ドラえもん のび太の博麗大結界くんと聖杯くん   作:Remindre

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サイコロと雑談と友と

特設ステージのモニターに自らの名前が載っているのを見て、喜びよりも驚きが勝っており、唖然としているのび太。

一方のフランは対照的に、表情は変えずにモニターを真剣な眼差しで見ているだけだった。

 

「早速、決勝トーナメントをはじめていくわよ」

 

パチュリーが引き続き壇上で、次の舞台の説明を行う。

 

「決勝トーナメントの組み合わせはくじ引きで決めるわ」

「そして、戦う種目は・・・これで決めるわ」

 

パチュリーが、これといった後、モニターの画像が変わる。

そこに映し出されていたのはサイコロだった。

 

「サイコロの目には、〚知〛あるいは〚武〛と書かれているわ。」

「詳しい内容は・・・その時のお楽しみ。ただ、どちらもその言葉のイメージ通りの競技となっているわ」

「ただし決勝戦の競技はあらかじめ、決めさせてもらったわ」

「やはり、幻想郷と言えば・・ということで決勝戦の競技はスペルカードによる弾幕対決よ。」

 

決勝戦はスペルカード対決。そう聞いたのび太は困ったなぁ。といった表情で頭をかいた。彼はまだスペルカードを持っていないからだ。だが、彼の悪い部分が出てしまい、楽観的に今回の悩みを解決した。どうせ決勝戦には進めないから関係ない・・・と。

 

「早速、トーナメントの組み合わせを、くじ引きで行うわよ」

「1戦目は・・・・」

「野比のび太・フランチーム 対 剛田武・ドラえもんチームよ!」

 

「ええええええ!!!」

 

決勝に上がるつもりは無い。というか上がれる気はしていなかったのび太だったが、流石にこの抽選には開いた口が塞がらなかった。

 

「どうしたの?」

 

「ま、まずいよ。相手は僕の友達なんだ!!!」

「優勝して、聖杯の力で元の世界の戻ろうとしていたのに・・・・」

「1戦目でつぶし合いだなんて・・・まあ、でもさくっと負けてあとはジャイアン達に託せば・・・」

 

「勝ちに行くわよ」

 

のび太の弱気な発言をシャットアウトするように、フランは言い放った。真顔で、のび太をじっと見つめて続ける。

 

「わざと負けるなんてもってのほかよ。私だって叶えたい願いがあるんだし」

「それに・・・どのみち優勝は1チーム。つぶし合いなんて言うけど、当たるのが遅いか早いかの違いでしょ」

 

「うう・・・・・」

 

さ、行くわよ。トーナメントにむけて意気込みの方向性がまったく異なる二人がゆっくりと特設ステージへの歩みを進める。

壇上に上がった後、のび太は観客の方を向く。ものすごい数の人・・・というより妖怪たちが自分を注目している。それだけで震えが止まらなかった。

 

「まさか予選を突破するとは・・・なんて思っていたら、1戦目で当たるとはな」

 

送れて特設ステージの上がってきたジャイアン達が上がってきた。

パチュリーが両チームが揃ったことを確認すると、

 

「両チーム揃ったわね」

「サイコロを振るわ。出目は・・・・知!!」

「競技は、稗田阿求の出題によるクイズよ!!!」

 

競技を聞き、あっけらんとしてしまうのび太達。

決勝戦はスペルカードルールという前置きがあったからこそ、余計にこの平穏そうな種目に驚きを隠せなかった。

パチュリーがステージの脇のバックヤードに目配せをすると、そこから着物を来た少女が出てきた。

 

「今回は、両チームに外界からの人間がいるようね」

 

出てきた少女は両チームのメンバーの顔を確認し、ふむふむ・・・と思慮に耽る。

少女の腕の傍らには、随分と年季の入った背を紐で綴られた本があり、それを1ページ捲りながら話を続けた。

 

「今回のクイズは早押し、先に2問正解したチームが勝ちよ」

「出すジャンルは・・・」

 

少女が本を捲るスピードを上げる。パラパラと捲り、これだ・・・と決めた表情で一つのページで手を止めた。

のび太はその時、彼女が持っていた本の裏表紙に注視していた。

そこに「稗田」という文字が書かれているのを見つけ、この子が出題者の「稗田阿求」だと気づいた。

 

「幻想郷でも外界の人間でも均等に答えられる配分で出すわ」

「ただし、このクイズでは1人1問までしか正解は許されないわ。」

「つまり、チームメンバーがどちらも正解しないと勝てない仕組みよ」

 

阿求の説明を聞いたジャイアンが薄ら笑いを浮かべ、のび太を見る。

 

「のび太・・悪いな、この勝負はいただきだ」

 

割ってフランが口撃をする。

 

「あら・・・心外ねぇ。負ける気はさらさらないんだけど」

 

ジャイアンとフランの目での合戦が始まっていた。

フランの後ろで二人の様子をのび太は狼狽えながら、その様子を見ていた。

そして、パチュリー達は着々とクイズの準備をしており、気が付けば一人一つ、クイズ台が出来上がっており、ご立派なボタンまで押してあった。

 

「・・・早速行くわよ!!」

「第1問!」

「外界から流れてきた道具を販売しており、魔法の森を背に店舗がある店と言えば・・・」

 

勢い良くボタンが叩く音が響く。

押したのはフランだった。

 

「香霖堂」

 

「正解!!!続けて第2問!!」

 

「のび太、頼んだわよ!」

 

「あわわわわわ」

「(無理だ無理だ無理だ・・・・)」

「(ドラえもんはもちろんのこと、僕じゃぁジャイアンにすら・・・)」

「(知識で勝てる気がしない!!!!)」

 

「主に大麦を発芽させた麦芽をアルコール発酵させて作られるもので、缶、地域によってはペットボトルなどに入れ、高い殺傷力を誇る瓶に入れることもある飲料と言えば・・・」

 

また、のび太の知らぬところでボタンを押す所が響いた

 

「ビール」

 

答えたのはドラえもんだった。

 

「正解!」

「さぁ3問目、大一番よ!」

 

「「・・・」」

 

のび太とジャイアンが互いに沈黙し、早押しボタンに手をかける。

この問題で勝負が決まる。その緊張感がいつの間にか、のび太の口内に多量の唾液を分泌させていた。それを軽く飲み込み、じっと阿求の言葉に耳を傾ける。

 

「幻想郷・外界間で近年多く流通し、(チャンス)や(秘密)の象徴として用いられる、アクセサリーといえば・・・・」

 

「「・・・・・・・。」」

 

問題を聞き終わって2秒。2人は微動だにしない。

 

「(まったく分からねぇ。アクセサリーなんてつけたこと・・・んっ?)」

「(待てよ・・・俺たちが幻想郷に入ったのはスネ夫のネックレスが光って・・・)」

「(ということは、あのネックレスはもしかして、幻想郷と外界を行き来するような・・・・そうか!そういうことか!!!!!)」

 

「勾玉のネックレス」

 

「・・・・・残念!」

 

「なにっ?!」

 

ジャイアンがボタンを押した時、半分諦めかけたのび太だったが、首の皮が一枚繋がったとはこのことだろうか、ふぅ、と息を吐き、呼吸を整える。

そして、もう一度ゆっくりとのび太は問題を考え直した。

 

「(それにしてもアクセサリーなんて分からないよ・・・・)」

「(・・・そういえばあの時)」

「(僕がこの会場に来る前・・・大妖精たちと出会ってこの会場に向かう前・・・)

「(僕が転んで、ぬかるみに足を取られたとき・・・!!)」

 

 

 

─「あっ、待ってよ!みんな!」─

─「うわっ!ぬかるみが!」─

─「うぅ・・・・みんな行っちゃった・・・」─

 

─「大丈夫ですか?起きれますか?」─

─「手を貸します、掴んで起きてください」─

 

 

─「ありがとう! んっ・・・?」─

─「きれいな指輪だね、こっちの世界のものみたいだよ!」─

 

─「これは最近、外界からしょっちゅう入ってくるんですよ。」─

─「たしか・・・・・―――――――っていったかな?」─

─「チルノちゃんもつけていて、これはひみ「おおーーーぃ!」」─

 

 

「(・・・大妖精が言いかけてた)」

「(「チルノちゃんもつけていて、これはひみ・・・」という言葉)」

「(「これは秘密という意味がある」・・・って言おうとしていた?!)」

 

のび太は、ゆっくりとボタンを押す。

そして口を開いた、そっと彼が思う答えを放った。

 

「・・・・・ピ、ピンキーリング」

 

「・・・・・!」

「正解!」

 

 

「なにぃ?!」

 

「決まったわね。のび太・フランチーム 準決勝出場!!!」

 

パチュリーがのび太の右腕をつかみ、天へと掲げる。

のび太は少し恥ずかしそうに、はは・・・と笑った。

両チームは、次の試合がはじまるから、とパチュリーに促されて降壇した。

ステージから降りると、スネ夫としずかがジャイアン達にすぐさま駆け寄る。

 

「ジャイアン!!!」

 

「ク~~~~~ッ!!」 

「・・・悔しいが」

「のび太、お前の勝ちだ」

「・・・頼んだぞ」

 

素直に負けを認めたジャイアンが、何故か少し不気味だったのび太はう、うん・・・と気の無い返事をする。

いや、不気味だったジャイアンのせいではなく、これからまた大舞台に立たなければいけないという不安から、彼の返事を小さくさせたのかもしれない。

そんな様子を見て、ドラえもんを皮切りに皆でのび太に声をかけた。

 

「僕ら、みんなで応援しているからね!!!」

 

「のび太さん・・・がんばって!」

 

「決勝はお前の得意な弾の撃ち合いだ!得意だろ?!」

 

ドラえもん、しずか、スネ夫・・・それぞれの激がのび太の心を高ぶらせた。そして拳をぎゅっと握り、一人一人の目を見渡し、のび太は頷いた。

 

「うん!僕・・・やるよ!!!」

 

「・・・・・・ふふっ」

 

その傍らでのび太と皆のやり取りを見ていたフランが笑った。

そして、そっとその場を離れる様に歩き出す。

のび太がそれを見つけ、「あっ・・・」と声を漏らしながら、慌てて追いかけた。

フランは、一人でそそくさと歩き、観客も、誰もいない少し離れた場所へ

歩いていった。必死にその後と追い、フランが歩みを止めた所でやっとのび太が追いついた。

 

「・・・フラン?どうしたの?」

 

「・・・・ちょっとうらやましかったの」

 

「ああやって、いっぱいお友達がいるのが」

 

「・・・フラン?」

 

「私、お友達を・・・・・・・お友達、いないの」

 

フランが足で地面を軽くいじりながら、俯き加減で言う。

 

「・・・じゃぁ僕とお友達になろう!」

 

「え・・・?」

 

「僕たちは一緒に、これから優勝を目指す仲間だよ!」

「そして、お友達でもあるんだ!」

 

「・・・・うん!」

 

のび太とフランドールチーム。準決勝進出決定。聖杯まで―――あと2勝

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