世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第百八十四話

「無理だったな避けながら進むの」

「結局片っ端から戦う羽目になりましたね」

 

想像以上の数にそれも叶わず戦い続ける事となってしまった故の二人の呟きに対して、肩を竦めながらハインリヒは言葉にする。

 

「まぁでも仕方ないんじゃない? 部屋の中に四体同時に居たりしたからねぇ」

「他に進める場所が無くて仕方なく突っ込んだわよねあの時は」

「他にも壊れている監視者もどきの下から出てきたりしたでござるしな」

 

何処にいるのか動いていなければ分かり難い、動いていなくても壊れているのかいないのか分かり難いしよく分からない処から現れたりする。天井から振ってきたりとか。その上で数がとても多い、とにかく多い。これでは避けながら進むというのは無理だろう。

 

幸いな事にといって良いか分からないが、D.O.E程強力でない故に倒す事自体は容易である。普通に攻撃しただけで倒せるし。

 

「もっと少なければ良かったんだけどね」

「若しくは分かり易ければだな。せめて動いてくれ」

「動いてないのは本当に分かりませんよね」

「狼みたいなのはもっと多いしね」

「あぁ、装飾代わりに置かれてるのではと思う程いますよね、あれ」

 

大半は壊れている様で動かなかったが、それでも六体から八体くらいは襲い掛かってくる。動き始めに数を減らせることを考えれば戦う事に成るのは三体から六体程なのだか、多い事に変わりはない。

 

「ローウェンさん、弾丸は」

「気にしながら戦ったからな。そこまででは無いな。まぁ、それでも何時もより多く減ったことに変わりないが」

「硬いですからね、あれ」

「で、ござるな。其の所為で拙者の刀もかなり消耗しているでござるよ」

 

まぁ、普通ならとっくに折れていても可笑しくないし弾丸が尽きているだろうがそこら辺は何時もの事なので言葉にしない。

 

「さて、取り合えずまだ戦うのに問題が在る訳では無いとしてだ。結構奥まで来たが、書いてあった祭られているものがまだ見つからないんだよな」

「まだ先が在りますからね。置いとくとしたら最奥でしょうから。まぁ、例外はありますけど」

「もっと奥、詰まりもっとあの監視者みたいなのとか狼みたいなのが居る?」

 

嫌な事を言葉にするハインリヒ。流石にそれはやめて欲しいとレフィーヤは願う。まぁ、無理だろうけど。

 

「まぁ、そうでない事を祈りながら先に進むか」

「そうですね。祈るだけならお金は掛かりませんからね、とりあえずは」

「でも、何に祈るのよ」

「……神様とか?」

「神…俺の知ってる神を名乗る奴って二人だけなんだが」

「どっちもかなりあれでござるな」

「いや、あの…真面な人、いえ神も居ますから」

 

例えばヘスティアとか、色々と不思議なというか気に成る事の多い神だったがそれでもかなりまともに思えたし。ロキ? あの神はあれな所が多いからちょっと、セクハラされたしとレフィーヤは思う。

 

というか、今更が本当にヘスティアは謎が多い。何でアリアドネの糸を持っていたのだろうかとか。まぁ今考える事では無いが。

 

「まぁ、そこら辺は適当にと言う事でだ。行くぞ」

「分かりました」

 

手軌道で良いのだろうかと思いつつも、歩く。

 

「……なんか広い所に出たな」

「そうですね、見える範囲に先に進む道は在りませんね」

「詰まり?」

「地図的には他にいける場所が無かったのでここが一番奥ですね」

「滅茶苦茶近かったな」

 

割とあっさりそこに辿り着いたというか先程まで休んでいた場所が最奥の手前だったと言う事だ。他に、見つけてないだけで道は在るかも知れないが、なんか分かり易かった。

 

「あ、ほら壁に絵が描いてありますよ。あと天井に居る石像」

「見える範囲に描いてあるのは…昏い禍の神と巨人の絵だな。あとでかい石像」

「これまでのと違って随分と状態が良いね。それに凄く動きそうな石像」

「色々と分かるかも知れないわね、巨人がどこで眠りについたのかとか。其れと落ちてきそうな石像」

「ぬん、見るでござる。一番奥に何か祭壇の様なものが在るでござるよ。あとそれを守る様に在る石像」

 

沢山、見るべき部分が在るのだろう。謎だった事が多く解き明かされることだろう。だけれど、それ以上にこれでもかと存在を主張してくる天井の巨大な石像に視線を向けてしまうのだ。

 

「…やっぱり動きますよねあれ」

「だろうな。何処まで近づいたら動くのかは分からんが」

「あ、よく見たら壁画とかと床の間に結構な溝が在る。あの石像が壊さない様にって配慮されてるみたいだよ」

「でも何か物を投げたら壊れるわね」

「守る事が役目ならそう言ったことはしないんじゃないかな…多分」

「というか長い事放置されていた事を考えると真面に動くか分からないでござるな。まぁ動かないと考えるのは馬鹿でござるが」

 

そう言葉にするゴザルニに頷いて見せる。だって分かり易いし、というか少し動いたし。

 

「見てますね」

「見てるな」

「見てるね」

「見てるわね」

「見てるでござるな」

 

さてどうしようかと視線を走らせて他の仲間を見るレフィーヤ。恐らく、今いる場所よりも前に踏み出せば石像は動き出し襲い掛かってくることだろう。まぁ、如何するかなんて分かり切っている事だが。

 

彼等は、だからどうしたと前に踏み出す。脅威が在るからといって歩みを止める様では冒険者とは呼べないのだから。

 

そして、それは落ちてきた。

 

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