「あら失礼、自己紹介がまだだったわね。あたしはコバックって言うの。職業は見て分かるだろうけどパラディンよ。腕前に関しては幾ら口で言おうと見てもらうまでは判断できないでしょうから置いて置くわね。けど、あたしを仲間にした事を後悔なんてさせないから大丈夫よ。ちゃんと信頼してね?」
言葉に詰まるレフィーヤ、普通の自己紹介。しかし、最初の衝撃が凄すぎたのか。その事にとても違和感を感じて。
「あ、興味ないかも知れないけど、趣味は筋トレよ」
「男らしい趣味ですね」
言ってハッとする。言ってはいけない事を言ってしまったような感覚だ。若しかして、怒らせてしまったかと視線を向けると。
「? 筋トレに男らしいとかってあるのかしら?」
首を傾げていた。呟いてる事も尤もである。筋トレに差別など必要無いのだから!!
しかし、何かおかしいと感じたレフィーヤ。なんか思ってた反応と違うというか。横目でローウェンを見る。彼はどの様な反応を示しているのか。彼も首を傾げていた。何故彼まで首を傾げているのか、気に成った彼女は問い掛ける。
「如何したんですか?」
「いや、ギルド長が頼むほどの奴か?って思ってな」
「そうだと私は思いますよ?」
色々と違和感は在れど。キャラ濃いし。反応に困るし。しかしローウェンは何でも無いかのように言った。
「でも別に問題ないよな?」
「いや……いや、無いですけど。あれ?」
首を傾げる。確かに、その通りだ。よくよく考えれば、驚いてたせいかおかしく感じていたけれど別に自己紹介が変と言う訳では無かった。寧ろ普通、其れよりも確固たる自信を垣間見れる物だった。付け足される様に言われた趣味に関してもそうだ。筋トレ悪くない。では、何故?
「あら、なんで二人して首を傾げてるのかしら?」
「いやちょっとな。所で何でギルド長が紹介するなんて事に成ったんだ? そうある事じゃないだろう」
「それがあたしも分からないのよ。いえ、嬉しいは嬉しいのだけれどね? あぁ、そう言えば」
「なんだ?」
「良いわよねぇギルド長」
危ぶまれてるのでは其れは?
うっとりとした表情を浮かべるコバック。しかし、又も違和感。何か、違う。一体何がと、其処でふと気が付く。あの視線を何か既知感がある。そう・・・・よくあのような視線を。そこで気が付いた。
「あの、良いというのは如何いう風に?」
「如何いうって、そうね。渋くてすてきじゃない? 男からしても素敵な大人って感じでしょう? あたしもあんな風に渋く年を取りたいものだわぁ」
「あぁ……成程そう言う事か」
理解した様にローウェンは呟く。そして、レフィーヤもまた理解していた。ギルド長が言っていた通りだ。性格に問題は無いだろう。しっかりと自己紹介しているのだから、酷い者ならそんなことしない。技量に関しては、コバックの言う通り見てみない事には分からないだろうが、しかし自信があるのもまた言葉通りなのだろう。では、何が問題なのか。それは。
とても勘違いされやすいという事だ。
「いやでも仕方ないと言えなくも無いよな」
言葉足らずの部分が在り。それ以前に口調からしてある程度は関わらなければ確実に勘違いする事だろう。主に、心が乙女な感じの人と。コバックはそう言う訳では無い様だが。
「関係無い事訊くが、好みはどんな感じだ?」
「食べ物のって意味なら辛いの全般ね。異性のって意味なら年上が良いわね、知的で自分にも他人にも厳しくて、けど気を許せる相手にはとことん甘えちゃう様な女性とかだったら最高ね」
まぁ、普通の男性だねと。そう思いながらレフィーヤは思考を少しずらして聞かなかった事にした。色々言う所なのだろうが、彼女自身色々と疲れてしまっていて如何でも良くなり始めていた。しかし、男性にとってあれは普通なのだろうか?
如何でも良い事かと頭からその疑問を振り払った。
「そうかぁ……うん。まぁ、取り敢えず面白そうだし歓迎しようコバックよ!! あ、言い忘れてた、俺はローウェンと言う。見たら分かるだろうが職業はガンナーだ。っで、こっちのが」
「あ、レフィーヤ・ウィリディスです」
「これまた見て分かる通りルーンマスターだ。尤も、レフィーヤはまだ初心者だがな。戦闘時にはそこら辺を留意してくれ」
「あらそうなの。よろしくね」
「よろしくお願いします」
差し出された手を握る。ここら辺も麻痺してるなぁ、なんて思うレフィーヤだった。
「じゃあ、ギルド長に報告するか」
「あ、其の前に聞きたいのだけれど。貴方達は何処を拠点にしているのかしら? 仲間なら余り離れて居ると不便でしょうし、何らならあたし場所移すわよ?」
「む、其処までは。と言いたいが間違ってもいないな。今はかすみ屋で部屋を借りているから……あぁ、そうだ。俺と同じ部屋の方が色々と楽かもな」
「あらそう? でも……そうね。部屋を新しく一つ借りるよりは金銭的にはその方が良いかしらねぇ。でも貴方は良いの?」
「金は超大事だから全然構わん、そこそこ広いしな。じゃあそう言う事で、取り敢えず荷物を運ぶだけにとどめて置いてくれ。戻ったらちゃんとその辺の話をするから」
「よろしくお願いするわ」
「あの……私、一部屋丸々借りてもらってるんですけど」
「そこは良いんだよ。正直、お前が寝起きしてる場所は其処まで良い部屋では無いからな。其処まで金が掛かってる訳じゃ無いから気にするな」
「良い部屋じゃなかったんだ」
あんなに居心地が良いのにと零せば。ローウェンは肩を竦めた。
「あの部屋、出入り口から遠いだろう? 何も持ってない状態なら兎も角、ちゃんと準備してとか、或は複数で移動って場合だと少し不便でな。冒険者には不人気なんだよ」
「成程」
立地的な意味で良いとは言えないという事か。それは、確かに在るだろう。出入り口から遠いとなると、武器やら鎧やらなどと言ったモノを考えれば、かなり大変だろう。と、ふとローウェンはどの様な部屋を借りているのだろうかとレフィーヤは思った、ので。
「ローウェンさんはどんな部屋借りてるんですか?」
「呼び捨てで良いぞ?あと、部屋に関してはそこそこのだな。ガンナーは他の職業と違って色々と物が必要だから置いとく為の物置部屋付きの広めの部屋」
「へぇー」
「まぁ、それもガンナーの金が掛かる所なんだよなぁ」
「結構良さそうな部屋ね。けど、尚の事本当に良いのかしら、あたし、結構場所取るわよ?」
「良いって言ってるだろう? 何度も言わせるな」
「あら、ごめんなさい」
「別に気にしていないよ。っと、取り敢えずの話はこの辺で良いだろう」
軽く手を鳴らして、そして広げる。
「じゃあ改めて言って於くか。よろしくコバック」
彼はとても楽し気に笑っていた。
「そう言えば如何してそんな口調なんだ?」
「喋り易いからだけど?」
「え? 其れだけなんですか」
「其れ以外何が在るのよ?」
色々ある気がすると思ったレフィーヤは間違っていない。