職業=ボーダー隊員な社畜と功名餓鬼、時々JKのボーダー生活日誌   作:地雷一等兵

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彼らは主人公です。でも、一介の精鋭部隊に過ぎません。

では本編をどうぞ↓


第14話 大規模侵攻②

 

 

「B級は合流してそれぞれ一ヶ所ずつ討伐しろ、か。」

 

「たぶん正解にゃ。各個撃破してたらこいつに会っておしまいにゃ。」

 

「だよなぁ……。」

 

B級隊員に下った合流命令。それは東指揮するAチームと二宮指揮するBチームとに分かれてそれぞれトリオン兵を撃退しろというもの。

しかし、その前に情報を得ようと新型の残骸を解体して分析していた鷹原と猫葉の前に新たな新型が現れる。その数3体。

数で負けている上に、新型の戦闘力はバムスターやモールモッドの比ではない。そんな状況にふたりは息を呑む。

 

「やるしかないな。掴みと電撃にだけ気を付けろよ。」

 

「分かってるにゃ。」

 

『万が一の撤退ルートを送ります。』

 

「サンキュー慧。」

 

オペレーターからの支援も受けて腹を決めた二人は行動に移した。

猫葉はグラスホッパーを使って飛び回り新型の気を引き、その間に鷹原がスパイダーを張り巡らす。

 

「にゃははは!!」

 

「さて……3体同時か……。」

 

常に2体の死角を取るように跳ね回る猫葉と、スパイダーの鋼線によって新型の動きを制限する鷹原によって巨体の新型は思うように動けないように見える。

 

「にゃーはっはっは!!」

 

「おらぁ!!」

 

そして仕掛ける。

アイビスの砲撃で一体の反応を引き寄せ、続いてそれとは別の個体Bの足をスパイダーで地面と繋げる。

そうしている間に猫葉がCへと攻撃する。

Cは素早く反応を示し、猫葉の攻撃を防ぐために腕を上げる。そしてCのガードに合わせてBがカウンターをしようと動き出すが、足と地面がつながっていた為に初動が遅れる。

その遅れだけで猫葉には十分な時間になる。

 

「にゃんばらりん!!」

 

猫葉はCのガードした腕を支点にして体を回転させる。すると、Cの口の中にあるコアに3本の深い傷が刻まれ、行動を停止する。

そして遅れて到着したBのパンチを猫葉はグラスホッパーを使って跳ねて遠ざかることで回避した。

そして鷹原は眼前に迫るAに対して壁から足元にエスクードを飛び出させることで転ばせる。

 

「ネコ!」

 

「にゃはっは!!」

 

そうして転んだAに対して猫葉はスコーピオンを伸ばして迫る。

しかし、それをさせまいとBが間に入る。が、

 

「そこだ!」

 

今度は猫葉を囮に鷹原が接近してBの腹をレイガストで切り裂く。その鷹原を掴もうと迫る腕をエスクードで退けた鷹原は振り向き様にメテオラを放つ。

弾ける爆炎に新型Bの視界を塞いだ鷹原は距離を開けて、Aの足をスパイダーで地面と結ぶ。

 

「ネコ!」

 

「にゃっはっは!」

 

鷹腹はそのままレイガストを起動させAに仕掛ける。

その間に猫葉は手負いのBの周りを高速で跳ね回る。そうして新型との1対1の状況を作って二人は動く。

 

『こちら、鷹原!本部応答願います!』

 

『忍田だ。どうした。』

 

『生駒隊か二宮隊を増援としてこちらにください。それだけで南西地区を守りきって見せますよ。』

 

『いいだろう。増援には生駒隊を向かわせる。南西地区をたのんだぞ。』

 

『お任せください!!』

 

通信の先で鷹原がニヤリと笑う。

その場ではバラバラに引き裂かれ、砲撃で粉々にされた新型とトリオン兵が転がっている。

 

 

 

薄暗い空間。そこにいる人影の人数から見ればやや手狭なその空間に彼らはいた。

黒い角を生やした3人の男女、白い角の生えた2人の青年。そして杖をついている老人。

しかしこの6人全員が百戦錬磨を思わせる強者のオーラを纏っている。

 

「ほほ……これはこれは。玄界(ミデン)の兵士も、なかなか手強い……。」

 

老人がそう呟くと一番若い青年がコクりと頷く。

が、それに反論するように黒い角をした片目の黒い青年が言葉を発する。

 

「関係ねぇよ、ラービットはまだプレーン体だろうが。」

 

「それでも、この壁使いと猫の小娘はなかなかのやり手と思うがな。エネドラよ……。」

 

「あぁん? こんなもん雑魚だっつの。」

 

苛立つように眉間に皺を寄せる黒角の青年、エネドラに微かな笑みを浮かべる大柄な男は両手をあげて首を振る。

その姿を見てエネドラは舌打ちをして席に着く。

 

「だが、……ここまで対応されるとなるとこちらも次の手に出ざるを得ないな。エネドラ、ランバネイン、ヒュース、頼めるか?」

 

「任せろよ。玄界の猿なんざ蹴散らしてやる。」

 

「任せろ。兄……いや、指揮官殿。」

 

「お任せください。」

 

3人は立ち上がると女の用意した黒い窓枠の中に入っていく。

その先は三門市……、トリオン兵と激戦を繰り広げていたボーダー隊員たちの目の前だ。

 

 

 

「人型トリオン兵です!!」

 

「人型だと……!」

 

「仕掛けて来たか……。」

 

ゲートの反応とそれに応じるように出てきた反応に本部の沢村が声をあげる。

そこから次々と入電される人型の目撃情報に忍田と城戸、鬼怒田は唸る。

 

 

 

B級合同Aチーム(東春秋指揮)のいる東部方面ではというと……

 

 

「ひ、人型ですよ東さん!!」

 

「なんか、ヤバい雰囲気……ですね。」

 

「下がるぞ太一、蓮。コイツはヤバい……!」

 

スナイパーとして援護に回ってい東、蓮川、別役の前にランバネインが現れたのだ。

経験から来る危機察知で直ぐ様撤退に動く東とそれにつられる形で動き始めた二人、彼らを逃がすまいと、ランバネインがトリガーを起動する。

 

『B級Aチームに通達、こちら東。現在人型と遭遇、これより撤退しつつ戦力を図る。各員警戒!』

 

東の通信に、近くに隠れていた隊員たちの緊張感は一際高まる。

多くの隊員たちが始めてみるであろう人型、それがどれほど強いのか分からない。その事に皆ひっそりと息を呑む。

 

「はてさて、どれほどやるのか……。」

 

ランバネインの腕が変形し大砲の形になる。逃げながら横目でそれを見ていた蓮川と東はヤバいと察知して足を速める。

まずは一発着弾する。周囲を爆発で巻き込みながら破裂する砲弾の一撃に蓮川はグラスホッパーを起動した。

そして二発目、まだ遠くの地面を抉り取った爆発と物陰に隠れた太一。

そして三発目、起動したグラスホッパーで東と自身、そして太一それぞれを飛ばそうとするが、放たれた三発目が太一の隠れていた車に直撃した。

グラスホッパーによって弾かれた太一の体は直撃こそ免れたものの、片腕と片足をたった一発で持っていかれた。

 

「太一!」

 

「足が!?」

 

吹き飛ばされた太一の傷口から止めどなくトリオンが漏れ出る。

しかしまだ生きている。グラスホッパーでその場から大きく離れることが出来た二人はイーグレットを構えた。しかし弾はまだ飛んでこない。ランバネインはそのまま吹き飛んだ太一に連射してトドメを刺していたからだ。

その隙、注意がまだこちらに完全に向ききっていないこの瞬間しかないと二人は、いや周りは判断した。

次の瞬間に5発の狙撃がランバネインを襲う。

 

(ガードされた!?)

 

(不味い!!)

 

太一のものであるベイルアウトの光が空を走った瞬間のこと。ランバネインは放たれた5発の狙撃全てをシールドで防いでいたのだ。

 

「伏兵が三枚!!」

 

『逃げろ!!』

 

東の指示とほぼ同時、ランバネインは大量の弾を狙撃が飛んできた3方向に向かって放つ。

その弾はスナイパーが潜んでいたビルを崩し、その中に潜んでいた彼らをベイルアウトさせるには十分な破壊力だった。

3方向の内2方向からベイルアウトの光が走る。

 

「さぁ、まだいるんだろう?」

 

自信満々に笑うランバネインに、逃げきれた東と蓮川は冷や汗をかくのだった。

 

 

 

 

 

 

 





何人生き残れるのか。

ではまた次回でお会いしましょうノシ

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