それ逝けあんちんマン!   作:アビャア

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仕事がキツイ、暑さがとてもヤバい今年の夏。
夏バテや仕事が忙しい為、更新が遅れます。誠にすみません。





それではオルレアン編どうぞ。





壱の歩み 安珍,オルレアンへと征く

1431年、神の導きに従い百年戦争にて大きな活躍したフランスの聖女『ジャンヌダルク』が政治的思惑があった異端審問により火刑にされ死亡してから日が浅い頃、フランスは未曾有の事態によって混乱を極めていた。

 

聖処女として清く正しかったジャンヌダルクが憎悪の魔女となって甦り、この時代の世界には存在しない筈の幻想種の中でも最上位に位置する竜種の軍勢と、彼女が召喚した僕達を率いてかつて守ったフランスの都市を蹂躙し破壊していたのだ。

その軍勢は強力で、今の戦力では到底叶わず少しずつ戦力が削れ、今では軍を維持するだけでも精一杯だった。

 

人理が焼却し、何者かが七つの時代に配置した願いを叶える神秘の盃『聖杯』によって歪んだ世界『特異点』を解決すべく二つの存在が動き出した。

 

一つは2016年以降未来が消滅した事を知り、誰も知らない極寒の山地に拠点を置き、あらゆる科学と魔術を用いて人理の救済解決に乗り込む『人理継続保障機関フィニス・カルデア』に所属する人類最後の希望でもあり48,49番目のマスターとサーヴァント達。

 

そして、聖杯に組み込まれた防衛装置によって特異点に関わる接点によってマスター無しで召喚した『はぐれサーヴァント』がこの特異点を解決しに各地で活動いていた。

 

そのはぐれサーヴァントの中にランサーとして一人のサーヴァントがこの地に足を踏み入れた。

その名は『安珍』。特殊サーヴァントとして古今東西様々な怪異を解決していた元僧侶は、人類史上最大の聖杯戦争に足を踏み入れる。

 

 

 

此は、人類を救うという重い宿命を背負うことになった心優しい普通の双子と、希望と愛を護る為に拳を握る一人のサーヴァント、そして彼等を取り巻く様々な人物や英雄達が紡ぐ誰も知ることはない『彼等の物語』である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●月●日『フランスが混沌としている件』

天気 晴れ

 

とても胡散臭いマーリンによってはぐれサーヴァントとして草原広がるフランスの地に舞い降りた。

いやぁ快晴だなって思って空を見上げたらトンでも熱量を感じる大きな孔があるし、風が運んできた僅かな匂いから、血肉と硝煙がしてフランスがどれだけヤバいか大体の所は把握出来た。

 

今のクラスはランサー、ノッブから貰った明治時代を漂わせる黒色の軍人靴以外、目元以外白黒の頭巾で隠す弁慶スタイルで頑丈な木材で出来た背負子を背負い手には白銘を握っていた。

このクラス、素早くて複合型逃走スキルを上手く活用出来るけど、『破ァッ!』を連続で使用出来ないし魔術とか礼装も簡素なものしか使えないからなぁ。

 

そんな事を考えると遠くから悲鳴が聞こえたから、土煙出すレベルで駆け出したら、馬が殺され動けなくなった馬車にいる家族を守ろうと震えながら剣を構える頭と肩に怪我をして血を流す父親と数匹の翼竜『ワイバーン』がいた。

 

えっ何でこの時代に竜がいんの?って思ったが此処は特異点、何が起きても可笑しくない状況なのだ。

取り敢えず父親に向けて口を開けて襲いかかったワイバーンに対して風の魔術を予め仕込んでいた白銘で突きを放ち鎌鼬の小規模の竜巻を発動させワイバーンをミキサーの如く切り刻んで絶命させた。

唖然とする父親を無視して、その後は何処まで動けるか試運転がてら残りの敵を斬り伏せ倒した。斬った場所が全部動脈だったから、エヴァ張りの血飛沫ブシャーで全身血塗れになったけど。

 

突然の事にパニックなった父親をビンタで落ち着かせ、極東の島から来た僧侶(元だが)という名の聖職者という設定でこの国で起きている事につい聞くと、どうやら処刑されて日が浅いジャンヌダルクが甦り、竜の軍勢率いて今の状況を作り出しているらしい。

 

情報提供の御礼に自分が馬の代わりに情報収集用の市民の服を貰いまだ安全である村まで引き続け避難させたのだが、荷物や複数の人を含めかなり重量がある馬車を、たった一人でしかも馬より早く走ってしまったのだ。

助けた家族を含めた村人が俺の驚異的な脚力に驚き質問攻めをされたから『鍛えてますから。』と腕の筋肉を見せた後、俺は全力で走りこの村を出た。

 

確実に聖杯によって引き起こしているのは確かだが、まだ情報は少ない。あの村だとあんまり情報は引き出せないから、今日は適当に野宿して、明日から各地を回って情報収集しておくか。

因みに夜に魔力を補充する為に人を食らってないワイバーンを狩ってから捌いたのを半分は燻製、もう半分は焼いて食ったのだが、肉が硬い代わりに鳥のように淡泊で食べごたえがあり癖になりそうだ。

 

 

 

 

 

[鰤]月[ルカ]日『だが男だ。』

天気 晴れ

 

はぐれたワイバーンを狩りその肉を食らい、各地に暴れている敵を仕留めながら歩き情報収集して数日経つがある程度の情報とはぐれサーヴァントとして彷徨いていたサーヴァント、ライダーを仲間にした。

 

各地で回って新たに判明したことは、ジャンヌ(仮)は黒い邪龍に乗りながら従者(サーヴァント)を連れて蹂躙していること、竜の他にもスケルトンや同類の竜牙兵、魔術系ゾンビが彷徨いていたこと、そして蛸のような触手を持つヒトデ擬きこと『海魔』がいたことだ。

 

いやぁ、まさか海魔がいるとは思わなかった。確実に冬木の第四次聖杯戦争でセイバーをジャンヌと勘違いして『おぉ!ジャァンヌゥッッ!!』と喧しく言っていた畜生野郎であるキャスターがこの世界に現界しているとはな、此は裏が有りそうだ。

 

一人で敵の根城に突貫しても数と質で勝てないのは確実だから、フランスにいる竜達を倒し続けるという地味な嫌がらせをし続けたある日、とある町で一人のサーヴァントが民衆を守るために一人で奮闘していたのを助けた。

 

助けたサーヴァントの名は『アストルフォ』。

シャルルマーニュの十二勇士が一人で、ヒポグリフという鷹の顔に馬の体をした幻獣を乗る少女のような風貌をしたピンク髪の騎士だ。

 

 

だが男だ。

 

 

彼は固有スキルによって理性が蒸発していて、厄介事に首を突っ込んだり起こしたりするトラブルメーカーだが、少女らしい天真爛漫な所や時折見せる騎士道精神溢れる言動や行動は、絶望の淵に立っている皆を勇気づける原動力になっている。

 

 

だが男だ。

 

 

彼は他の女性よりも女子力が高く明るくムードメーカーな為、とても親しみやすい。俺は一緒に行動しないかと話すとアストルフォは笑顔で了承してくれた。

 

だか男だ。

 

 

何故アストルフォが男だと気づいたのかって?

この村の村長が助けてくれたお礼に宿屋の一室を貰いアストルフォと一晩そこで休んだのだがアストルフォが私服に着替える為に何の前触れもなく鎧を脱いで下着姿になったときにね、何とは言わないがもっこりしていた。

 

流石の俺も思わず二度見したよ。しかも妙に女性物の下着が似合うときた、本当に世の中広いなぁ。

 

 

だが男だ。

 

 

 

 

[龍]月[mirror]日『フランス王妃と愉快な仲間達』

天気 晴れ

 

 

はぐれサーヴァントのライダー、理性蒸発系男の娘ことアストルフォと共に行動しフランスの各地に蔓延る竜を退治している。彼は明るいムードメーカーだが俗に言う厄介事に首を思いっきり突っ込むトラブルメーカーであり俺も何事なく厄介事に係わるタイプ、彼に振り回されるが色々と濃い人達と関わったお陰か少し疲れる程度である。

ぶっちゃけ頼光や清明の方が疲れる。俺でも軽く引く物騒なこと普通にやろうとするもん精神的に疲れる。

 

 

アストルフォの戦闘能力は低いが彼が持つ宝具の数は他のライダーより多く、戦闘面のサポートにおいての能力はかなりのものだ。

真名を解放すればその槍に触れるだけで相手は絶対に転ぶ馬上槍『触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)』。

本を読むだけであらゆる魔術を防げるがアストルフォ曰く真名を忘れているためその効果が発揮できない。それでも対魔力Aを取得出来る魔導書『魔術万能攻略書

(ルナ・ブレイクマニュアル)』。

大きく息を吸って吹くだけで龍の咆哮や巨鳥の雄たけび、神馬の嘶きに比肩するほどの魔音を発生させる広域破壊兵器『恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)』。

アストルフォが駆った相棒で、グリフォンと雌馬の間に産まれた上半身は鷲、下半身は馬という本来「有り得ない」魔獣『この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)』は、体当たりも相当なものだがヒポグリフは本来『有り得ざる存在』という意味が込められた魔獣、グリフォンより力が劣るが『次元跳躍』というトンでもない力を持ってる羽毛部分がモフモフ気持ちいい魔獣だ。

 

アストルフォと同行してからはヒポグリフの次元跳躍を用いて襲われている街に一気に移動して、俺が前線で暴れアストルフォはサポートするスタイルで敵を殲滅した後、ヒポグリフで一気に戦線離脱するゲリラ戦法をやり、減った魔力は群れからはぐれた野良ワイバーンを狩りその肉を食らうワイルド生活を送っていた。

 

しかし、このままだといたちごっこ。本命を叩かないといけないがジャンヌ(仮)は複数のサーヴァントと行動しているため二人で挑んでも勝てない。

しかし、悪い事だらけではない。ジャンヌ(仮)の新たな情報、そして新たに二人のはぐれサーヴァントを仲間を手に入れたからだ。

 

まずジャンヌ(仮)についてだが、アストルフォはかつて参加した聖杯大戦と呼ばれる戦いでジャンヌと会ったことがあるとのことだ。

サーヴァントの性質上、曖昧なのだが彼曰くジャンヌダルクの性格は聖人そのもの。自分を殺したフランスを恨んでいなかったらしく、例え反転したとしてもこんなに惨たらしく殺戮するのは有り得ないとのことだ。

....これ絶対、糞海魔野郎が深く関わっているな。

 

そして新たに仲間に加わった二人はライダーとキャスターだ。

ライダーの真名は、十八世紀に生まれ民を愛し政治の謀略によって民に処刑されたフランスの王妃『マリー・アントワネット』。

そしてキャスターは同じ時代に生まれマリーさんと関わりがある音楽家で神に愛された子と謳われる程の才を見せた『ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト』だ。

彼女達と出会ったのは今日の夕方頃、二人が野良ワイバーン数匹に苦戦していた所を助けた。二人は戦闘ではなく己の才能と能力で歴史に名を残した英霊、戦闘に関してはからっきしでモーツァルトに至っては自己紹介しつつ笑いながら自分の貧弱さを自虐していた。

 

その後、ワイバーンの肉を焚き火を焼いて食いながら談笑し今後の活動について話して一夜が明けたのだが、マリーさんとモーツァルトの性格はとても濃い。

 

マリーさんは『フランス万歳!(ヴィヴ・ラ・フランス!)』が決め台詞の天真爛漫で慈しみと優しさに溢れているが少し強引でお転婆な少女。結構アイドルしている。

助けられた際には可憐な雰囲気を漂わせ、助けたことに感謝しながら普通に俺の右手の甲にキスした時は割りと驚いた。アストルフォにもお礼を言いつつ頬に軽くキスをしていた。そして、普通に自虐ネタをぶち込んでくる。

モーツァルト曰くマリーさんは、誰彼とも構わずベーゼつまる所感謝のキスをする癖があり少し天然な為、周りを誤解させる発言をすることが多いらしい。

下手したらアストルフォよりお転婆かも知れないな。

 

モーツァルトは音楽の天才だが、自他共に認める清々しい程に人としてはとてもダメな部類で、冗談と人と話すのが大好きな野郎である。

談笑していた際にも『あっ(察し)。』と感じるレベルの糞人間だが、むしろ突き抜けていて好感が持てる。彼曰く自分が作曲した曲の中に『俺の尻を舐めろ』があるくらい下ネタが大好きでマリーさんと一緒にいる時は封印されている。

...それでもコイツ普通に言いそうになるけど。

 

 

そんなこんなで仲間が増えたのだが、戦力は微々たるものだ。しかし、まだカルデアのマスターという希望が残っている。

今日助けた町にいた兵士の一人の話を聞いたのだが、先日この兵士は城壁を防衛していたらしくその際にワイバーンが襲いかかって絶対絶命だった。

しかし、白い服を着た男女二人と大きな盾持ち少女。褐色の紅い外套男に白百合のような騎士少女と紅い槍男、そしてフランスを蹂躙している筈のジャンヌダルクに助けられたとのことだ。

 

話を詳しく聞くと矢を弾き返す程に頑丈なワイバーンを何事もなく倒し、ジャンヌダルクもまた傷付いた兵士を守る為に必死に戦っていたと男は困惑しながら話してくれた。

 

その事を皆に伝えた後、明日はヒポグリフやマリーさんが召喚出来るガラス製の馬に乗り最近この世界に来たカルデアのマスターに会うことを目標にして眠りにつくことにする。

 

 

....しかし、ジャンヌダルクが二人いるとは中々キナ臭くなってきたぞ。そして褐色肌の紅い外套でピンと来たのだが、何でさ野郎カルデアのサーヴァントとして召喚されていたか。皮肉大好きなアイツと会うの久方振りだなぁ。

 

しかし、カルデアのマスターは双子という情報しかないからどんな性格なのだろうか?悪い性格の持ち主でなければ良いが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー次の日、フランス上空ーーーー

 

 

 

 

「ねぇー?本当にこの高さから落ちる気安珍?僕のヒポグリフなら安全かつ一気に相手に奇襲することが出来るけど。」

 

 

 

「今回の敵はサーヴァント複数。君のヒポグリフの速さは知っているがそれに対応出来るサーヴァントがいる可能性があるからな。

一応言っておくが俺が暴れて敵の気を反らす隙にアストルフォと地上で待機しているマリー達が奇襲して相手を混乱。今苦戦しているだろうカルデアという組織から来た最後のマスター達を連れてこの街から離脱する....だからな?」

 

 

 

「オッケー!オッケー!!君から何度も説明されてるからバッチリ覚えているよ!つまり君が暴れて僕達がカステラ?だっけそこに所属しているマスター達を助けるだよね♪」

 

 

「お菓子の方のカステラじゃなくてカルデアな。」

 

 

「てへッ♪」

 

 

「男なのにすげぇ似合うな。男なのにお前の女子力凄い。」

 

 

「へっへーん。でしょでしょ!」

 

 

太陽が照らし青空が広がる。下を覗けば雲がある所まで上昇したヒポグリフにこれから戦闘に入るというのに二人のサーヴァントは呑気に話をしていた。

一人は日本の僧兵が着ていた袈裟と膝まで伸びた黒い軍靴を履いたランサー『安珍』。一人は魔獣ヒポグリフで空を駆けるライダー『アストルフォ』だ。

 

何故この二人がこんな上空にいるかは今日の昼頃、新たに加わった二人と一緒に草原を歩いていたのだが遠くで爆炎と黒煙が上がるのを確認しその場所に向かっている最中、逃げ延びた少数の街の人達からある情報を知ったのだ。

 

その情報は隣町で竜の魔女とその僕達が暴れており、その魔女の魔の手からもう一人のジャンヌダルクと二人の男女に従う騎士達が応戦しているが敵側に押されている情報だ。

パニック状態になっていた人達をアントワネットの愛嬌と慈愛、モーツァルトの音楽で落ち着かせる事によって聞き出した情報で、苦戦しているマスター達を助ける為にある作戦を立てた。

 

それはヒポグリフで空高く上昇し安珍がその高さから落下して奇襲、相手の場を乱した後残りの三人が各々の宝具を用いて奇襲、相手を混乱させジャンヌダルク含むマスター達を救出、一気に離脱する作戦である。

四人一緒に奇襲する手もあるが成功率は低くマスター達のどちらかが死ぬ確率が高い。その為、相手が確実に驚く一手としてこのような作戦を立てたのだ。

因みに安珍が背負っていた背負子はアントワネットの宝具で出せる重量関係なしに何でも仕舞えるガラスの馬車に置いている。

 

安珍は準備が出来たのか少し不安定なヒポグリフの身体の上で器用に立ち上がり剣の状態にしていた白銘を元の長さに戻し裏頭にある白色の袈裟で口を隠す。

 

 

「安珍、この高さから何の準備なしに落ちるわけだけど怖くないの?」

 

 

「あぁ生前というか召喚されて何度か経験してるから問題ない。風の魔術でどうにかするさ。さてと、そろそろ行ってくるか。しくじるなよアストルフォ。」

 

 

「そっちこそ。安珍結構ボーッとしているから、風の魔術を使い忘れてそのまま落下死しないでよね。」

 

 

 

「はっはっはっ、そこはマジで気を付けておこう。じゃあ少しの間、鳥になってくる!」

 

 

「行ってらっしゃい!!」

 

 

安珍はアストルフォの言葉を聞いた後、両手を広げて空へと落下し始める。

最初は手足を広げて体勢を整えながら安珍が生み出した起源魔術『猿仮面の模倣(スニーク・フール)』で出来る限り姿を消し強化された視力が届く範囲まで落下し今の状況を見渡す。

起源魔術は使えるもののランサーとして召喚された為にあまり効果が発揮できないがそれでもバレずに距離を稼げることが出来る。と安珍はポジティブに考えながら戦況を見るがあまり著しくない状況だった。

 

 

 

(こりゃ、思ったより苦戦しているな。相手は無尽蔵にワイバーンと海魔を召喚しているし相手はジャンヌ(仮)を含めて七人か。そして、カルデア側は戦闘慣れしているのが二人いるけど残り二人は実戦不足だがマスター達の的確な指示でどうにかなってるな。)

 

(それにしてもジャンヌ(仮)と戦っているジャンヌダルク。何か幾つかの霊基が足りてないな。いや、むしろジャンヌ(仮)にジャンヌダルクの失った分の霊基があるな。)

 

 

カウンターとして召喚されたであろうジャンヌダルクは竜の魔女と呼ばれるジャンヌ(仮)と戦っているが実力は同じだがジャンヌダルクの召喚が不完全なのか徐々に押されている。

ワイバーンや海魔の群れに対し紅い外套を着たアーチャーが魔方陣と文字が刻み込まれた鉄の杭のような矢を投影し幾つか放ち殲滅しているが、敵アーチャーやライダーによって何度か防がれ、青いランサーは紅い槍で敵側のアサシンとランサーと戦っているが二対一の為か苦戦し、白い女騎士はレイピアを持つセイバーに押されている。

 

しかし、大盾を持つ少女が迫り来る敵を倒しながら二人のマスターを助け、二人のマスターは的確にサーヴァント達に指示を送っているお陰か何とか拮抗した状況を保っていた。

 

(あの双子、素人としての粗があるけど、指示能力は中々ものだな。......んっ?この妙な気配、あれは....っ!!)

 

(アサシン!?気配遮断で近付いていたのか!?不味い狙いはあの少女か!?)

 

 

安珍は二人のマスターの指示に感心していたが、ある妙な気配を感じその場所を見るとマスターである少女の斜め後ろ100mにアサシンが鋭い爪を広げ急接近していたのだ。

アサシンの速度は早く盾の少女が気付き守ろうと動くが相手は既に50mまでに迫り盾の少女が辿り着く事が出来ない状況だった。

 

(ヤバい!街に隠れているマリー達が攻撃しても距離が少し離れているから間に合わない。だがまだ手はある!)

 

 

 

 

「白銘よ、長年共に魔を倒し俺の武具よ。死後、九狐さえも貫いたお前の力見せてみよ。」

 

ボウッ!

 

 

 

「スッーー.........ッ!!」

 

安珍がそう呟いた瞬間、白銘に青い焔のような魔力が所々迸り始める。安珍は空中で投げ槍の体勢をし左手で目標を見定めながら息を吸う。

目標が定まったのか薙刀を持っている右腕に力が入るとそれに呼応したのか次第に青い焔の魔力は蛇に似た竜となり白銘に纏まりつくと安珍は宝具の真名を言い放つ。

 

 

「この槍、無名ながら幾つもの悪鬼羅刹を貫く魔槍であり、幾つもの尊い者を護り続けた聖槍なり!」

 

 

 

「如何なる悪を貫く焔の龍へと変貌するこの一撃、受けてみよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

龍ヶ我流奥義(りゅうが・がりゅうおうぎ)無銘ノ一撃(むめいのいちげき)!!

 

 

 

ゴウッッ!!

 

 

 

「さてとっ!結界、足場に展開!」

 

 

 

白銘を投げた瞬間、蒼い焔を纏い衝撃波を発して目標であるアサシンに向かっていく。それはまるでまるで意思を持つかのようだ。白銘が飛んでいくのを確認すると、安珍もその薙刀を追う形で結界を足場に生成しそれを壁代わりにして思いっきり力を込めて両足を踏み込む。

 

 

 

「.......ふんっ!!!」

 

 

 

踏み込んだ後、安珍は結界が壊れる程に結界を蹴り目的地に向けて一気に跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「がっ!あっ!?..........。」

 

 

 

「......えっ?」

 

 

 

ひょんなことからカルデアスに所属し現状人類でたった二人のマスターとして人類を救うという大役を任された双子の姉であるオレンジ髪で、片方の髪一房をシュシュで纏めた少女『藤丸立香』は突然の事に困惑していた。

というより敵味方関係なしに、ここにいる全員が困惑している。

彼女を背後から襲おうとした狂化アサシン『ファントム・オブ・ジ・オペラ』に空から蒼い焔を纏った槍が意思を持っているかのように物凄いスピードで飛来しアサシンの背後から突き刺ると彼の身体が燃え始め最期には燃え尽きて絶命させたのだ。

 

 

 

(えっ本当に何が起こってるの!?っきまで走馬灯が流れたから確実に死にかけたよね!?突然槍..だよね此?それが敵サーヴァントに突き刺さって、そのサーヴァントが燃えるとか何がどうなってるの!?)

 

 

立香は絶賛混乱している自分の頭の中を落ち着かせる為に、自分の目の前で起きた出来事を整理し出す。

 

あの時、アサシンの武器である爪が自分の喉元2cmまで近付いて絶対絶命だった。しかし、空から音速越えてるのでないかと思えるほどの速さで槍が急落下しアサシンの身体を背中から貫き勢い余って地面に突き刺さった。

刺さった後も確実に相手の息の根を止めようとする意志が、地面に刺さった槍から感じた瞬間にその武器に纏まりついていた蒼い焔が突き刺している彼の身体に移り燃やし尽くしたのだ。

 

それが彼女の目の前で起きた出来事だ。アサシンは既に魔力の粒子になって消え去り地面に突き刺さった槍は、蒼い焔を発しながら佇むだけだった。

 

 

「んんんんんんんんっ!!」

 

 

(一体誰が?形状からしてランサーのゲイボルグでもないし、矛先が白色の剣の形をしているからアーチャーが投影した剣?...じゃないな、アーチャーとの距離はそこそこ離れてるし弓で射ったなら矢の形状をしているはず。セイバーはビームだし、もしかしてこれって第三者の....っ!?)

 

 

「んんんんんんんんっ!!」

 

(えっえっえっ!?あれってもしかして!?)

 

 

 

遠くの方からF1カーのようなドップラー音のように男の耐えるが聞こえ振り向くと、黒い影が急速で此方に近付いてきた。

それに気付き、驚く彼女に双子の弟である『藤丸斗真』と彼等のサーヴァントにして、シールダーのデミサーヴァント『マシュキリエライト』が駆けつけ守りの姿勢に入る。

 

 

 

「姉ちゃん大丈夫!?マシュ此方に近付いてくるサーヴァントに対して迎撃準備をしてくれ!」

 

 

「了解しました、マシュキリエライト迎撃体勢に移ります!先輩達は私の後ろに隠れていてください!」

 

 

「わっ分かったマシュ!」

 

 

 

 

 

「んんんんんんんんんんんっ!!」

 

 

 

マシュが大盾を地面に刺して構えた瞬間に落下していた男は姿勢を変えてグライダーの着立体勢のような体勢となって地面に接触する。

 

男が両足を地面についてブレーキをかけ始め、石で舗道された道を破壊しながら速度を殺す。土煙を起こしながらも段々と速度がなくなっていき最終的には、彼女達の前方にある地面に突き刺さった薙刀の所で止まり土煙で見えなくなった。

 

 

「ゴホッゴホッ!」

 

「けほっけほっ!!」

 

 

『だっ大丈夫かい皆!?』

 

 

「ロマニ先生!土煙でむせてる以外全員無事です。」

 

『此方もバイタルで君達が安全な状態だと確認できたよ立香君、君達が無事で良かったよ。此方は映像と音声が乱れててんやわんやだったからね。』

 

 

 

土煙によって二人のマスターがむせる中、空中から映像が現れ一人のポニーテールをした男性が映される。

その男の名はロマニ・アーキマン。カルデアの医療機関のトップを務める青年で、今は死んでしまったオルガマリー所長に代わり代理所長としてカルデアを指揮をしている。三人の無事であることにホッとするなか、疑問に思った斗真はロマニにそのトラブルについて質問をする。

 

 

 

「ロマニさん、何かトラブルでもあったのですか?」

 

「確かに斗真先輩の言うとおりですね。ドクター、説明をお願いします。」

 

 

『あぁマシュ、あの空から飛来した槍による魔力の乱れで通信が一時的に途絶えていたんだ。全く誰がこんな傍迷惑な行為をっ.....てっ!?土煙から急激な魔力反応探知!気を付けて....。』

 

 

「あー、敵対しなくても良いぞ。というか助けたつもりだったのだが何か迷惑かけたな。その、なんだ、すまない。」

 

 

 

『「「「っ!?」」」』

 

 

「よっこいせっと。」

 

 

 

さっきの通信内容を聞いていたのか、土煙の中から男の声が聞こえてその物影を見る。敵意は無いことを示すと同時に迷惑をかけたことに謝り出しながらめり込んだ足を片足ずつ抜いて土煙の中から現れる。

 

 

 

「いやぁ、本当にすまないねぇ。何だか騒がしい戦場の音が聞こえたんでね。気になって来たらお嬢さん方が襲われてたからねぇ、俺の性格上見捨てる訳もいかないから助太刀に参上した訳さ。さてと.....おい!そこのえーっと、何か真っ白くない方の黒いジャンヌ!」

 

 

「っ!?」

 

 

「『えっ私!?』って自分に指指さなくても良いから耳の穴かっぽじってよく聞きやがれ!」

 

 

 

 

容姿は、手にした槍の形状をした薙刀を両手で器用に回した後に右肩でその薙刀を担ぐその男の姿は僧兵の袈裟と、膝まで伸びた黒い軍靴を履いている。

さっきの衝撃で取れたのだろうか頭を隠す裏頭が取れてその顔が露になり全員が困惑した顔をしてしまうが、そんなことも気にせず男は話していたが、途中で真剣な顔になり遠くにいる黒い方のジャンヌダルクに対し指を指し大声で話し掛ける。

 

 

 

「あんたがフランスを滅ぼしたい気持ちは分かる。だからといって虐殺は赦される訳がない。そんなことをしてもただ虚しさと新たな憎しみの種を生むだけだ。」

 

 

「例え天がアンタの行為を赦してもこの俺は許さねぇ。確実にアンタの野望をとことん邪魔してやらぁ。どんな相手だろうがこの『安珍』、心火を燃やしてぶっ潰すから覚悟しとけよ。」

 

 

(格好いい、格好いいけど......。)

 

 

(男として憧れる熱い台詞なんだけなぁ。)

 

 

(確かに、ランサー『安珍』の言うことは理に叶っています。しかし......。)

 

 

 

ランサーこと安珍は薙刀で肩を叩きつつニヒルに笑うが全然似合わなず三人は困惑していた。その原因は彼の顔が原因だった。

 

 

 

 

 

(((あの、最後にふにゃっとした顔で台無しだなぁ。)))

 

 

 

 

 

「んっ?心なしか皆からの視線が少し痛いな。何か変なことを言ったか俺?」

 

 

 

 

 

 

それもその筈、途中までは真剣な顔だったが、最後の方で男の顔は伝説のRPGに出てくるスライムとタメを張れる程に口元がにやけ、他の表情筋はほぼ死んでいるサイタマ顔なのだから。

 

当の本人はその事に気づいておらず首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

此が人類最後の二人のマスター達と常識を月の彼方へと吹き飛ばしたサーヴァント『安珍』の始めての出逢いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




メモリアル

ランサー 安珍
推定 903~994年


「安珍清姫伝説」に登場する不思議な言霊と武術に長けていた僧侶。

つい最近までは928年に竜となって清姫と一緒に天に召され死亡されたとされていたが1998年頃にある歴史的文書の発見により、名前を偽って清姫と式神である八尾の加賀小雪と結婚し994年まで生きていた事が判明された。

数多の魑魅魍魎を祓い、数多くの謎を残す僧侶。

サーヴァントとなった今も変わらず様々な怪異を倒し続けており、特殊サーヴァントの中でもかなり特殊な部類に分けられるサーヴァントである。
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