洞窟、それは多くの物語に於ける冒険の舞台。
洞窟、それは冒険者を狂わせる魅惑の場所。
洞窟、それは未知の宝庫。
そんな素晴らしき場に足を踏み入れた彼らは息を吐きながら呟くのだ。
「暑くない?」
「えぇ、確実に」
「外では雪が降り積もっているのにねぇー……可笑しいわよねこれ?」
そう、可笑しい。外よりも若干、暖かい程度ならばまだ分かる。だが、汗が流れる程暑いというのは異常だ。明らかに自然ではない。確実に、とは言い難いがそれでも何かあるのではと思える。
「樹海磁軸も在りましたし。これは……当たりですかね?」
「まだわからんけどな。暑さに関してはそう言ったことが出来るモンスターが居るってだけかも知れん」
「そうですね」
「まぁ、そんなのが居るならそれは其れで外れでは無いがな」
「全くもってその通りですね」
何方にせよ損にはならない。というか冒険できる時点で損では無いのだが。そんなのはいつも通りだから良いとして。取り合えず今すべきことは。
「なんでこんなに暑いのはを調べる事からですかね」
「そうだな」
世界樹の迷宮でなければ不自然で在るのにはちゃんとした理由が在る。それを見つけ出す事が必要だろうとレフィーヤは思い、ローウェンもまた頷いて見せた。
流石に、この暑さは嫌なるからだ、それでもムスペルよりはましなのだが。それでも不快である事に変わりない。早く原因を見つけて何かしらで対処したいものだとレフィーヤは思い、割とすぐに見つかった。
のだが、彼らは反応に困っていた。その原因が、良く分からないなにかだったから。微妙な顔をしながらローウェンが指差して言葉にする。
「あれ……なんだと思う」
「さぁ?」
「まぁ、だよな」
と、頷くローウェンを見てから、レフィーヤはそれに視線を向ける。周囲が歪んで見えるほどの熱を発している何かを。
「…取り合えず、あれだと俺は思うんだが」
「私もそうだと思います、あからさまですし」
「僕も同じく」
「そうね」
「そうでなかったらちょっとあれでござるしな」
なんていうゴザルニの言葉に、確かにと思いながら頷く。あんなあからさまな物が実は違いました、なんてなったならあれは本当になんなんだと成る事間違いなしだ。
「如何する? 壊す?」
「そうだな。放置するって選択は無いな。先進めないし」
「そうですね。あれの奥だけですしね、まだ探索して無いの」
地図を埋めたから分かるのだ。あれがどうしても先に進むのに邪魔なのだと。若しかしたら爆発するかもしれないからという理由で少し様子見をしている訳だが。
「…それで、どうやって壊しますか?」
「レフィーヤ。氷を叩き込め」
「まぁ、そうですよね」
熱を発しているから氷をぶつける。安易だが外れる事が少ない選択肢だ。まぁ、ムスペルとかそういった領域になると無意味だけど。
なんて事を考えながら氷槍を作り出して熱を発している何かに向かって放つ。動いてないものを外す様な事もなく直撃。すると意外というか、思っていた以上に簡単に音を響かせながら砕け散った。
それでももしもを考えてゆっくりと警戒しながら近づき、それが何なのかを確認する。
「…鱗、かな?」
「みたいだな」
「と、言う事はこの暑さはモンスターに因るもの、と言う事ですかね?」
「まだ断言は出来んがな。可能性としては高い」
しかしそうなると、洞窟内だけとはいえ環境に影響を出すほどのモンスターが居ると言う事に成る訳だが、いやそれに特化しているだけの可能性もあるかとレフィーヤは思いながら砕けた鱗を手にとって見る。意外と手触りが良い。
「まぁ、暑さが分かってない事から元凶がこの鱗でないのか、それともこれの持ち主であるモンスターが居るからか、或いは鱗がまだ沢山あるからか、だな」
「面倒なのはこれが原因で無い事ですかね」
「これじゃないとなると探し直さないとだからね」
「ある意味一番楽なのはモンスターが居るからって理由だな。それをぶちのめせば解決だし」
「で、嫌なのは」
「たくさんあった場合だな。探すのが面倒処の話ではなくなるし」
「まぁ、最初と最後に関しては最悪無視して進まなければいけなくなるでござるからなぁ」
「本当に最悪ですよね、それ」
地図も綺麗に埋める事が出来ないだろうから、気分も悪くなるというものだ。飽くまでも、そうだった場合はだが。
「そうでなかった場合は兎も角、沢山ある場合は分かり易い所に在ったならそれで解決なんだがな」
「運任せですね、或いはそのモンスターの生態次第」
「そうだな。だから自分が幸運である事を願いながら進むんだな」
「そうします」
大げさにどうかお願いしますと言いながら、彼等は先へと進む。元凶のモンスターが何時現れても良いようにと警戒しながら、さらに奥へと。
そして、それを見つけた。
「これは、凄いですね」
「うーん、結構壊れてなのか欠けてる部分もあるみたいだけどねぇ」
「それは仕方ない事でござろう。長い事を放置されていたようでござるしな」
「モンスターが居る事を考えると、寧ろここまで残ってる事に驚くべきだろうな」
「そうだね。いや、驚くというよりは喜ぶべきかな? ここまでのものが見れた事に」
そう、言葉にする彼らの目の前に在るのは、巨大な壁画だった。