世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第百五十三話

オラリオのダンジョン。その事実を前に、逃走を選択したギルド・フロンティア一行。

 

「ぶっちゃけ無理だなあれは」

「そうねぇ」

「勝つ負けるとかそういう以前に戦いが成立しませんもんね」

「そこにモンスターがずっと湧いて出るって話だかしねぇ」

「まぁ、そうでござるなぁ」

 

『今の所は』

 

当然の様に諦める積り皆無な彼らはオラリオという街の外に居た。

 

「まぁ、ダンジョン、というかモンスター……モンスター? あれはモンスターで良いのか?」

「ダンジョンそのものだものね。ちょっと同じ扱いで良いのか迷うわよね」

「そうでなくてもでかすぎるしねぇ」

「あ、でも改めて考えるとダンジョンそのものとは限らないですよね。一階だけとか…その、だといいなぁ思いますはい」

「願望じゃねぇか」

「その通りですが何か?」

 

別に悪い事じゃないだろう。それを迷宮内に持ち込んだりしないし。それをローウェンも理解しているからこそおすかと呟くだけで終わらせる。そして改めてこれからどうするのかを話し合う。

 

「取り合えず、俺の銃弾事情を何とかしないといけないんだよなぁ。あそこ、というかあれに挑むとしたら」

「だとしても焼け石に水な気もしますが」

「現実を突き付けてくるなお前は。その通りなんだがな」

「急所がどこなのかさっぱりだものね」

「というか何処攻撃したら当たるんだよ。壁か?」

「割と魔法で吹っ飛ばしてましたけどこれと言って反応無かったような気もしますからそれは無いかと」

「そうか、と言う事は壁の奥に居るのか。それとも単純にその程度じゃかすり傷とも思って居ないのか。さてそれを踏まえて考えると…どうしようか」

「そうですねぇ」

 

さて、じゃあどうしようかとああでもないこうでもないと話し合い、そう言えばと思い出した様に視線を向けるのは、コバックが攫ってきてしまったリリルカだ。

 

「…あぁ、如何しますか?」

「如何するって戻すわけにもいかんだろう。誘拐じみた事したわけだし…コバックが」

「あたし!?」

「いや普通にそうだろ。ダンジョンから出る時にって言うなら兎も角、ここまで連れてきた時点で駄目だろ」

「ですね。あ、すみません離れてもらえますか? 共犯と思われたくないので」

「酷い!」

 

そう言われても実際そうなのだからしょうがないだろう。オラリオから連れ出した時点で完全に誘拐だし。無駄に気配を断ち視線から逃れながら街を出たからそれを見た人はどれだけいるかは分からないが、戻れそうにない。

 

詰まり完全にコバックが戦犯である。お陰でオラリオに戻れなくなってしまった。まぁ、戻りたいような場所では無いけど、ロキファミリア以外。

 

さて、其れは置いておくとしてリリルカの事だ。何故、なんて言うまでも無いだろうが状況に付いていけず呆けた様に空を見上げている彼女を如何するのかだが。

 

「…雇い続けるか」

「良いんですか? いやまぁ、此処までコバックさんが、そうコバックさんが連れてきてしまったとはいえそこまですると流石に厳しいのでは? 金銭的に」

「二回言わなくても」

「まぁ、金については如何にかすればいいだけだしな」

「其れはそうですか。雇っても別に良い事ないですよね?」

 

ダンジョンという巨大モンスターにすぐに挑むことは無くなったゆえに、其れに関しての情報。というかそうであると分かった時点でそこまでの意味が在るのか分からなくなったそれを知っても意味がないのではとレフィーヤは思いながら言葉にして。

 

「いや、あれ関係だ」

「あれ? って……あぁ、成程。確かにあれの事を考える悪い事では無いですね」

「だろ? ハインリヒが問題なく動けるようになるしな」

「でも流石にその問題は解決してるのでは?」

「あいつがそれをするか??」

「……無理ですね」

 

思い浮かんだ姿に、重く深いため息を吐きながらそう言葉にする。あの変態がそんな気の利いたことをするわけがないと。

 

「と言う事で雇い続ける事にしたしたから。いわゆる長期雇用ってやつだな」

「はぁ…そうですか」

「ふむ、嫌か?」

「いえ……そういう、訳では」

「何ならちょっと手間だが今からでもオラリオに」

 

「やめてください!!」

 

リリルカの絶叫が響く。唐突なそれに驚きつつ、それがまるで悲鳴の様に聞こえた。だからこそ、ローウェンは軽く確認するように視線を向けてレフィーヤに向けてから。顔の青ざめた震えるリリルカを見る。

 

「まぁ、そう言う事ならオラリオにっていうのはやめておくとしよう。だが雇われるかどうかに関してはちゃんと答えてくれないと困るんだが」

「……よろしく、お願いします」

「はい、よろしく」

 

と、軽く握手する。と言っても傍から見れば無理やり手を取っている様に見えるのだが。まぁ震えている所為でというのもあるが。

 

「良し、良い感じの人材も入った事だし。一度確認がてらあそこ行くか」

「寧ろ拠点にしても良いのでは?」

「あぁ……そうだな、まぁそこら辺はちゃんと話し合ってからだな」

「あの、あそこってどこですか?」

 

と、相変わらず顔は青ざめているリリルカが問いかける。まぁ分からないのは当然かと思いながらレフィーヤが答えた。

 

 

「ラキアですよ」

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