とある海賊の奇妙な冒険記   作:カンさん

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内容を修正しました。詳しくは後書きにて。


主人公日記 九ページ目(内容修正)

 々月°日

 

 ハチたちと別れる事になった。

 なんでも、とある島でたこ焼き選手権があるから、是非とも参加したいらしくその島に向かうだとか。そして、ケイミーとパッパグも付いていくと言っていた。

 突然の別れだが仕方ない。オレ達はオレ達の航海が、そしてハチにはハチの夢がある。再会を約束して、今日は宴だ。クルー達も寂しい寂しいって言っていたからな。というか、人魚のケイミーと別れるのが惜しいだけだと思う。

 

 

 々月¥日

 

 ここ最近、会う海賊船全てが逃げていく。

『クルセイダー海賊団だー』だの、『星屑のジョジョだー』と言って逃げていく。果てには宝を差し出して命だけはと頭を下げてくる者まで……。

 そのせいか分からないが、最近船の空気が弛んでる。オレ達は凄いんだ。他の海賊に畏怖される程の存在なんだ。そのような考えが透けて見え、オレが律してもあまり効果が無い。メアリーも悪魔の実を手に入れて、さらに賞金首になったからかこの空気を助長している節がある。一応は危機感を持っているが、まだ甘い。

 ギンもオレと同じ考えなのか、あまり良い顔をしていない。

 

 何とかしないと、マズイことになる。オレの直感がそう言っていた。

 

 

 々月]日

 

 凍傷でしばらく腕が動かせないが……あの日の事は書いておきたいので、今のうちに詳しく書いておく。それに、この『もう一人のオレ』の操作練習にもなる。マスターすれば、オレは何倍にも強くなれる。それこそ、大将を倒せるほどに……。

 

 さて、事の始まりはオレ達がある島に到着した事にさかのぼる。そこは言ってしまえば柄の悪い島だった。ログポースによく示されるのか、オレ達以外にもたくさんの海賊が居た。『カモが来た』と思ったのか、オレ達が船を降りると同時に囲まれるくらいにはな。だが、奴らはオレ達の事に気づくと途端に媚びへつらって去っていった。

 今思えば、この時から片鱗は出ていたのだと思う。クルーの誰かが『喧嘩売る相手を選べ』と言っていたのが妙に頭に残り、思わず拳骨した。そんな事を言っていれば何時か痛い目に遭うぞ、と。オレは本気でそう言ったのだが、メアリーが止めに入った為に有耶無耶になってしまった。

 幸いログは半日で貯まるため、問題を起こす前にさっさと島を出て性根を叩き直そうと思っていた。だが、その考えは甘かった。

 

 酒場で、ある海賊団と抗争状態に陥った。

 相手はユースタス“キャプテン”キッド率いるキッド海賊団。ユースタスがオレを挑発し、オレが無視するも他の奴らが騒ぎ立った。そこからは売り言葉に買い言葉。穏便に済ませるのは無理だと判断したオレは場所を変えようとし……しかし、奴は民間人に構わず攻撃して来た。

 戦闘中に拾った言葉から察するに、奴はオレの存在が気に食わなかったらしい。調子に乗っているやら温いやら好き放題言っていた。かく言うオレもアイツの粗暴な振る舞いは気に食わなかった。だから、ちぃとばかし頭に来て相手をしたのだが……そこで思わぬ横槍が入った。

 

 それは、海軍本部大将青雉。奴は、民間人に構わず大技を使うユースタスの片腕を凍らせると戦闘を無理矢理止めた。流石のユースタスも大将を相手に下手な動きが出来ないのか、行動が慎重になっていた。

 それはオレ達のクルー、そして他の海賊達も同じで逃げ出したり警戒したりして、奴の次の動きに注目した。

 だが、青雉はオレ達……正確にはオレに向かって凄く迷惑そうな顔で『何で問題起こすの?』と言ってきた。

 今思い返してもあれは無いな、と思う。奴は、オレの存在には気が付いていたが無視するつもりだったらしい。非番――聞く限りサボりだが――な上、先日ある海賊に負わされた傷が治っていない状態で、赤犬に傷を負わせたオレと戦うのは怠い。そう言っていた。……本当に無いな。赤犬と別の意味でこんな奴が居るのか、と思った。

 

 そして、戦闘を……それも民間人に迷惑を掛けるのなら見て見ぬ振りも出来ない。故にこうして出張って来たと言いつつ、しかし青雉は意外そうな顔をしながらオレに『海賊らしくないな』と言い出し……次の瞬間オレを見逃すと言った。

 見逃しても見逃さなくてもこれ以上ないほど危険だが、民間人に迷惑をかける訳でもない。それに準備不足では手を出せばどうなるのかは立証済み。故に、万全の状態で迎え撃つ為にお互い此処で手引きしようと言い出した。それに食いついたのがメアリーだった。大将とはまだ戦う時ではないと。今は手を引こうと。それにクルー達にも被害が出るから、と。

 

 だが、本当に逃げて良いのか? 海賊王を目指す男が、敵わないから逃げる。そう言って逃げても良いのか。しかし、船長として線引きを誤る訳には――。

 

 そんなオレの思考を吹き飛ばしたのは、ユースタスだった。

 海賊王になるこのオレが、海軍に見逃されて生きるくらいなら死んだ方がマシだ。と。

 粗暴な奴だと思っていたが、海賊王を目指す気持ちは強い。素直にそう思い、オレは船長として失格かもしれないが――青雉と闘う事を決めた。

 

 戦う場所は島の外れ。クルー達には先に船に帰って貰う事にした。これは、オレのワガママだから。船長としては間違っている判断だから。

 

 そして結果は――赤犬の時同様オレの負け、だ。

 オレは覇気でガードしたとはいえ一度は全身氷漬けになり、青雉はオレの新しい力の一撃とユースタスの決死の一撃でダメージを負った。すると奴はさっさと島を出た。恐らく最初からある程度戦って帰るつもりだったのだろう。

 ユースタスも同じ考えだったのか、去り際にえらい顔で怒り狂っていた。かく言うオレも頭に来ていない訳ではないんだがな……。収穫があったとは言え、赤犬の時以上の屈辱だ。

 

 勝つって言ったんだけどな……。

 もっと強くならねぇと――(文字が掠れて読めない)

 

 

 々月|日

 

 昨日の日記、これも暴走なのか? オレの思ってた事まで詳しく書いているじゃねぇか。ここまで事細かに書くつもりは無かったんだがな……。

 

 さて、ようやく体が動くようになって外に出てみれば……クルー達全員が泣きながら土下座していた。一体全体どうしたんだ? と思って聞いてみると、どうやら悔しかったらしい。オレが生きていたのはもう一人のオレで分かっていたが、氷漬けになって動かなかったオレを見て、自分たちが情けなく思った、と。

 オレがいなければ氷になっていたのは自分達だと。それどころか、ここまで生きて来れたのは、冒険できたのはオレに頼っていたからだと。それなのに、自分達海賊団が偉くなったと勘違いをし……船長であるオレを殺しかけた。

 許される事ではない。だが、謝りたかった。

 そう言って彼らは泣いた。そして、どうかあなたの仲間でいさせてくれと。オレに付いていけるように強くなるからと。メアリーも。ギンも。全員がそう言った。

 

 

 

 とりあえず拳骨して当たり前だと言っておいた。

 オレは、アイツら以外と航海するつもりは無いからな。

 全く。こうして海賊出来ていると感謝しているのはこっちだって言うのに。それに、こんなオレを船長と呼んでくれるのはこいつらしか居ない。

 ……たまには、オレから宴を開くか。そうだな、理由は……いつも通り何でも良いな。

 

 

 々月÷日

 

 メアリーが、私副船長失格だよね、と落ち込んでいた。

 どうやら、あの弛んだ空気を助長していた事を気にしているらしい。

 反省できるだけ、良いと思う。それに船長であるオレも認識が甘かったし。もしこれがもっと危機的状況だったならば――。

 オレ達は未熟だ。だからこそ成長できる。落ち込んでいられない。海賊王を目指した時から分かっていた筈なのだから。

 

 

 々月→日

 

 力には明確なイメージが必要である。だが、オレ一人ではできない。

 そこで役に立つのが邪眼のメアリー様だ。

 相談したところ、絵を描いて体が紫色の男を見せてこれをイメージしろと言われて名前も付けられた。

 

 星屑のジョジョから『スター』。

 強い絆の宝石言葉を持つ『プラチナ』

 

 それらを合わせて『スタープラチナ』。

 オレ達クルセイダー海賊団が作り上げた何者にも負けない絶対の力。

 それがようやくこうして表に出てきた。

 甲板で力強く、そしてはっきりと佇んでいるスタープラチナを見てメアリーはこう言った。

 

 アレは、オレのオーラが生み出したもう一つのビジョン。立ち向かう者として、側に立つ己自身。自分を見失わない限り、オレはもっともっと強くなれる。

 

 そう言われて、何故メアリーがそんなことを知っているのか、どういう意味なのか。そんな小さな事はどうでも良くなり、ただ魂がそういう事(・・・・・)なのだと理解した。

 

 オレはもう一人のオレ(スタープラチナ)にもう一度誓った。必ず海賊王になる、と。

 すると、もう一人のオレ(スタープラチナ)はニヒルに笑った……ように見えた。

 

 




内容を書き直しました。

・ユースタスを結果的に庇う行為→海賊王を目指す男としての意地
・主人公とメアリーの反省シーンを追加

公開しておいて書き直すという優柔不断な行為お許しください。
基本やりたいようにやり、反応に一喜一憂した結果です。

主人公の性格を考慮して修正しましたので、これでご了承ください

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