世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第百八話

凡そ三日の休みの後。彼等は迷宮へと足を踏み入れた。探索し、踏破する為に。そして彼等は今。

 

「そう言う訳で如何思いますかローウェンさん」

「如何いう事だよ」

「いえ、ミッションをこなす為に一階に行った時にずっと視線を感じてたじゃないですか」

「まぁ、見られてたな」

「それに関して如何思いますか?」

「如何、と言われてもな…取りあえず言える事は」

 

そう言いながらローウェンは視線をレフィーヤから外し。

 

「此奴では無いな」

「ですかね」

 

五人に囲まれて腰が抜けている少女へと向けた。

 

「え、なにこれ。私なんで囲まれてるの? え、なんで?」

「申し訳ないな。冒険者に襲われる事が良く在ったんでな。其処ら辺、少し神経質なんだよ」

「冒険者に…いや私違うよ?! 襲う気なんてこれっぽちも無いからね!! 此処に居たのだって新しい冒険者さんの事を見たいなって思ったから待ってただけだし!!」

「知ってる。が、取り敢えず無力化しておいただけだ」

「この人達怖い!!」

 

涙目に成りながら叫ぶ少女。少し可哀想になってきたレフィーヤは、それでも一切警戒を緩める事無く見る。なにか見覚えが在る様なと思いながら。はて、何処かで会ったのだろうかと思い出そうとして。一人の人物の顔が浮かぶ。

 

「あ、今思ったんですけど。この人なんだかポシェさんに似てませんか?」

「は? いや、似てないだろう」

「そうですかね?」

「寧ろ何処に似てる要素があるんだよ。あの不幸な人間を呪い殺してでも幸せにしようとする奴と」

「え、なにそれどういう事なの? よく分からない」

「知り合いの事だから気にするな」

 

気にしても仕方が無いともいうが。しかし似て無いと言われたかと改めて見る。似ていると思うのだけれどなとレフィーヤは肌を見ながら思う……が、更によく考えれば似ている要素が血色が悪い事位しか無いと思い改める。

 

要するに全然似て無かった。

 

「まぁ、取り敢えず害に成る様な事はなさそうだな」

「当たり前だよ。と言うか無理だよ。何時の間にか囲って居た上に武器まで取り上げられちゃってるし。あっという間にそんな事が出来る人に喧嘩売るなんて馬鹿でしかないよ」

「と言う事はミカエは紛れもない馬鹿と言う事だな」

「道理でござるな」

「ミカエ? それってもしかしてあの狂人ミカエの事。え、あの狂人に襲われたの?! よく無事だったね」

 

「まぁ、確かに腕はかなりいい方だしな。クルミ程じゃないけど」

「そうですね。危険と言う意味ではかなりのものですしねミカエさんは。クルミさん程じゃないですけど」

「切り掛かって来るとか頭が可笑しいと言わざるおえないしね。一軒家を吹き飛ばすクルミ程じゃないけど」

「そう考えると、クルミちゃん程では無いけどそんな風に言われるのも仕方ない事よね」

「で、ござるな。流石にあのクルミ殿と比べるのはあれでござるが」

 

「待って、ちょっと待ってクルミって人誰? 誰なの?!」

 

驚いた様に問い掛けてくる少女に、クルミが如何いう人なのかと考えて。

 

「街を滅ぼせる女だな」

「危険って領域じゃ無いよその人!!」

 

いやまぁ、確かにその通りなのだが、クルミはその積りはないだろうし大丈夫だろうと、そう思っている事しか出来ないし。気にしてもどうしようもない。

 

「まぁ、関係ない話は此処までとして。立てるか?」

「あ、うん大丈夫」

「はいこれ。あ、そう言えば名乗ってませんでしたね。私はルーンマスターのレフィーヤ・ウィリディスです」

「え、あ。私はリリ、ネクロマンサーだよ。それにしてもルーンマスター?」

「此処とは別の地方での職ですよ。アルカディアでは…ウォーロック、が近いですかね」

「あ、成程そういう事なのね……別地方って事はさっき言ってたクルミって人は」

「アルカディアには居ない。多分、きっと。伝承に語られる巨人を吹っ飛ばしに行くとか言ってたし……巨人に関する伝承は無いよなここ?」

「無かったと、思うよ。確か…うん、ルナリアには無かったよ。うん」

 

言いながら、視線をハインリヒとゴザルニに向ける。其れが意味しているのはセリアン族とブラニー族の方は如何なのかと言う事だろう。其れを理解した二人は首を振る。

 

「なら、取り敢えずクルミが来る事は暫くは無いだろうな。暫くは」

「そっか、よかったぁ。あ、そうそう言う必要は無いだろうけどこの二階は一階と比べてかなり危険だから気お付けてね。必要無いだろうけど」

「そうか、ありがとう。と、色々としてしまったからな、一応お詫びとしてこれでも渡して於くよ」

「あ、ありがとう……アリアドネの糸と、ネクタルかな? 有り難く受け取っておくよ」

 

そう言ってリリは嬉し気に手を振りながら、割と早足で去って行った。やはり怖がらせてしまったのだろう。まぁ、あの程度で怖がってたのだとしたら冒険者としては軟弱だなと思わなくもないが。

 

「さて、行くかね」

「そうですね、ってそう言えば何であの人が見ていた訳じゃ無いって断言したんですか?」

「気が付いて無かったのか? あいつがへたり込んでいる間も見られてたぞ?」

「…あぁ、なんか感じてた違和感は其れでしたか」

「まだまだ未熟だな」

「ローウェンさんと比べられても嫌ですけどね」

 

そんな話をして。リリが去って行くのを見てから彼等は再び歩きだす。進んだ先に強力なモンスターが。F.O.Eが居る事を理解しながらも、歩き進む。

 

そして彼等は、其れと出くわす。

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