廃校が決まってしまった浦の星女学院。
この事実を撤回するために、Aqoursは動き始めた。
学校を救うといっても何をすればいいのだろう?
そのことをメンバーと話し合ったが、即効果が出るようなものはない。寧ろそういうものがあるわけが無い。
俺たちは屋上に出て練習前のストレッチを始める。
「結局、μ'sがやったのはスクールアイドルとしてランキングに登録して」
千歌がポツリと呟く。
「ラブライブに出て有名になって」
淡島に行き、神社までの階段の走り込み。
ここでも千歌は1人で呟く。
「生徒を集める」
クールダウンがてらに三津浜までクルールダウンにジョギング。
砂浜にみんな寝転んでいるとまた千歌が呟いた。
「それだけなの!?」
曜が驚く。
「みたい」
「そんな訳ないだろ。俺や千歌が知ってるのはあくまで一部なんだ。見えないところでもっと何かやってたんだよ」
「何かって?」
「それは・・・」
そう言われると答えれない。
「うーん、分かんないよー」
千歌が頭を抱える。
その日はろくなアイディアも出ず、解散となった。
次の日の放課後。
部活が始まると同時に千歌は大声で宣言した。
「PVを作ろう!」
「「PV?」」
ここにいる全員。いや、曜以外が不思議な顔をした。
「うん!PVを作って、見た人に私たちのことを知ってもらうの!!」
「なるほど、いいかも知れませんね!」
ルビィがコクコク頷く。
「じゃあ、早速撮影をしよう!」
「あ、じゃあ、今日は結構遅くなっちゃいますよね?」
ルビィが千歌に尋ねる。
「かもしれない。用事あった?」
「いえ。うちが門限に厳しいからそのことをお姉ちゃんに伝えておこうって」
ルビィの言葉にみんな納得する。
「分かった!行っておいで。私たちは玄関で待ってるね」
「はい!」
ルビィは駆け足気味にダイヤちゃんの元へ向かった。
玄関でルビィを待つこと数分、思ったよりも早くルビィは帰ってきた。
「よし、みんな揃ったね。しゅっぱーつ!」
千歌の案内で着いたところは長浜城跡。
到着すると曜はカバンからビデオカメラとサンバイザーを取り出し、カメラマンになった。
千歌と曜は事前に打ち合わせしていたみたいだ。
「ここで何を撮るの?」
梨子が千歌に尋ねると千歌は良くぞ聞いてくれました!と言った顔をする。
「まずは内浦のいいところを知ってもらうの!」
「内浦のいいところ?」
「そう!東京と違って外の人はこの町のこと知らないでしょ。だからまずは、この町のいいところを伝えなきゃって!」
「それでPVを?」
善子がぶっきらぼうに言う。
「うん!μ'sもやってたみたいだし。これをネットに公開してみんなに知ってもらう!」
「知識の海ずら!」
花丸ちゃんはいつもの調子のようだ。
「という訳で1つよろしく!」
花丸ちゃんとルビィは曜が持っているカメラで映しているのに気づいたようだ。その瞬間に顔が緊張で強ばる。
「い、いや!マルには無理ず・・・、いいやぁ、無理・・・」
おおっ、ずらを耐えた。
「ぴ・・・、ピギィ!」
ルビィはカメラから逃げ出した。
そしてこの一瞬で姿を眩ませる。
「ん?あれ?」
曜がキョロキョロ辺りを見回すが見つからない。
この短時間でどこに行ったんだ?いや、本当に。
「見えた!あそこーよっ!」
善子がビシッ!と木の上を指さす。
流石に無理がある。というか、ルビィは登ったら1人で降りれなさそう。そもそも登れるのか?
「違います〜!べ〜」
看板から顔を出したルビィは善子煽っていた。
そういうことできるまで仲良くなったんだなぁ・・・。
2人のことをよく知っている俺からすると感動ものだ。
「さっ!」
「ピギィ!」
曜がルビィにカメラを向けるとやっぱり逃げていってしまった。
「おおっ!なんだかレベルアップしてる!」
千歌が意味のわからないことを言っていると、梨子が声を上げる。
「そんなこと言ってる場合!?」
「梨子の言う通りだよ。ルビィ連れ戻して撮影しないと日が暮れちゃうよ」
なんとかルビィを捕まえ、やっとのこと撮影に入る。
バックに富士山を映し、花丸ちゃんがジト目でカチンコを叩き、撮影がスタートした。
「どうですか!この雄大な富士山!」
次は梨子がカチンコを持って叩く。
後ろに広がるのは駿河湾だ。
「それとこの綺麗な海!」
場所を変え、三津郵便局前。
ルビィが背中を見せたままカチンコを叩く。
「さらに!みかんがどっさり!」
箱いっぱいに入った寿太郎みかんを見せる千歌。
「そして、町には!えと、町には・・・」
町には?
トラックが1台通り過ぎていく。
というか、後ろに美渡さんとしいたけ映ってるし!
「特に何もないです!」
「それ言っちゃダメ」
曜が千歌につっこむ。
ちなみに今まで説明していたのは千歌だ。
「んー、じゃあ、沼津に行こう!」
「待て待て!」
千歌の言葉に俺は思わず呼び止めてしまった。
「なーに?カズくん」
「内浦のいいところだよね?なんで沼津!?」
「内浦だって沼津だよ」
「いや、そうだけど・・・」
「なーんにもおかしくないおかしくない」
千歌の後ろをみんな着いていく。誰1人文句言わない。
俺がおかしいの?
さて、バスで移動すること1時間弱。沼津駅に到着した。
説明係は変わって曜だ。カメラマンも俺になった。
「バスで少し行くとそこは大都会!」
アーケード通りをバックに曜が画面の下から生えてきた。
「お店もたーくさんあるよ!」
「いや、これはどこの町にも言えることだから」
「えー!」
これに対して突っ込まざるを得なかった。
「うーん、じゃあ!」
千歌のやつ、次はどこに連れていくつもりなんだ?
俺たちは自転車に乗り、きつい坂道を登っているところだ。
「そして、ちょっと!」
「自転車で・・・、坂を越えると・・・そこには、伊豆長岡の・・・、商店街が・・・!」
梨子が自転車に倒れ込むように息を荒らげながら説明している。
「全然、ちょっとじゃ・・・ない・・・」
「沼津に行くのだってバスで500円以上かかるし・・・」
背中を寄せて座るルビィと花丸ちゃん。とうとうこの2人も音をあげた。
そこにフラフラと自転車をこぐ善子。伊豆長岡駅に着くと同時に自転車から転がり落ちる。
「いい加減に・・・してよ・・・」
「うーん・・・、じゃあ・・・」
千歌は次の案を考える。
「よっちゃん・・・。大丈夫?怪我は・・・?」
今の倒れ方をした善子を心配する梨子。
「大丈夫、よ・・・。それより、リリーの方がきつそうじゃない」
「わ、私はなんとか・・・」
と、まあご覧の通り、みんなボロボロだ。
次はどこに向かうのだろうか。
辺りはオレンジ色に「みかん色!」・・・染まり出してきた。
もう夕暮れだ。
現在場所は戻って長浜城跡。カメラに映っているのは善子だけ。しかも格好はいつも生放送で使っている堕天使衣装。
「フフフッ・・・。リトルデーモンの貴方。堕天使のヨハネです。このヨハネが堕ちてきた地上を紹介しましょう」
さっきまで死にそうにへばっていたのが嘘かのように善子はイキイキしている。
「まずこれが・・・、土ッ!アーッハッハッハッハッハッ!」
「土ッ!じゃねーよ!」
「うるさいわね!もう紹介するものないじゃない!」
うっ、ご最もだ・・・。
「やっぱり善子ちゃんはこうでないと」
花丸ちゃんは嬉しそうだ。
「根本的に考え直したがいいかも・・・」
「俺もそう思うよ・・・」
曜の意見に完全に同意だ。
「そーぉ?面白くない?」
「面白くてどうするの!」
千歌のアホ全開の言葉に梨子が怒る。
全く、千歌のヤツ、この町を紹介する気あるのだろうか?
撮影が難航している。
しかし、Aqoursはやるしかない。
「こんなので魅力が伝わるのかしら・・・」
梨子さんも苦労してますね。
「千歌ちゃんも暴走気味だし・・・。どうしたものかしら」
曜さんや和哉さんの力を借りてもいいのですよ。
「そうね。頼らないとこっちが持たないわ」
次回もお楽しみに!