IFもしも、ラインハルトに双子の妹がいたら。   作:アラセイトウ

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  落ち着きなさい

 

 

………。頭が痛い。クソ、久しぶりに盛大な馬鹿をした。

情報収集に夢中になって、睡眠時間が一時間切っている。

しかも、二徹しているから余計眠い。

あーやべー意識が飛ぶ。

ちなみにここは新無憂宮(ノイエ・サンスーシ)今日はこれからアンネローゼ姉さんいや、グリューネワルト伯爵夫人の館を訪れる予定で、今は、派手に飾られた地上車(ランド・カー)の中だ。

ラインハルトもジークもそわそわしていて落ち着きがない。

おかげで仮眠が取れそうに無いな。

そうこうしているうちに菩提樹(リンデンバウム)の茂る池の畔にある、ここに暮らす女主人にふさわしい清楚な館。

完全に止まる前にラインハルトはこちらからは見えないが、アンネローゼ姉さんを見つけたようでジークの手を引っ張り降りて駆けて行った。

地上車(ランド・カー)が完全に止まった事を確認し、あくびをかみ殺しながら降りる。

ラインハルトが

 

「姉上!」

 

と言うのを聞きながら。

 

アンネローゼ姉さんが春の陽ざしのような笑顔で、俺たちを迎えた。

 

「ラインハルト、よく来てくれましたね。それにジーク、レオンも………レオン。あなた、また無茶していませんか?」

 

アンネローゼ姉さんは、俺の顔色を見てそう言う。

別にこのくらい死にそうだけど、あの時の三徹に比べたらなんとも無いのに。

本当、クラウディアが言っていた通り良い人だよなぁ。

 

「このくらい大丈夫ですよ。お久しぶりです。アンネローゼ姉さん。」

 

「………アンネローゼ様もお元気そうで何よりです。」

 

「ありがとう。さあ、三人ともお入りなさい。あなたたちが来るのを何日も前から待っていたのよ。」

 

本当に変わらないな。アンネローゼ姉さんは。

皇帝なんかには本当にもったい無い。

あいつやティアナ、クラウディアも同じように皇帝と比べたらジークの方が良い!とか何それ!萌えるんだけど!とか言っていたよな。

俺には萌える?とか理解不能だったが。

っと、いけない。

寝不足で思考が変な方向に行っていた。

気付いたら居間にいた。

目の間にはコーヒーとケーキ。

アンネローゼ姉さんの手作りの。

ああ、幸せだな。

こういう時間が好きだ。

出来ることなら、ヒルダやティアナ、クラウディア、そしてオスカー殿がいたらもっと幸せで幸福なのに。

手作りのケーキ。この、5年間でどれほど食べただろう。

多分、クラウディアがずるいと言う程食べただろう。

クラウディアが眠ってから、オスカー殿とは病院と軍以外では会わなくなった。

ヒルダとティアナはフェザーンの大学へ行って、アンネローゼ姉さんが悲しそうに微笑むのを見た。

ラインハルトは更に暴走するし、ジークも一応、止めるが押し切られるようになった。

本当、あの女

クラウディア

いつまで、寝てる気だ!

倍返しにして良いよな?

ハッと耳にある言葉が流れ込んできた。

 

「ラインハルトがわがままばかり言ってさぞ迷惑かけているでしょうね、ジーク、レオン。」

 

本当にそっくりだな。さすが姉妹。

 

「いえ、そのような…」

 

「本当ですよ。アンネローゼ姉さん。俺たちがどれほど苦労していることか。」

 

「うるさいぞ、レオン!そんなに迷惑かけていないだろう?」

 

どの口が言ってんだ。この馬鹿は。

ああ、くそ!寝不足で策を考えらんねぇ。

 

「なんだと!こっちがどれほど苦労して印象操作してると思ってんだ!」

 

「落ち着きなさいラインハルト、レオン。

そうそう、シャフハウゼン子爵夫人からいただいたおいしい桃色葡萄酒(ヴァン・ローゼ)があるの。地下室にあるから取って来てくれないかしら?帝国元帥閣下に雑用を頼んで悪いけど」

 

「………。わかりました。姉上。取って来ます。」

 

ラインハルトはショボンと肩を落としながら飼い主に捨てられた犬のように歩いて行った。

それにしても助かった。

クラウディアの毒の使い方はこの人から学んだのでは無いかと思うほど、ラインハルトの急所を貫いて行った。

なんというか。あとでラインハルトに謝り、何かおいしいものを奢ろうと思うぐらいには。

俺はコーヒーを一気に喉に流し込むと、アンネローゼ姉さんの顔を見つめ

 

「ありがとうございます。助かりました。」

 

と礼をいう。  




レオンは下級貴族のため私生活では守銭奴です。 
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