そんなわけで今回は果南ちゃんの特別編です。
本編とは一切関係ありません。
私の妄想を垂れ流しているだけなので、深く考えずにお読みください。
松浦果南誕生日特別編〜星が瞬くこんな夜に〜
「ありがとうございました〜。また遊びに来てください」
ここはダイビングショップ松浦。
年中開店はしてるものの、季節は冬で来るお客さんも少ない。
来てくれるお客さんは常連かプロの写真家が殆どだ。
俺は東京の大学に進学し、卒業してここに就職。もう3年目だ。
果南ちゃんとそのお祖父さんの3人で店を回しているが、お祖父さんもそろそろいい歳だ。安静にしていてほしい。
今日貸し出した酸素ボンベなどのリストを印刷し、在庫と照らし合わせて数に間違いがないか確認するために、表へ出る。
「寒ッ!」
店を出た瞬間に冷たい潮風が全身を叩く。
仕事をさせて貰ってる以上、嫌とは言えない。大人しくチェックを始める。
貸出数が少なかったため、時間はさほどかからなかったが、体はもう限界だと叫んでいる。
急いで暖房の効いた店内へ戻る。
「カズ、お疲れ様。コーヒーでも飲む?」
店内にはあったかい格好をした果南ちゃんがマグカップを片手に、ストーブの前で暖をとっていた。
「もち、飲むよ」
「オッケー。じゃ、ちょっと待ってて」
待つこと数分。果南ちゃんは両手に1つずつ、マグカップを持って戻ってきた。
お礼を言って1口啜ると、体の中からあったまるのが分かる。
「さて、今日はそろそろ店じまいだね。シャッター下ろしてくるよ」
「うん。お願い」
果南ちゃんは引っ掛け棒を持って、外に出る。
扉を開けると寒っ、という声が聞こえた。
コーヒーを啜りながら椅子に座り、卓上カレンダーを見る。
(今日は2月9日、か· · ·)
前々から練っていた作戦を実行する日が来たようだ。
「うぅー。寒い· · ·。早く夏にならないかなぁ」
「あと半年我慢して」
「かずやー」
果南ちゃんは珍しくはっきり俺の名前を呼びながら寄ってくる。
「ハグっ♪」
そう言うと後ろから思いっきりハグしてくる。
「はぁ〜♡やっぱり、カズはあったかいや」
「それは光栄だよ」
果南ちゃんにハグされること十数年。やっとこの感覚に慣れてきた。
「· · ·果南ちゃん」
「うん?」
「今日の夜、空いてる?」
この返答次第では今日の計画は台無しだ。
「空いてるけどどうかしたの?」
「星でも、見に行かない?」
「星?いいけど、なんで?」
「そんな気分なんだ。それに果南ちゃん天体観測好きでしょ?」
果南ちゃんは急にどうしたんだ、という顔をしながら俺の顔をジトーっと見てくる。
「な、何?」
「なんかたくらんでる?」
そう言いながら顔を近づけてくる。
相変わらず人のことには鋭い。
「ちょっ、近いよ」
果南ちゃんは自分がかなりの美人という自覚がないし、俺のことを弟とか思ってる。
だから基本距離が近い。さっきのハグだって柔らかいのが当たっていたし。
今だって髪のいい匂いが鼻をくすぐる。
「ま、いいや。夜だね」
「うん。11時半くらいだけど」
「え!?そんなに遅いの?」
「その時間じゃないとダメなんだ」
「· · ·分かったよ。カズがそこまで言うんだもん」
「ま、まじ?」
断られると思っていたから少し驚く。
「うん。どこで待ってればいい?」
「船着場で待ってて貰える?」
「船着場に11時半だね?」
「うん」
なんとか約束できた。
後は俺の度胸だ。
23:30。自宅から車を走らせ、船着場の前に止めると果南ちゃんはもう来ていた。
彼女の前に車を止めると、助手席に座る。
「ごめん。待たせたね」
「ううん。大丈夫」
「じゃ、行こっか」
車を目的地に走らせる。
10分くらい走ったところで車を止める。
「ここって· · ·」
ここは果南ちゃんと初めて出会った海岸沿い。
「ここさ、辺りに何も無いし、結構暗いから星が綺麗に見えるんだ」
「うん。そうだね」
すると、風が吹き抜けた。
2人してその場で縮こまる。
すると果南ちゃんは俺をキッ、と睨む。
「俺のせいじゃ· · ·、俺のせいか· · ·」
「全く、でもほんと綺麗だね」
そういって果南ちゃんは星を見上げる。
その横顔がとても綺麗で、果南ちゃんに見とれていた。
果南ちゃんは星を見上げたままポツリと呟く。
「何でもないこの今がさ、特別なものに感じちゃうよね」
「特別?」
「そう、特別。こんな夜にカズと外で綺麗な星を見て。きっと普通のことだと思うけど、こんな星を見てたらそんなふうに思っちゃって」
「· · ·何となく分かるよ。このまま今がずっと続けばいいなって」
「うん。私も」
しばらく黙って光る星を2人で見ていた。
「カズ」
「うん?」
「流れ星見たいな」
果南ちゃんにしては珍しい無茶ぶりだ。
その顔は小さい頃のいたずらっ子のような笑顔だ。
夜も遅いし、深夜テンションになってるのかもしれない。
「あの辺にあるじゃない?」
冗談で真上を指さす。
そこには。
綺麗な尾を引いた、一筋の流れ星が走っていった。
「すごい。本当だ」
「· · ·うん。俺もビックリしてる」
「まるで魔法見たい」
感動している果南ちゃんを横目に俺は腕時計を見るともう少しで日付が変わる。
「果南ちゃん」
「うん?」
「今日はありがとう。わざわざ付合ってくれて」
「いいよ。私もたまにこういうのやりたいって思ってたしさ」
こうやってハニカム果南ちゃんは本当に綺麗で、愛しくて。
いつからかは分からない。ただ、大切なものほどすぐ側にあるってずっと思ってた。
それが果南ちゃんだったんだ。
だから俺は。
「果南ちゃん」
「どうしたの?」
「誕生日おめでとう」
「え?」
果南ちゃんはスマホを取り出し、日付を確認する。
「本当だ。日付変わっちゃってる。まさか、これの為に?」
「うん。それとさ、伝えたいことあるんだ」
「伝えたいこと?」
果南ちゃんは俺の顔を不思議そうに見上げている。
言いたいことを言いかけて、トクンと心臓がはねる。
心臓の鼓動がうるさい。でも、今日は伝えたいんだ。
「俺、果南ちゃんのこと好きなんだ」
「· · ·え?」
「俺と付き合って下さい」
果南ちゃんの顔はみるみる赤くなっていく。
「え、え?好きって私のことが?」
「うん」
「い、いつから?」
「分からない。けど、気がついたら果南ちゃんのこと好きになってた」
「ば、ばか!そういう恥ずかしいことばっかり言っちゃダメ!」
俺に背中を見せて、そっぽを向いてしまった。
これは失敗したかも。
「あ、あのさ、カズ」
「何?」
「わ、私もね!その、カズのこと好き、だよ?· · ·カズのこと、1人の男の人として· · ·ちゃんと、好き」
「· · ·果南ちゃん!」
俺は後ろから果南ちゃんを思いっきりハグする。
「ちょっ、何すんの!?」
「いつも果南ちゃんやってるじゃん」
「そ、そうだけど」
果南ちゃんはそのままの体勢で、首に巻かれている俺の腕をそっと触る。
「まさか、26歳の誕生日に初めて彼氏ができるなんて」
「初めて?」
ボソッと聞こえた果南ちゃんの呟きについ反応してしまう。
「嘘っ!?聞こえてた?」
「もちろん」
「忘れて!」
「いやだよ、果南ちゃんの意外なこと聞いたし。あの千歌だって彼氏何人かいた事あるのにさ」
「え?そうなの?」
「そりゃ結構名が知られてる元スクールアイドルだよ。男がいっぱいよってくるさ」
「そ、そうなんだ。知らなかった」
「まあ、果南ちゃんは高校出てすぐ働いてたから、そんな機会はなかったのかも」
今考えるとめちゃくちゃ都合よかったんだな、と心の中で呟く。
「そういうカズはどうなのさ」
「俺?何人かと付き合ったりはしたよ」
「こっちもか」
「でも、長続きはしたことないよ」
「え、どうして?」
「どうしても果南ちゃんの顔が浮ぶんだよね」
「なっ!?」
果南ちゃんはぐるっと体を回して、俺の胸に頭突きして、そのまま顔を埋めた。
「痛っ!何すんの!?」
「そういう、恥ずかしいセリフ。禁止」
いいながら顔をグリグリしている。
「体と態度ばっかり大きくなっちゃって、この」
「少しは頼もしくなれたでしょ」
「· · ·うん。初めて出会った時はあんなに小さかったのに、今じゃ私が見あげないといけないもん。あの頃のカズは脆そうで、私が守んなきゃ、って思ってたから」
「· · ·次は俺が守る番だから」
「うん。お願いします」
そういって果南ちゃんは俺の腰に手を回して、抱きしめる力を少し強めた。
きっと、今日みたいな魔法の様な1日はもう来ないかも知れない。
けど、今こうして2人でハグしていると何でも乗り越えれそうな気がして。
だから、また流れ星に願う。この時よ続けと。
乙女浦さんの破壊力はすごい(確信)
果南ちゃんは告白されるとこんな感じだろうなー、と思い今回の話を書きました。
また機会があれば他のメンバーも書いていこうかなと考えております。