最近、アビゲイルピックアップガチャでナポレオンとアビーが出て心臓が飛び出しそうになりましたアビャアです。
それと三十鐘の内容が拙かったので修正しておきました。暇があった場合、読んでくれると嬉しいです。
投稿するまでの間にFGOで様々な事がありましたね。
酒呑童子が護法少女になったり、劇場版fate/HFの一章が大晦日のfateTVスペシャルで地上波放送が決定。
三章に至っては、中国のヤベー武人こと項羽が星5声帯持ちで赤兎馬がグリリ馬だったり第二部三章ライターがウロブッチで大にぎわいでしたね。
自分は第二部二章で詰んでいますけど、敵が強すぎる。
それでは本編どうぞ。
かつて人々が暮らしていた町は、たった数時間の間でこの場所で町を復興出来ない程に悲惨な状況に変わり果てていた。
何か強大な力同士がぶつかり合ったのか、地面には幾つものクレーターや何かがぶつかった跡がある半壊又は熔解した建物。
そして、高熱によってガラス化した場所が存在していた。
黒い雲から降り注ぐ雨が瓦礫の山々を濡らしていてもまだ建物の一部が高熱を発し雨に触れる度に湯気が発生し、建物を薪にして炎が燃え続ける。
生命の気配すら一つも感じられず只々雨と炎が虚しく鳴り響いていた。
「.........っ!!」
「.....っ!!......っ!!」
「ッ!!」
そんな状況の中、瓦礫の中から白い矛先が持ち手ごと突き出ると、ゾンビ映画のワンシーンのように一人のツルツル頭の男、安珍は脱力しきった無表情のまま勢い良く飛び出してきた。
「ッ!!つぅぅぅぅ.....っ!..........っ!!」
安珍の全身は上半身裸で黒く煤け顔以外は火傷や裂傷が多く特に左腕に至っては肌が赤黒くなり歌舞伎模様に彫られた紋様が炎のように紅く輝き、ダラリと垂れ下がっているという悲惨な状況だった。
男は右腕でダラリと下がった左腕の上部分を持つと思いっきり肩の関節を無理矢理元の位置に戻す。
ごきゃっ!
「...ッ!!.......フゥー、フゥー。」
嫌な音と共に激痛が走り眉を少し歪めたがそれ以外は無表情のままだった。そして、左腕からは燃えているかのような痛み、身体の各所からも悲鳴を上げて激痛が走っているが彼はそれを無視し、ある方向へと向かう為に槍を杖がわりにして瓦礫の山々を歩いていく。
「...........!!」
意識が無くても彼は歩く。仲間と再び会うために......そして、
「きよ......ひめ.....。」
彼が愛した者達の歴史を護る為に彼は死に体の身体に鞭をいれ、意識が半場ない状態で敵の本拠地であるオルレアンへと足を歩み始めた。
『壇王』月『肥やし』日 『何か生きてた』
天気:雨
目が覚めたら知らない天井だった。
流石の俺も驚き過ぎて上半身だけ起き上がったが激痛が走り凄い悶えたし、怪我人である俺の看病をしていた年若い少女が慌てたりその音を聞いて彼の父親である男性が慌てて入ってきたりとかなり混沌としていた。
どうやら、何日も眠ったままじゃないかと思えるレベルの重症なのに、たった半日で起きた事に驚いてしまったのことだ。そりゃあ、まぁ一般人からしたら驚くな。
その後は、医者が慌てて来て診断したり、薬草類を調合した飲み薬を飲んで傷口に傷薬を塗ったり、新しい包帯に巻き変えたりしたり、温かいスープを飲んだりして今はベットで天井の染みを数えながら日記を書いている。
痛みに悶絶しつつも体内の乱れた気を正す為に深呼吸をし整えつつこの身体の破損具合を調べた結果、損傷は激しいが直せるレベル。
しかし霊核は限界に近い。魔術の使用は限られ、宝具を使うものなら崩壊待ったなし。念話ですら全く機能してないレベルの壊れっぷりだ。
その影響か魔力を上手く回せず身体の完治が不可能に陥っているため最低限必要な箇所を直しつつ後は、自分の自己回復力を期待するしかない。
しかし、何故なのだろうか?使いようによっては、特効宝具の側面を持つ焔の龍に変貌し、ファブニールに決死の特攻をして生きているのが不思議で堪らない。
俺自身、あの姿になると某進撃の主人公が変身するエレンゲリヲンみたく意識が半分無い状態に陥るからファブニールとの戦いは意識が朧気になるのだが、怪獣映画のようなどつき合いをしたこと、幻想種同士の戦いの余波で街が火の海と化したことは覚えている。
最初は蛇の身体を生かして素早く回避し続けながら全体を構成する浄化の炎を用いて善戦していたが、相手は邪龍として歴史に名を刻んだ上位の龍種。
やはりと言うべきか圧倒的な魔力と怪力に徐々に押されていき、最後の足掻きとしてファブニールの攻撃を喰らった際に相手の身体に巻き付いて自らの炎を燃やし尽くし自爆した。
邪ンヌに操られていたからこの特攻が出来たが、もし操られてなかったら確実に失敗してそのまま殺されていただろう。
それ程までにあの龍は強大な力を持っていた。
しかし、俺は生きている。魔力を暴走させて自爆という本来なら霊核が壊れても可笑しくない攻撃をした筈なのに何故か生きている....。
....もしかして、自爆する際に僅かに聞こえた懐かしい『声』が関係しているかも知れない。
カルデアのDrロマンが提唱していた聖杯にあるカウンター機能によるその地及びその地で起きている異常事態に関連するはぐれサーヴァントの召喚。
それが大きく関係するのならばその条件+俺という存在によって『彼女』が召喚されても可笑しくはない。
まだ『彼女』に会っていないから確証は無いが、今も左腕に刻まれた『呪い』は火をくべられた焚き火のようにほんのりだが赤々と光っている。
....ならば、生きて合流しないといけない。その為に今日は身体を休ませるとしよう。
α月Ω日『現状把握』
天気:曇り
傷は完治してはいないが大体の傷が塞がった。サーヴァントって不眠かつ食事要らずで、魔力があれば傷口を直ぐに直せる所が便利だ。相手がそれを阻害するスキルや呪い、宝具を用いられたらどうしようもないが。
俺のあまりにも回復速度に村人達は驚かれ怪しまれたが、そこは身体の神秘は凄い理論でどうにかした。
その後は村長から色々な話をして今起きている情報を貰った際に、なぜ俺が昨日ベットの上でミイラ男みたく包帯グルグル巻きだった理由も教えてくれた。
何でも俺は食料を積んだ馬車を襲撃した兵士崩れの盗賊達を迎撃しそのまま倒れたとのことだ。
俺が単騎でファブニールに挑んだあの日、この村人達は護衛を含めた8人で食料を積んだ馬車を警戒しながら村へと運んでいる最中、不運にも盗賊に襲われてしまった。
しかもその盗賊達は、元は鍛練を積んだフランス兵で上質な装備と馬を持ち、対して村人側の装備は藁の時に使うフォークや戦場跡にあるボロボロの武器と防具しかなく、また一人また一人と殺されていき絶望的状況に陥った瞬間に俺が現れた。
俺は狼のような速さで近付いていき、馬に乗っていたリーダー格にドロップキックをかまして相手を落馬させ、そのままマウントを取り、顔面に右肘を用いた拳を打ち込み相手の顔面を出来の悪いじゃがいも状態にしたらしい。
その時の俺は無表情で右腕で相手を容赦なく戦闘不能(気絶)させるマンと化し残りの盗賊達全員をシバき倒したとのことだ。
馬から相手を引き摺り下ろして顔面を殴り気絶させ、武器を持った腕の骨と指を容赦なく折って武器を使わせないようにしたり、弓矢から飛んでいた矢を掴んで近くにいた相手の太腿に突き刺したり、気絶した敵を投擲して遠くにいる相手にぶつけたりしたらしい。
そして、相手が馬で逃げようとするなら一気に近付いて跳躍、掌底打ちを喰らわせて顎骨を粉砕したりして盗賊全員をエグい半殺し状態で無力化、村長も最初は信じられなかったが縄で強く縛りつけた盗賊達の惨状を見て腰を抜かしたらしい。
.....全然覚えていないけど、龍が如くシリーズレベルの容赦ない攻撃をしたのかと苦笑いしたと同時に俺はある疑問に陥った。何故、俺を村に受け入れたのか?
兵士崩れの盗賊とはいえそれなりの鍛練を積んでいた精鋭達を俺は赤子の手を捻るように全滅させた。
そんな化物を保護するなんて正気の沙汰ではない。
この村を蹂躙する敵だったらどうする?しかも、敵か味方すら分からないのに手厚く看病するのは悪手ではないかと訪ねると村長はそれはないと答えた。
俺は眉を歪めて理由を尋ねると扉の向こうから何人かの村人達が入ってきた。そこには、俺が現界してからカルデアのマスター達に出会う前の間、オルレアンで助けてきた人達で中には最初に助けた家族の父親もいた。
なんでもこの村は、邪ンヌの襲撃等で家や家族を失った難民達が半数程いてあの馬車を護衛していた村人の中にも俺が助けたのが数人いたらしい。
流石に最初は警戒されていが、気絶した俺の顔を見て、かつて自分達を助けてくれた恩人だと知り、重症の俺を助ける為に馬車に乗せ慌てて今に至るという訳だ。
それを言われた後、今まで助けてきた人達に『助けた恩人を見捨てるのはいけないことだ。』とか『あんたが助けてくれたお陰でこうして生きていられている』とか、『助けてくれた御礼だ。気にしなくてもいい、むしろ協力出来ることなら何でも言ってくれ。』といった、お礼の言葉を言われた時は目頭が熱くなって一筋の涙を流したのは言うまでもない。
取り敢えず話を戻して、俺が1日眠っている間にフランスで起きた出来事を聞くとどうやら明日、フランス軍を率いるジル・ドレェが敵の根城に向けて総攻撃を仕掛けるとのことだった。
それがもし本当ならカルデア組も突撃するだろう。
ジークフリードの呪いもゲオルグによって完全に祓われファブニールを倒せる万全な状態でサーヴァントの数も邪ンヌ陣営より勝っている。
邪ンヌ陣営には状況を覆す可能性が大きい聖杯と、邪龍ファブニールがいるが攻めるには今しかないだろう。
距離は少し遠いが馬に魔術を施して走らせて行けばどうにかなる。俺も出陣するとしよう。
先ずはそこに向かおうとすれば、怪我人である俺を止めようとするだろう村長達を説得せねば。
...あんまり使いたくないが『安部一族の世渡り暗黒話術』を使うしかないな。
イクゾーッ!!月デッデデテテン \カーン/日『出陣』
天気:晴れ
どうにか説得出来た。
安部一族の話術って凄い(恐怖)。この村自体優しい人ばかりとはいえ、初級編で村人全員を納得させた挙げ句、馬とフランス兵が着ている防具と槍をくれたよ。
何というか、騙しているみたいで凄い心に突き刺さるな。
取り敢えず、ナイフを貸してもらって防具に簡単な強化用の呪印とルーン文字を刻んだ。此なら敵の攻撃を最低限防げるだろう。
移動手段に使う馬は、騎乗兵が乗る軍用で今は酪農用の老馬ラファール。衰えはあるものの筋肉隆々な暴れ馬だ。
俺が馬小屋に近付くと俺の身体に僅かに付着していた硝煙と血の匂いを惹き付けられたのか『ワシの死に場所は戦場と見つけたり!』と云わんばかりの暴れっぷりを見せ付けて落ち着かせるのに一苦労した。
その際にこの老馬に簡易的な式神契約をした。此によりこの馬の性能は少し上がり、キャスターになった時は式神として呼び出せるだろう。
そんなこんなで、早朝にフランスの一般兵が被る鉄製の兜を被ると暴れ老馬であるラファールに跨がり村の声援を聞きながら村を去り、邪ンヌの本拠地まで全速前進中だ。
左腕はぎこちないが動ける程度には回復した。
此の戦いで全ての決着が付くだろう。それまでにカルデアの勢力と『彼女』に会わなければ。
もし、此処で会わなければ一生出会えないかもしれない。俺は心から湧き出る焦りを抑えながら戦場へと老馬と共に草原を駆けていく。
『彼女』がいるという確証はある。
何故なら左腕の歌舞伎模様の刻印が戦場に近付くにつれ火を灯したかのように光り始めているから。
早急に急がねば。
ーーーーーーー
フランスの都市の一つオルレアン。フランスの為に戦い、そして裏切られ処刑された怨念であの世から竜種と一騎無双の従者達を引き連れ甦った竜の魔女『ジャンヌ・ダルク』が城を占拠しているこの地で激しい戦闘が繰り広げられていた。
一つの勢力はかつてフランスの自由の為にジャンヌ・ダルクの副官として戦っていたジル・ド・レ元帥率いるフランス軍。
そして、人類焼却した世界を救うため遠い未来から歴史に名を残した英雄が昇華した存在『英霊』を召喚しやって来た双子のカルデアのマスター率いるカルデアが竜の魔女の本拠地に向けて進軍していた。
お互い結託して同盟を結んだ訳でもなく、ただ偶然に進軍する日が重なっただけであるが、両軍の指揮官の裁量が上手いお陰か、即席の連携で竜の魔女の軍勢を押し退けていき敵本陣に進軍し近づいていく。
カルデア側はマスター二人が英霊達に指揮を行い、敵の雑兵やワイバーンといった竜種を蹴散らしながら竜の魔女に召喚された英霊の対処をしていく。
一方のフランス側は戦力差でじわじわと被害が出始めているだが、ゾンビ兵や骸兵等を槍や弓矢といった武器を用いた複数人体勢で確実に倒し、大砲を用いてワイバーンの行動の邪魔をしたりとカルデアの援護に徹底し善戦していた。
.....話が変わるが、遠くにいても車の通り過ぎる程の微弱な騒音レベルなアイドルの音響兵器が響き渡る。
下位とはいえ竜種であるワイバーンでさえ彼女の『
話を戻して、魔女が聖杯がある限り何度でも甦れるように改造された秘伝説の邪龍『ファブニール』に対し、その邪龍を倒した英雄ジークフリードと龍殺しの聖剣と名高いアスカロンを持つゲオルギウス、そして燕を斬るという理由で剣技を極め魔法に至った無名の剣士『佐々木小次郎』の三人が激闘を繰り広げている頃、一人の英霊が馬に跨がりながら戦場を駆けていた。
「Brrrrrraaa!!!」
「ハッ!セイッ!!ヌウゥゥゥンッ!!」
「「「!!!!!」」」」
フランスの一般兵の防具を着た英霊『安珍』は兜を帽子のように深く被り目元を隠し、左手で手綱を持ちながら右手に持った薙刀『白銘』で近くにいた敵を蹴散らしていくいた。
その薙刀の矛先は白い陶磁器のような光沢と艶を放つ両刃の剣を男は馬上で巧みに扱うその姿は、百戦錬磨の戦士そのものだった。
「ハアッ、......ハアッ、」
(流石に敵の本陣もあってか敵の数が多いな。百体倒してもうようよと沸いてきやがる。)
「......ッ!?」
矢の雨が降ろうものなら刀身に火を灯し焼き捨て、迫り来るワイバーンの群れをバトンのように回転させて次々と切り捨て突き進んでいく最中、1km先である英霊が戦っている様子を彼は目視し目を見開いていた。その少女の真上に一匹のワイバーンが急降下を始めたのだ。
「シャアアアァァァ!!!」
ボウッ!
「!?」
その1㎞先に、赤く燃え上がる炎が描かれた扇子を片手で振るいながらワイバーンの群れを焼き払う一人の少女がそこにいた。
薄緑色の長髪に側頭部から生えた白い角、三日月のような黄色い瞳に自分の髪の色と白を基調とした着物を着た少女は舞うかのように敵を蹴散らす。
可憐にて過激。綺麗な舞いと共に扇子から放たれる炎は怒りを体現したかのように燃え上がり次々とワイバーンを焦げ炭にしていく。
「.....の再会を邪魔した罪を償え能なし蜥蜴!!」
「Gyaaaaaa!?」
「この!この!このぉぉぉぉぉ!!」
「Guoooo!?」
「私の、ワタシの●●様を返セェェェェ!!!」
そんな彼女の顔は、敵に対する怒りに満ち溢れ見方を変えれば癇癪を起こした少女のようにも見えた。
その怒りによって冷静さを失っているのか、はるか上空から急降下してくる黒色のワイバーンに気付いていない。
「ッ!?ラファールッ!!!」
「Brrrrrr!!」
「ハァッ!.....ハァッ!!」
安珍はまだ気付いていない少女を護るために掛け声と共に手綱を引き馬の速度を上げさせ急いで向かう。
安珍は左腕の手綱を持ちながら馬の上に立ち上がり白銘の刀身に螺旋状の炎を纏わせると右腕を軽く引き突きの体勢に移る。
「ラファール!その勢いで俺を投げ捨てろ!!」
「Brrrrrraaa!!」
「グッ!?....ヴっ!?ォォォォォオオオ!!」
少女と黒いワイバーンの距離が100m切った瞬間、安珍は左腕の手綱を放しながら馬に命令し、その命令に従って馬は前足でブレーキをかけ彼を前で放り投げると安珍は白銘に纏わせた炎を推進力として放出させ一気にワイバーンに近付く。その勢いでまだ癒えてない傷口から激痛が走るが歯を噛みしめて抑え込み速度を上げていく。
一方のワイバーンは爪を立てて少女に襲い掛かる寸前だった。
「思いしれ!思いしレェ!!オモイシレェ!!!」
「GAAAAAA!!!」
(っ!?しまっ........!?)
「GAAAA「さぁせぇるかよぉ!」AA!!?」
「........えっ?」
そのまま安珍は相手にタックルをしながら胴体に深く突き刺し右回りに捻りながらワイバーンを盾にして勢いのまま地面を抉って進んでいく。
助けられた少女は突然のことに驚くが、その驚きの大半はタックルをした際に兜が外れた安珍に向けてのものなのだが当の本人は仕留めるのに必死だった。
ジュゥゥゥゥ......!!!
「GAAAAA!!GAAAA!!!!」
「.....ッ!....ッグ!!フンッ!!」
「GA!?.......ッ!....ッ!!?......。」
矛先が突き刺さったワイバーンは安珍に抵抗を続けるが、赤熱した矛先は容赦なく相手の肉体を突き進んでいく。体内を炎で焼かれていく激痛で抵抗する暇がなくなっていき段々と虫のようにもがき苦しむ。
矛先が心臓に到達し突き刺した瞬間、安珍は白銘を捻ると心臓をそのまま捻り潰し、ワイバーンは白目を剥いたまま絶命した。
「ハァッ!....ハァッ!」
「「「GAAAAAA!!!」」」
「.......ッグ!?」
(身体の負荷を考えて回避は不可能。なら、強烈な一撃で怯ませてその隙にやるしかない。)
(チャンスは一回。やれるか!?やるしかないだろ!)
「GAAAAA!!」
「今ッ!!」
安珍は息を荒げながら白銘を抜くと前方からワイバーン三匹が彼に襲い掛かる。安珍はまだ癒えない身体から発する痛みに歯を噛み締めながら回避を断念し右腕の筋肉を膨張させ迎撃をしようとする。
●●様に触るな俗物蜥蜴共!!
「「「.........!?」」」
「......ゑ?」
その瞬間、少女の怒号と共に彼の背後から巨大な蛇の形をした青い炎が通り過ぎていきワイバーン達を次々と飲み込んでいった。
飲み込んだワイバーン三匹を業火で焼き炭になるまで焼き殺すと今度は、近くにいるワイバーンや雑兵に向けて進んでいき次々と焼き殺ていく。
その様子はまるで、再会を邪魔するようなら焼き殺してやると云わんばかり暴れっぷりであった。
「あの炎の蛇は....もしかして..。」
「はい、もしかしてですよ●●様。」
「......っ!!」
「この暖かい背中。あぁ、これは夢じゃないのですね。」
周囲が青い炎で囲まれていく様を見ていた安珍だったが、突然耳元から少女の声が聞こえると、後ろから抱きつかれると今まで無表情だった安珍の顔がみるみるうちに驚いた顔に変貌した。
至近距離で佇んだ上で発せられる彼女の気配は大蛇が舌を出して獲物を見定めるかのような錯覚を覚えるレベル。大抵の人間なら恐怖で狼狽して何も言えないだろう。
「すまない。お前と再び会うのに1100年以上掛かってしまった。」
「っ!...良いのです。私はこうして貴方と出会えたことが奇跡なのですから。」
「.....そうだな。」
しかし、この男は常識が消失した変人オブ変人。そんな気配を気にせず、むしろ少女に出逢った事に喜んでいるかのような優しい口調で話しかけていた。
戦場の真っ只中、交わす言葉は短かったがそれでも二人にとっては悠久の時に思える長い時間。しかし、二人の空間を作り出していた炎壁が時間経過と共に弱まった瞬間、敵の軍勢が雪崩れ込んでくる。
「.....●●様。」
「どうやら、あちら側は俺達の再会を祝福してないらしいな。」
「Brrrrrraaaaa!!!」
「ナイスタイミングだラファール。さて、この奇跡の出逢いをくれたマスター達の為に一緒に一暴れしてくるか。」
「はい、私は貴方の妻。死がふたりを分断とうとも執念で貴方の傍にいると決めた身ですから。」
「なにソレ、恐ろ嬉しい。」
「フフフ、私はちょっと執念深い妻ですから♪」
「そうだったな。」
安珍は少女を護るように前に立ち白銘を構えるとラファールが追い付き安珍はその背中に乗り込む。
少女もまた安珍を護るために安珍の手を借りて彼の後ろに座ると、扇子を振るい先程の大蛇より小振りの炎の蛇を作り出す。
「さぁ共に征こうかお清。」
「はい、安珍様。二人で共に征きましょう。」
二人はお互いの名を言い合うとこのフランスに渦巻く憎悪を断ち切る為、ラファールに跨がりながら敵勢に向かって駆け出した。
こうして死を迎えその偉業から悪意から護る独立した英霊に昇華した男は、1100年以上の旅路の果てに戦場とはいえ愛すべき"妻"を再会した。
思いの力で蛇に変貌した少女も、同じ時間を恋い焦がれる気持ちで待ち続けた結果、このフランスの地で愛すべき"夫"と再会することが出来た。
その男の名は安珍。
定められた過酷な運命を数多くの出逢いと自らの力で覆し天寿を全うした元僧侶である。
その女の名は清姫。
愛する男を焼き殺す悲劇だったが、その男に救われ一緒に添い遂げた嘘が嫌いな少女である。
戦場に一緒に赴く二人の顔は、くしゃとした不器用な笑みを浮かべていた。
安珍マン、きよひーと再会したわけですが、次回でオルレアン編が終わり次の特異点編に突入する予定です。
オマケ
●●の呪い
ランク:A-
ある条件下を満たすと発動するスキル。
●●が条件で発動するスキルなのだが、本人が自覚しておらず至ってないせいか、戦闘続行B-の能力しか発現していない。
その影響もあってか、ステータスにも記載されていない隠れスキルとなっている。