職業=ボーダー隊員な社畜と功名餓鬼、時々JKのボーダー生活日誌   作:地雷一等兵

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さて、そろそろあの大規模侵攻なんですよね。

では本編をどうぞ↓に


第12話 有望な新人たち

 

 

新年を迎え、ボーダーの正式入隊日のこと。

鷹原隊の面々は今日も今日とて防衛任務……ではなかった。

入隊式の後に行われるガイダンスの指導官として蓮川が呼ばれ、それに付き添う形で鷹原と猫葉も本部にいた。

目的は新人のヘッドハント(勧誘&物理)である。

目ぼしい新人がいれば声を掛けるつもりで彼らはここに顔を出していた。

 

 

「目ぼしい新人はいねぇがぁ?」

 

「そう簡単に蓮にゃんクラスは見っからないにゃ。」

 

ぎらつく目で周囲を見渡す鷹原と猫のようにまったりしている猫葉の二人はかなり目立っている。

それは彼らとほぼ同じ目的で来ている正隊員の視点からもそうであり、ともすれば新入隊員からはかなり奇怪な目で見られている。

 

 

「なぁ、あれって……。」

 

「しっ! 目を合わすな!」

 

「鷹原隊員?」

 

「マジで! おれファンなんだけど!」

 

ぼそぼそと話題に上る彼らだが反応はおおよそ二つ、ヤバイ輩を見るような目と憧れの目だ。

ボーダーの公式サイトなどをよく見ている者からすれば鷹原は割と有名な存在である。そのボーダーや平和に対する献身的な姿勢からよくホームページに名前が載っているからだ。

中身は単なるワーカーホリックの社畜だが。

 

 

さてこの話題は置いておくとして、本題。

アタッカー・ガンナー合同のカリキュラムだ。仮想空間内でトリオン兵と戦い撃破タイムを測ると言う単純なもの。

ちなみに鷹原も猫葉も四年前のボーダー設立当初のメンバーであるため、この種目を新人時代にやったことはない。

 

 

「今回は不作だなぁ……。」

 

「にゃにゃ、そう何人も駿にゃんとか双葉にゃんみたいなのがいてたまるかにゃ。あんなのがぽんぽんいたら今頃ボーダーは人外の巣窟にゃ。」

 

「今でも割とそうだと思うが……。」

 

人外と聞いて思い浮かんだ人物を数えてしまった鷹原は思わず苦笑いを浮かべる。

総合トップの太刀川はもちろんそれに追従する二宮も人間という枠からはみ出しているし、それを上回るレベルで忍田も大きくはみ出しているだろう。

他にもボーダーには人間からはみ出している者が大勢いる。

そんな連中と新人を比べるのは酷というものだろう。

しかし情けないのもまた事実だ。

これまでのトップが今の1分切りとは、と鷹原は落胆する。

しかしその目は次の瞬間に瞠目に変わる。

 

 

「……!?」

 

「ネコ、見えたか?」

 

「勿論にゃ。でも……半端ないにゃ~。」

 

鷹原の問に答えた猫葉、お面のせいで顔は見えないが恐らく笑っているのだろうことが声色から窺える。

記録0.6秒、おおよそ新人の出せる記録ではないそれを記録したのはあの空閑遊真であった。

 

「にゃっにゃ! 戦い慣れてる匂いだにゃ~。」

 

「手強そうだな……。あれは。」

 

それまでの最速記録、緑川の四秒を大きく塗り替えた彼にざわざわと視線が集まっていた。

 

 

そしてそんな新人たちの騒ぎを遠巻きに見ている正隊員たちも驚きを隠せていない。

目ぼしい人材を発掘に来ていた彼らも、目の前で見えた新人離れした所業に舌を巻いている。

 

(あれは……三雲修? 正隊員に上がってたのか……。)

 

その中で木虎に絡まれている三雲を発見した鷹原は小さく笑う。

そんな中、

 

「どぉりゃあ!!」

 

『記録12秒!』

 

空閑には及ばないものの、それなりにいい記録を出すものがいた。

その人物は周りよりも頭ひとつ高い身長と広い肩幅をした少年。顔にはまだ幼さが残るものの、絵に描いたような熱血少年という感じだった。

 

「にゃにゃ、あの子もいいにゃ! 絶対に強くなれる顔してるにゃ~。」

 

「えっと……C級の(そよぎ)正義(まさよし)か。名前通りの正義漢って感じだな。」

 

ぺらぺらと新人C級隊員のことが書かれた資料を捲って行き着くと、そのデータに目を通す。

なぜ持っているかと言えば、今回のC級正式入隊日に行われるガイダンス資料、もっと言えばその新人たちの資料は鷹原がほぼほぼ纏めたからだ。職権濫用ではない、当然の権利だ。

ボーダー入隊試験の監督官や面接官も務めることがたる鷹原にしてみればこれくらいあってもいいだろうという心理である。

 

そんなこんなで伸び代のありそうな新人たちに声を掛けながら鷹原はその日を過ごした。

その後、ソロランク戦ルームに移行した猫葉がうずうずしていたのは言うまでもない。

 

さて一方その頃、スナイパー組……

 

広大な訓練ルームが与えられているスナイパー達はその訓練室に新人たちを集めていた。

責任者は嵐山隊の佐鳥である。

 

「と言うわけでスナイパーのトリガーは三種類あるのね。実際に見てみた方が早いかな?」

 

「そうですね、誰にしますか?」

 

「そうだなぁ……、そうだそこの、えーと雨取さん!試しに撃ってみよう!」

 

蓮川と佐鳥の軽快なやり取りは聞くものの耳を引き付ける。

そう言って佐鳥はその場にいる新人の中から一番背の低い少女にアイビスを使わせる。

少女はアイビスをセットして的に照準を合わせると引き金を引く。

アイビスの銃口から放たれた弾丸は狙撃の一撃など軽く越え、もはや砲撃の域に達していた。それは設置されてあた的を軽々と木っ端微塵にし、果ては本部基地の外壁も貫通したのだった。

 

「え……?!」

 

「はぇ……?!」

 

その余りの衝撃にその場の正隊員は間の抜けた声を出す。

いくらアイビスが威力に特化しているからといえど、基地の外壁までぶち抜くとなると話は変わってくる。

そこから導き出されるのは黒トリガーにも匹敵するトリオンの持ち主ということ。

この後、思わず行われた佐鳥と蓮川の土下座返し、爆音を聞き付けて駆けつけた鬼怒田によるチョップ制裁が佐鳥と蓮川を待っていたのだがそれは省略する。

 

 

ボーダー、それはもしかすると人外の巣窟なのかもしれない。

 

 

 






さぁ梵くんの立ち位置はどこか!

こうご期待!!


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