ドラえもん のび太の博麗大結界くんと聖杯くん   作:Remindre

5 / 15
片鱗

のび太とフランがチームを組み終えた頃、スピーカーから声が響く。

ステージ上のパチュリーはマイクに口を当てており、隣の砂時計は既に止まっていた。

 

「そろそろチームはまとまったかしら? 時間よ」

「今回の戦いは、予選と決勝トーナメントの2段階に分けるわ」

「そして多数のチームの中から決勝トーナメントに進めるのは、予選上位の8チームのみよ」

 

周りをざっと見たところ、100チームは超えている中で、8チームという狭き門は、のび太の悩みのタネには十分すぎた。

当然、そんなことはお構いなしにパチュリーは続ける。

 

「予選は、的当て」

 

観客の真後ろに指さしたパチュリーに誘導され、皆が後ろを向く。

その先には、陸上競技のトラックに似た白いラインが引かれ、その先にダーツの的のようなものが置かれていた。

 

「ライン、25m先の的に、自らの弾を1発だけ打ち込みなさい」

「的の中央にいかに近く当てるかで得点を加算するわ」

「1人1発ずつ、チームの合計点上位8チームを決勝トーナメントへと進めるわ」

 

「・・・弾って、ピストルは?」

 

パチュリーの口ぶりにのび太は疑問を覚えた。

自分の弾と言われても、そんなものは持っていないし、何を使って打ち込むのかも説明されていない。困惑している様子の、のび太を見たフランは、大妖精と同じことを言う。

 

「あなた、もしかして外界の人間?」

 

「自分じゃよくわからないんだけど、たぶんそう」

 

「困ったわね・・・・弾幕が打てないとなると・・・」

 

その時だった。

 

「のび太くん! 探したよ!」

 

「ドラえもん!」

 

のび太は自分がチームを組めたことでドラえもん達の存在をすっかりと忘れたいた。

一方、ドラえもんはのび太を長い時間探していたらしく、肩で息をしていた。

ふぅ、と一息呼吸を整えてのび太を見ると、その傍らにいるフランに目をやった。

 

「そっちの子は・・・・?」

 

のび太はこれまでの経緯をすべて説明した。

偶然、のび太と同じく一人だったフランと会ったこと。

フランからチームの結成を持ちかけられたこと。

そしてのび太がそれを承諾し、聖杯戦争へと出場すること。

チームを結成できた、そこが話のピークではあったが、ふっと我に返ったのび太は低いトーンで話を続けた。

 

「せっかくチームは組めたけど・・・予選でもうダメみたいだね・・・弾を打てなんて・・・・」

 

のび太が落胆しているのをよそに、ドラえもんはふふふんと鼻で笑いながら、自らの4次元ポケットを漁った。

そして、お馴染みのトーンを声を上げながら、ポケットから手を出した。

 

「ダンマクダセルンダー」

 

「それは・・・ひみつ道具?!」

 

ドラえもんが手に持っていたのは黄色のリストバンドだった。

よく見ると、ドラえもんは既に右腕にそれを付けていた。

 

「このリストバンドを手首にはめたら、体のエネルギーを放出できるんだ」

「あとはイメージしたら・・・」

 

ドラえもんがそう言いながら、手を上に上げる。

次の瞬間、ドラえもんの手から光の玉のような塊が、空高くまで放出された。

 

「ほら!」

 

それを見たフランは感心したように、放たれた弾を見つめていた

 

「のび太くん、この幻想郷の人々の多くは自分の体内エネルギーを外に放出できるみたいなんだ。 でも大丈夫、僕たちもこれを付けていれば、皆と同じように弾が撃てるんだよ!」

 

「助かったよ!ドラえもん!」

 

のび太が貰ったリストバンドを腕にはめる。

その様子を見て、ドラえもんが優しい微笑みをうかべた。

 

「いいってことさ!お互いがんばろう!」

「そろそろ予選が始まりそうだね・・・ぼくはジャイアン達の方に戻るよ!」

 

ドラえもんがその場を跡にした所で、パチュリーの声が会場に鳴った。

聖杯戦争が、始まった。

予選会場を遠目で見つめ、自分たちの番を待つ、のび太達。

人々が、白いラインの前に立ち、遠くの的を狙う。

軽々と当てる者もいれば、そもそも全然違う方角に弾が飛んでいく者もいた。

数十チームの予選を見ていたところ、とうとうのび太達の名前がパチュリーにコールされた。

白いラインの前で、二人が並び、25m先の的をじっと見つめる。

 

「さて、と。私から行くよ」

 

フランが先陣をきり、手を上げた

 

「えいっ」

 

彼女の手から放たれた弾幕は、赤い光を放ちながら、一つの歪みもなく的へと直撃。

 

「す・・・・すごい!玉が見えなかった」

 

「速度はあるけど精度がちょっとね・・・・74点」

 

のび太の感嘆とは対照的にパチュリーが冷静に採点をする。

74点という点数が一体、他と比べてどれほどの点数なのか、のび太達は知る由もない。

 

「さ、次はのび太がやってみて!」

 

「う、うん」

 

のび太は先ほどのフランの様子を思い出していた。

弾の打ち方、フランは手を広げ、手のひらから弾を放出していた。

そこでのび太は考えた、あれは、あくまでフランの撃ち方だと。

弾を的に当てる。そういうことであれば、自分は、自分の撃ち方で。

 

「・・・」

 

パチュリーが黙視する。人差し指を前に出し、そうまるでピストルでも撃つかのようなのび太の構えを、見守っていた。

次の瞬間、のび太の腕がやや上に揺れた。指先から放たれた光、発射の衝撃を肘で吸収し、肩をやや震わせるのび太。彼は、的をじっと見つめていた。

彼の弾丸は、見事に的の真ん中を射抜いていた。

 

「(スピードこそないものの・・・この精度は・・・)」

 

パチュリーは表情を変えない。だが、額にはそっと汗が流れていた。

 

「は・・はは・・・ちゃんと出せた・・・」

 

「・・・95点よ。 このチームは合計点169点ね」

 

「他のチームの予選が終わるまで、待っていなさい」

 

結果を聞き終え、予選ステージから離れていくのび太達。

歩きながら、フランはのび太に声をかけた。

 

「のび太、弾幕は本当にうったことないのよね?」 

 

「う、うん・・・」

 

「それで・・・あの精度・・・?」

 

のび太は自分の特技を説明した。外界にあるピストルという道具、そして自分がそれの扱いに長けているということを。

 

「なるほど・・・大体わかったわ」

「のび太、弾幕を撃ったことがないのなら、スペルカードももっていないわね?」

 

「ないよ。スペルカードってなに?」

 

「・・・幻想郷での戦い方を教えてあげる」

「スペルカードルールというものが幻想郷ではあるのよ。」

「それぞれ、得意な弾幕技をこのカードに書いておくの。」

「基本は、対戦するうち、どちらかがその技を発動する。」

「もう一方は避けきるか、自分の弾幕を使って相手の体力を削れば勝ち。」

「このスペルカードは何枚でもあってもいいわ。」

「大体4~5枚が普通かしら。」

「ちなみに、私は7~8枚ぐらい持ってた気がするけど・・・」

 

フランの説明を聞き終えた頃、のび太の頭の中は当然混乱していた。

 

「得意技かあ・・・・・まだわからないや・・・」

 

話し終えたとき、特設ステージのモニターに文字が写し出された。

そして、パチュリーがモニターに映されたものを説明する。

 

「予選が終了したわ。モニターを見て頂戴。」

 

~聖杯戦争~ 決勝トーナメント出場者

レミリア・十六夜咲夜   195点

上白沢慧音・藤原妹紅   189点

博麗霊夢・霧雨魔理沙   180点

八意永琳・優曇華院    175点

剛田武・ドラえもん    172点

古明地さとり・霊烏路空  170点

野比のび太・フランドール 169点

チルノ・大妖精      165点

 

「や、やった!予選突破だ!」

 

喜ぶのび太の横で、フランが笑顔を見せず、真剣な表情でじっとモニターを見つめていた。

 

「・・・・やっぱり決勝トーナメントまであがってきたか」

 

「・・・どうしたの?フラン」

 

「ううん、決勝トーナメントもがんばりましょう」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。