世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第百七十九話

それは、ラキア王国に在る宿の一室での他愛もない、唯会話と遊び。

 

「そういえば、結局この前のはどうだったんですか?」

「この前のって、洞窟に行った時の事ですか?」

「はい」

 

カードを置きながらそうリリルカが言葉にする。それに対してレフィーヤはアスフィの手の中に在るカードを選び取りながら少し考える。

 

「それって、どういう意味でですか? 成功したとかそう言ったことですか? それとも、単純に利益的な事ですか?」

「あぁー……両方ですかね」

「それは壁画を見つけられた時点で大成功ですよ」

「それは、そうかもしれませんけど。利益的には」

「変態たちから結構な額を貰ったので損得で言えば得をしましたね。間違いなく」

「え、そうだったんですか?」

「知りませんでしたか。えぇそうなんですよ。壁画に関しては学者から、鱗の欠片や亀の甲羅は研究者とかから貰ってるんですよ。其れこそローウェンさんが小躍りするくらいには」

 

暫くは、と付くがそれでも金策に走らずとも冒険が出来る。冒険に全てを捧げている者にとってこれ以上ないだろう。体調を整えればすぐにでもまた冒険に向かえるのだから。

 

「という訳で誰もが満足できる最高の結果となった訳ですよ」

「あの、石板とかが見つからなかったのにですか」

「そうですよ」

「あれを探しに行ったんですよね?」

「いえ、冒険をしに行ったんです。それは見つかったらいいな程度のものでしか在りませんでしたよ」

「そ、其れで良いんですか?」

「えぇはい。寧ろ問題が在るとでも?」

 

別に誰かが探し求めているという訳でも無いのだから。絶対に見つけ出さなければいけないというものでもない。いやしいて言えば変態が求めているかとレフィーヤは思う。まぁ、その変態も今はそれどころでは無いだろうが。そう考えると、ある意味で変態の被害も減るから其れ関係も悪い事などでは無いのだろう。本当に良い事ずくめだなと力強く頷き。

 

「あ、上がりですね」

「またですか?!」

「これで何回目ですか?! 始めてからずっと私達二人で最下位争いしているんですけど!!」

「弱いのが悪いと思います」

「分かり易すぎるのでござるよ。もう少し隠す事を憶えるべきでござるな。そんな事ではモンスターにすぐ気が付けれてしまうでござるよ」

 

モンスターうんぬんは置いておくとしても分かり易いのは確かだ。アスフィは僅かに眉が動くし、リリルカはカードを少し動かしてしまう。そんな事では分かってくださいと主張している様なものだとレフィーヤは思う。

 

「で、まだ終わらないんですか?」

「ちょ、ちょっと待ってください。ここはとても重要なんですよ! ここで勝敗が決するんですよ!!」

「取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ取れ」

「アスフィ様呟くのやめてください、怖いです」

「精神的に追い詰めるのは基本でござるな」

「まぁ、その程度で揺らぐほどリリルカさんもやわでは在りませんけどね」

「そこまで逞しくなった覚えは無いです!」

 

なんて叫びつつアスフィの意識が一瞬すでに上がっている二人に向いた瞬間、カードを引く。狙うのは二枚在る内の右側。あ、と呟くももう遅い。

 

「シャッ!!」

「まけ…た」

 

テーブルにカードを叩きつけ力強くガッツポーズするリリルカとジョーカーのカードを床に落としながら崩れ落ちるアスフィ。

 

「そんなに負けるのが嫌ですか」

「正確には負けるのが嫌なのではなく、負け続けるのが嫌なんですよ」

「それでそこまで白熱するわけでござるか。まぁ、拙者もレフィーヤ殿に負けたくないというのは在るでござるから分かるでござるよ」

「出来れば勝ちたいですからね」

「そしてその戦いに巻き込まれた結果の恐ろしい程の敗北がリリたちに積み重なる訳ですよ」

「協力してやりますか?」

「協力?……ババ抜きって協力出来ましたっけ?」

「やろうと思えばやれると思いますよ?」

 

流石に、やってみないと分からないが。

 

「……って言ってますけど? どうしますか」

「それを先程負かした私に対して訊きますか? まぁ、別に良いですけど」

「あ、良いんですか」

「当然でしょう? 一回で良いから貴女達に勝ちたいのですから」

「同じく」

「と言う事は」

「えぇ」

 

頷きながら僅かに近づく二人。作戦でも立てるのだろうか。だとするならば油断など出来ようもない、ので

 

「本気でやれるという事ですか」

「昂るでござるな」

「やっぱりこのまま平等で行きましょう? ほら、二対一対一なんてこう、卑怯ですし? そう思いませんかアスフィ様」

「そうですね。やはり遊びは平等であるべきですよね」

「凄い勢いで離れましたね」

 

なんて、そんな事を言いながらカードを集めていると扉を叩く音が聞こえる。誰かが訪ねてきたのかと立ち上がり向かう。敵意が無い事を確認してから開くと、そこにはハインリヒが立っていて。

 

「やぁ、今大丈夫かな?」

「えぇ、女子会をしていただけなので」

「女子会? まぁ、いいや。はいこれ。レフィーヤ宛の手紙」

「手紙ですか。なんか珍しいですね」

 

サラリと印術を用いて安全で在るかを確認してから、さて誰からだろうかと記しされている名前を見て。思わず固まった。その様子に如何したのかと他の三人も立ち上がり、覗き込む。するとゴザルニは首を傾げ。アスフィとリリルカもまた固まった。

 

しかし、それも仕方ない事だ。何故ならば手紙にはフィン・ディナムと。ロキファミリアの団長、勇者と名高きパルゥムの名が記されていたのだから。

 

 

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