コバックを受け入れるとギルド長に伝え、サラリと手続きを済ませる。それを確認したコバックは荷物を取りに行くと言って冒険者ギルドから出て行った。次に会うのは、かすみ屋でだろう。きっと今夜あたりだ。
「改めて言おう、すまないな」
「いやだから謝る様な事じゃ無いから。まぁ、面食らったのは確かだけど」
「それでもだ」
「あっそう。しかしあいつ凄いな。ああ云うのを天然って言うのかね?」
「かも知れませんね」
ローウェンの呟きにレフィーヤは同意する様に頷いた。まぁ、何と無く違うような気もするが、間違ってはいないだろう。多分としか言いようが無いが。
「そう言えば、なんで紹介したんですか?」
「そりゃあ、勘違いされるからだろう」
「でもそれだけですよね?」
「いや、まぁ大袈裟な類の勘違いをする様な事は無いがな。仲間として行動知れば直ぐに消える類いの物だし。だが、勘違いが無くなる前に、それが思わぬ落とし穴に成るって場合は割と多いんだよ」
「そ…れは」
否定できない。冒険とは、命を懸けるもの。どんな些細な事が命に到る傷に繋がるのか分からない。だから、その要因に成り得る物は少ない方が良い。そういう例え気にする様な事で無いと思えるような勘違いでもだ。それが無い様に、ギルド長はローウェンに、或はコバックにローウェンを紹介したのだろう。というか、任せられる程凄い人物なのかと思ってしまったレフィーヤで在った。
と、ふとした疑問。なら本当に何故、ギルド長は謝っているのだろうかと。視線をローウェンに向ける。何だと言いたげに少し首を傾げて、納得した様に頷いた。
「紹介した、という事が申し訳ないと思ってるんだろ。ギルド長として冒険者に、其々のギルドに過剰に関わる様な行いをしてしまったってな。まぁ、何回も同じような事してるんだけどなこの人は」
それは、詰りギルド長がとてもいい人と言う事なのだろうか?
改めて、ギルド長に視線を向けると、少し気恥しそうに頬を掻いていた。その姿にちょっと不思議な感情が芽生えるのを気がした。ああ、そうか此れが神の言っていた萌えと言う感情か?!
少しだけ大人になった気がしたレフィーヤであった。もちろん、駄目な方であるとは自覚しているが。
「まぁ、ギルド長は何時も通りって事で。さてと、パーティー的に考えて。取り敢えずあと一人は欲しいな。出来れば、治療ができるメディック……だと、後衛が三人に成るから止めておいた方が、いや回復に集中できる奴がいないのは其れこそ拙いか。ならやっぱりメディック。次点で万能なフーライって所か」
呟く様に、ローウェンから言葉が零れる。他にも仲間を探す様だ。メディックに、フーライ。確か、メディックは医術師でフーライは・・・何だったかと思い出そうとするレフィーヤ。そう、そうたしか。個人で冒険する様な人物に向いている、とかなんとか説明された様な気がする。街を歩き回りながらの説明だったから、というのは言い訳だろうかと彼女は思った。覚えられる人ならそれで充分なのだろうから。
と、気合を入れ直してからローウェンを横目で見る。まだ、唸りながら悩んでいた。
「ふむ、補助ならばダンサー、というのも良いのではないか?」
「ダンサー、ダンサーか。確かに、ピッタリではあるんだがなぁ」
「何か問題でもあるのか?」
「いや単純に、メディックとフーライなら腕の良い知り合いがいてな」
「成程、確かに其れならば其方の方が良いと思うのは当然か」
「でも、迷宮に挑むとなると四人が限界だしなぁ、って悩んでる」
四人が限界? それは如何いう事だろうかと疑問に思い、直ぐに思い至った。レフィーヤが昨日挑んだ不思議の迷宮。其処はお世辞にも広いとは言い難かった。通路は二人同時に通ろうとすれば、余程小さく無ければつっかえてしまいそうだった。さらに部屋の様な場所も、広いと言えば広いが戦闘をする事を考えると狭いとしか言いようが無い。
パーティーで迷宮に挑む際、互いに邪魔に成らないようにする為に。同時に行けるのは四人が限界と言う事だろう。大人数で戦う為の場所を整えたなら話は別だろうが。
「あぁ、なんかもう悩むのがしんどくなってきたな。先に出くわした方を勧誘するか」
「其れで良いのか?」
「いや、ぶっちゃけ何方を選んでも問題ないしな。後はもう時の運と言う事で」
「…まぁ、其れも大事なのかもしれないが」
「と言う訳でどっちかこいやぁ!!」
其れで良いのか、いいや良いのか。唯単に縁と運を頼りにしているだけなのだから。ローウェンがどちらが入っても構わないというならば、大丈夫なのだろう……多分。それよりも問題なのは彼の言った二人の内、先に在った方を勧誘すると言った。しかし何時であるか分からない。なのにローウェンは待つ積りで居る様で。運が悪ければ、とんでもなく時間が掛かってしまうのでは?
「あ、来た」
「えぇ?!」
如何やら相当運が良い様だ。思わず驚きの声を上げてしまったレフィーヤは。しかし、反射的にどの様な人物なのか確認しようと、ローウェンの視線の先を見て。
其処には居た人は、ゆっくりと誰かを探す様な仕草をしながら歩いていた。ローウェンがその人物に向かって歩いて行くのを見ながら。似ていると、レフィーヤは思った。
そう似ていたのだ。レフィーヤの所属していたファミリアと呼ばれる組織の、団長に。
身長的な意味で。