2人の夢の軌道   作:梨善

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千歌ちゃんお誕生日おめでとうございます!
乙女心は絶対に出さないようにしてるけど出ちゃってる千歌ちゃんのお話です。


高海千歌誕生日特別編~M.K.O.~

「さて、千歌ちゃん」

「な、なに・・・?」

 

なんでもない普通の休日。私の家に遊びに来た曜ちゃんと梨子ちゃん。私はそんな2人になぜか詰め寄られていた。

 

「千歌ちゃんはいつまでそのままでいるつもり?」

 

曜ちゃんの質問。なんの事か分からない。

 

「な、何を?」

「千歌ちゃんはもっと進展したいと思わないの?」

 

梨子ちゃんの質問もよく意味が分からない。

 

「だ、だから何の?全く意味わからないんだけど・・・」

 

すると梨子ちゃんと曜ちゃんは顔を見合わせると深いため息をついた。

 

「どう思いますか?梨子ちゃん」

「無自覚なのは罪だけど可愛いわね」

 

2人で訳の分からない話をしている。

全くどういうつもりなのだろう。

 

「ところで梨子ちゃん、向こうはどう?」

「問題ないわ。しっかり取り付けてるから」

「ねえ、なんの話してるの?全然追いつけてないんだけど・・・」

 

そして2人は私の肩を掴み、それはもう素晴らしい笑顔で告げた。

 

「「これからお出かけするよ」」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

 

2人になされるがまま着替えさせられ、私たちは沼津に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沼津駅に着いたと同時に曜ちゃんと梨子ちゃんは御手洗に行ってしまい、駅前で1人、ぼーっ、と立っていた。

 

「あれ?千歌だけ?」

「か、カズくん!?なんで!?」

 

突然現れたのはカズくんだった。

 

「なんでって・・・。梨子に呼ばれたんだよ。それで梨子は?曜と来るって言ってたけど」

 

カズくんはキョロキョロ付近を見渡す。

 

聞いてないよー!なんでカズくんまで!?

 

混乱していると不意にスマホがメッセージを受信した。差出人は梨子ちゃんだ。

 

『急用が入って帰らなくちゃ行けなくなったの。曜ちゃんも同じ。頑張ってヨーソローしてね♡』

 

そのメッセージを読んでようやく私は2人にはめられたことに気づいた。

あの2人は隠していた私の気持ちに気づき、この瞬間を作りあげたのだ!

 

「あ、梨子たち用事できたんだ。どうする?2人だけど」

 

カズくんのことだから集まらなくなった2人のことも考えての提案だろう。しかし、私にとってははめられたとはいえ、都合のいい展開だ。手のひらで踊らされてるみたいで癪だけど、ここは女、高海千歌!やります!

 

「行くよ!2人の分も楽しまないと!」

「う、うん・・・」

 

変に高いテンションで言ったせいか、カズくんは呆気に取られていた。

 

「ご、ごめん・・・。変にテンション高かった・・・」

 

私が謝るとカズくんはクスッ、と笑い、私の手をとる。

 

「いいよ。さ、どこ行こうか。なんだかんだ千歌と2人っきりって初めてかもね。楽しみだよ」

 

握られた左手から顔にかけて熱が登ってくる。

 

「千歌?どうかした?顔真っ赤だけど」

 

彼は不思議な顔をして私の顔をのぞき込んでいた。

 

「な、なんでもないよ!!ほら行くよ!」

「え?おわぁああああああ!!?」

 

握られた手を思いっきり引っ張って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズくんの手を引いてやってきたのは狩野川に位置するおしゃれなカフェ、THE BLUE

WATER。ここでテーブルを挟んで座る私とカズくんの間に巨大なものが置かれる。

ここと言えばやっぱり・・・。

 

「ほぁああああああああ・・・!」

「お待たせしました。パンケーキになります」

 

目の前にそびえ立つのはパンケーキの上に山のように積まれたバニラアイス。

女子にとってこんなご褒美はない。目の前のカズくんも目を丸くして見ている。

 

「ここ、初めて来たけど凄いね・・・」

「美味しいんだよ、これ!では早速1口・・・。うーーーーん!!最高!」

「甘いのは好きだけどこれはやり過ぎかな・・・。うん」

 

カズくんはコーヒーを飲みながら私を見る。

 

「あ、千歌。じっとしてて」

「ほぇ?」

 

カズくんは身を乗り出し、私に顔をずぃ、っと近づける。

 

ち、近い!カズくんの顔、目の前に・・・!で、でもどうしていきなり!?

 

すると、何やら紙が私の触る。

 

「ほぇ・・・?」

 

またしても気の抜けた声が出てしまった。

 

「頬についてたよ」

 

カズくんは私から離れ、紙ナプキンについたアイスを見せる。

 

「ふぁ・・・・・・」

 

一気に気が抜けた私は机に突っ伏す。

 

きゅん、とした・・・。

 

「ちょっ、千歌?」

 

何が起きてるのか分かっていない彼は少しあたふたしながら私を心配する。

 

「今の、分かっててやった・・・?」

「アイスついてたし。千歌は気づかなさそうだし・・・」

 

む、無意識かよぉおおおおおおお!!ズルすぎる・・・!!

 

私はガバッ、と起き上がり、パンケーキを一気に食べ尽くした。

 

「ほら!行くよ!!」

「ちょっ!まっ!まだコーヒー!」

 

彼の手を引いてそそくさと店を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから色んなところを歩き回り、私たちは中央公園でのんびりしていた。

 

「ねぇ、カズくん・・・」

「ん?」

「本当に狙ってない?」

「だから何をさ」

 

これより前になんどか聞いてみるものの、答えは全部同じ。都会の人は無自覚にキザなのかもしれない。

 

「はぁ・・・、もういいよ・・・。チカが勘違いしてるのか、カズくんが鈍いのか分からなくなってきたよ・・・」

 

肩を落としながらそう呟くと、カズくんは小さく、本当に独り言のように呟いた。

 

「鈍いのはどっちだよ・・・」

 

その言葉は微かだけど、私の耳に届いた。

 

「え・・・。今・・・」

「っ!なんでもない!」

 

カズくんは立ち上がってどこかに歩いていく。私もそれを追いかけ、言葉の意味を聞き出そうとする。

 

「ねぇ!なんて言ったの!?ねぇねぇ!」

「なんでもないってば!離れてよ!」

「ヤ!教えてくれるまで離さない!」

 

私たちの顔が赤いのはきっと夕焼けのせいじゃない。これから始まる物語への期待からだろう。




リーダー!大好き!
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