2人の夢の軌道   作:梨善

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渡辺曜ちゃん、お誕生日おめでとうございます!

元気で明るいけど、少し臆病な乙女な彼女の幸せな1日になることを願います。


渡辺曜誕生日特別編〜ワールドイズマイン〜

休日、朝の日差しで私は目を覚ました。

 

「今、何時・・・」

 

ベッドの上に置いている目覚まし時計を見るとアラームの鳴る時間よりも1時間ほど早い。

基本的に寝坊助の私が休日に目覚まし時計より早く起きることなんて滅多にない。

 

なんとなく二度寝する気分にもなれず、私は体を起こす。

すると、隣で眠っている和哉くんがもぞもぞ動く。

 

私は今、彼と同棲している。

東京の同じ大学に2人で通うというのもあるが、1番の理由は付き合い始めたからだと思う。

 

同棲を言い出したのは和哉くんの方で私はあまりの嬉しさに飛び跳ねながら二つ返事で了承した。

 

「ふふっ。おっはよー」

 

口ではおはようと言いながら、小声で話しかけ、起こさないようにそっ、と抱きつく。

 

「あったかーい・・・。寝ちゃいそう・・・」

 

彼の素肌の体温、生の匂い。

その全てが心地よく、私はまた眠くなる。

 

ん?素肌・・・?

 

そこで私ははっ、とした。

 

「私も和哉くんも服着てないじゃん・・・」

 

そういえば昨晩もお互いに体を重ねた。

そのまま眠り込んでしまったのを私は忘れていた。

 

「もう、起きよう」

 

私はベッドのシーツを1枚取り、体に巻く。

いくら見ている人がいないとは言え、やはり素肌を出し続けるのは恥ずかしい。

 

シーツで体を隠し、タンスの前でいそいそと下着とラフな服を着て、鏡の前に立ち、身だしなみを軽く整える。

 

「今はこのくらいでいいかな。あとはご飯・・・」

 

冷蔵庫にあるもので簡単に朝食のおかずを数品作る。

お米は昨日炊いたのが残っているから大丈夫だ。

 

「よし、完成」

 

朝食の品をリビングのテーブルに並べ、

時計を見るともうすぐ8時前になろうとしていた。

 

「そろそろかな・・・」

 

私が呟くとリビングに和哉くんがやってきた。

 

「おはよう。いい匂いだね」

「でしょ?さ、食べよ!」

 

私たちは椅子に座り、朝食を食べ始める。

 

「ねぇ、和哉くん。今日暇?」

 

食べながら私は彼に尋ねる。

 

「今日?えーっと・・・」

 

和哉くんはスマホを見ながら予定を確認する。

 

「バイトは・・・、入れてない、っと。今日は暇だよ。どうかした?」

「だったら、デートしない?」

 

私は少しモジモジしながら誘いをかけてみる。

 

「そりゃまた急・・・って訳でもないか。今日は曜の誕生日だしね」

「お、覚えてたの?」

 

今日は私の誕生日だ。

毎年祝って貰えていることもあり、私からは何も言わなかったが、やはり覚えていて貰えると言うだけで嬉しかったりする。

 

「忘れるわけないじゃん。それに寝る前にもちゃんと言ったよ」

「え?いつ?」

「曜がイっもがっ」

「あー!思い出した!思い出した!」

 

いきなりなんてことを言い出すの!?

 

私は咄嗟に彼の口を塞ぐ。

私がそんなことをしたということはつまりその通りという訳で。

その時シテいたということは今はどうでもいいとして、確かにおめでとう、と言われていた。

 

「ぷはっ。まあ、そういうこと。それで、どこ行こうか」

「それは考えてるよ」

「それじゃ、最初は曜に任せようかな」

「了解であります!じゃあ急いで食べて準備しないと!」

 

私は朝食を口の中にかき入れ、足早にリビングを後にする。

 

「ご馳走様!和哉くんも早く準備してね!」

「は?ちょっと早くない?」

「そんなの関係ないって!あ、お皿は水に付けててね」

 

誕生日デートなんだから気合い、いれないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだかな・・・」

 

東京の街中で私は時間を気にしながら1人、待ち合わせ場所に立っていた。

 

同じ部屋に住んでいるのだから最初に迎えばいいじゃないか、とは自分でもよく思う。

ただ私はこの想い人を待つこの時間が好き。

この時間だけは世界中にいるたくさんいる人の中の私のためだけにここへ来てくれる。

そんな風に考えられるから。

 

時間を気にしては腕時計を見て、髪を整える。

もう何度目のデートになるかも分からないのに初めてデートに行くみたいに浮かれている。

 

「へ、変じゃないよね・・・」

 

今日の服装と髪型はいつもと違う。

 

服は梨子ちゃんが着るような清楚なふわふわした服装に厚底のサンダル・ミュール。

髪だってこの日のためにヘアーアイロンをかけてみた。

私をよく知る人たちが見たら驚くこと間違いない。

そんな私を彼は気づいてくれるのだろうか。

いや、気づいてくれる!

 

「うー。落ち着かない・・・」

 

やっぱりいつもの服装にすれば良かったと嘆いていると声がした。

 

「曜?」

 

私に声をかけてきたのは待ち人の和哉くんだった。

その彼は自信がなさそうに私の名前を呼ぶ。

 

「う、うん!」

「良かった・・・。間違えたらどうしようかと思った」

 

和哉くんは申し訳なさそうに頬をかく。

 

「ううん。大丈夫。分かってくれるって信じてたから」

「そ、そっか・・・」

 

すると、和哉くんは左手を差し出した。

 

「行こうか、曜」

「うん!」

 

私は笑いながらその手を取る。

 

「その服と髪型似合ってるよ。これからもそうしてみなよ」

 

さらっ、と期待していた言葉をかけてくれる。

気づいてくれたのは嬉しかったが、自分で言ってみたいとも思ってたから少し残念だ。

でも、嬉しいものは嬉しい。

 

「うん、ありがとう!でも、今日だけ・・・かな」

「そうなの?残念」

 

どうやら彼の好みだったようだ。

それが分かって嬉しくなる。

 

「さて、どこに行こうか」

 

彼の言葉に私は悩む。

実というとデートに誘いはしたが、プランは全く立てていなかった。

自分の服装だったりでそこまで考えが回っていなかった。

 

「え、えっと・・・」

「考えてなかったの?」

「・・・うん」

 

和哉くんはそっか、と呟くと難しい顔をする。

これは迷惑をかけてしまった、と思った私は自然と暗い表情をしていた。

 

「落ち込まなくていいでしょ。そうだな・・・。あの店、入ろうか」

 

和哉くんは少し遠くのカフェを指差した。

 

「昼には時間あるけど軽くなんか食べながら今日のこと決めよう」

「うぅ・・・。ありがとう〜!」

 

たまらなく嬉しくなった私は彼に抱きつく。

 

「ああ、もう。抱きつくな」

「やだ!」

「街中なんだけど」

「はっ!?」

 

その事を完全に忘れていた。

もちろん、たくさんの人に今のを見られてしまった。

 

「〜〜〜〜〜〜〜!!??」

「曜?俯いてどうかした?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「曜!?」

 

その場から一瞬でも早く離れたい私は和哉くんの手を引いて走り出す。

 

「ちょっ!走るなって!」

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!・・・あ」

 

久しぶりに味わう、足がもつれる感覚。

それもそうだ。

今まで履いたことないものを履いているんだ。当然、上手く走れる訳もなく、転んでしまう。

 

「曜!」

 

覚悟していた痛みは来ない。

というより、誰かに支えられていて、体が浮いているような感じがする。

 

「危なっ・・・。いきなり走らないでよ」

 

私の体を支えてくれたのはもちろん和哉くん。

私が転ばなかったことに安心し、ほっ、と息を吐く。

 

「ご、ごめん・・・」

「立てる?ケガはない?」

「う、うん」

 

体を離してもらい、立ってみる。

足も痛めてないようだし、何ともない。

 

「大丈夫そうだね。さて、さっきのところより離れたみたいだけど、どうしようか」

 

和哉くんに言われ、付近を見渡してみるが知っている建物があまりない。

無我夢中で走っていたら随分遠くまで来ていたようだ。

 

「え、えっと・・・。そうだ!和哉くんお腹すいてない!?」

「俺?特に」

「うっ・・・。えっと、えっと」

 

今日の私はテンパってしまって何事も上手くいかない。

そんな時。

 

ぐぅ〜・・・。

 

私のお腹がなった。

 

「うっ・・・。うぅ・・・」

 

もうボロボロ過ぎて泣き出しそうになった。

 

「あー。じゃあ、あそこ。行こっか」

 

和哉くんが1件の洋食レストランを指差した。

 

「あそこでハンバーグでも食べよっか」

 

にこり、と笑う彼。

そんな彼の気遣いに胸が高なる。

 

「うん。そうしよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここのレストランのハンバーグはとても美味しかった。

ママが作ってくれるハンバーグ程じゃないけど、ハンバーグにはうるさい曜ちゃんも納得のいく味だった。

 

「美味しかったー!」

「とっさに見つけただけだから。気に入ってくれて良かったよ」

「うん!満足だよ!」

 

彼は微笑むと近くの店員を呼び止め、コーヒーを注文する。

 

「今日の曜の服装、お姫様みたいだね」

「お姫様?」

「うん。なんて言うの?お忍びみたいな。髪も結構伸びて、ストレートにしてるから余計にね」

「そ、そーかな?」

 

いきなりお姫様なんて言うから思わず照れてしまう。

 

「私がお姫様だったら・・・、和哉くんは私の王子様、だよ」

 

自分で言ってて恥ずかしさに震える。

彼はどんな表情をしているんだろう、と思い、顔覗く。

 

「・・・照れてる?」

「・・・言わないでよ・・・」

 

彼は手で顔を少し隠している。

 

「へっへー!王子様ー!」

「だぁー!やめろやめろ!」

 

この後、調子に乗った私はしばらく彼を弄り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もー!機嫌直してよー」

 

あれから弄り続けていたせいか、彼はご機嫌ななめだ。

 

今は少し買い物をして、日も暮れ始めたので少し人の少ない道を使って帰っていた。

 

「別に不機嫌じゃないよ」

「不機嫌じゃんかー」

 

なかなか機嫌を直してくれない彼に私はむくれていた。

 

「むー。つまんないなー」

 

少し大げさに反応しながら彼の少し前を歩く。

 

「曜!!」

「え?」

 

急に抱きしめられ、手に持っていた荷物が地面に落ちる。

 

待って?

本当にどんな状況?

 

いきなりでテンパっているとすぐ横を車が走り抜けて行った。

 

「危ないな、あいつ・・・」

 

和哉くんが私を抱きしめたのは猛スピードで走り抜けていく車から守ってくれたようだ。

 

「危なかったね。大丈夫?」

 

いちいちカッコいいことして・・・。

本当に私の王子様だ。

 

「こっちの方が危ないよ!バカ!」

「はぁ!?」

 

私は走り出し、彼を置いて行く。

 

こんなわがままもたまにはいいでしょ?

だって、今日の私はお姫様だからね!




曜ちゃんを書くのは難しい・・・。

読んでくださった方が楽しんで頂ければ私は満足です。
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