それ逝けあんちんマン!   作:アビャア

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拾六鐘 満月の死闘、そして....

D月A日『一休み』

天気 晴れ

 

目が覚めたら見知らぬ天井だった。

 

この台詞『テンプレ乙』だと思うけど、こんな体験中々ないからかなり動揺するよね。

整理整頓された小雪さんの家からこんにちは安珍です。

 

日記が途切れてから一日熟睡、暴れ過ぎて筋肉痛が酷く三日間身動きが出来ずに寝続けた。

 

身体が動けるようになってからの二日間は軽いストレッチやスパーリング(vs小雪さん)をして八割復活、しかし精神は少しボドボドダァ!

 

ほんと、音信(文通)不通で心配している天空寺に連絡を入れたり、俺の側にずっといた鞠尾兄弟の世話をしていたりと小雪さんには色々お世話になっているから頭が上がらない。

 

本人は気にしてはいないと言っているけどこの人、ああ見えて優しくて世話好きなんだろうな。

 

此処に住む住民達や伝達や報告をしに来た同僚達のやり取りを見ると、そういう場面が多々あったし。

 

ただ今でも思い出す。スパーリングした時、はち切れんばかりの笑み()を浮かべたあの表情を。...少しの間夢に出てきそうだな。

 

よし、明日には最後の難題『廃墟の屋敷の化物退治』に向かおう。

 

山奥にあるこの屋敷、ある大鬼が住み着き夜な夜な人妖問わずに喰らい殺し続けている鬼及びその取り巻き妖怪の討伐が今回の任務の内容だ。

 

 

決行は明後日の夜、それまでには身体が完治、武器の手入れや魔術礼装の補充、変質した魔術回路等の謎を少しだけ究明出来るな。

 

 

鬼の討伐という結構ハードな任務だが、俺にもやらなければならない時がある。

 

 

何とかやって見せるさ。

 

今日は暇だし、手紙でも書くか。

 

 

 

 

p.s.一々変質した魔術回路と呼ぶのは面倒なので此れからは変異回路と呼ぼう。

 

 

( OMO)月<サヨコォォォォッッ!日『鬼退治』

天気 晴れ

 

討伐決行日、空が晴れて綺麗な満月が出ている。

こういう日に縁側でお茶と団子で楽しみたかったが仕方ない。

 

コンディションは最高、武装はバッチリで尚且つ変異回路の解明もある程度進んだ。

どうやら普通の魔術を使うときは起動しないが、起源魔術を使うと起動する。目黒戦の時に使えたガント?もこの回路限定なら出せる事が判明した。

 

変異術回路だけで起源魔術を使うと回路自体少ない為魔力消費や発動に時間が掛かるが、その分有名RPGの○○ラと○○ガ位性能の違いが出た。

 

闘気については発動条件が分からなかったが、此でも上場と言えるものだ。それに合わせて新たな奥義も出来たし。

 

そして俺の今の服装は藍色の袈裟に顔を隠す頭巾、灰色の袴にたすき掛けという僧兵スタイルだ。

 

武装はグローブの血闘、右手に破戒を持ち、紐を通した鞘に納めた無銘を背負う。

 

左右の腰には、鉄で出来た黒色の円柱『鉄杭専用ケース』を装備。

右腰に鉄杭、左腰の方は魔術を内包した黒色の鉄杭『魔術杭』を収納した両腰合わせて30本を格納しているというかなりの重武装だ。

 

袈裟に至っては結構な魔術的加工を施しているから頑丈だ。

 

小雪さんは何時もの戦闘服だが今回は狐の面を被り、青く猛々しく燃える火の玉を浮遊させながら白い大鎌を両手で持ち静かに佇んでいた。

 

かなりの重装備だが、相手はかなりの猛者、此でも倒せるか怪しいレベルだ

 

小雪さんもウズウズしているし、そろそろ行くか。

 

 

 

 

○月◇日『生きているって素晴らしい』

天気 晴れ

 

 

生き残れた。いや本当よくアレで五体満足でいけたもんだよ。お互いボロボロでもう戦う気力がもうない。

 

回復魔術を使うのに精一杯だ。

小雪さんから先に回復魔術を掛け、包帯や塗り薬等の応急手当てが終わり、今は俺の身体に魔術を掛け裂傷を出来るだけ塞いだり傷口に薬を塗って包帯を巻いている。

 

小雪さんは最初は渋ったが、怪我がそこそこ酷かったので祭星さんから直伝『疲労困憊な人だけ効く腰が抜けるツボ』を押して無力化し手当てをした。

 

俺も身体中傷だらけ、左肩にいたっては少し深い裂傷、あばら骨が数本いったり各所の骨に罅が入っているが痛みを和らぐツボと、痛み止めを飲んでいるから平気だった。

 

まぁこんなに怪我したの幼少期のはぐれ鬼戦以降だ。前世ならヒィヒィ言ってたが今は慣れすぎて、怪我の状態でも冷静に怪我の処置をするようになった。

 

 

小雪さんは不貞腐れながらも式神を飛ばし、任務完了と安部家の使いを寄越すよう頼んでいるのでそれまでは待機だ。

 

しかし、いつみても良い朝日だ。生き残れたから余計にそう感じる。

そう思いながらあの戦いの顛末を書き記そう。

 

 

前日、日記を書き終えた後、俺達は何も問題もなく目的地に辿り着いた。

敵の数を減らすため、二人で奇襲を仕掛ける。為直ぐ様行動を移した。

 

まず、小雪さんをおぶって変異回路を使い猿仮面の模倣(スニーク・フール)を強化発動して屋根に登る。

強化された状態だと俺の体に触っていれば恩恵を得られるので、俺から降りると小雪さんは俺の右肩に手を置き様子を見る。

 

すると、妖怪達が庭園で酒を飲んだり賭け事や殺した下級妖怪や人間を喰らい騒いでおり、ターゲットの大鬼も同族である鬼を喰らい盗んだ酒を飲んでいた。

 

共食いとか思っている以上にイカれているな。

 

俺達は奇襲をかけるため左腰の鉄杭ケースから魔術杭を8本取り出して呪文を紡いで空中にばら蒔き、小雪さんは多くの札を空中で展開し飛ばす。

 

ばら蒔いた瞬間、魔術杭から血脈のような模様が浮かび上がり矢のように飛んでいく。

 

敵の合間を縫うように地面に刺さった瞬間、魔術杭から魔方陣が展開『破ァ!』を内包した豪火や水の渦、竜巻が突如現れ蹂躙した。

小雪さんの方は、飛ばした札は途中青く燃えながら形を変え、青く燃えるお狐の姿を模した焔に変わり二十匹の狐が妖怪達を襲っていた。

 

 

大鬼は咄嗟に気付いたのか回避し、時には金棒を盾がわりにして防ぎきっていた。

すると、俺達に気付いた大鬼は口から豪火球を吐き出す。

 

二人とも咄嗟に避けたから無事だったが、俺達がいた場所は屋根ごと吹き飛び見るも無惨な姿になっていた。

 

あの出鱈目な火力、妖怪を喰った影響で妖気でも上がっているのかも知れないと冷や汗をかいた。

 

大鬼の方は強敵と戦える気持ちが強かったのか大声で笑いながら、凄い笑みを浮かべ吼える。

其処から激闘が始まり、数十分の激しい戦いが続いた。

五尾クラスの小雪さんと俺の猛攻を受けても怯む所か気にせずに攻撃を緩めなかったから恐ろしいものである。

 

酷い裂傷や火傷が出来ようが、鉄杭が刺さったり『破ァ!』の拳を喰らってもびくともしなかったから恐ろしいレベルだ。

 

俺らもボロボロになりがらも奮闘、最後は小雪さんが何とか隙を付いて爪を突き出して右足を抉り、僅かな隙が出来たところで最後は新しく出来た奥義『穿ツ撃鉄(キル・パイル)』で心臓がある胴体に風穴を開けた。

 

 

この奥義、目黒戦の止めで使った大技を簡略化したもので、拳に魔力を溜め起源で極限まで肉体強化。

最後は高速で拳を放つと同時に、殴る時に発生する衝撃波と放出された魔力を叩き付ける新しいメイン火力だ。

 

だが、まだ息があり金棒を持ち上げて俺を潰そうとしたが、それは想定の範囲内。

左手にも放つ前に『穿ツ撃鉄(キル・パイル)』を装填していたので顎に向けて発動。

顔を吹き飛ばした衝撃で後ろによろめき倒れそのまま絶命した。

 

しかし、鬼というものは強く恐ろしいものだ。

たとえ満身創痍になろうが己の矜持を曲けず、ただひたすらに強くあり続け、死ぬときまで人に畏れを刻み続け、生命力もずば抜けている。

 

全くもって恐ろしいものだ。

 

 

でも此で三つの難題はクリアした。少し長く険しい道のりだった。

それでも俺にとっては京を生きていく上で必要な要素を多く見つけられた良い経験でもあった。

 

それに報酬として修行場を貰う約束なので楽しみだ。

 

 

でも少し気になる点がある。戦闘している途中、誰か見られてたのは気のせいだろうか?

俺が気付いて見たときには居なかったが、居たような感じがした。

 

いや気のせいだろ。

 

 

 

 

 

△月△日『ねんがんのーーをてにいれたぞ!!』

天気 晴れ

 

三つの難題を解決してから2日、遂に念願の修行場『日向(ひなた)寺』に引っ越す為その場所に向かっていた。

場所は安部家の領土にある小さな山にある。

 

どんな場所なのか見てみたいと狐成、猛、他男2名も一緒に着いてきている。

 

ほんとこの二日半の間忙しかった。安部様直属の部下におぶられてから屋敷に直行し本格的な手当てをしてもらい。客室で三時間休みをとり七割回復した。

 

様子を見に来た安部様が驚いたけど、数多くの修羅場を潜り抜けたせいか普通の人より怪我の治りが早いのだ。舐めては困るぜ?

 

その後、安部様の案内で寝殿に向かいその部屋に入ると、包帯を巻いている小雪さんと息子を抱えた葛の葉様が座っていた。

礼をしてから入りらそこで任務達成によるお二人から有り難い御言葉と修行場の地図と認可の書類を貰った。

 

まぁ貰ってから後の出来事にはビックリした。

葛の葉様の口調が段々変わると同時に狐の耳と尻尾七本生やし、さっきとは真逆のテンションで自己紹介してきた。

 

......予想はついていたが、七尾とは思わなかったし、小雪さんとは同期だったとは。

安部様も少しフランクな感じになってるし。

 

あっ小雪さん溜め息ついた。何か...うんお疲れ様。

 

アレだよ?覇気のある凛とした麗しい女性から、テンション上ヶな明るい美女になるんだよ。

驚きの余り、一瞬フリーズしたよ。

 

その後葛の葉さんとフランクな安部さんに流され、強制的に泊まることになりお互い色々と話し合い一夜を過ごしたが、終始二人ともラブラブだった。

 

すげぇな......恋って。

 

 

2日目は荷物を纏めるため天空寺に戻る為外に出ると、

小雪さんが安部家の玄関の外で俺を待っていていた。

 

お別れの挨拶をしたのだが、お互い贈る言葉が短かった。

それでも、最初に会ったときの会話のなさを考えてみるとそれなりに仲良くなったのだろう。

最後、小雪さんが何かを言おうとして言わなかったが何だったのだろうか?

 

天空寺に着くと、箒で掃いていた狐成が俺を見ると『安珍どのぉぉぉ!ご無事でしたか!』と俺の両肩を掴みぐんぐん振った。

大きな声に他メンバーも集まったので、難題を無事解決し念願の修行場を手に入れたと伝えると家族のように喜んでくれた。とてもイイ人達過ぎて涙が出そうになった。

 

すると、鞠尾と瑠威児が手紙を持って帰って来た。鞠尾だけ顔を少し青くしていたが。

 

瑠威児は祭星さんからの手紙と小包があり内容を簡単に纏めると、

『安産祈願の御守リ有り難ウ。大事にするネ。ケド今頃お前、無茶シて怪我してる頃ダカラ塗り薬とか入れたカラ。少シは自分の身体を大切にシロ。しなかったらツボおす。』

という内容が書かれていて小包からは、新しい塗り薬や丸薬等の物が入っていた。

 

今の近況とお薬マジで有り難うございますと返信しておこう。

 

 

きよひーの方は少し分厚い文章で、俺のことが心配で夜も眠れないとか今すぐに会いたいのに会えないなんて世知辛いと綴っていた。

 

あまりにも思い悩んでいた内容で俺のせいで心配させて悪いことをしたなと反省し、俺の少ない文章力を絞り出して、彼女が傷付かないように優しく包むような内容を書き手紙を送った。

 

その日の夜に安珍修行場獲得おめでとう宴会を開いてどんちゃん騒ぎした次の日、俺の修行場に向けて出発して今に至る。

 

道なりに進むと石作の階段と小さな鳥居が見える。そこを登ると、少し小さい社があった。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ゑ?

 

えっえっ何で小雪さんそこにいるの?え?

 

慌てる俺を他所に小雪さんは屋根から飛び降りて見事に着地しズイズイと近付いて俺の一歩手間で止まりある衝撃発言をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『安部保名様と葛の葉様の名でお前の相棒をすることになった妖狐で五尾の加賀小雪だ。』

 

 

 

『お前と共にすれば、私を満足させてくれる敵が寄ってくる。だから私はお前の付いていく。これから私はお前の強敵(式神)だ。』

 

 

『こうなるのは必然、そういう運命だ。此れから宜しく頼むぞ我が新しい主人"安珍"よ。』

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、奥州の村の皆ときよひーへ

 

無事に修行場を手に入れて、新たに戦闘狂(きつね)のフレンズ『加賀小雪』が仲間に加わりました。

 

そんなバーサーカー(フレンズ)とこの小さな社『日向寺』で本格的な修行と京での生活が始まることが出来ます。

 

けど、毎日かりごっこ(模擬戦(半分ガチ))になるのは辛いなぁ.......

 

 

by.あんちん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新たなヒロイン(戦闘狂)が加わった。やったね!あんちん!!()

次回は幕間を挟み、本格的な修行編に突入します。



オマケ

日向寺
安部家が所有するとある山の奥の秘境にある小さな寺、住居一体型。
龍脈も豊富で数分歩けば滝が流れる川、平地があったりと修行には最適。



変異回路
法螺村で起きた安珍ブチギレ事件後に突然変異した魔術回路やや太く頑丈。
起源魔術とガント?闘気関連の魔術(ガント?等)しか使えないが、起源魔術の強化が可能(○○ラが○○ガになるぐらい性能が違う)。
しかし、数本しか無いため時間と魔力が掛かる

穿ツ撃鉄(キル・パイク)
今後、安珍の主力技になるだろう奥義。
目黒戦の止めに使用した凄いパンチ(仮)を簡略した技で、起源を利用し極限までに肉体を強化した上で魔力を練り込んだ拳を放ち、殴る時に生じる衝撃波と放出された魔力を相手に叩き付ける。
早い話ビック・オーのサドンインパクト。

廃屋敷の大鬼
最近、暴れていた鬼。人だけではなく妖怪、自分が戦い殺した鬼を喰らっていたので妖気が強い。
安珍の新技の餌食になる。
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