世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第百十一話

アルカディア評議会からのミッション。それは第一階層にある結界を解除する事。なんでも第二階層に至る為の道をゴーレムの群れが阻んでいる。ルナリア族の張った結界と関係しているとの事だが、まぁ詳しい事は分からないらしい。取りあえずゴーレムを退ければミッション達成扱いらしい。随分雑だなと思わなくもないレフィーヤだった。

 

「まぁ分かり易いのはいい事だな」

「それもそうですね」

 

ローウェンの言う通りだと頷きながら、レフィーヤは迷宮を歩き進む。彼等が居るのは五階。休んで疲れを抜いた彼等は迷宮へ、今回で第一階層を超えて第二階層に辿り着く積りで足を踏み入れた。

 

そうして、と言う訳では無いが四階のF.O.Eと相対する事も無かったからか、難無く進み現在の五階へとたどり着いたのだ。評議会の言うゴーレムの群れが居るという五階に。

 

まぁ、其れは其れとして。

 

「中々に面白いことが起こってるな」

「余り見ない…と言うか初めてですかね?」

「アスラーガの所の第六迷宮で同じ様な事が起こった、と言うか起こしたけど見てた訳じゃ無いしな。そういう意味でなら初めてだな」

「まぁ、よく考えれば起こらない方が可笑しいですよね。F.O.Eの縄張り争い」

 

そう、彼等の視線の先で起こって居るのは縄張り争い、と思われる戦い。どうしてそんな事に成ったのかは分からないが、猛る梟獣と紅鉄の蜊蛄と名付けられているザリガニの様なF.O.Eが戦って居る事は間違いない。

 

「見た所、紅鉄の蜊蛄の方が優勢か」

「でござるな。どうするでござるか?」

「終わるまで待てばいいだろう。今の状態の二匹に突っ込んでも面倒でしか無い。流石にF.O.Eを二体同時に相手したくない」

「手負いでござるがな」

「逆に手負いだから嫌なんだよ。何するか分からんしな」

「道理でござる」

 

そう言いながら頷くゴザルニを見ながらレフィーヤが思い出すのはオーバーロードの居城。F.O.Eと言うべきモンスターが捨て身で複数同時に連携しながら襲い掛かって来るという地獄めいた光景。駆け抜けて居なければ確実に今ここには居なかっただろうそれを思い出して。

 

「まぁ、あそこと比べるのは可笑しいですよね」

「何処の事だと訊くところだろうが何と無く分かるから言わせて貰おう。それな」

 

なんて話をしている間に。猛る梟獣の剛腕から繰り出された一撃を受けながらもその頭部を挟み込んだ紅鉄の蜊蛄が其の儘地面に叩き付けた。そして猛る梟獣はその体をビクリと振るわせて動かなくなる。如何やら勝ったのは紅鉄の蜊蛄の方の様だ。

 

紅鉄の蜊蛄は勝鬨を上げるようにその両腕を振り上げて。

 

レフィーヤの放った天雷が直撃する。猛る梟獣との戦いで既にかなりの消耗をしていた紅鉄の蜊蛄はそのまま固まり、猛る梟獣と折り重なる様に倒れ伏した。

 

無言で二匹に近づくゴザルニ。事切れていると確認して。

 

「容赦の欠片も無くなったでござるなレフィーヤ殿」

「する必要性が無いですからね」

 

まぁ、自分でも変わったなとは思うレフィーヤだった。

 

 

 

「そろそろだな」

 

暫く進んだ所で、不意にローウェンが呟く。そろそろとは如何いう意味なのか。それは聞かずとも分かる。

 

「そうですね。地図もぐるっと周って残るのは中央だけって感じになってますし」

「存在感も増してるしな」

 

そう、彼の言う通りなのだ。此処に居るぞと主張するかのように感じる無視する事の出来ないその存在感。それが増している、いや近づいているとでもいうべきか。まぁ、何方でも良い。重要なのはもうすぐミッションに指定された相手であるゴーレムと戦う事に成るという事だ。

 

「しかしゴーレムかぁ、硬いんだろうなぁ。あぁ嫌だ。硬い奴は正直苦手だよ全く」

「おや、意外でござるな。ローウェン殿が苦手とするものが在ろうとは」

「基本的に弾丸が通らない奴は苦手だよ俺は。金が掛かって仕方ないからな」

「倒せないとは言わないのでござるな」

「倒せるからな。代償に俺の財布がとても軽くなるが」

「世知辛いでござる」

 

想像してしまったのか、涙を堪える様な仕草をするゴザルニと思い出したのか若干煤けて見えるローウェン。まぁ、世知辛いというのは同意するが。しかしだ。

 

「ライシュッツさんやクルミさんの相手をするよりは安く済みますよね」

「当然だろう。あいつ等の相手をすると弾丸全部吐き出さざるおえないしな。真面目に冒険出来なくなるからやり合いたくない」

 

それでも敵として立ち塞がれば戦うのだがと零すローウェン。レフィーヤも出来れば戦って欲しく無いものだと思う。涙目でお金を稼ぐために走り回る彼を見たくないから。まぁ、金稼ぎせずに済むなんて事は在り得ないだろうが。それこそ全てが無料にでも成らない限りは。

 

と、彼等は扉の前に辿り着く。その先からは感じる圧を思うに。間違いなく居るのだろう。ローウェンは確認する様に軽く見渡して声を掛ける。

 

「…あぁ、さて調子はどうだ?」

「全く問題ないですね」

「同じくー」

「拙者の刃は震える程飢えているでござる」

「あたしも大丈夫よ」

「ならばよし」

 

言って扉を開けて、足を踏み入れた。

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