それ逝けあんちんマン!   作:アビャア

36 / 42
前話の誤字ラッシュは誠にすみませんでした。皆、夏バテには気を付けようね.....



前回、カルデア組を救った安珍。一体此れからどうなるのか本編どうぞ。









弐の歩み 双子との邂逅 はろぉう,ますたぁ

[M]月[パラドォッ!]日『カルデア 前編』

天気:晴れ

 

今日、人理保障機関『カルデア』に所属する最後のマスター達+ジャンヌダルクが竜の魔女と呼ばれている方のジャンヌ(仮)....いや、黒くて邪悪だったから邪ンヌと呼ぼう、邪ンヌ軍勢によって窮地に立たされていた所を救出し戦線離脱することに成功した。

 

 

いやぁ、今思うと我ながらかなり無茶をした。

高度から落下しつつカルデアスのマスターを助ける為に遠距離攻撃(投擲)で敵を攻撃してそれを撃破、最後は地面を削りながら着地して決め台詞....此なんてマーベル映画?まぁ、その後は残りの三人が奇襲しやすくする為に邪ンヌを煽る作戦に出た。

鼻で笑って俺に煽り文句を言う邪ンヌに対して論破をぶち込んでNDKを連発したのだが、邪ンヌは短気なのか直ぐに挑発に乗りやすく此方としてもやり易い。

その際に、彼女が俺に向けて放った黒炎をあえて喰らって邪ンヌが燃える俺を見て高笑いしている所を『ぬるいわぁ。お清の炎の方より数十倍ぬるいわぁ。』と挑発しながら炎をはたいて何事もなく鎮火したりと相手が赤面して涙目になるような事をしまくって最終的に、冬木の第4次聖杯戦争で一寸した因縁がある特殊性癖海魔野郎『ジルドレ』が両目が今でも出そうなレベルで俺に対して怒り、狂化サーヴァントに命令して俺を殺しに掛かった。

俺がおちょくって時間を稼いだ間に体勢を整え直したカルデア側も戦闘に加わり戦いを再開したのだが、いやぁ相手はジルドレと邪ンヌ以外、聖杯の力によって全員狂化スキル持ってたから容赦がない。

特に、狂ランサーとして召喚された串刺し公で有名な『ヴラド三世』は狂化状態なのに冷静で尚且つ護国の将としての実力を持ってるから攻め辛い。

伝承として語られる方の吸血鬼の力と体内で生成される杭を使って相手を追い詰め、守りに入ると中々攻撃出来ない厄介さを持ち、カルデアの青タイツランサーと連携を取っても、その堅牢な戦いぶりに対して苦戦を強いられた。

 

その時の俺は宝具の使用で若干魔力不足だった。理由?すこぶる燃費が悪いんだよ....。

戦闘能力はそれなりにあると自負しているが、その代わり魔力の燃費がとても悪い。その為、出来るだけ魔力を使わない武術や気の呼吸法とかで燃費を抑えているがそれでも並のサーヴァントより消費が激しい。

そのせいか、単独行動スキルがA+あるのに燃費の悪さで実質A-だ。それに加えはぐれサーヴァントとして現界した場合、キャスター以外のクラスだと確実に長期戦には向かないという何とも言えない状況になってしまうのだ。

例えるなら、アンビリカルケーブルを外したエヴァと言った所である。

 

それでも双子のマスター達の的確な指示と、彼等に従うサーヴァント達と連携をとることで俺の欠点を補いつつ攻撃を凌ぎ続け、相手が再び油断した瞬間にアマデウスとアストルフォの宝具が発動した。

 

まず最初にアマデウスの『死神のための葬送曲 (レクイエム・フォーデス)』で相手を牽制、だめ押しでヒポグリフで急降下しながらアストルフォが『恐慌呼び起こせし魔笛(ラ・ブラック・ルナ)』を発動、それをアマデウスが指揮棒で自分の曲を奏でながら、アストルフォが放った魔響をアドリブで自分の曲に組み込んだのだ。

それによってアマデウスが演奏で放つ魔響と、小さな角笛から大きなホルンに変貌しそれをアストルフォが吹くことで響かせた魔響はアマデウスの天才的指揮によって上手く混ざり合い、強力な精神干渉能力を持ちながら広域音響兵器を持つ大作へと変貌した。

 

その威力は絶大で海魔やワイバーン、ゾンビ類はその音響の振動によって押し潰されたり脳が耐えきれずに耳から血を流して絶命していったりと、二人のデュエットによって次々と殺られていき、狂化サーヴァント達でもその場で動きを止めてしまう程の威力を秘めていた。

 

 

その隙に、マリーさんがガラスの馬車とそれを引くための馬を二頭召喚して駆けつけ俺らはそれらに乗って一気にその場を離れることに成功した。相手が動きを止めても何をするか分からない為、マスター達を護るためカルデア側とマリー達を先に行かせて俺とアストルフォが殿を務めた。

 

案の定、聖女の姿をした狂ライダーがマスター達が逃げるのを阻止する為に襲ってきたが魔響の影響か動きが鈍く、俺の縮地からの正拳突きカウンターをマトモに喰らって吹き飛び建物の壁を崩壊しその中へと消えていった。

しかし、あのライダーわざと俺の技を喰らいにきた感じがするのは気のせいだろうか?

 

これ以上相手が襲ってこないのを確認するとアストルフォが騎乗しているヒポグリフに搭乗し戦線を離脱した。

.....アストルフォがテンション上げ上げで速度を速めてしまい、たった一分足らずでマリー・カルデア組を通り過ぎて迷子になりかけたのは言うまでもない。

今はカルデア所属のスタッフ達が見つけた安全かつ休憩出来る場所を目指して移動している最中である。

 

馬車に双子のマスターと盾の少女、白ジャンヌとマリー、アマデウスが搭乗し馬車の上を赤い外套のアーチャーが霊体化して周囲を警戒し馬車をひいている馬二匹にセイバーとランサーが騎乗して手綱を引いている。

肝心の俺はアストルフォの後ろで消費した魔力を回復する為に気の呼吸をしながら日記を書いているのだ。

 

俺の燃費の悪さに嫌気がさすが、カルデアスの双子のマスター達と竜の魔女としての邪ンヌではない白ジャンヌと合流出来た事は良いことだ。今は彼等の命を救えた事による喜びを噛み締めておこう。

 

 

 

 

同日『カルデア 後編』

 

夕方頃に安全な場所を見つけ周囲の敵を払い、焚き火とか食事の準備、カルデアの補給物資や色々する為の召喚サークルをしていたら既に夜になり遅めの自己紹介をした。移動中に簡単な自己紹介はしていたが、詳しい話とかはしていなかったのでそれらを踏まえた上での自己紹介である。

 

まずカルデア組にいるのは人類最後のマスターとして人理救済という難題に挑む事になった双子、オレンジ髪の片方にシュシュで軽く纏めた活発そうな少女『藤丸立香』と名前の如く少しウニヘアーだがあんまり不幸ではない優しい少年『藤丸斗真』だ。

彼等は魔術とか一切関係ない二卵性の双子で18歳の一般大学生。偶然献血しにいった場所が裏でマスター適正者を探していた職員だったのが運命の分かれ目、その職員が二人がマスター適正があった為即座にスカウト、其処からF1カーのような怒濤の連続が重なり今に至るとのことだ。

助けてくれたことに対して感謝された際には何か歯がゆかった。こう、無理して我慢している節があるから彼等の明るい性格が相まって余計に無意識に守護りたくなるな。

 

そんな彼等を守る盾として一緒に行動しているのは『マシュ・キリエライト』。鮮やかな薄い紫色のショートカットをした後輩系尊さ爆弾少女だ。彼女はカルデアに所属する少女でカルデアに起きた爆破テロの際に瀕死の重症を負うが真名不明の英霊に、特殊クラス『シールダー』の力を与えられ、人という器にサーヴァントの力を宿した『デミサーヴァント』になり藤丸達を守る盾として活躍している。

今は肌が露出した鎧姿でなくフード付きの布地のコートにカルデア指定の制服と眼鏡をかけた服装をして話を参加しているのだがこの少女本当に尊い。

正直者というか外の世界をあんまり知らないらしく、それが相乗効果となり言葉に言い表せないレベルで尊い。藤丸達と絡んだ場合は言わずもだがな!

 

モニターにはカルデア医療部門リーダーにして臨時所長をしているうっかり系ゆるゆる男『ロマニ・アーキマン』ことロマン。カルデア開発部門リーダーでカルデアスの初期召喚第3号、地球史上天才と謳われる元野郎で現女性のキャスター『レオナルド・ダ・ヴィンチ』ダヴィンチちゃん(強制)が会話に参加しつつ状況を整理して、マスター達と女性陣にじゃれつくように小動物の要素を組み込んだモフモフな謎の生き物『フォウ』が元気に動いていた。

 

....何かフォウを見ると倒さないといけないセンサーが働くのは何故だろうか。コイツも最初は逆毛立てて警戒していたし。今はお互い無駄?な警戒しながらも触れ合っているけど。

 

カルデアに召喚されたサーヴァント達も会話したのだが、俺達はぐれサーヴァント組より濃くはないが割りと個性的だ。

初々しい金髪ポニテの白騎士は『セイバー・リリィ』。彼女は冬木の特異点で召喚されたセイバーで、真名は聖剣エクスかリバーとアーサー王として有名で男として語られているが、この世界では女性だった『アルトリア・ペンドラゴン』だ。そう、冬木の第4次でセイバーとして召喚され、最終的に彼女に倒された俺でも同情するレベルで不幸だったアルトリアさんだ。

 

しかし彼女の場合は、そのアルトリアから分岐したIFの道を歩んだ『聖剣を抜いて王になるまでの"もしも"の姿』として召喚されたややこしい経緯持ちのサーヴァントである。

その為、剣の実力はあるもののまだ未熟で聖剣もエクスではないカリバーンになっているが、マシュと同じく確かな成長性が見え隠れし性格も天然ドジっ子だがマシュと同じ疑う事を知らない透明な水晶のような純真さがある少女だ。

 

次に青タイツのケルト衣装に紅い魔槍『ゲイボルグ』を携える戦闘好きのランサーは『クーフーリン』。ケルト神話においてメジャーな英霊で一番槍として暴れまくる頼れる兄貴分だ。

生前は戦場で大活躍した事もあってか戦術眼が鋭く、多少の攻撃を喰らっても怯むことはなくむしろ食らい付くバトルジャンキーで俺の腕前を見て軽く模擬戦をしないかと誘うほど三度の飯より戦い好きな男である。

因みに俺の魔力が枯渇して回復中だったから断ったけどクーフリン改め、クーさんとは性格や好みが全然違うが何故か気が合う。やはり女運関係で通じ会うのだろうか?

 

最後に木に背中を預け腕組みをしている紅い外套の褐色男のアーチャーは『エミヤ』。

初めて会ってからの8年位真名は知らなかったからあだ名で『何でさ』若しくは『紅(こう)チャー』と呼称していたがお前の本名エミヤだったのね。

こいつは抑止力、生前『俺』が転生憑依した元凶であり俺の身体を改造し専属にしようとした『アラヤ』に契約した男。契約することでアラヤから力を貰う事が出来るが死後、世界を守る抑止力の歯車として一生働き続けるという契約をした人物の一人で、この男は投影魔術、特に剣類において可笑しいレベルで高い。

 

基本は投影したものを矢に改造した剣を弓で射ったり弓兵なのに夫婦剣の『干将・莫耶』や投影した剣を扱う。そして、英霊の誰もが使える宝具を魔力暴発させる悪手『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』を平然とやる。投影した宝具の持ち主が助走を付けてぶん殴るレベルで躊躇なくやる。

性格はクール系の皮肉屋でおかん、姑みたいに皮肉等をネチネチ言ってくる。しかも今回初めて知ったのだがこいつの家事能力が半端ないことだ。支給された調味料と彼の料理テクで味が淡白で固いワイバーンの肉がホロホロの絶品料理に変わるとか可笑しくない?

だからオカンと言われるのだよお前は。

 

此方側のはぐれサーヴァント組も自己紹介したのだが、藤丸姉弟はノリが良い。マリーがヴィヴラフランスしたらちゃんと同じ返事で返すしリアクションも良いポティジブ系だが一般人としての弱味を持っている。それでも諦めずに前に進む姿勢に好感が持てる。

 

そして、最後に自己紹介したのは今回の事件の中心人物であるルーラーとして現界した特殊サーヴァント『ジャンヌダルク』である。鎧姿に長い金髪を一つの三つ編みとして纏め大きな旗を持った若い女性で、性格は意地が固い田舎娘だが『悪』という感情が恐ろしい程にない聖女である。

 

彼女は死んで数日後に召喚された為か英霊として経験した記憶がかなり薄く朧気で、どういう訳かルーラーの固有スキルや力が弱体化してしまってるらしい。

彼女の性格やアストルフォの聖杯大戦時の朧気な情報を考えみるに、竜の魔女で暴れている『ジャンヌダルク』の存在が怪しくなった。

最初は英霊の側面として召喚されるオルタナティブだと思ったのだが、この二人の性格があまりにも剥離され過ぎている。むしろ『邪ンヌ』の方は、誰もが彼女の経緯と悲劇的な最期を知って頭の片隅で思うだろう『ジャンヌの怒りと憎しみ』を具現化したかのようなそんな気がするのだ。

 

それについては邪ンヌの言動や行動を見ていたカルデア側も疑問に思っているらしく、マスター達も彼女に対して引っ掛かりを覚えているらしい。

....こりゃ、ジルドレが怪しくなってきた。あいつ邪神像を崇める狂信者の如くジャンヌを崇拝しているからな。

その後は少し重たい空気になったが、アストルフォが聖杯大戦云々でジャンヌを弄り始め、ジャンヌが顔を赤くして反論し始めたお陰で笑いが生まれ、それに続く形でアマデウスやマリーも参加してその重苦しい空気から明るい空気になり再び楽しい交流会を再開した。

アストルフォの空気を読まずに行動する所は本当に助かる、ネガティブな感情は戦場でもずるずる引き摺るものだがら彼の明るいポジティブな所は本当に助かる。

 

...理性は蒸発して何をやらかすか分からないけど。

 

 

そして藤丸姉弟と会話していく中で気付いたのだが、この二人は例え善人だろうが悪人、多分だがその英霊が人外だったとしても彼等は平等に接し、過去や思想・方向性さえも否定せずに「大きな戦いに力を貸してくれる仲間」として平等に交流し英霊としての『個』を尊重してくれる節がある。

そのお陰もあってかカルデアの英霊達も召喚されて日は浅いが確かな絆が垣間見れているし、現にジャンヌダルクや俺達はぐれサーヴァント組も最後のマスターだからとか英霊関係なしに『個人』としてあの双子に信頼を寄せているのだ。

 

この二人が自分達マスターで良かったと彼等と交流するなかでひしひしと感じるのは、冬木の第四次聖杯戦争以降久しぶりかもしれない。

 

....これは何としてでも護らないとなぁ。

 

 

 

『刃牙』月『鬼の背中』日『グラップラー聖女』

天気:曇り時々晴れ

 

昨日の晩、マリー達が生きていた当時のぶっちゃけ話や俺の生前の経緯、ジャンヌ脳筋説が浮上したりと交流会はかなり盛り上がったのだが、その途中でエミヤが俺の立ち位置云々を皆にバラし皆が三度見して驚き、マスターを覗くロマニとダヴィンチちゃん含むカルデアスタッフから質問攻めをされた時は大変だった。

そりゃそうだ。人類の技術の進歩によって神秘が急激に失った時期から魔力や神秘の残滓を媒介にして独りでに召喚され、外宇宙からの神話生物や神秘を悪用する畜生共、あらゆる怪異や邪教に纏わる事件をこんな表現筋が死んだぼけーっとした元僧侶が人知れず解決し人理を護ってきたのだから誰だって驚く筈だ。それに抑止力のサーヴァントではなく、誰かの助ける声を聞いて召喚される『抑止力擬き』なのだから余計に驚くだろう。

何百年の間、神秘関連の魔術に纏わる事件や案件の四割が同一人物によって人知れず闇に葬りさった事から、魔術協会はこの存在を『神秘殺しの幻霊(ブロークン・ファントム)』と呼ばれ、魔術協会が血眼で探している人物が俺だと伝えるとロマンとダヴィンチちゃんは一分間絶句していた。因みにその二つ名を知った切っ掛けは赤髪の人形使いである。

他のサーヴァント達も『あぁ、こいつならやりかねない』となんともいえない顔をして、藤丸姉弟もマシュの説明で俺を見て苦笑いしていた。

 

そんなカオスな状況ながら楽しい時間を過ごしていた途中、俺達の背後から一人のサーヴァントが現れた。それは俺が吹き飛ばした邪ンヌの手下、聖女の姿をした狂ライダーである。敵の来訪に俺達は急いで戦闘体勢に移ろうとしたがなんと敵ライダーは話しをしに来たと言ってきた。

 

驚く俺達を見ながらマルタはコホンっと咳をしてその理由を話す。その内容は邪ンヌから抹殺命令の任を受けて来た訳でもなく、ある目的の為に自分の意思で俺達を見に処に来たとのことだった。

確かに狂化されているが殺意はなく、邪ンヌの手下特有の『ヒャッハー!町を蹂躙するぜぇ!』という狂気の感じが一切なく礼儀正しく自己紹介する程に清楚だったから一時的に武器を降ろした。

 

そのライダーの名は『マルタ』。紫色の前髪ぱっつん聖女で、『ヤコブの手足』という"天使をも殺す格闘技術"の使い手で、とある村で大暴れていた龍タラスクを"素手で殴り倒し改心させた"伝説を持つ女性である。

何でも彼女が邪ンヌの支配からある程度抜けて自由に行動出来るの理由は、彼女は邪ンヌの支配から逃れる為に自分と同じ聖なる力を持つ俺に邪魔をする振りをして突貫、『破ァッ!』を込めて放った一撃をわざと喰らい邪ンヌの呪いを弱体化させたのだ。

マルタが持つ聖なる力で支配を抜け出しそのまま行方を眩ますと、彼女はある目的の為に俺達を探していたとのことだった。

 

マルタは説明を終えると何かを覚悟した顔になり、手にもった十字架の杖にある石突きで地面を叩き自分達が邪ンヌ達と渡り合えるか確かめるか見極める為に武器を持てと言い放ち、マルタの覚悟と内容を知った俺達もそれに答える形で武器を取り戦闘に移ったのだがそりゃもう大変だった。

 

マルタは彼女が静めた龍種『タラスク』を召喚してその龍の力を持って俺達を二手に分断させ戦う羽目になった。マルタの相手をしたのが俺、マシュ、立香の三人で残りは龍種であるタラスクと戦っていた。まぁ妥当な分け方とこの時の俺達は思って俺が前衛、マシュは立香を守る形を取りマルタと戦い、最初は俺の怒濤の薙刀捌きで優勢だったがマルタの杖が吹き飛んだ瞬間、急激に劣勢に追い込まれた。

止めに渾身の突きを放ったのだがマルタは鋭い目付きになってギリギリで回避、回避した勢いを利用したボディブローをがら空きの胴体に打ち込んできたのだ。

 

そりゃもうマルタが召喚したタラスク含めて皆、驚きだよ。俺ももろにその一撃を喰らった反動で立香の所まで下がって片膝を地面につけ内蔵が傷付いたのか口から血が出ていた。肝心のマルタというと、拳の骨を鳴らしながら首の骨も鳴らしていて仁王立ちをしていた姿はすげぇ似合ってた。

戦闘前のマルタがそれについて話していたのだが、聖女であるために基本的に拳を封印していたらしい。しかし未だ抜けきれていない狂化の影響によって戦闘が続くにつれて気持ちが高まり過ぎた結果、彼女が今まで封印していた拳を解禁して反撃をし始めたのだ。

 

腕力は俺より低いがその拳の一つ一つが素早い、鋭い、重いの三拍子が揃っていて立香の指示で前衛でその攻撃を防いでいたマシュが苦渋の顔を浮かべながら怒濤のラッシュで地面を削りながら後ろに下がっていた。

立香が着ている魔術礼装で回復した後、一気に駆け出してマシュの盾を飛び越えて突きを放つがマルタは咄嗟に判断して後ろに下がり距離を離しながら回避した。

 

未だ息を切らさずボクシングの構えをするマルタに俺も薙刀を捨てて同じ構えをして拳に炎を纏わせながら駆け出して拳を突き出し殴り合いが始まった。

マルタのニーキックといった喧嘩系の蹴りも含めた鋭くて重いラッシュを凌ぎ、僅かな隙を見て重いカウンターパンチを繰り出すが防がれてしまう。お互いステゴロを極めた者同士、均衡していたがマルタの方に分があった。

マルタはヤコブの拳という武術を極めた僧侶。対しての俺は武術は極めて予測が難しい攻撃が出来るが、ボクシングを齧った程度の素人拳。マルタの方が技術面では上で徐々に俺の攻撃が当たらなくなり彼女に付加されている狂化による相手の攻撃は鉄球を豪速球で投げつけられた衝撃が連続で繰り出してくる。

その猛攻によって俺の体力を徐々に減らされていき、最終的に彼女の拳が鳩尾にめり込みその痛みで大きな隙を作った()()()()()

彼女が笑みを浮かべ次の攻撃に移ろうとした瞬間、俺は直ぐ様相手の懐に入り巴投げをして思いっきりマルタを後ろに投げつけた。

 

直ぐ様空中で体勢を整え直そうとしていたが、マシュが走りながらシールドバッシュを喰らわせてそれを阻止。

そのまま彼女が持つ宝具『疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』を発動するのを確認すると、俺も一気に近付き真名解放せずに対人宝具(技術)『龍ヶ我流奥義』を発動、左腕に刻み込まれた歌舞伎模様の封印術式が紅く光り焔を発するとそのまま半回転してマシュの盾に叩き付ける形で殴り付けマルタを撃破した。

 

因みにこの作戦を発案したのは立香である。彼女の拳と技術は凄いが、狂化スキルによって判断力が鈍っている事を利用して、俺の宝具の火力とマシュの宝具の防御率を信じた上でこの作戦を提案をしたのだ。

それでも相手に感付かれる可能性があるため、立香は俺のスキルの一つである起源魔術C-にある誘惑魔術の使用を指示、俺は『来いよベネット(挑発殺気)』を発動して相手の注意を引き拳で挑み時間を稼ぐことでマルタの感情を高ぶらせて判断能力を鈍らしたのだ。

 

マルタはさっきの一連の動きで気付き悔しがっていたが、これなら任せられると清々しい表情をして笑っていた。その後にタラスクもやられた事を確認するとマルタの身体が維持できなくなり魔力の粒子が身体中から放出されると彼女はある二つの情報をくれた。

 

一つは邪ンヌは奥の手として邪龍の中で有名な龍『ファブニール』を召喚してそれを従えていること。二つはそれのカウンターとしてその龍を殺した英雄『ジークフリート』がはぐれとして召喚されているという情報だった。しかし、後者は邪ンヌの呪いと戦闘の怪我でだいぶ弱まっているらしくとある聖堂院で身を隠しているらしい。

そのジークフリートの呪いをどうにかすれば勝機に繋がると伝えると、マルタは藤丸姉弟に顔を向け『負けるんじゃないわよ。』と拳を突き立てると二人も拳を彼女の拳に軽く当てると、彼女は優しい笑顔で笑い消滅した。

 

 

...マルタが命を賭けて試練として俺達に立ちはだかり

勝利の希望をくれたのだ。これは負ける訳にはいかないな。

俺達は彼女に殴られて未だ痛む鳩尾を擦りながら覚悟を決めジークフリードがいる聖堂院に向けて歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 




安珍のステータス
真名:安珍 身長体重:178cm,58kg
属性:中庸・善
隠し属性:人?
出典:安珍清姫伝説、鐘丸討魔伝
好きなもの:家族、嫁、友人、鍛練、その他etc
嫌いなもの:悪鬼羅刹、感情のエゴと欲望、衆道(レイプ)
「愛はとても良い物だが、場合によっては恐ろしいものに変貌する劇薬だよな。」

固有スキル
起源魔術c-
安珍が自分の起源を用いて開発した彼しか使えない魔術。どのクラスにも使えるのだが一部しか使えず魔術師程度の性能しかない。
彼いわくキャスターになることで本来の力を発揮するらしい。
彼の使う魔術の名前は書き換えられた痕跡がある....

窮鼠猫をあおる:殺気挑発=(隠れ名:来いよベネット)


対人宝具(技術)『龍ヶ我流奥義』
ランク:B~D-
射程:1人~10人
安珍が生前及び今まで経験し習得した技術、武術が宝具として昇華されたもの。
アレンジが出来る為かバリエーションが多くこの宝具を見極めるには相当な技量が必要になる。
対人宝具の中では消費が激しく使い所が難しく、使う技によって消費量が変わる。
『俺の必殺技パート○○』みたいなものだと本人の談。







▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。