職業=ボーダー隊員な社畜と功名餓鬼、時々JKのボーダー生活日誌 作:地雷一等兵
前回の続き~
では本編をどうぞ↓
大量のラッド駆除から一日、C級隊員まで動員した大規模な作戦の翌日のこと。
鷹原隊オペレーターの慧は鼻唄混じりに本部の廊下を歩いていた。
その理由は本人しか知らないが、その様子から周りの隊員やオペレーター仲間からは変な勘繰りを入れらることもあった。それを慧は軽々といなし、はぐらかしつつ、自分達の隊室に向かう。
「おはようございまー──…キャァアアアアッ!!?」
ご機嫌のまま隊室の扉を開けた彼女の視界に飛び込んで来たのは、隊室の床に突っ伏して倒れる鷹原と猫葉の姿であった。
散乱した様子の隊室、いつもならしっかりと揃えられた状態でデスクの上に置かれているはずの書類は辺りに散乱し、猫葉のテリトリーである炬燵周辺も荒れており、部屋の中にはいくつかの紙コップと、空になった一升瓶などの瓶類が何本か転がっている。。
そして、部屋からは慧にとって嗅ぎ慣れない匂いが、ほんの僅かではあったが漂っていた。
「た、たたたたたたたたた、たか、か、鷹原隊長!?」
そんな様子の隊室を見て、慌てて慧は部屋の中に踏み込み、突っ伏している鷹原の体を揺する。
軽く揺すると小さな呻き声をあげたので、その事にほっと慧は安堵する。
続いて近くで倒れている猫葉にも同様に呼び掛けながら体を揺すると、こちらもまた小さく「に“ゃ“あ“」と呻いた。
「さっきの悲鳴って!?」
「何があったんですか!?」
そうこうしていると、先程の慧の悲鳴を聞き付けた柿崎隊の柿崎と巴が隊室の入り口に姿を現した。
「タカさん? 猫葉? 一体何が…?」
「ね、猫葉センパーイ、大丈夫ですか?」
鷹原を仰向けに寝かせて体を揺する柿崎はその一瞬後にあることに気付いた。そう、この部屋の匂いである。
「さ、酒臭っ!!」
「え、お酒…?」
柿崎の言葉に慧はスンスンともう一度部屋の匂いを嗅いだ。すると、そのキツい匂いに顔をしかめる。
それは確かにアルコールの匂いであった。
「──ん、ぅんん?」
そうこうしていると、部屋の中、もっと具体的に言えばソファの陰から何者かの唸り声が聞こえてきた。
その声の主はゆっくりと頭を押さえながら立ち上がる。
「あぁ、ここは…、そうだ昨日…。」
その人物とは諏訪だった。諏訪はダルそうに周囲を見渡すと何かを思い出してその場に蹲った。
「ああ~、気持ちワリイ…。飲みすぎたなこりゃ。おい、起きろ堤、雷蔵。」
嗚咽を漏らしながら諏訪は隣に転がっている堤と雷蔵を起こす。諏訪に起こされた二人は気持ち悪そうに頭を抱えて、周りを見た。
「ここは、鷹原隊の…。」
「ぅぅ…、気持ち悪い…。」
堤も雷蔵も顔色は悪く、酒臭い。どうやらこの二人も二日酔いのようだ。
その時、周囲を見渡した堤があることに気付き、3人に尋ねる。
「加古さんは?」
「…あ~、あれ? 加古はどうしたんだっけか…。いた記憶はあったんだが…。」
「お酒が進んで、おつまみが無くなって、それから…ぅ、頭が…。」
「そう、ツマミが無くなったんで、確か加古ちゃんが…。」
四人は朧気な記憶を手繰り、昨日の状況を思い出す。そしてあることを思い出すと、一気に顔が青ざめた。
「あ~、思い出した。そうだよ酔った勢いで加古ちゃんが料理を始めたんだ…。」
「そうだった…。で、加古の奴はどこだ?」
「さぁ…。」
四人は具合悪そうにしながら慧の淹れたお茶を飲み干していく。
そして二日酔いの薬を飲んでから各々の隊室へと戻っていった。
「もう! お酒に呑まれないでくださいって言ったじゃないですか。」
「すまん…。つい、な…。」
柿崎や巴に礼を述べて見送った後、慧は隊室の掃除に取りかかる。
まずグロッキーな状態の猫葉を持ち上げて埃を払うと、優しくソファの上に寝かせた。
そして顔色の悪い鷹原を少しだけ強い口調で諫めながら床に落ちているゴミを片付ける。
「さて、と…。猫葉さんも加古さんの炒飯を?」
「当たりだ。だからそっとしてやってくれ。死ぬほど疲れてる。」
「はい、分かりました。」
鷹原の言葉に慧はブランケットを取り出すと、ソファの上で蹲る猫葉に掛けてやった。
そんな事が起きている一方で、鷹原隊の
(捕捉…完了…。)
狙撃手合同の訓練に参加していた。
今回の訓練は市街地マップの中でレーダーを使わずに他の隊員を捕捉、狙撃するもので、撃った数と撃たれた数によるポイント制となっている。
隠れて撃って移動してまた隠れて撃つ。狙撃手の基本を一辺に学ぶための合同訓練がこれだ。
(狙い…撃つッ!!)
蓮川はスコープの先にいる鈴鳴第一の狙撃手、別役太一の後頭部を照準のセンターに捉えて引き金を引く。
そして一瞬で着弾確認をするとその場から直ぐ様離脱した。
(これで別役さん、茜さん、穂刈さんを撃てた。後は隠密…。)
高いビルの階段を窓から撃たれないように低い姿勢で駆け降りている蓮川はそんな事を思っていた。
そんな時の事である。パリンッと蓮川の眼前のガラスを割りながらダイナミックに荒船が飛び込んできたのだ。突然のことに目を点にして呆然としてしまった蓮川は反応できずに荒船の至近距離狙撃を受けてしまった。
そして蓮川に当てた荒船は直ぐ様また別の窓を割ってダイナミックに蓮川の前から姿を消す。
「……はい?」
アクション映画もビックリの所業に蓮川は数秒間目を丸くしていた。
しかし直ぐ様我に返ると狙われないように移動を開始する。
(…あれが荒船さん、アクション派スナイパーと呼ばれてる理由がなんとなく分かった気がします。)
バックワームのマントを翻し、イーグレットを抱えながら蓮川は走る。いつもであればグラスホッパーを使って縦横無尽に駆け回る、もとい跳ね回るのだが、今回の訓練では狙撃用トリガーとバックワームのみの使用となっているため、地道に走るしかないのだ。
(最警戒すべきは…奈良坂さん、古寺さん、絵馬さん、隠岐さん、佐鳥さん、東さん…。ナンバーワンの当真さんが居ないのが救いかな?)
既に被弾1を貰っている蓮川は慎重にクリアリング・索敵をしながら市街を走る。
が、しかしボーダートップクラスの狙撃手には変態しかおらず、どう隠れても軒並み警戒していた面々の内半分からは狙撃を受けた。
それでも当てれば5ポイント、撃たれてもマイナス2ポイントという条件のため、他の撃てるメンバーを狙うことでなんとかポイントを維持していく。
そうこうして、1セット目が終わると全員が1度フロアに集まる。
そうすることで、そのセットの反省を皆で意見交換しながら行えるのだ。
「よう、蓮川。」
「荒船さん…。」
部屋を出た蓮川に真っ先に話し掛けてきたのは荒船だった。
荒船は帽子のつばを上げ、しっかりした視線を蓮川に投げ掛ける。そんな荒船の目を見た蓮川は訓練中に喰らったあの奇襲を思い出して苦笑いを浮かべる。
「鷹さんにスカウトされたって言ってもやっぱり新人だな。あれくらいは警戒して然るべきだ。」
「いや、あんな事してくる狙撃手って荒船さんくらいのものじゃ…。」
「そうだな、狙撃手ならオレだけかもな。でも、ランク戦になれば
それだけ言うと荒船は気が済んだのか、さっさと別の場所へと向かっていった。
その後、今回の訓練は日が暮れるまで何セットも行われたらしい。その順位で蓮川は10位代前半から後半をマークする大健闘だったという。
蓮川蓮のランク戦デビューはもうまもなく。
では次回でお会いしましょうノシ