職業=ボーダー隊員な社畜と功名餓鬼、時々JKのボーダー生活日誌 作:地雷一等兵
時間軸を一気に吹っ飛ばして原作の時間軸に突入します。
では本編をどうぞ↓
「よく来てくれた鷹原隊の諸君。」
もう4月も過ぎ去り5月の頭、春の装いが強くなってきた三門市にあるボーダーのとある部屋の中に響くのはボーダー最高司令である城戸の落ち着いた声である。
そしてその言葉を掛けられているのは鷹原隊の四人であった。
今年1回目のチームランク戦を終えてまたもやB級3位の位置に落ち着き、次のランク戦でも3位スタートが確定した鷹原隊の面々は、何故か上層部に呼び出しを食らっていたのだ。
呼び出された本人達には何も心当たりがなく、何か気付かない内にやらかしてしまったのだろうかと首をひねっていた。
「今回呼び出したのは、最近発生しているイレギュラーゲートについてだ。君らも話に聞いていると思う。」
城戸に代わって口を開いたのは忍田本部長だ。
忍田の言葉に鷹原は首を縦に振る。
「最近警戒区域外で発生しているゲートですよね? 今までは運よく非番の隊員が付近にいたから大事には至っていないと聞いていますが…。」
「ああそうだ。今までは運が良かっただけだ。このままではいつか市民に被害が及ぶかもしれない。」
そう語る忍田の表情は真剣そのものだった。
市民の無事と街の平和を第一に考える彼からすれば今回の事態は気が気でないのだろう。
「そこでだ、君たち鷹原隊の四人には特別防衛任務を行ってもらう。」
「特別防衛任務…ですか…?」
蓮川がポツリと漏らした疑問に忍田は小さく頷いた。
「通常の防衛任務の代わりに、市内の巡回を行ってもらう。もしも市内でゲートが開いた場合、即刻対処にあたってくれ。」
「了解しました。鷹原隊4名、その任務を遂行いたします。ただ…。」
「分かっている。蓮川隊員と二条隊員の件については他の隊員でどうにかする。」
「申し訳ありません。助かります。」
忍田の気遣いに鷹原は頭を下げた。
もちろん本部長である忍田は鷹原隊の方針は知っているし、他の隊員にも非常時でなければ学業の方にも力を入れてほしいと思っている。特に自分の弟子やその周辺の人間には。
それになにより、鷹原隊の鷹原、猫葉の二人だけであっても任務に支障はないと判断したのも大きい。
1日3度の防衛任務に出ながら傷一つ追わない鷹原と、機動力が高く街中でもその実力を十分に発揮できる猫葉の二人を信用しているのだ。
「それでは特別任務の件、よろしく頼む。」
「はい。」
それから説明を受け、二言三言言葉を交わすと鷹原隊の面々は退室した。
「き、ききき、緊張しました~。」
「お、同じく、です…。」
退室すると蓮川と慧がその場にへたり込みそうになる。そんな二人を猫葉が背中を押して支えてやる。
「無理もないにゃ。」
「まぁ、呼び出されて入った部屋に幹部勢揃いだもんな…、しゃあない。」
足が生まれたての小鹿のようになっている二人を見て、猫葉と鷹原は同情の眼を向ける。
それもそうだ。一般的な隊員からすれば城戸司令や忍田本部長を始めとした幹部に会う機会などそうそうない。
況してや正面で顔を合わせるのは強面の城戸司令、まだ慣れていない中学・高校生にはやや刺激が強い。
「まぁ、特別任務もいつも通りだ。蓮と慧は昼間は学校、合流は放課後からだ。」
「「はい。」」
鷹原の言葉に二人は頷く。
返答を聞いた鷹原は頷くと「トリガー構成いじるかな~。」と呟きながら隊室へと戻っていき、猫葉もその後ろをとてとてと着いていく。
「そぉい!」
「うおっ!?」
トリガー構成をいじった鷹原はランク戦ルームにてやんちゃしていた。
警戒区域外、それも市街地でメテオラやアイビスをぶっぱなそうものなら始末書行きも有り得るのだ。
それゆえ鷹原はいつものトリガー構成からアイビスとメテオラの2つを外し、今はスラスターとアステロイドを入れて試運転をしていたのである。
その犠牲者は運悪くランク戦ルームに来てしまっていたアタッカー諸君だ。
もともと鷹原はレイガストを盾代わりに使う防御寄りのシューター・ガンナーである。
それゆえにアイビスとメテオラを取り上げられようが基本の立ち回りは変わらない。
鷹原のチームランク戦での役割は相手エースやキーパーソンの足止めが主である。
そこにはアタッカーランクトップ10に入る村上と生駒や影浦、王子と言った変則的なアタッカーに個人総合2位の二宮やなどの一癖も二癖もある面々もいる。
それらを抑えながら時にはアタッカーの距離で渡り合ってきたこの男にとってアタッカー用トリガーの間合いもまた自分の間合い、それに何度も見てきた動きである。
「そこだぁ!!」
「くそっ!」
鷹原は笹森の弧月をレイガストで受け止めるとスラスターを起動させ無理矢理壁際まで押し込む。
「アステロイド!」
無理矢理壁に押さえつけると、そのまま笹森の心臓に向かって特大のトリオン弾をぶっぱなす。
ゼロ距離での一撃に笹森もフルガードで対応するが鷹原の弾丸はそのシールドを撃ち抜いて笹森のトリオン体を貫いた。
致命傷を受けた笹森のトリオン体は爆発四散、勝ったのは鷹原である。
「うん、慣れてきた。」
ひとしきり模擬戦を終えると、何度もログを見返して鷹原は満足げに頷いた。
その近くでは鷹原の調整に付き合わされたアタッカー達がいる。
「なんか、ごめんよ。今度焼肉奢るからさ。」
「「ゴチになりまーす。」」
その中で付き合わされた米屋と緑川は顔を上げて手を合わせる。それに釣られて巴や笹森、奧寺に小荒井、三浦らも遠慮がちに頭を下げた。
「やっぱり冬は炬燵だにゃ~。」
「だよな~。」
B級2位影浦隊の隊室で猫葉は影浦隊オペレーターの仁礼と一緒に炬燵に入って寝転んでいる。
そうしてゴロゴロとしていると隊室のドアが開き、二人組の男が入ってきた。
「ああ?! 猫ヤローまた来てんのかよ。」
「おぉ、猫葉ちゃん、いらっしゃい。」
「にゃにゃ、お邪魔してるにゃ。」
入ってきた──と言うよりも帰って来たと言った方が良いが──のは影浦隊隊長の影浦雅人とガンナーの北添尋である。
猫葉が隊室を訪ねてくることは影浦隊にとってはもはや日常茶飯事であり、見慣れた光景だ。
こうして他の隊員が彼女を迎えるなか、影浦が猫葉を見て何かを言うのも一つのお約束となっている。
「ニャハハ、カゲにゃんもそんなに怒んないでほしいにゃ。」
「その呼び方は止めろ。」
「にゃ~、そんなこと言わないでほしいにゃ…。」
炬燵から出て項垂れる猫葉を見て影浦はガシガシとそのボサボサ頭を掻くと猫葉から視線を外して“好きにしやがれ”と小さく呟いた。
その言葉に機嫌をよくした猫葉はその場から跳ねて影浦の背中に飛び乗る。
「にゃ~、やったにゃ。カゲにゃんが許可してくれたにゃ。」
「離れろ!引っ付くのまでは許可してねぇ!」
影浦は背中に手を回して猫葉の首根っこの辺りを掴むと半ば強引に引き剥がした。首根っこを捕まれた猫葉は影浦に捕まれてぷらーんとしている。
「ゾエ!」
「はいはい。」
北添は影浦が乱暴に放り投げた猫葉を柔らかい体で受け止める。
「にゃ~、ゾエにゃんのお腹は暖かいにゃ。」
「あはは。」
北添が猫を抱き抱えるように彼女を抱っこしてあやしていると、やがて猫葉はそのまま静かな寝息を立て始め、北添の腕の中ですやすやと眠り始めた。
「猫葉ちゃん、寝ちゃったね。」
「そのままタカさん所に連れてけよ。うちの隊室で寝られても面倒だ。」
「分かってるよ。じゃあ行ってくるね。」
北添は猫葉を起こさないように優しく抱えたまま、鷹原隊の隊室に向かう。
その道中、他の隊員に見つかるが“まぁ猫葉だからな”と皆が口にした。
「…そうでした、歌川さんはいないんでした…。」
俯きながら蓮川はとぼとぼと廊下を歩く。
彼女のスコーピオンの師匠である歌川はとある事情で留守にしている。
ネイバーフッド遠征でこちらの世界を出ているからだ。
早くパーフェクトオールラウンダーになりたい蓮川は修業熱心である。
任務無しの日はもちろんのこと、任務終わりにだって歌川のもとを訪れては一対一の稽古をつけてもらっている。
ここ最近は歌川が遠征で留守にしているため、他のスコーピオン使いをあたっていたが、今日はうっかりその事を失念していたのだ。
「どうしようかな…。緑川くんは感覚で話すから分かりにくいし、風間さんも菊地原さんもいないし、影浦さんは怖いし、加古さんには近寄るなって言われてるし、香取さんは教えてくれないし、王子さんは今日は無理って言ってたし、嵐山さんや木虎さん、時枝さんは今は忙しいだろうし…。あれぇ? 誰もいない?!」
ブツブツとスコーピオンを使う隊員の顔を思い浮かべていくと、そこに教えてもらえる人物が見当たらないことに蓮川は驚愕した。
そして今日はスコーピオンは無理だと悟った彼女は小さく溜め息を吐きながら個人ランク戦ルームに足を向けた。
近接戦アイビスという個性を取っ払った鷹原隊長、アレ? 修とほぼ一緒のトリガー構成になったぞ?
ていうか、修じゃね?
と言うことに気付いた。
レイガストを盾にするシューターだからね、仕方ないね。
人物紹介
猫葉 澪
…鷹原隊のアタッカーでエース。蓮川入隊前の鷹原隊は基本的に鷹原が厄介なのを止めてる内に猫葉がポイントを刈り取るスタイルだった。
特に好きなものはランク戦と人に抱きつくこと。
スコーピオンとグラスホッパーを使った機動戦が得意。
色んな人に抱きついている。
お気に入りは北添と柿崎、巴、国近、三上らしい。
パーカーで分かりにくいが胸はそこそこある模様。