ほのぼの八色   作:ポテカルゴ

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Part3☆(一色いろは誕生日なのです☆)

 

ここは大学の図書館。

高校までの図書室とは違ってひとつの建物そのものが大学の中にある。

 

そして、広い。たくさんの専門書や辞書、もちろん純文学もあり、最近ではライトノベルまで置いてある。

 

俺は図書館の3階の一角にある主にライトノベルが置いてあるところで時間を潰していた。

入口が2階にあるということもあり2階の閲覧室は人が多いのだ。本を読む人もいればスマホをずっといじってる奴もいる。

 

そのため、2階の閲覧室より小さいがあまり人の来ない3階の閲覧室でいつも時間を潰しているのだ。

 

例えば、勉強したり本を読んだり材木座の小説の添削をしてやったりといくらでも時間の潰し方はある。

 

なぜ、時間を潰してるかと言うと…

 

 

「せんぱーい、お待たせしましたー」

 

「まだ、チャイムはなってないようだけど授業は終わったのか?」

 

「はい!最初の授業はオリエンテーションが多いので説明を終えた先生が出席票を配って出して終わりでした!」

 

「この時期はまだ、楽だよな…」

 

「そうですねー。」

 

「なら、行くか。」

 

「了解ですっ!」

 

まぁ、一色を待ってた訳だ。つつつ、付き合ってるわけだしな。

 

 

× × ×

 

 

図書館から出て大学内のある場所へ向かう。食堂でもいいが人がめちゃくちゃ多い。一緒に食べるやつのために席をとっていたら周りからの目が痛い。なんでだろうね。

 

ある場所とは俺が偶然見つけた誰も来ない、言わばベストプレイスだ。そこに戸塚がいてくれたなら完璧だったが…戸塚とは大学離れたんだよなぁ…悲しい…

 

今の時期では桜は葉桜になっているがどういう訳かそこでは桜が咲いている。狂い咲きというのだろうか?

 

桜の花びらが舞う中、汚れないようにシートをして一色と2人で弁当をひろげていた。

 

まぁ、俺も分も一色が作ってくれたのだが…

 

「「いただきます。」」

 

俺のは男ということもあり唐揚げが多く入っている。たくさん食べると思った一色の気遣いか。こういうところに惹かれたんだろうな…

 

「どうしたんですか?そんなに私を見て私の顔になにかついてます?」

 

「いや、なんもない」

 

「別にいいですけど…じっと見られると…なんか恥ずかしいですね…」

 

「あ、いや…そのすまん…」

 

「なんですか、その反応。可愛いですね。」

 

「うっせ…」

 

「もう食べましょ?」

 

「そ、そうだな。」

 

唐揚げをつまみ口にほおり込む。美味い。しっかりと味付けされている。これは昨日からちゃんと仕込みをしてたな。

 

箸が進み弁当を食べ終わった。

 

「「ごちそうさまでした。」」

 

「一色、今日も美味かったぞ。」

 

「それは良かったです。」

 

「そういえば、一色はこのあと、授業あるのか?」

 

「いや、ないです。」

 

「なら、どっか行くか。」

 

「え?せんぱいが誘うなんて珍しいですね。」

 

「まぁ、今日は特別な日だからな。」

 

「まぁ、せんぱいが思ってることなんてお分かりですけどね。」

 

「な、なんのことかな?一色さん。」

 

「だって、私の誕生日じゃないですか?普通、こんな日に誘われたら気づきますよ。」

 

「ぐ、ぐぬぬ…」

 

体が小さくなったどこぞの名探偵ばりの推理力を発揮しやがって…

まぁ、俺がわかりやすいだけもあるかもね。

 

「なら…一色、後ろ向いてろ。」

 

「なんですか?」

 

ちょっとしたサプライズをな…

 

「一色、もういいぞ。」

 

「こ、これ、ネックレスじゃないですか。どうしたんですか?」

 

「まぁ、誕生日プレゼントだよ。一色を驚かせたくてな。」

 

「むぅー、今首に付けるなんていろは的にポイントひくーい」

 

「しょうがねぇだろ。一泡吹かせたかったんだよ。あと、小町の真似はやめましょうね。」

 

「デートの後、「一色、愛してる」って言いながら渡してくれたら満点あげたんですがね」

 

「いや、そんなキャラじゃねぇよ。」

 

「でも、嬉しいです!嬉しすぎてせんぱいをもっと好きになりました!」

 

「よくもまぁ、そんな恥ずかしいこと言えるよな。」

 

「え?せんぱいは私のこと好きじゃないんですか?」

 

「いや、そんなことはねぇけど…」

 

「んんー?」

 

「す、す…好ましく思ってるよ。」

 

「そこで好きと言えないあたり恥ずかしがり屋ですね。」

 

一色は顔を近づけてからかってきた。あなたはからかい上手の一色さんですかね?

 

「でも、そんなせんぱいに惹かれたんですよね…」

 

「なんだ、どうした、今日は積極的だな。」

 

「いいんですよ!今日は私の誕生日なんですから!今日はなんでもお願い聞いてもらいますよー!」

 

まぁ、一色のさせたいようにさせるか。今日ぐらいは…な。

 

「それでは、デートに行きましょう!せんぱいがこの後の授業ないことはわかってるので!」

 

「しょうがねぇな。」

 

そーやって、一色は立ち上がったが俺は言葉を失った。

 

立ち上がった一色と散っている桜の花びら。

一色が大学生になり少し大人びた姿で桜の花びらの中を立っている姿はまさに桜の妖精のように幻想的だった。

 

 

 

そういえば、ネックレス渡したのは他にも理由はあるが…デートの後に渡す…本当のプレゼントをバレたくはなかったからな…驚く顔が楽しみだ。

 




誕生日おめでとうです。一色いろはさん。

一色大好き作者さんでした。

ちなみにちょうど一年前にハーメルンで書き始めたなのです。

もうひとつの誕生日企画は…1年経ったので続けるのかそのままにするのかは自分次第。

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