は梨子がスクールアイドルになったら人気が出る、なんて言ったことがある。

まさか、覚えてたなんて。

 

『うん。でも、実際にやるなんて思ってもなかったよ。私にはピアノだけだと思ってたから』

 

少し自虐気味に言う梨子。

 

「そんなことないよ。俺が保証する」

『ふふっ。ありがとう』

 

そこで会話が途切れる。

昔はそんなことは無かったが、5年の空白は大きく、何を話せばいいのかよく分からない。

 

「えっと、夜遅いし、そろそろ切るよ」

『あ、うん!そうだね、おやすみなさい』

「おやすみ」

 

プープーとスマホから無機質な音が流れる。

 

「・・・なんで梨子相手に言葉が出てこないんだよ・・・」

 

はあ、と溜息をつき、ベッドに腰掛ける。

 

なんで、緊張してるんだろう・・・。久しぶりに会ったから?まだ俺自身が割り切れてないから?それとも梨子がかなり美人になって緊張してる?

 

1人で梨子への態度がおかしいことについて思考を巡らせていく。

すると、再び電話がかかってくる。

 

「うわっ!?」

 

つい驚き、声を上げてしまう。

相手は千歌だ。

 

「・・・もしもし」

 

千歌は悪くないのだが、少し不機嫌目な声で応答する。

 

『え、なんかごめん』

 

声で俺が不機嫌なのを感じたのか、謝る千歌。

 

・・・なんだか、申し訳ない。

 

「いきなり掛けてくるから驚いただけだよ。それで、どうしたの?」

『そう!あのね、カズくん!梨子ちゃん、スクールアイドルやってくれるって!』

「ああ、うん」

 

どうやら千歌も梨子がスクールアイドルをやるという報告のようだ。

 

『何ー?反応薄くない?』

「だって梨子から直接聞いたから」

『・・・ふーん。そっかぁ、仲良しなんだぁ。そーだよねー。幼馴染だもんね』

 

幼馴染みという言葉を強調する千歌。

それに何故か不機嫌だ。

 

「俺はそう思ってるけど」

『ふん!カズくんなんてしーらない!ばか!』

「あ!ちょっ、千歌!切られた!」

 

理不尽な怒りをぶつけられた。

 

なんで?

・・・考えても分からないものは分からない!

 

とりあえずμ'sの曲をかけ直し、のんびりタイムを再開する。

すると、スマホがメッセージを受信した。

送り主は千歌だ。

 

『明日の朝、曜ちゃんとうちの前の海岸にくること』

 

短くそう書かれていた。

俺、何やらされるんだ?




明日への不安を残しながら結局くつろぐ和哉。
この能天気さが裏目に出なければいいのだが・・・。

「てか!俺が知らないところで梨子が千歌に口説かれてるんだけど!?」

そりゃちかりこですから。
王道ですよ。

「確かに・・・」

いや、よしりこですよ。

「ちかりこ!」

よしりこ!
ちかりこ!
よしりこ!

「え、えっとぉ・・・。次回をお楽しみに・・・。やめて!恥ずかしいからぁ!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。