第二部も来週になって始まるのですが、新しく追加された第二部のメインビジュアルを見て一つ言いたいことがあります.....
キャスター・リンボがアルターエゴにジョブチェンジしたせいでこいつの扱いに困っているのに、コンヤスカヤ...おめぇ少しは自分の正体少し隠せよ!!モロバレじゃネぇか!!
弐拾二鐘 プロローグ 望まない戦い
228年紀伊国牟婁郡,日高川
この国の中部に属する清流のとある場所、道明寺が見える河川敷は炎が所々燃え続ける
『シャア!』
「ッ!」
黒い二つの角に白い長髪を靡かせ血のように朱い眼光で相手を見つめ白い鱗に覆われた腕と瞳の色と同じ紅い爪から放たれる一撃一撃は、荒々しく過激ながらも常人では避けられない重撃を放つ。
その際に僅かに生じる隙を埋めるべく口から蒼炎を放ち、相手の死角から蛇の尾をしならせ地面を抉っていた。
しかし、もう一人の藍色の袈裟を着た僧侶は青色の覇気を纏い無表情のまま右手に伸縮自在の白い剣、左手には分厚く武骨な刀を、両腕に特殊加工を施した朱色と黒のグローブ擬きの手甲を巧みに扱い相手の猛攻をいなし最小限のダメージに済ましている。
『なんで!なんでナンデナンデェェェェ!!』
「うぉっと!」
ドゴォ!
全部が致命傷クラスの一撃にも関わらず其を最小限に留める僧侶に蛇は子供のような癇癪を上げ彼に剥けて思いっきり尻尾を叩き付けるが僧侶は少し膝を曲げて後方に咄嗟に跳び回避した瞬間、尻尾から振るわれた重撃で石が砕け地面が陥没する。
『ナンデ....!!』
『私かラ離レるのデスカァァ!!』
しかし彼女はそれすら気にせず僧侶に涙を流しながら憎悪を纏った顔を向けると息を吸う動作をし口から火が漏れ出すと一気に僧侶に向けて蒼い炎を吐き出した。
「......」スチャ
彼を覆い尽く程の炎に男は空中で武器をしまいながら目を瞑ると左手を大きく開きながら前にだし拳を握りながら後ろに引く。
地面に足がつくと両足を力を込め急ブレーキをし、地面を抉りながら静止すると呼吸を整えた始める。
.....コオオオォ
目を瞑ったまま呼吸をし息を止める。自分の魂ごと焼き尽くす炎に対し拳の射程範囲に入るまで目を閉じ続ける。普通の常人なら防ぐか避けるの二択だろう。しかし、彼は
「.......!」
迫り来る炎が拳の射程範囲に入った瞬間、目を見開き拳を殴り付けるその瞬間、彼が持つ二つの力を解放し筋肉を限界まで強化する。
強化された右足で震脚をし地面が軽く陥没させ地面に固定させ左手で標準を合わせる。最後に右腕の全筋肉を収縮させ一気に放った右ストレートは青いオーラを纏いながら炎に接近し接触した瞬間、魔術を発動すると同時にある言葉を叫んだ。
破ァ!
[
ゴオォォォォ......!!
「......フウウウゥ。」
その叫びと同時に入り交じった闘気と魔力、拳を放った際に生じた衝撃波に炎が激しい音と共に大きく風穴を開け、火の勢いが弱い無数の小さな火になり飛散する。火の粉が舞うなか男は一気に息を吐き姿勢を戻しながらも蛇を見つめる。
その顔は一貫して無表情だが僅かにその蛇を見て後悔と懺悔の念を持っているのか苦しそうな顔で蛇を見つめていた。
『ナゼ私から離れるのデスカ?』
炎を吐き終えた蛇は何かを問い詰めるかのように蛇の尾を唸らせ男に近付いてくる。 今は白い髪で顔が隠れてしまい表情が見えないが声のトーン漂う妖気からして今も男を睨んでいるだろう。
『ナゼ私の愛に気付かナイノですカ?』
蛇...否、少女は男がやってしまった
『ドウシテあの夜拒絶したのデスカ?』
男の拳が僅かに震える。彼は少女を傷付ける事は出来ない、何故ならあの事件まで仲の良い兄妹のような間柄だったのだから。
それ故に致命傷を与えるチャンスを全部逃す程に彼女に攻撃をしようとする度に自分がやってしまった罪に苛まれ攻撃を中断してしまい少しずつ体力がなくなり限界が近付いてきているのだ。
それでも、震えを抑え握り締める。彼女を救うために。
『どうして?ドウシテドウシテドウシテドウシテ.........』
彼女は片手で髪を無理矢理掻く。
彼女の本当の姿は翡翠のような緑の髪に琥珀色の瞳を持った愛らしい少女。しかし今は
『どうして....私の愛を.....どうしてっっ!!』
『拒絶するのですか!!』
安珍様!!
「........。」
縦に割れた瞳孔を大きく開き涙を流しながら怒りに満ちた形相で彼女の愛を拒絶した男『安珍』に向けて叫ぶ。
それに対し安珍は何も言わず拳を前に向ける。
彼は思う。どうしてこうなったのか。理由は今になって気付く、彼女は白河で初めて出逢ったあの時から好意を抱きずっとアプローチをしていたことを。こんな善悪が壊れイカれた自分を本当に愛していたことを。
あぁ、過去のトラウマのせいでやってしまった行動だったとはいえあの時の自分を全力で殴り飛ばしたい。
自分の不甲斐なさに怒りを覚えるが直ぐに冷静になり、彼女を助け出すため両肘を曲げボクシングの基本の型をしながらステップを踏み始める。
そして、怒りのあまり息を荒くしてる少女、『清姫』に対し口を開く。
「俺は口下手だから単刀直入で言う。命に変えても君を助ける。」
『........』
「その燃え盛る憎しみの全てを俺が全力で受け止めながらお前を元の姿に戻してやる。それが...それが君の愛を拒絶してしまった俺のせめての償いだ...君の憎しみも悲しみも受け止めるから来いきよひー。」
『......アアァァァァァァッ!』
「.....
その言葉が合図だったのか清姫は全力で彼に向かい爪を突き立て手刀を放つ、安珍もまた彼女を止めるために闘気を纏いながら地面を蹴り滑空し白い剣『白銘』に魔力を通し柄を元の薙刀位の長さに戻し手刀を防ぐ。
鍔ぜり合いの中、安珍は魔術詠唱を唱え、ある秘技を発動した。
「......
ボォウッ!
『ぐぅ!?』
その言葉と共に闘気と魔力が入り交じった炎が安珍の身体から放出されその衝撃で清姫は吹き飛ぶ。
何度かの衝撃派の後、安珍の身体は青い炎のようなものを纏い相手に向けて拳を向け小さく言葉を紡ぐ。
「
吹き飛ばした後も衝撃波が何度も起こり起こる度に彼がいる周辺の地面が陥没する。
『ガァァアア!!安珍様ァァァッッ!!』
衝撃波に飛ばされ何度も地面に転がるが体勢を建て直し叫びながら一気に接近する。両爪を鋭く出し口から火花が出始め瞳は完全に獲物を喰らう蛇そのものだ。
安珍に向けて放たれる殺気も尋常じゃなく一般人ならその殺気に毒され発狂するレベルだ。しかし.....
「この身砕けようが、魂朽ちぬ限り我が身も朽ちぬ事を知れ。」
しかし、安珍はそれすらも気にせず最後の言葉を紡いだ瞬間、彼もまた青い炎の闘気を一層燃やす。
白銘の矛の切っ先を相手に向け、足を踏み込み一気に地面を蹴りつけ彼女に向けて一気に飛び込む。
『シャアァァァッッ!』
「破ァァァァッ!」
二人は叫びながらお互いの得物を振るいそれらがぶつ合い激しい攻防戦が始まる。
一歩間違えば死に直結するレベルの戦闘。片方は愛した男を殺す為に、もう片方は憎しみに囚われた少女を救うために武器を振るう。
何故このような悲劇を起きたのか?それは、安珍がとある任務の為に清姫の故郷、紀伊国に向けて出発することになった八日前に遡る事になる。