ドラえもん のび太の博麗大結界くんと聖杯くん   作:Remindre

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戦略的ぼっちと独りぼっち

チルノ達と出会った場所から飛ぶこと約10分。

紅い大きな館を超えた先の大平原が、聖杯戦争の会場となっていた。

人が密集し、特設のステージが広い原っぱの中にポツりと建っているのは異様に目立っていた。

のび太達は、ステージ付近に着地し周りの様子を伺う。

酒を飲み頬を紅くするもの、人混みの中でスヤスヤと仮眠を取るもの、ひたすら団子を食べているもの。

十人十色とはよく言ったもので、それぞれが強烈な個性をひしめかせていた。

 

「よく集まってくれたわね。」

 

特設ステージに設置されたスピーカーから、落ち着いたトーンの声が鳴った。

さっきまで声を出してガヤガヤとしていた者達がステージに目線を動かす。

その先には、紫のストライプが入った洋服と気だるそうな顔が印象的な少女が立っていた。

 

「私の名前はパチュリー・ノーレッジ。今回の聖杯戦争を取り仕切らせてもらうわ」

「細かいルール説明はあとからするとして・・・まずはこの戦いに参加するうえの最低条件を話すわ」

 

パチュリーの言葉に会場がざわつく。

条件なんて聞いてないぞ、という狼狽えの声や、次にパチュリーが言うであろう言葉にじっと耳を傾ける者、反応は様々だった。

 

「この戦いでは2人1組で戦ってもらうわ」

「・・・ただし、聖杯を手にしても叶う願いは1つ」

「それを頭に入れたうえでチーム作りをしなさい」

「チーム作りの制限時間は10分。10分後、競技の説明を行うわ」

 

ざわつきも気にせず、淡々と自分の言いたい事を続けた彼女は、分厚いを本を開き、ページに手をかざしブツブツと口を動かすと、パチュリーの横に彼女の背ほどある大きな砂時計が現れた。

砂時計はゆっくりと上から下へ砂塵を散らし、参加者の命運をかけた10分が刻み始めた。

ジャイアンが呆気に取られ、

 

「ずいぶんとあっけらかんとした説明だぜ」 

 

と言った。一方のスネ夫としずかは冷静で、チーム作りのことに頭を悩ませていた。

 

「僕たちは全員で5人・・・・」

 

「2人1組で組んだとすれば1人が余っちゃうわ」

 

2人の現状整理を聞いたジャイアンがまた口を開く。

 

「と・・・なると、のび太・・・お前見学な」

 

「えぇ?!」

 

突然の戦力外通告に驚きを隠せないのび太。

だが、すかさずスネ夫が意見を出した

 

「でもジャイアン、今回はどんなことが待ち受けているかわからないんだよ?」

「女の子のしずちゃんを下げた方が・・・」

 

「わかっちゃいねぇ!」

「運動能力でも学力でも・・・・」

「ありとあらゆる面でしずちゃんはのび太を上回ってる!」

「確かに、なにが起こるか分からない大会でしずちゃんを入れるのは心苦しいが」

「俺たちは何としても、この大会で勝たなきゃいけないんだ!」

 

ジャイアンの反論にたじろくスネ夫。

手を顎に当てながら、首を傾げ・・・うーん・・・といい、言葉を漏らし始めた。

 

「たしかに・・・いくらなんでも、拳銃使っての撃ち合いなんてやりそうにないし・・」

「のび太の唯一の利点も活かせないなら・・・」

 

ジャイアンの説明に満場一致で納得の雰囲気が出た。

4人の視線がのび太に集まったところで、ジャイアンがのび太の肩に優しく手を置く。

 

「わかってくれるな?のび太」

 

「・・・確かに、僕は何もできない・・・・・・・」

「・・・・・・・頼んだよ、みんな」

 

そう言っていたのび太の手は、力強く握られていた。

下唇を少し噛んでうつむく彼を見たドラえもんは、彼に何か言葉をかけてあげたかったが、何と声をかければ良いのか思いつかず、

 

「のび太くん・・・・」

 

と、言う事しか出来なかった。

 

「・・・よし、じゃぁ俺とドラえもんチーム、スネ夫としずちゃんチームでどうだ?」

 

「えぇ・・・わかったわ・・・」

 

ジャイアンの提案に頷くしずか。自分抜きでのこれからの話が順調に進んでいく様子を見て、のび太はここから居なくなってしまいたい、そう思った。

 

「・・・・・・僕はちょっと周りのようすを見てみるよ」

 

「・・・・おう」

 

皆に背を向け、人混みの中をひたすら進むのび太の足取りは重かった。

しばらく歩き続け、人混みが落ち着いてきた所で彼は足を止めた。

そして、再び強く拳を握り、目を瞑りながら空を見上げた。

 

「・・・僕はほんとにダメだ、こんな時に何の役にも立てないんだ」

 

「「はぁ・・・・」」

 

二人分のため息が重なった。

重なった声を確かめるべく、のび太が目を開ける。

そこには、自分よりやや背の低い金髪の少女がいた。

彼女は、真っ赤な洋服、そして赤いリボンのついた真っ白な帽子をかぶっていた。

一番特徴的だったのが彼女の背の羽のようなものだ。それは歪な形をしていて、木の枝のようなものが生えており、そこからひし型の宝石のようなものがぶら下がっていた。

宝石はそれぞれ左右に7色あって、不気味な雰囲気の中で綺麗な輝きを放っていた。

 

「あら、あなたも一人?」

 

「君も・・・?」

 

「参加条件なんて、聞いてないわよね。そのせいで私は今すごーく困っているの」

 

その少女ものび太と一緒で、チームを組む相手がいないようだった。

続けて少女は、本当に小さな声で

 

「・・・・お姉さまはそこまでして私に参加してほしくないのね」

 

と呟いた。

聞き取れなかったのび太が、「え?」と聞きなおすが彼女はそれを軽くいなした。

 

「なんでもないわ・・・ねぇ、ここで会ったのも何かの縁じゃない?」

「どう・・・私と一緒に組んでみない?」

 

「えぇ?!」

 

突然の提案にのび太が目を丸くする。

 

「僕は君のことを何も知らないし・・・・ちょっとこわいよ」

 

「ふふ、それは私も一緒でしょ?」

「私もあなたのことを何も知らないわ」

 

自分よりも幼く見える少女の余裕が、余計にのび太を不安にさせた。

何か断る理由は・・・と必死に模索していたところで彼はやっと言葉を見つけた。

 

「ま、万が一、優勝したら願いはどうするんだい?」

「さっき言ってたよ!叶えられる願いは1つだけだって!」

 

「願い? あぁー・・・・」

「まぁその時は、じゃんけんか何かで決めればいいんじゃない?」

 

精一杯捻り出した断り文句があっけなく崩れた。

しかし、のび太は先ほどまで自分が握っていた拳の感触を思い出した。

そこから、彼女の提案をのび太はもう一度、深く考え始める。

 

「(考えてみれば、こんなに参加者がいっぱいいる中で・・・ぼくと、小さな女の子で優勝できるなんてあるわけないか・・・)」

「(そうさ!僕だけじっとしてられないよ・・・!!)」

 

そして、のび太は軽く息を整え、言った。

 

「・・・わかった、いいよ。一緒にチームを組もう」

 

「ほんと?!うれしい!!!」 

 

少女がピョン、と軽く飛び跳ねながら笑顔を見せる。

 

「私は、フランドール。フランって呼んで」

 

「わかったよフラン」

 

「僕はのび太」

 

「よろしくね、のび太」

 

こうして、のび太の聖杯戦争がはじまりを告げた。

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