極東三人目の翼   作:アイプチ

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再びお久しぶりです。あと何回この挨拶するんでしょう?

双嬢ヒロインなのに影が薄いと思ったそこのアナタ!今回はたっぷり?増量のユーリの珍しい戦闘パートです。

この二つだけで一週間は使ってしまいましたよ。後?


モンハンって面白いですよね


五枚目

トーリが餃子ネタでオリオトライからのキツイツッコミを受けていた頃、ユーリは何年かぶりに自分から双嬢の二人に話しかけた。

 

「マルゴットとナルゼ、ちょっといいか?」

 

 指で外で話そうと合図を送ると、二人とも頷いて廊下に出る。

 

「久しぶりに自分から呼んだと思ったら、何の用かしら?」

 

マルゴットは心配そうに、ナルゼは逆に不機嫌そうにユーリを見つめていた。それも当然だろう。ホライゾンが死んだ日、あの日以来仲良くしていた二人と目に見えた距離の取り方をしてきたんだからな。

 

「ずっと二人に距離を取っていたのは謝る」

 

 そう言ってユーリは二人に頭を下げた。それに心配していたマルゴットも、表情を硬くしていたナルゼも狼狽した。しかしユーリは、二人が言葉を発する前に、

 

「でも俺には時間がないんだ。トーリがホライゾンの事件から前に進むって言ったのに、道を作る俺が役立たずなのは嫌なんだ。だから」

 

 と、ここで一旦一呼吸置くと、二人の顔を見比べて落ち着いて言った。

 ………俺に飛び方を教えてくれないか?と。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 教導院の橋上では、副会長の本多正純だけでなく、機関部の直政と騎士階級のネイトの三人が聖連側として臨時生徒総会が行われ、今まさに機関部代表の直正と商人代表のシロジロとの戦いが終わった所だ。

 そして次の相対として騎士代表のネイト・ミトツダイラが問いかけた。

 

「騎士を従えようとする相手は、どなたですの?」

 

 ネイトの相対に対して全員が毒使うだのズドンするだの考えタイムを使っていた。今更だけど仮にも巫女が人を安易にズドンしようとするなよ。

 

「間に合ったな」

 

「間に合ったね」

 

「間に合ったわね」

 

 ユーリとマルゴットとナルゼの三人が橋上に現れた。双嬢の二人は変わりないが、ユーリは制服がボロボロで所々破れた跡がある。彼としては出来れば足に出来ている擦り傷くらいは治療したかったが、ネイトとの相対に間に合わせたかったのもある。だが一番としては魔法の腕が自分より上だと分かってはいても男としての小さなプライドが邪魔をしたのだった。

 

 ユーリは制服に付いている土を手で払いながら橋上を歩いてネイトを通り過ぎ、トーリたちがいる場所まで行くと、

 

「トーリ、ネイトとの相対だけどさ。俺に任せてくれないか?」

 

 と言った。事情を知ったネシンバラやアデーレが止めようとするがトーリがそれを手で止めると、ユーリにこう聞いた。

 

「任せて大丈夫か?ユーリ」

 

 その問いにユーリは自信げな顔で

 

「ああ!」

 

 と答えた。

 

 

 

 

◆◆

 

 

 

 

「待たせたなネイト、相対の相手は俺だ」

 

 自信ありげに歩くユーリにネイトは首を傾げた。ユーリと言えば自分のイメージでは完全にネシンバラと同じ文系なイメージがあるからだ。背中に生えた羽を使ったところは見たことはないが、理由まで考えたことはなかった。そんなユーリがバリバリの戦闘系のネイトとの相対に来たからだ。

 

「待たせたついでに相対の内容も俺が決めていいか?」

 

 とネイトやオリオトライが答える前に制服のポケットから白い手袋を取り出すと、ネイトの足元へ投げつけた。

 

「俺は騎士関係には詳しくないけどこれぐらいは知ってるぜ。騎士は誇り高いものだって。その誇り高い騎士様に言っているんだよ。決闘をしようって」

 

 この行動に一番驚いたのはネイトだ。こんなことをされても、この相対で自分は騎士でなくただの市民となる予定だったのだから手袋を取る必要はない。そしてそのまま言えばいい。「我々、武蔵騎士団は降伏を認めます」と。

 しかし気が付けばネイトはユーリの投げつけた白手袋を拾っていた。

 

「拾ったなネイト。なら、決闘開始だ!!」

 

 ユーリの言葉にはっと我に返ったネイトがユーリのいた場所を見たが、そこにユーリはいなかった。今の一瞬でどこへ消えたのかと辺りを見渡した時、不自然な影を見つけた。まるで空に何かが飛んでいるような……と考えた瞬間、体から危険を知らせるアラートが鳴り響いた。それに従い身を転がりながら避けて攻撃が放たれた方を向くと、

 

「貴方、飛べたんですか!?」

 

「最近飛べるようになったんだよ」

 

 背中の銀色に光る翼を使い、空中に静止していたユーリがいた。

 

「ドンドンいくぞネイト!!」

 

 ユーリの背中の翼が風を起こすようにはためいた。すると、ユーリの翼が起こした風が大きくなっていき、まるでカマイタチのようになる。

 

 

 

 

 

 ユーリとネイトの決闘を近くで見ていた正純は驚いた。

 

「ユーリの奴、飛べないんじゃなかったのか?」

 

 それに答えたのがマルゴットとナルゼだ。

 

「飛べるようにしたのよ。なんとかネイトとの相対に間に合わせるように」

 

「久々に魔法使うから鈍ってないかが心配だったけど、大丈夫そうだね」

 

「どういうことだ二人とも?そもそもユーリの魔法とは一体なんだ!?」

 

 正純の当然の疑問に苦笑いをするマルゴットが答えた。

 

「そんな難しい魔法じゃないよ。空気の質量を操作してカマイタチを作る」

 

「と言ってもユーリの腕が悪いのか元々そうなのか知らないけど、自分が干渉した風しか操れないんだけど」

 

「というか、聖連側の私が言うのもなんだが、あんなに高度が低くて大丈夫なのか?」

 

 正純が見る先では、カマイタチの起きる場所を予測しながら銀鎖で掴もうとするネイトと、それを避ける行動が増えて徐々に防戦一方になるユーリの姿が映っていた。

 

「そりゃ大丈夫じゃないに決まってるじゃない!」

 

 ナルゼの断言する口調に正純は何も言えなかった。ナルゼのセリフにマルゴットが付け足してくれる。

 

「元々ゆっちゃんの戦い方って、翼を使って私たちより早いスピードで縦横無尽に飛び回りながらカマイタチで攻撃するの。でもすごい頑張って飛び上がって制止することは出来たんだけど」

 

「そこから先がダメだったのよね」

 

 

 

 

「(やっぱり羽が思うように動かないなあ)」

 

 ネイトもそろそろカマイタチに慣れてきている。逆にユーリがネイトの放つ銀鎖に当たりそうになる。避ける方法は簡単だ。高度を上げればいい。

 

「(ッ!!?ダメか!)」

 

 ネイトが銀鎖を取り出した時から高度を上げようと何度も試みてはいた。だが、上げようと羽を動かす度、まるで地面から鎖で固定されているかと錯覚してしまうほど一向に高度は上がらなかった。

 

「(要するにあれか?まだ俺は過去を振り切れていないってことか?)」

 

 それはいい。マルゴットと特訓していた時もこれ以上高度も飛ぶ速さも変わらなかったから仕方ない。それより…とユーリはネイトに集中する。

 

「(ネイトが本来の目的を思い出さなきゃいい)」

 

 …ネイトの目的。それは多分俺たち、つまり俺たち市民と戦い負けることだ。なら冷静さを忘れればいけると考えての貴族じみた決闘やこの場で見せた飛行とカマイタチ、だったんだけど

 

「(ただ負けるだけじゃダメだ。俺たち武蔵にも騎士と互角に戦える生徒がまだいると、聖連に見せつけなきゃな)」

 

 トーリの望むようにいけば聖連とホライゾンをかけた戦争になる。元々手札の少ない武蔵が一枚でも札が増えるのなら

 

「決闘の途中でよそ見とは、中々余裕ですわね。でも、捕まえましたわよ!」

 

 ネイトの言葉に足を見ると、銀鎖が足に絡みついていた。

 

「や、やさしくしてね」

 

「む・り・ですわ」

 

 いい笑顔で橋におもっいきり叩きつけられた。

 

「腰の骨がががががぁぁぁ!!」

 

「だ、大丈夫ゆっくん!!?」

 

「マルゴット、こ、腰。腰の骨曲がってないか!?」

 

「曲がってたらそんな悠長に話せないから大丈夫よ」

 

 腰を抑えながら双嬢の二人と話していると、ネイトも申し訳なさそうに近づいてくる。

 

「すみませんユーリ手加減できず」

 

 ネイトの謝罪に手を振っていいと合図をする。そして、

 

「この決闘で騎士を辞めれなくなっちまったけど、いいのか?」

 

「仕方ありませんわ。貴方の策にまんまと嵌ってしまった私が未熟でしたのですから」

 

 いかん。疲れと腰の痛みとその他諸々が一気に押し寄せてきた。

 

「取り合えず、トーリのとこ行ってこいよ。俺はもう少し二人と話してるからさ」

 

 そう言ってネイトをトーリや皆のいる場所へ行かせた。流石にこんなこと他の奴らに聞かせられない。

 

「なあ二人とも、ちょっとばかしお願いがあるんだけどさ」

 

 ユーリが言葉を発する前に、マルゴットの左膝とナルゼの右膝に頭を置かれた。

 

「お願いって一体何かしらユーリ?」

 

「いや………何でもねえよ」

 

 苦笑しながら目を閉じる。

 

「「おやすみなさい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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