とある海賊の奇妙な冒険記   作:カンさん

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主人公日記 十二ページ目

 $月×日

 

 メアリーが面白い物を手に入れていた。

 だいやる、という奴らしい。昨日オレの首を獲りに来た海賊から奪ったようだ。

 音を録音したり、風を出したり、光を出したり。中でもメアリーが気に入っていたのはインパクトダイヤルという奴だ。能力と相性が良いらしい。オレの拳の衝撃を入れてくれと頼まれて本気で振り下ろしたら……耐え切れず壊れてしまい、オレとメアリーは衝撃で船から落ちた。

 急いで救助され、二人揃ってギンに怒られてしまった。なんか、デジャヴ。

 何が起きたのか説明するとさらに怒られた。覇気とオーラ込めた本気の一撃を無闇に使わないでくれと。

 まあ、予備にいくつかあったらしく、その後はハンマーで地道に衝撃を貯めていた。

 

 

 $月÷日

 

 船が限界だった。

 原因は昨日のオレの一撃かと思ったら、どうやら前々から騙し騙しだった模様。船大工担当のラン曰く、次の島に着く前に……。

 一味の為にも、そしてここまで頑張った船の為にも次の島で船を新調して、もう休ませてあげるべきだと言っていた。

 悔しいが、それ以上に悔しいのがアイツらだろう。元々アイツらが用意して海に出た思い出深い仲間だ。オレもこの船には助けられた。だから、専門家の言う通りにもう休んで貰おう。

 

 

 $月+日

 

 船との別れを済ませて、現在新しい船を造って貰っている。造って貰っているのは、ランも驚くほどの腕を持つ船大工だ。

 何でも、元はウォーターセブンという造船業が盛んな水の都出身の船大工で、今は引退している。

 しかし、最後に凄い船を造ろうと考えており、そこに偶然にもオレ達が来て、せっかくだから造らせてくれと頼みこんで来た。

 そこでメアリーとの交渉を経て、オレ達は完成するのを待っている。

 メアリーやラン、他数名の造船技術を持っているクルー達は手伝っている。どうにも、メアリーの能力や以前手に入れたダイヤルを活かす船を造るつもりのようだ。

 

 完成まで時間がある。それまで修行でもしておこう。

 

 

 $月#日

 

 

 造船所からの会話が不吉過ぎる。

 空を飛ぶやら、ジェットやら、電磁浮遊やら。

 アイツら、船を造っているんだよな?

 

 

 $月/日

 

 鉄を叩く音が聞こえる。

 おかしいな。木材を叩いているようにしか見えなかったんだが……。

 ギンはここは偉大なる航路(グランドライン)だから、と言って何処か諦めた表情を浮かべていた。

 

 

 $月→日

 

 船ができた。できたのだが……。

 こんな事があり得るのか?

 浮いている。船が浮いているのだ。それは海に着水……着水? しても同じで、しかし普通の船のように浮いている。

 どういう事だ?

 そう思って聞くと、何でもこの船に使った木は特殊な特徴を持っており、何処にいても一定の高さでフワフワと浮き続け、とある方法以外では決して沈まないだとか。

 いや、これで航海できるのか? と聞くと、浮いている分風の影響を諸に受けるらしく、扱い方を間違えればひっくり返ったり、横転したり、果てには回転し続けると言った。

 大丈夫なのか?

 思わず不安になると、それを解消する為にダイヤルを使ってバランスを保つように組み込んでおり、この船のマニュアルや航海方法を纏めているとの事。

 それに、海に面していないからメアリーのスカスカの能力をフルに使えると言っていた。敵船からの砲撃も怖くないと言っていた。覇気が込められた攻撃は無理っぽいが。

 

 ……メアリーがここまで言うんだ。信じてみるか。

 

 

 $月*日

 

 予想以上に凄い船だった。海に面していない分抵抗力が無いからか、速度がある。かと言ってフラフラするかと思えばそんな事はなく安定していて、大岩や障害物もメアリーの能力で問題なく透過できた。

 航海の仕方も普段とそこまで変わらず、メアリーとクルー達がダイヤルを利用した秘密兵器を使えば、オレ達は何処までだって行ける。

 そんなオレ達の航海を支える新たな仲間の名前を此処に記そう。

 

 レッド・イーグル号。赤き鷲の名を持つこの船でオレは海賊王になる。

 

 

 $月☆日

 

 メアリーが、今着いた島の次が魚人島だと言っていた。ハチ達は元気だろうか。シャボンディ諸島で再会する予定だったが……ケイミーは海獣に食べられていないだろうか。

 

 そういえば、ギンが気になることを言っていたな。

 この島の住民たちが凄く親切だと。しかし決して目を合わさず、何処か余所余所しい。あまり長居するのは危険かもしれないと言っていた。クリーク海賊団に居た時……クリークの事を思い出すと言っていた。

 

 警戒しておいた方が良いな。

 

 

 $月°日

 

(何も書かれていない)

 

 

 $月×日

 

(何も書かれていない)

(涙の跡が付いている)

 

 

 $月◇日

 

(何も書かれていない)

(涙の跡が付いている)

 

 

 $月○日

 

(何も書かれていない)

(涙の跡が付いている)

 

 

 

 

 $月〒日

 

 明日書く。疲れた。

 

 

 $月:日

 

 さて、何から書こうか。日記を書くのも五日ぶりだからな。

 と言っても、あのマグマ野郎と青雉と戦っていたというだけなんだがな。メアリー達が引き返して来なかったら、あの爺さんにやられてこの日記も書けなかったか。

 いや、逃がされたと言うべきか? 青雉が気になる事を言っていたし。

 まぁ、良い。順序立てて起きた事を書くか。

 

 

 まず、あの島は海軍が用意した罠だった。予め住民を避難させ、オレ達を監視しながら大将二人を待っていた。

 気付いた時には軍艦に島を包囲され、青雉の能力で海を凍らされたのを見た時は、船が浮いていた事とメアリーの能力に感謝した。

 最初は全員で逃げようとしたが、マグマ野郎を放って置くと全滅は確実だった為、オレは残って皆には逃げて貰った。後で必ず会おうと言ったが、アイツらにはオレが死ぬつもりで残ったように見えたらしく、再会した時は全員に殴られた。一応怪我人なんだけどな。

 しかし、アイツらが居なければ捕まっていたのは確かだ。

 戦闘の余波で島は壊滅し、軍艦を盗もうとすればマグマ野郎に破壊され、仕方なく青雉が凍らせた海上で戦い続けた。

 倒すのではなく、生き残る事を優先したからこそ三日は保ったが、援軍でやって来たあの爺さん……いや、英雄ガープが来た時は正直にヤベェと思った。弱っていたとはいえ、拳骨一発でスタープラチナを消し飛ばすとは思わなかった。オレの生命力で作ったからクソ痛ェし、大将二人には囲まれるし。

 しかし、オレはこうして生きている。ご都合主義だと思うほどの、悪運によって。

 青雉がやる気だったら。マグマ野郎にダメージが無かったら。ガープの爺さんがもっと早く来ていたら。メアリー達が来なかったら。メアリーが大将二人を道連れに海の中に落ちなかったら。船を新しく変えてなかったら。戦いの余波で軍艦の数が減っていなかったら。そんな様々な要因が重なった結果、オレ達は生きている。

 今はその事を喜ぼう。

 

 

 $月=日

 

 メアリーとギン。二人とも、オレを助けるために傷を負った。

 メアリーは大将二人によって両腕に跡が残る傷を負った。火傷と凍傷で泣き叫んでいたのを今でも思い出す。時間が経てば問題無く動かせるが……。ギンもガープの一撃で武器ごと両腕の骨が折れて、表では何でもないようにしていたが夜中に呻いているのを知っている。本人は「覇気でガードして貰わなかったら、砕けていました」と言っていたが……。

 

 いや、これ以上はやめておこう。構い過ぎて二人からまた怒られる。回復するまで待とう。

 

 

 $月<日

 

 手配書を見て、いよいよ海軍の殺意の高さが伝わって来た。

 星屑のジョジョ。懸賞金5億ベリー。

 邪眼のメアリー。懸賞金9800万ベリー。

 鬼人のギン。懸賞金8800万ベリー。

 一目瞭然。大幅に額を上げて来やがった。オレは一気に2億上がり、二人も1億近くまで引き上げられている。

 メアリーは何処か微妙な顔をしていたが。どうせなら1億にしてくれ、と。しかしそれと同時に額にビビったり喜んだり悔しがったりと忙しない。

 クルー達は素直に祝福し、宴の準備をしている。

 手伝おうとすると休めと言われた。

 もう体は問題無いんだがな、そう言うと両腕に包帯を巻いたギンに「アンタの回復力はおかしい」と言われた。メアリーにも同じ事を言われた。

 

 

 $月[日

 

 新聞にエースが捕まったという情報が入った。

 何でも、黒ひげという海賊が倒したらしい。その黒ひげはエースを捕まえた事によって七武海に入ったとの事。

 黒ひげと言えば、エースが探していた男のことだ。という事は、エースはそいつに返り討ちに……。

 

 メアリーは、戦争が起きると言っていた。エースの所属する白ひげ海賊団の船長である白ひげは部下を息子と呼び大切にする。エースが捕らえられた以上、世界政府と白ひげの衝突は確実だ、と。

 

 しかし、メアリーはそれ以上の何かを見ている。これから海軍がどう動くのかを理解している。そして、それを気にしてかメアリーの顔色は優れない。

 アイツのそんな顔を見ているとあの時の夜を思い出す。エースと話していた時の事を。

 

 ……こりゃあ、怪我を早く治しておかねぇとな。

 

 

 $月△日

 

 懐かしいモノを見た。

 オレ達はレッドラインに辿り着いた。この壁の向こうにシャンクスや親父が居ると思うと、感慨深いものがある。

 ちなみに、メアリーの能力で通り抜けられるか聞いて見たところ、途中で止まって生き埋めになるからやめておけと言われた。それに、魚人島に行きたいとブーイングを受けた。オレも冒険したいからな。聞いてみただけだと伝えて安心させておく。

 ……泣くほど人魚見たいのか、アイツら。

 

 

 $月◯日

 

 シャボンディ諸島に着いた。

 適当な所に船を止めてハチ達を探すか。

 もしくは、親父の知り合いのレイさんを探すか。別れる前に此処に居ると書いてあったからな。気付いて良かったぜ。

 

 

 

 

 

 

 




これからしばらく日記風の投稿はありません
やっぱり彼らとの再会は普通に書いてみたいので。
その前にセンゴクさんの胃の荒れ具合をチェックします。
他に書く事あった気がしましたけど……忘れたので思い出したら書きます

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