それ逝けあんちんマン!   作:アビャア

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三週間も遅れてスミマセンm(__)m
GW明けの仕事がハード過ぎて身体が重くひたすら寝てました。(;つД`)
今は少しずつ仕事は落ち着いていますがそれでも更新スピードは遅いかもですご了承してください。

前編と後編とありますが単に文章が一万超えした為分けただけなので、今日の昼頃に後編を投稿予定です。

それでは本編どうぞ














弐拾七鐘 命を燃やしてでも 前編

戦いが始まって数時間後、冒頭の日高川道明寺周辺での奥の手を使用して戦いを再開した所まで戻る。

安珍が奥の手である『明鏡止水・焔紡ぎ(ほむらつむぎ)』を発動して10分経過しているが二人の攻防戦は一層激しさを増していた。

 

 

 

『シャアアッ!!』

 

 

「.....」

 

 

『ッ!?』

 

 

「....!」

 

 

『グゥ...ッ!』

 

 

清姫から繰り出される全ての攻撃をいなしカウンターの要領で的確に拳を命中させ吹き飛ばし一気に接近しいつの間にか両手に得物を持ち振るう。しかし清姫も即座に体勢を整え直し爪を鋭くし腕全体に頑丈な鱗を生やし応戦する。しかし、彼が得意とする変則的攻撃に対し戦闘経験が浅い清姫にとっては予想不可能な攻撃だ。

 

 

安珍は二刀流や逆手持ち、白銘の薙刀モードや雲斬り若しくは白銘の両手持ち、魔術やボクシング等が目眩く不規則にそして突発的に戦闘スタイルを変えながら相手を襲う彼特有の戦闘スタイル。

 

 

そこに能力を限界まで底上げする焔結びを発動している為、戦闘経験が圧倒的に少ない清姫にとっては目を離していないのにいつの間にか変わっている早さで重い攻撃を連続で叩き込む、咄嗟に頑丈な鱗を生成して防ぐが衝撃が重く清姫の顔を歪ませ動きが一瞬止まる。

その僅な時間を見逃さず安珍は彼女の顎に向けて右ストレートを放つがそれを待ちわびたかのように清姫の顔が喜びで歪み安珍の腕を掴む。

 

 

 

「.......!?(誘い出す為にわざと動きを止めたのか!?)」

 

 

『フフッ何驚イテイルノデスカ?安珍様ノ攻撃ハ手ニ取ルヨウニ分カリマスヨ?』ギリリ

 

 

 

 

「グッ!?(骨が軋む、折れる前に!)」

 

 

拳に切り替え右ストレートを放った瞬間、清姫は安珍の右腕すかさず左腕も掴み恍惚した笑みで握りしめる。その一瞬の出来事に安珍は僅かに顔を歪ませる。

 

清姫は好きすぎて安珍の動きや表情を観察してきた乙女、彼の僅な動きを見て凌ぎ攻撃を受ける瞬間に頑丈な鱗を何重をも生成し致命傷を防ぐ。そのお陰か安珍が焔紡ぎを発動し苦戦はするものの傷は軽微、例え鱗ごと貫通されても軽い切り傷が出来るくらいだ。

彼女はいたぶるかのように握っている安珍の両腕に対し少しずつ握力を上げていく。安珍の腕の骨がだんだん軋む音を鳴らし鈍痛が身体中に走り顔を歪ませるが頭の中は冷静のまま次の一手を繰り出す。

 

 

 

装填(リロード)、刈り風!!」

 

 

『グッ!』

 

「.....すぅぅぅぅ、....!『覇ァ』!!

 

 

ゴウッ!!

 

 

 

 

『キャア!!』

 

 

 

 

右足を後ろに下げ闘気を込め術式を紡ぐむと右足に風が纏まりつくかのように発生しそれを一気に清姫に向けて放つ。

すると、纏まっていた風が一つの鋭い鞭となり彼女の頑丈な鱗ごと抉り取りその衝撃と痛みで手を放し腕が解放された瞬間、安珍は一気に息を吸い『破ァ』の中で射程と威力のある『覇ァ!』が口から放たれる。

彼の声と共に放たれたソレは空気を振動させる程の強烈な物で射程範囲内にある石が振動でひび割れ、地面が抉れる程の強烈な衝撃波が襲い掛かり清姫は川まで吹き飛ばされ石切のように跳ね最後には巨大な水飛沫を上げ水没する。

 

安珍は息を整えながらひどい鈍痛を起こす両手に闘気を流すとひび割れた骨の音が痛み共に鳴り続け治っていく。その痛みを気にせず安珍は吹き飛ばした方向を見ると既に大量の蒸気が吹き出し一気に水飛沫が上がり、狂った笑みを浮かべた清姫が受けた胸の傷を片手で押さえ移動しながらケタケタと笑っていた。

 

 

 

 

『モウ.....安珍様ッテバ大胆♪ケドムダデスヨ?』

 

 

 

 

彼女はにっこりと笑いながら胸に出来た傷口をなぞる。すると、逆再生したかのように傷が塞がり綺麗な肌に戻る様子を見て焦りを覚える。

 

(傷は負ったとしても直ぐに治るか、しかも時間が経つにつれて段々と傷が塞ぐスピードが早くなっている。早く、手を打たないと.....っ!)

 

 

妖の気を持ちながらも時間が経つにつれ『破ァ!』が全く通用しなくなり、ダメージを負ったとしても直ぐに傷が塞がれてしまう、次第に妖とは全く違うナニカに変化し始めている清姫に安珍は焦る心を落ち着かせ冷静に分析し次の手を考えようとした瞬間、口の中から生臭い鉄の味が溢れ吐き出してしまう。

 

 

「.....ガフッ!」

 

 

『オヤ?オヤオヤオヤオヤァ?安珍様アンマリ無茶シタライケナイデスヨォ?コノ後子作リシナイトイケナイノニィ?』

 

彼の奥義『明鏡止水・焔紡ぎ』は彼の全てを注ぎ込んだ最強の奥義にして諸刃の刃だ。闘気と魔力を全開にしそれを明鏡止水で上手くコントロールすることで肉体や能力を底上げし、深い傷程度までだがその箇所に闘気を流せば無理矢理だがその箇所を治すことが出来る程の治癒能力もある。

 

(やはり...傷が癒えてない状態での奥義発動は負担が半端ないな。数分経たずに身体中が悲鳴をあげ始めやがった。だが、)

 

しかしこの奥義を使うと、身体の負担は凄まじく万全な状態でも使い終わった頃には反動で身体がボロボロになり、しかも焔紡ぎの維持する時間が短く、普段使う明鏡止水が2時間維持できるのだが焔紡ぎは25分、それを過ぎると命が危ないという超短期決戦型なのだ。

安珍はコトリバコの戦いでこの奥義を使用した反動で受けた傷、肉体や魔術回路が完全に癒えていない。焔紡ぎを使用するに至って万全とは程遠い状態での連続使用により、身体の負担に耐えきれず徐々に身体を蝕んでいるがそれでも彼は止まらない、止まる訳にはいかない。足を止めてはらない理由があった。

 

 

「...ペッ!...まだだ!まだっ!....諦める訳にはいかない!」

 

『オヤ?、マダ動クノデスカ?モウアナタノ身体ハ悲鳴ヲ上ゲスギテ今ニモ倒レソウデスヨ?』

 

 

「そんなのっ知ってるよ!.....ッッグゥッ!」

 

血反吐を吐きながらも手で口を拭い無理矢理闘気を纏わせ白銘を薙刀にし、その刃を地面に突き刺して身体を維持する。身体の至るところから痛みが走り魔術回路と血管は熱を発しながら悲鳴を上げ身体の内側から焼き爛れそうな熱さに襲われるがそれらを一切無視し清姫を見続ける。

 

自分が死んだら、彼女はお構い無しに灼熱地獄を作り出し目に映る者全ての命を奪い尽くすだろう。

それは絶対に駄目だ。これ以上自分を愛してくれた彼女の罪を重ねる訳にはいかない、其が今の自分に出来る唯一の贖罪だという信念が彼の魂を奮い起たせ限界が近付き死に体に等しい程に疲弊した肉体を動かす事が出来ているのだ。

だからこそなのだろう、身体中の古傷から血が吹き出し始め右目からは血涙が流れ右半分のの景色が遮られようとも安珍それを気にせず彼は清姫を見続け自分を鼓舞するかのように叫ぶ。

 

 

「此処で...ガフッ....音おぉ....あげたら男が廃る、彼女を...!彼女を!清姫を救えねぇでくたばるのはまっぴら御免...だっ!」

 

口か、血を吐き出しながらも渇を入れ弱まっていた闘気の炎が彼の命という薪と着火材によって息を吹き返したかのように一気に燃え上がっていく。

 

 

 

『ハァ子供ミタイニ駄々ヲコネナイデクダサイ。私ハ安珍様ガ苦シム姿ハ見タクナイノデ、サッサト殺サレテ(守ラレテ)下サイ♪』

 

 

 

(さて、見栄を張ったは良いもののこの状態だと焔紡ぎの限界時間は軽く見積もって五分、それまでに清姫を道明寺にまで持って行かないと彼女を救えねぇし完全に詰むな。)

 

その様子に溜め息を上げながらも両手を広げ微笑ながらゆっくりと着実に清姫は近付き、安珍は残り僅な発動時間と清姫を道明寺に連れていくか必死に考える。

 

 

『サァ安珍様、怖カラズニ私ニ抱キ付イテ下サイ。サァ、サァ!』

 

 

(時間が惜しい、こうなったら一気に突撃して道明寺まで直行するしかない。その間に攻撃を喰らったら確実にお陀仏だがやるしかねぇ....んっ?あれは黄金の烏...?っ!この手があったか!)

 

 

 

「ゴホッ!.....______。」

 

 

 

 

 

道明寺には妖怪の動きを封じる程の強力な結界があり、それを使えば今の清姫の動きを止める事ができ、その間に()()()()()()を用いれば彼女を救う可能性がある。だが時間と共に強くなっている彼女の動きを止め攻撃を封じ連れていくのは至難の技だ。

 

しかし此しか彼女を救う方法がない。安珍は縮地の体勢を取り膝を僅かに曲げる。そして清姫の後ろの離れた方向にある割れた大岩で佇む三本足の黄金の烏が彼が発した僅な言葉に頷き空に向かって飛び立ったと同時に清姫に向けて地面を陥没させ弾丸の如く突貫する。

 

"相分かった。其が御前の望みならこの娘の動きを封じて見せよう破魔の力を宿す太極の者よ。"

 

 

『アァッ!ワタシノ愛ヲ理解シタノデスネ安珍様ッ!サァ!サァ!サァ!ワタシノ胸ノ中デ赤子ノヨウニ永遠ニ眠ッテ安珍サッ......マ"ァッ!?

 

音を捨て去り走った跡に闘気の炎の痕を残しながら一気に進んでいく。並の鬼ですら轢き殺す程の勢いに対し清姫は喜びの感情を露にしながらも受け止めて絞め殺すつもりなのか全身隈無く頑丈な鱗を作り出し両手を広げ今か今かと待ち望んだ瞬間、全身の筋肉が突如硬直し喋れなくなる。

 

 

(身体ガ!急ニッ動カナイッ!何カッ何カニ!縛リツケラレテイル!!)

 

(この神々しい力、願いが伝わったか。熊野権現様、一度限りのチャンス感謝する。生きて帰れたら高速餅つきで作ったお餅を供えておこう。)

 

 

清姫は必死に硬直を解こうと動かすが指先ですら一歩も

動かせない。何故なら安珍は清姫の動きを封じる為だけに"熊野権現に一度だけ望みを使える権限"を行使し、熊野権現はその願いに了承し清姫に対し強力な神通力で動きを封じたのだ。

かなり疲弊している今の安珍にはその神様の声が聞こえないが彼女を動きを封じている神通力で願いが通じたと気付き心の中で感謝しこの絶好のチャンスを物にするため強く踏み込みまた一段階加速する。そして、

 

 

『グッ.....ギッ!神様ダロウガッ!ワタシノォ!愛ヲッ!邪魔スルナァ!!ッ!!』

 

「オオオオオオッ!」

 

『ッ!カハァッ!!』

 

「ヌウオオオオオオオオオ!!」

 

 

殺人的なスピードで彼女と激突し、その衝撃をもろに喰らった清姫は肺の中にあった空気ごと一気に吐きだし嗚咽する。安珍は彼の倍以上ある清姫の身体をしっかりと拘束し米俵のように持ち上げる。

 

『ッ!?安珍様何ヲッ!!』

 

(一気に!空を駆けてっ!()()()()()()!)

 

 

そして、極限まで強化した足の全筋肉を使い道明寺目掛けて闘気の炎を用いて空高く跳躍し()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その勢いは落ちることなく道明寺に向かっているが結界を蹴って跳躍する度に傷が開き安珍の身体は気絶するほどの痛みが全身に襲い掛かるが自分を愛してくれた彼女を救える千載一遇のチャンス、彼は唇を噛みしめて只ひたすら痛みに耐え跳躍を続け遂に道明寺の真上まで辿り着く。

 

(一気に....畳み掛ける!)

 

 

 

『ナッ!?ナニヲスルノデスカ安珍様!?』

 

 

「すまん、少し痛いが我慢してくれ......ッ!オォォォッ!!」

 

安珍は空中で一回転し米俵抱っこしていた清姫を下にする形で組み伏せ急降下を始める。今から彼がすることを察したのか清姫は止めるように懇願するが、安珍は苦しい顔をしながら闘気の炎を放出し道明寺に描かれている結界目掛けて急降下をする。

 

『ヤッヤメッ!......ッッッ!!』

 

 

「オラァァッ!」

 

 

 

 

ドオォォォンッッ!!

 

 

 

 

 

清姫は脱出しようとするが未だに神通力によって動きと力が抑制されているため脱出出来ず、重力に従ったまま落下し地面を少し陥没させ清姫の肺から空気が一気に抜け、地面に激突した衝撃で土煙が舞った。

 

 

 

 


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