とある海賊の奇妙な冒険記【更新停止中】   作:解放したPNTマン
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主人公日記 十三ページ目(後書き追加)

 #月&日

 初めての経験だ。空を飛びながら日記を書くっていうのは。
 シャボンディ諸島での失態は、オレの冷静さを失わさせた。一晩経ってそう思える程には落ち着いた。麦わら達もオレと同じようにこうして空を飛んでいるのだろう。あの男の言葉を信じるのなら生きている。実際、そのようになりそうな現象は赤い土の大陸(レッドライン)に叩きつけられた時に分かった。体への衝撃が無く、肉球のヘコみが出来上がった事から、そういう能力なのだろう。
 という事は、アイツは最初から麦わら達を逃す気だったという事に――。

 麦わら達の生存率が上がったのは喜ばしい。だが、オレはどうなるか分からないらしい。アイツは別れ際にそう言った。その意味をオレは何となく察している。
 赤い土の大陸(レッドライン)に激突したオレはアイツの能力で一度停止し、次は空に向かって吹き飛んだ。その後、壁の頂上を越えてしばらくして空中で能力が切れたのか、次は赤い土の大陸(レッドライン)のその先の海に向かって飛んだ。
 ……新世界、入っちまったな。
 メアリーやギン、アイツらに何て言おう。それに、三大将が居るあの島に居て無事だろうか。メアリーはあの場に居なかったから、レイさんに救援を頼んだ後ギン達の元に向かったのだろうか。
 何とか連絡手段を見つけて、アイツらの無事を確認しねぇとな。
 ……その前に、自分の無事を祈るか。海に落ちてしまえば能力者のオレはお陀仏だ。


 #月$日

 運が良いのか悪いのか……オレは海に落ちることは無かったが、海賊船に落ちてしまった。しかもここの奴ら、かなり強い。甲板に肉球のヘコみを作った(実際はオレじゃあねぇが)オレにキレると、縛り付けて牢屋の中に入れた。抵抗しようにも腕は折れ、腹に穴が空いた状態で満足に動く事ができず、パイナップル頭の男にカウンターを入れた後動けなくなってしまった。
 海楼石の手錠で拘束されて上手く力が出ない。日記を書くのも疲れる。
 引き千切っても腕に取り付けられたままでは満足に動けないな。
 怪我をしているなら尚更だ。


 先ほど、飯を持って来た此処の海賊の船員が海楼石の手錠を外してくれた。最初はどうやって引き千切っているんだと驚いていたが、オレが正直に答えるとドン引きした顔をして外してくれた。動き辛かったから助かる。
 しかし牢屋から出す訳には行かないらしい。今は時期が悪く、オレに構っている暇が無いとの事。さらに船長の身に何かあったらマズイので、首を取りに来たのなら後にしてくれと言われた。
 どうやら単身敵船に突っ込んで来たと思っていたらしい。心外だ。
 オレにその気はないと伝えると何となく分かっていたとアッサリ答えられる。
 言質は取ったと笑うと、男は……いや、マルコはオヤジに掛け合うと言って行ってしまった。エースから友達だと聞いていたらしい。
 ……この時、アイツらが――白ひげ海賊団がピリピリしていた理由をオレは悟った。メアリーが言っていた言葉を思い出して。


 牢屋から出されたらオレは、船医に治療して貰い寝床を与えられた。白ひげには感謝しねぇとな。怪我も治して貰ったし。
 それにしても、此処の船医は凄いな。みるみるうちに怪我が治っていく。そう呟くとお前の体が凄いだけだと謙遜していたが。

 それと、此処の船の奴らはオレの親父と母親を知っているらしい。
 白ひげに親父は元気か? と聞かれて出航前に別れたと答えるとアイツの息子だったのかと驚き、何人かの視線に怒りが湧き上がっていた。白ひげに親の罪を息子に向けるなと一喝されて直ぐに無くなったが……親父、何したんだ? 聞くと頭が痛くなりそうだから尋ねなかったが。
 そしてそれ以上に気になるのが母親の存在だ。白ひげは親父の存在と海軍がオレを執拗に狙っていた事から、オレに流れるジョン・スターの血の事を言い当てた。すると、親父の名に驚いていた白ひげの息子たちが絶句し、ジョン・スターの血が残っていた事実が信じられないと白ひげに事の真偽を問うていた。
 白ひげもそれまで薄っすらと浮かべていた笑みを消すと真剣な表情で頷き、オレは置いてけぼりにされた。マルコにどういう事だと聞くと、お前に流れている血は親父の息子だという事よりもヤバいと言い出し、それが世間にバレれば世界政府は何がなんでもオレを殺そうとする、との事。親父の息子という時点で四皇を始めとした名のある海賊達がオレを狙う理由があるのに、こんな事があるのかと頭を抱えていた。
 流石にオレもそこまで言われては呑気にしていられず、白ひげにジョン・スターの血とは何だと尋ねた。今までの航海で、ある国では星の一族と呼ばれるそれは何なのか。その答えをこの男は知っている。
 しかし、白ひげは答えなかった。親父が黙っている以上、他人である自分が語る事じゃないと返された。
 ただ、オレが母親を知らない理由だけは教えてくれた。
 ジョン・スターの血を引く者は一世代に一人だけ。病気かと思えば、そうではなく、もはや呪いの様に古の時代から定められた運命だとジョン・スターの血を知る者は口々に言うらしい。
 しかし白ひげは違うと言った。お前は、母の愛で守られて生きている。親父の制止を振り切り、世界を相手取って死んだ。故に、オレが海に出るまでその存在を知られる事が無く、こうしてこの歳まで生きて来られた、と。
 母親を恨んでも良いが、その事は知っておいて欲しいと締めくくり、オレは――素直に頷く事しか出来なかった。すると白ひげは優しい顔でオレの頭を撫でるとさっさと傷を治せと言ってオレを部屋に放り込んだ。エースの友達を死なせる訳にはいかねえ、と言って。
 そんな白ひげを見て、オレは白ひげ海賊団のクルー達が彼の事をオヤジだと言っている理由が分かった気がした。

 そしてオレは個室でこうして傷の手当てを受けて日記を書いている。こうして纏めると長いな……。
 それに、借りも出来た。


 #月○日

 白ひげ海賊団のクルー達と飯を食いながら、少しだけ母親の事を聞いた。何でも、この船に長く居る者たちはオレの母親の事を『姐さん』と呼んでいたらしい。だから死んだと聞いた時は泣いたし、息子であるオレがこうして此処に居るのは嬉しいと言っていた。
 それと同時に母親を唆し攫っていったあの糞爺は絶対に許さんと、親父への殺意は並大抵のものでは無かった。姐さんが惚れたから余計に、とも言っていた。
 白ひげはどう思っているんだ? と本人に聞くと、アイツが決めた事にいちいち口出ししねぇよと言いつつ、少しだけ寂しそうにしていた。オレの母親も白ひげに娘と言われていたようで、ジョン・スターの運命で親を亡くして独りで泣いていた所を白ひげに拾われたとの事。昔からヤンチャで、オレを見ているとよく思い出すと言っていた。そして親父の方に似なくて良かったと割と本気の顔でそう言った。擁護できねぇな……。酒飲んで常に酔っ払っている親父を思い出し、そう思った。

 しかし、白ひげがオレの母親の親なら……オレは孫って事になるのだろうか? そう思って口にすると白ひげはポカンと驚いた顔をして、次の瞬間には口を開いて大きく笑った。
 試しに爺さんと呟いてみると笑い過ぎて傷が開いて大騒ぎになった。戦争前に死ぬとか洒落にならんと白ひげ海賊団は大慌て。そして以後オレに白ひげに向かって爺さんと呼ぶのは禁止だと言われた。
 なんでオレが怒られにゃならんのだ。

 ……戦争、か。

 #月☆日

 白ひげ達は、エースを助けに行くと言っていた。
 息子が殺されると聞いて黙っていられない、海賊団全員がそう言っていた。
 それと同時に、オレに申し訳無さそうにしていた。海軍に動きを察知される訳にはいかないので、安易に電伝虫を使う事も出来ない。魚人島まではこの船で大人しくしていてくれと言われた。魚人島に着けば、コーティングした船でシャボンディ諸島に帰る事ができるから、と。そして、白ひげ海賊団が入手した情報では三大将が捕らえた海賊にクルセイダー海賊団の名は無かった事から、アイツらは生きているともオレを安心させるように言った。

 それだけ白ひげ達はこの戦いに本気なのだろう。その気概を見て白ひげの家族を思う気持ちに感服し、しかしそれと同時にオレは自分の扱いに納得できなかった。
 確かに、勝手に居なくなったオレを心配しているアイツらの身の安全の確保を想うのなら、白ひげ達の力を借りて、逆らわずに従って帰るべきだ。しかし、白ひげ海賊団には怪我を手当てして貰い、白ひげからは母親について教えて貰った恩がある。その恩を返さずに、さらにはシャボンディ諸島までの帰り道を全て整えて貰ってノコノコ帰るのは……あまりにも男として不義理で、船長として情けないのでは? そう思ってしまった。そう答えると周りの奴らには頑固者と呆れられ、白ひげ傘下の海賊からは四皇が相手なら気にする必要は無いのでは? と言っていた。
 しかし、オレはその言葉に従う事はできない。そう突っ返すと白ひげは生意気な小僧だと笑った。それと同時に、どう恩を返す? と面白そうにこちらを見ながら尋ねる。
 それに対して、オレはこう答えた。

 エースを助ける為の戦いに、オレも混ぜろと。

 途端、白ひげは目つきを鋭くさせ、隊長達は怒りを顕にし怒号が船上に響いた。馬鹿にしているのかと。この戦いの意味を理解しているのかと。ジョン・スターのお前が海軍の全戦力が集う場所に行って命があると思っているのかと。口々にオレが放った言葉に反対し、詰め寄って来た。そこからは売り言葉に買い言葉。覇気も能力も使わなかったが全員で殴り合い、互いの主張を押し付けて……いや、もはや意地を張り合っていただけだな。今思うと。気の良い奴らで家族を大切に思う奴らだ。助けられたっていうのもあるが、オレも何処か気に入っていたんだろう。向こうも『姐さん』と慕っていたオレの母親の息子だからか、情が湧いている様に見えた。

 だからオレはこいつらの助けになりたいし、本気でやり合ってその後に仲良くなって宴をした――友達のエースを助けたい。

 しかしアイツらも母親の形見であり、エースの友達を危険な目に合わせる訳には行かない。そして白ひげ海賊団としての矜持がオレを巻き込む事を許さなかった。

 一歩も譲らないオレ達。そんなオレ達を止めたのは白ひげだった。
 白ひげは、オレがこの戦争に参加すれば真っ先に狙われると言っていた。『親の罪子報う』なんざ下らないが、海軍はそう思っていない。この船の人間じゃない以上止めることはできないが、それでも戦場に行くのか。命を賭けるのか。
 白ひげはオレにそう問いかけ――オレは自分の言葉を撤回しなかった。
 すると、白ひげは「死んだら船長失格だ。せいぜい乗る船を失うなよ」と言って、以後オレの行動は白ひげの預かりとなった。
 隊長達は絶対死ぬなよやら、死んだらオレ達白ひげ海賊団の恥やら、今すぐ縛ってシャボンディ諸島に送り届けてやりたいやらと好き勝手に不満を口にした。嬉しく思いつつもオレは一海賊の船長だから気にするなと言えば、気にするわどアホ! と怒鳴られて再び喧嘩が勃発し、白ひげの独特な笑い声を耳にしながら決意した。

 絶対にエースを助けよう。こいつらの為にも。爺さんの為にも。


 #月÷日

 ニュースクーで妙な記事が出回っていた。
 いったい何処から仕入れて来たのか、オレと麦わらの一味が海賊同盟を結成したという情報が漏れていた。シャッキーやハチ達が言いふらすとは思えないし、メアリーは……可能性がありそうだなぁ。新聞に書かれている内容が麦わらに手を出せば、大将を退けるクルセイダー海賊団が黙っていないみたいな事が書かれている。空飛ぶ船は直ぐに駆け付け、あなたの大切な人が……とも書いてあるしな。強みを最大限使ってやがる。散り散りになった麦わら達を庇う為だろうか? アイツも動いている事が分かって安心した。

 マルコは新聞を見て、オレとエースの弟である麦わらが海賊同盟を結成した事に驚くと同時に、お前の妹は別ベクトルでヤバいなと言っていた。やっている事が四皇並みに厄介だと。聞くとビッグマムもその力を使って自分に従わない相手に肉親の遺骨を届けて、逆らったらどうなるかを思い知らせるらしい。胸糞悪いな。そしてそれと似たような事をしているうちの副船長の未来が心配だ。世界から見たオレの悪名を上手く使っているが、それが妹だとな……。
 それにまた邪眼がどうのこうのと書かれている。これはアイツの指示じゃ無いだろう。悶えている姿が目に浮かぶ。
 妹は親父の方に似ちまったなと白ひげが少し悲しそうにしてたので、親父が拾って来た子だと説明すると親父の影響かと納得した。というよりもジョン・スターの運命で血が繋がっていない事は分かっていたと言っていた。
 それを聞いた隊長達がお前がジョン・スターの血を受け継いで良かったと言っていたが、もしメアリーが受け継いでいたらどう思ったんだ? そう聞くと全員顔を逸らして質問に答えず、任務で忙しいと理由付けて海軍の偵察艦隊を沈めに行った。
 メアリーが此処に居なくて良かったと思う。多分泣くぞアイツ。最近クルセイダー海賊団でヤバイのは邪眼のメアリーでは無いのか? みたいな風潮あるし……。


 #月<日

 魚人島にて白ひげ傘下の海賊団と合流した。コーティングを終え次第前半の海に行き、公開処刑される当日にはマリンフォードにて海軍を強襲しエースを奪還する。その際に元帥センゴクが練っているであろう作戦、そしてオレがシャボンディ諸島で(結果的に)消耗させた戦力、新戦力のパシフィスタを元に考慮して、それぞれの細やかな取り決めをした。オレは白ひげの預かりとなっている為、しばらく共に動くが……戦争になればそれも解除されるだろう。その時の為にオレも完治に向けてゆっくりしよう。それと、オーラで爺さん白ひげの体を少しでも回復させないと。ハナッタレが余計な気を回すなと悪態吐かれるが、勝つ為だから文句言うなと言っておいた。全く、頑固な男だ。


 #月>日

 今まで大将と何度もぶつかって来たが……もうそろそろ逃げるのは終わりにしよう。

 友を救う為には、恩を返す為には、義理を通す為には、アイツらは一番の障害となる。

 今まで散々追い駆け回して来たんだ。仕返しの一つや二つしてもバチは当たらねえだろ。

 さぁ、待っていろよ。海軍。

 次は、オレの番だ。

 覚悟は良いか? オレはできてる。



白ひげ達がエースとジョットが友達だと知っているのは、エースが白ひげに定時連絡をした時に話したからです。







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