『ォオオオオオオーーッ!!』
「怖いね~。前よりも化け物染みている」
もはや独立しているとも言って良い程に暴れるスタープラチナ。
スタープラチナのラッシュは、一度捕まれば光の速度で移動できる黄猿でも脱出するのに苦労する速さだ。ジョットのオーラで作られた存在なので、青雉と赤犬にも当然攻撃が効く。故に、スタープラチナを抑え込むのは自然と黄猿の仕事となった。
しかし、シャボンディ諸島で戦った時よりもスタープラチナは雄々しく、荒々しく、そして凶暴だった。まるで意志を持っているかのように雄叫びを上げて黄猿に襲い掛かっていた。
光の剣――
何発か防ぎ切れず、光の体に走る衝撃に眉を顰めながら黄猿はスタープラチナの脅威を直接感じ取っていた。ロギア特攻の覇気に似た力――オラオラの実の本質から外れだしている悪魔に、黄猿は戦慄を覚える。これは、この世に野放しにしてはいけない。傷が治り、全盛期の肉体を得た黄猿を圧倒する速さと尚成長するその異常さ。放って置けば――世界を支配する力を手に入れる。
もう数えるのも億劫になる程の打ち合いをしながら、黄猿はそう思った。
そして、青雉もまた目の前の海賊に戦慄していた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ――オラァ!」
「ぐっ……!」
かつてジョットを倒すために、赤犬と共に一つの島と数多の軍艦を犠牲にジョットを追い詰めた事がある。三日間の戦闘は互いに無視できない傷を付けた。
しかし、大将たちはモドモドの実の能力によって傷を治した――厳密には違うが――上、全盛期の肉体まで若返った。元々
だが、彼はどうだ?
何故、彼はここまで動ける? 何故、彼は傷を負ってもなお、前へと歩み続ける? 何故彼は――大将三人同時に相手にしても一歩も退かない? 何故……気迫でこちらが圧されている?
それは、あり得てはならない光景だ。これでは、まるで――。
「“大噴火!”」
「“アイス
「オラァ!」
――四皇クラスの化け物じゃないか。
赤犬と放った攻撃が弾き飛ばされ、吹き飛ばされながら青雉はそう思った。
普段だらけきった態度を見せる彼が、冷や汗を垂らす程にジョットは恐ろしい存在だった。初めて会った時は“だらけきった正義”の元、彼と戦い、そしてその時は見逃して次の戦いに持ち越したが――その結果がコレだと思うと笑えて来る。
別に後悔はしていない。己の正義は確固たる意志を持って選んだものだ。今更それを疑う気は無い。
だが――。
「――そうも言っていられないか」
認識を改めないといけない敵だ。危険だとか、血筋だとか、そういう問題じゃない。
青雉は、正義と書かれたコートを触れると――瞳に燃え上がる信念を宿らせて再びジョットへと挑んだ。
赤犬は、ジョットが初めて戦った海軍の人間であり、成長のきっかけを作った人間であり、海賊として旗揚げした瞬間を目撃した人間だ。
ジョットが彼と出会わなかったら、ここまで辿り着けなかったのかもしれない。そう思える程に、赤犬はジョットの海賊人生に影響を与えた因縁深き人間だ。
互いに嫌悪し殺し合う仲だが、敵として認め合っている。
だからこそ、赤犬はジョットを必ず己の手で殺すと決めているし、ジョットは赤犬を倒すと決めていた。
「オラァ!」
水色のオーラと覇気を纏ったジョットの拳が、赤犬のマグマ化した拳とぶつかる。
思えば、この力の使い方も赤犬と戦って得た物だ。
悪魔の実の能力に詳しいメアリー曰く、ジョットのオラオラの実の能力は補色関係にあるオーラを打ち消す力がある。
マグマが持つ赤いオーラ。冷気が持つ水色のオーラ。光が持つ黄色のオーラ。それらと補色関係にあるオーラをぶつけ干渉すれば、大ダメージを与える事が可能だ。無意識に使った時は、マグマの体を持つ赤犬に凍え死にそうな程の寒気を与えた程だ。自然の力を持つロギアにとって、彼のオーラの力は天敵と言えよう。
まるで、海軍大将を倒すための力と言える。
「ジョォオオッ、ジョオオオオオ!!」
そして、その力を持ったジョットはまるで運命のように三大将と対峙していた。
赤犬の怒号が広場に響き、彼が拳を地面に叩き付けると共にマグマの柱がいくつも噴き出す。周りの海兵たちは巻き込まれないように必死で、悲鳴を上げながら逃げていく。
しかし、力を向けられた本人であるジョットは笑みを浮かべて襲い掛かるマグマの柱を蹴散らしながら、拳を赤犬へと叩き付け……本日何度目かの至近距離で睨み合う。
相手を倒す/殺すという意志が交差した。
『いい加減、倒れろ!』
異口同音にそう叫ぶと、彼らは激しくラッシュを打ち続ける。
既に、広場の一角は原型を留めていない。
ジョットが死ぬか。三大将達が倒れるか。決着が着かない限り、この死闘は続くのだろうと思われた。
海兵たちが戦闘の余波で満身創痍になりながらそう考えていると、さらなる凶報が彼らを襲う。
――白ひげ海賊団が、包囲網を破って広場に雪崩れ込んだ。
▲▽▲▽▲▽
「白ひげが広場に降りたぞーー!!」
意識を取り戻したオーズの力を借り、モビーディック号の同じクジラを模した巨大船に乗り込んだ白ひげ海賊団。
それを見たガープとセンゴクは表情を険しくさせ、三大将とジョットの戦闘で混乱していた海兵たちはさらなる脅威に顔を引きつらせる。
広場に降り立った白ひげは、薙刀にグラグラの力を纏わせて海兵たちを吹き飛ばし、視線を三大将と戦っているジョットへと向ける。
「あのアホンダラ……無茶しやがって……!」
驚くべきスピードで成長するジョットに、白ひげは一瞬悲しそうに顔を伏せ――叫んだ。
「野郎ども! エースを救い出し、海軍を滅ぼせぇええええッ!!」
『うおおおおおお!!』
白ひげの指示の元、海賊たちは此処が正念場だと言わんばかりに海軍に突っ込んだ。
包囲壁で閉ざされたこの空間は、海兵にとっても不味い。ガープが思わず呟く程だ。
白ひげもグラグラの能力を最大限使って進撃している。それを止めようと中将以下海軍将校が挑むが……ジョットの能力によって回復しているからか、物ともせず蹴散らしていく。
これでは、エースを処刑する前に海軍が持たない。無理に強行しようにも、先ほど妨害したクロコダイルのように阻まれるだけだ。ドフラミンゴと激突している元七武海の男をチラリと見てそう思った。
「……」
見聞色の覇気で広場に直行している友の気配を感じ取り、センゴクは目を閉じ――決断する。
「――ガープ。お前に家族を手に掛けろとは言わん。だが、我々の邪魔だけはするな」
「……分かっとる」
その言葉を聞くと――センゴクが動いた。
戦争に置いて、総指揮官が動くのは愚の骨頂。エースの処刑を終えていない今なら尚更だ。
しかし、三大将が止められている以上白ひげを止める事ができるのは――彼
センゴクの体が空中で変化する。巨大化し、黄金に輝き、正義のトップが此処に君臨する。
仏のセンゴク。その異名通りの姿になった彼は、こちらを見上げて構える白ひげと――激突した。
地震と衝撃波が拮抗し、その衝撃は周囲に及ぶ。地面が罅割れ、大気は震え、人が飛ぶ。
「そう易々と、此処を潰して貰っては困る!」
「グララララ……だったら、守ってみせろ!」
そう言うと、白ひげは大気を殴りつけ、衝撃がセンゴクへと襲い掛かる。
しかし、直撃する瞬間何者かが割り込んで地震の力を打ち消した。
「センゴク、おれも混ぜて貰おうか!」
「ゼファー……!」
割り込んで来たのはゼファーだった。彼が広場に辿り着くと同時に、痛みで顔を歪ませたマルコが包囲壁の上に降り立つ。どうやら、能力を使ってゼファーを今まで抑え込んでいたものの、突破されてしまったようだ。白ひげの前にセンゴクと共に立つゼファーを睨み付け、炎の翼を広げるマルコだが――。
「マルコ! 目的を見失うな!」
「オヤジ……」
「おれたちァ、エースを救いに来たんだ――それを、あのアホンダラに教えろ」
「……分かったよい。隊長達はおれに続け!」
白ひげの意を汲んだマルコは、広場に降り立った隊長たちを引き連れて移動した。
それを見送った白ひげは構えると、目の前の長年戦い続けた敵を見据える。
「懐かしい顔ぶれだ。昔を思い出す」
「同感だ――だが、そろそろ終わりにしようぜニューゲート」
「その通りだ。この戦争――我々が勝たせてもらう」
「グララララ……できるものならなッ!」
マリンフォードが、再び揺れる。
地面に走る罅はまるで悲鳴のようだった。
▲▽▲▽▲▽
「ハア……ハア……エーーースーーーッ!!」
処刑台まで走る続けるルフィ。その体はボロボロだった。
ジョットが施したオーラは尽き、ギアは使用できないまでに疲弊し、ただ叫びのみ。
ゴムの腕を引き絞り、処刑台まで一気に伸ばそうとするが――。
「
「うあっ!?」
三人の中将に急接近され……そのまま覇気が込められた腕で思いっきり殴り飛ばされた。
先ほどまでは何とか野生の勘で避け続けられていた攻撃も、今ではこうして直撃を受ける始末。
体力の限界もあり、ルフィの意識が飛び掛けた。
「ぐふぅ……!」
「麦わら!?」
さらに、不幸なことに……いや、中将たちが狙ってやったのだろう。
ルフィが吹き飛ばされたその先は、ジョットと三大将が激突している戦場だった。啖呵を切ったジョットの体にも様々な傷が見られ、血が流れている。
少しだけ息を切らしながら、ジョットは意識が朦朧としているルフィを見て――すぐさま抱えると回避行動に移る。
「今更逃げるのは無しだよォ~星屑」
「黄猿……!」
踵落としで地面に亀裂を走らせる黄猿を睨み付けながら、ジョットは後ろへと跳び。
そんな彼に、両サイドから覇気と能力を纏った腕を叩き付けるべく先回りしていた赤犬と青雉が迫る。
「あらら。麦わらを庇う余裕あると思ってんの星屑?」
「麦わら共々死に晒せぇジョジョ!」
それを、ジョットはスタープラチナと共に覇気で纏った腕で受け止めた。
此処で初めてジョットの動きが止まった。
それを見逃す大将ではない。
黄猿のレーザーがジョットの体を貫いた。
「庇うからだよォ~……わっし達を倒すんじゃなかったのかい?」
ジョットの背後で爆発が起きる。
それでも、ジョットは膝を折らなかった。それどころか黄猿を強く睨みつける始末。
レーザーを撃たれて表情を変えないジョットに黄猿は呆れ……狙いを彼が抱えている麦わらへと向ける。
「そのゴミクズが、君を殺すよォ星屑……同盟相手を間違えたねぇ~……」
「っ……!」
額に青筋を立てたジョットが、怒りを爆発させようとした瞬間。
「ハアッ!!」
「――ッ!」
青い炎の翼を羽ばたかせて、マルコが黄猿を横から蹴り飛ばした。
不意を突かれた黄猿は直撃し、瓦礫の中へと消える。
「はっ!」
「せいっ!」
マルコの登場に一瞬気を取られた赤犬と青雉は、背後から援軍に来た隊長たちの覇気を纏った攻撃でジョットから無理矢理距離を取らされた。マルコを筆頭に隊長たちは、ジョットを庇うように立ち塞がる。
ジョットは顔を険しくさせながら、大将たちを見据えるマルコの背中に向かって尋ねる。そこに、少しだけ怒りの感情を乗せて。
「テメエら、何をしている。此処はオレ一人で――」
「目的をはき違えるなよい、ジョット」
「……何?」
「お前は、此処に何をしに来た? 三大将との喧嘩か? 確かに今のお前なら止められる――だがな」
振り返ったマルコの瞳には、確かに怒りの炎があった。
「それじゃあダメなんだ。ジョン・スターの血を持つお前がそれをしたら……お前の母の様に此処で死ぬ」
「……」
「やっぱりかよい。お前、死ぬ気で戦っていたな」
「死ぬ気はない。勝つ気でいた」
「だったら一人で戦うな。――とりあえず、お前は下がってろ。今のお前に、大将たちは任せておけない」
そう言うと、マルコを先頭に隊長たちは大将たちと激突した。
一度戦闘を中断したからか、一気に疲労がジョットを襲いガクンッと膝を着きそうになる。そんな彼に白ひげ海賊団の船医とイワンコフが駆け寄った。
「大丈夫かジョット!」
「麦わらボーイ! ……やっぱりもう限界っシブルね。船医、麦わらボーイを安全な所へ。彼はもう十分に戦った。これ以上は命が危ない」
「ああ、分かっ……」
イワンコフの言葉に頷く船医の腕を、意識を失った筈のルフィが払う。
それに皆が驚く。ジョットの目から見てももう限界に近い。
しかし、彼は――。
「おれは、まだ戦うぞ……」
「しかし……!」
「たった一人の、兄ちゃんなんだッ! やるだけやって死ぬなら良い……! でも、此処で倒れてエースを助けられなかったら――後で死にたくなるッ!! だからイワちゃん! おれに戦う力をくれ!」
とても重い覚悟――大切な者を失いたくないという想いが、ジョットの目に映った。
それと同時に理解した。マルコが何故自分を退かせたのかを。彼もまた、姐さんと慕う女性の息子を失いたくなかったのだ。そこにはジョットを退かせる凄みがあり、そして今のルフィにもまた同じ凄みがあった。
(いや……そんな事は分かっていた)
ジョットは――それを改めて思い出した。兄に向かって叫ぶルフィを助けると決めた己の直感を。
だからこそ消費を覚悟でオーラをルフィに譲渡したのだ。
だが、それでは足りなかった。
故に、ジョットは決めた。
「無茶を言うなっシブル! ヴァナタに死なれたらドラゴンに合わせる顔面が――」
「その願い、聞き遂げようぜ革命軍」
「星屑……!」
反対するイワンコフをジョットが止め、彼は屈んでルフィと視線を合わせた。
疲労で瞼が半分降りているが、それでもその瞳には強い光があった。
もう、ジョットが躊躇する理由は無い。
「ルフィ。オレはお前がこの戦場に来た時――何故か、エースを救うのはお前しかいないと思ってた」
「ハァ……ハァ……ッ!」
「何故そう思ったのか。最初は良く分からなかった。だが――それが今分かった気がする。
オレがすべき仕事は、一刻も早くエースの元に辿り付く事じゃなかった。三大将を引き受ける事じゃなかった。死ぬ気になってこのマリンフォードごと海軍を沈める事じゃなかった」
戦う最中、己の使命を考えていたジョットは――ついにはっきりと見えた答えを口にする。
「お前を、エースの元に届ける事だったんだ。だから、オレもここまで来れた」
「ヴァナタ、何を言って……」
「麦わら――いや、モンキー・D・ルフィ。約束してくれ。兄を救うと。そうすればオレはお前に魂を懸ける!」
「――ああ……! 約束……する……!」
ジョットの魂の問いかけに、ルフィは全力で応えた。
「革命軍。お前の力が麦わらの命まで回復できないなら――オレが肩代わりする。だから、コイツの願い聞き遂げてくれ」
「~~~~勝手にしやがれェ! このバキャッブル共!」
イワンコフの能力が、ルフィの体にさらなる力を与える。
ドクンッと彼の心臓が激しく脈打つ。
「スタープラチナ――こいつを、頼むぞ」
そして、ジョットは己の半身であるスタープラチナを作り出し――それを純粋なオーラに変換し直してその全てをルフィの体へと送り込んだ。
ルフィの体を青白いオーラが包み込み、インペルダウンから負って来た肉体の傷、疲労が癒え……いや、
荒れ狂う力を感じ取りながらも、ルフィは静かにエースへと続く道を見据えた。
ジョットはほとんどのオーラを失った事で座り込み、反対に立ち上がったルフィの背中に一言。
「――行ってこい。ルフィ!」
「――おうッ!」
友の魂を胸に、ルフィが戦場を駆け抜ける。その速度は、ギア2を使っていないにも関わらず速かった。
青白いオーラを纏った彼の動きを見た海軍将校たちが驚きに目を見開く。あれでは、まるで――。
「行かせないよォ~……麦わらのルフィ」
そんななか、隊長たちと戦っていた黄猿が立ち塞がる。指先が光り出し、レーザーが三発撃ち出される。
見聞色の覇気が使えなければ回避する事も困難。ルフィは覇気を使えない。故に今まで何度も黄猿の攻撃の餌食になっていた。
しかし――。
(右、左、右)
「……!」
頭の中に浮かんだイメージ通りに、ルフィは頭を傾け――黄猿のレーザーを回避した。
それに一瞬驚くも、黄猿はまぐれだと判断して追撃のレーザーを放ち……。
「ふっ」
しかし、ルフィは冷静に避け続けた。まるで黄猿の攻撃が何処から来るのか分かっているかのように。
それを見た黄猿は構えを変え、ルフィは腕を後方へと伸ばしながら捩じりを入れる。
「――“ゴムゴムの……”」
「“
「やばい。逃げろエースの弟!」
光の速度で移動した黄猿は、ルフィの頭上に現れると蹴りを放った。
それを見た白ひげ海賊団が顔を引きつらせ――次の瞬間驚きに変わる。
「“
「ぐぅ……!?」
黄猿の蹴りを避け、渾身の一撃をぶち込むルフィ。油断していた黄猿は体に走る痛みに顔を歪ませ、ルフィの拳によって吹き飛ばされた。
大将に一撃叩き込んだルフィに海兵たちは……特に先ほどルフィを追い込んだ中将たちは信じられないと己の目を疑い、処刑台の上で見ていたエースは驚きに呆然とし、そしてそれを後方から見ていたジョットは――。
「良い物見れたぜ、ルフィ」
スカッとした表情を浮かべて笑っていた。まるで、こうなる事が分かっていたと言わんばかりに。
「あ、あれは……?」
「オレの新技って奴だ。白ひげの爺さんにうっかり大量のオーラを流し込んだ時に発見した切り札だ」
謂わば、オーラによるドーピングのようなものだ。
オーラの探知、干渉、攻撃。それらの限界を無理矢理こじ開ける力だ。本来ならオラオラの実の能力者であるジョットでしか制御できない力。しかし、昔から野生染みた生活をしていたからか、それとも持って生まれた性質か、ルフィは無意識にその力を使いこなしている。
「
剃で近づくモモンガ中将の動きを正確に捉え――。
「
背後からダルメシアン中将の指の刺突を避け――。
「“ゴムゴムの――
「ぐっ」
「ぬあっ!?」
オーラで纏った拳の乱打で返り討ちにしていた。
あまりにも劇的な変化にイワンコフは驚いていた。
「革命軍。オレにもル……麦わらにした奴を頼む」
「……はっ! な、何を言っているッチャブル! あれは疲労を誤魔化すためのもの! 見る限り、ヴァナタヘロヘロじゃない! ……さっきのアレ、強力だけど随分と疲れるようね。恐らく、能力も使えないでしょう。ヴァナタは此処で――」
確かにイワンコフの言う通り、現在ジョットは能力をまともに使えない。スタープラチナは彼の半身。それを構成するオーラをルフィに渡したという事は、内包するオーラをほとんど渡したという事と同義。無理に戦えば消耗が増すと、イワンコフはジョットの申し出を断ろうとし――。
隣で、ズンッと地面に穴が空いた。そちらを見ると、ジョットが拳を叩き付けていた。
「まだ、覇気がある。拳がある。足がある――戦う意志がある! お前が止めても、オレは行くぞ!」
「~~~!! 麦わらボーイと関わりのある奴らは、無茶をするッチャブルね!」
せいぜい死ぬなよ星屑ボーイ!
そう叫んでイワンコフはテンション・ホルモンをジョットに注入した。
ドクンッと心臓が脈打ち、ジョットが立ち上がる。
「ありがとうよ――名前は」
「エンポリオ・イワンコフ。この顔面と共に覚えておきな!」
「ああ、忘れないだろうよ――ありがとう」
その言葉を最後に、ジョットは戦場に舞い戻った。
一応オーラが使えるか試してみたものの、薄っすらと纏えるだけでしばらく使えそうになかった。
しかし、彼はそれで構わなかった。
能力が使えずとも、彼は戦える。
覇気を纏い、ジョットは目の前の敵――赤犬へと殴りかかる。
赤犬は拳を受け止め、マルコは乱入してきたジョットに怒りの声を上げる。
「――ジョジョッ!」
「お前、下がってろって……!」
「言われたが、従うとは言っていないぜマルコ?」
赤犬を弾き飛ばし、マルコの隣に降り立つジョット。
しばらく厳しい視線をジョットに向けていたマルコだったが、ため息を吐くと赤犬へと構える。
「死ぬなよジョット!」
「分かっている!」
マルコの言葉に返しながら、ジョットは赤犬へと殴りかかった。
活動報告にて、今回の話について述べました
興味がありましたらご覧ください。