世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第二百五話

ギルド、多くの冒険者が利用し、そして彼らだけでなく様々な人々が訪れるその場所は当然街の中心部…なるはずだった。街が広がっていく中、何時の間にか中心からズレてしまい微妙に使い勝手が悪い位置に成ってしまった最近場所を移すかどうかと話し合われている施設の中をレフィーヤとローウェンは進む。

 

相変わらず職員は忙しそうだなと思いながら横を通っていきローウェンを呼んだというその人物、いや神物が二人に気が付き、手を振りながら声を響かせた。

 

「やぁ、待ってたよローウェン君…っと、レフィーヤ君も来たのか」

「拙かったでしょうか? それなら今からでもバク転しながら帰りますが」

「いやいやそんな事は無いよ! 単純に来るのはローウェン君だけだと思っていたから驚いただけ。しかし…うん。相変わらずだね」

「貴女も相変わらず疲れ切った顔してますね。まだ仕事が落ち着かないんですか? 神ヘスティア」

 

そんなレフィーヤの言葉に、全くとだと言いながら軽く手を振る。その瞳から瞳を消しながら。

 

「いや本当に、何時に成ったら終わるんだろう? 仕事をやってもやってもやっても終わらないんだけど」

「前から思って居たんですが、そんなに多いんですか?」

「多いのは勿論そうだけど。それ以上に増えるのが速いんだよ。あの中二病共がどんどん増やしてくんだよ」

「それって押し付けられてるとかですか?」

「そうなんだよ。あいつに今のギルド長だか町長だかの立場と言うかを押し付けられた時と同じでね。何が面倒くさいからやりたくないだよ全く。あいつはあいつで役目は終わったとか言ってどっか行っちゃうしさ」

「あいつとは?」

「え、あぁいや分からないのは当然か。えぇっと確か君たちに……そうウラノスとかって呼ばれた筈」

「前のギルドのトップだった神じゃないですか」

「そうなんだよ。いやまぁ、あいつに関しては別に良いんだけどさ。ずっと籠って禍が出て来ないか監視してたわけだし。そう言う意味では確かに役目は終わったんだろうけどさ。ちゃんと引き継ぎとか、その他もろもろの作業をちゃんとしておいてほしかったなって、思うのはおかしい事なのかな?」

 

そう、ヘスティアは疲れたように笑い、一纏めにしてある髪を揺らす。

 

「なんで僕がこんなに苦労しなくちゃいけないんだろう。知識を集めて帰ってきてみれば知り合いが全員神を名乗ってたり僕もそれに倣わなくちゃいけなかったり。今の状態も含めてなんか不幸過ぎない?」

「まぁそれに関しては俺たちが言えることは無いな。だから本題に入ってくれないか? 別に愚痴を言う為に俺を呼んだんじゃないんだろう?」

「っと、ごめんね。確かにその通りだ」

 

と言いながらそれじゃあと言葉にする。

 

「君、と言うか君たちに頼みたい事。まぁ詰まり依頼が在るんだよ」

「どの様な?」

「オラリオの跡地というか、まぁそこに大穴が在るだろう?」

「在るな」

 

昏き禍が、迷宮がそっくりそのまま消え失せてしまった故に残った大穴。前の様に塞ぐか塞がないかで何度も話し合いが行われてきた場所であるが、そこがどうかしたのだろうかと思いながら、耳を傾ける。

 

「そこにさ、在ったんだよ」

「何がだ?」

「迷宮、ダンジョンがだよ」

「なんと」

 

それはそれは、とても愉快で最高でなんとも魅力的な事がヘスティアの口から零れた。迷宮、ダンジョンが大穴に存在していたと。聞き間違いでなければそう聞こえたのだがとレフィーヤは確かめる様に彼女の事を見る、とヘスティアは頷いて見せた。

 

「まぁ、正確には迷宮らしきものが存在していた、だけどね」

「成程な。それが広まってないと言う事は本当に最近見つかったばかりだと言う事か」

「その通りだよ。で、さっき言った依頼は当然、それに関係している。まぁ端的に言えば地図を描いてきてほしんだよ」

「地図ですと?!」

「うぉ?! 何だいレフィーヤ君。いきなり叫んで」

「気にするな。ただの病気みたいなものだから」

 

病気とは失礼だなと思いながらレフィーヤはローウェンを見る。まぁ見るだけだが。実際そう言われても仕方ない所は在るから否定できないしと。

 

「まぁそう言う事な良いけど。いや良くないけども。気にしない方向で行くとしようか」

「そうしてくれ」

「だから詳しく、さぁ詳しく聞かせてください地図書かせて下さい辛いもの食べたい」

「もうただの願望を言葉にしてるねレフィーヤ君」

「気にするな」

「お、おう。じゃあ改めて言うけど。その迷宮らしき場所の地図を描いて来て欲しい理由は単純に比べる為だよ」

「前の迷宮と、そのらしきものとを比べる為にか?」

「うん。崩れずに残っていただけの場所なのか。それとも全く違う別の何かなのか。それをはっきりさせておきたいんだよ」

「まぁ、当然の事と言えるか」

 

確かにとレフィーヤは頷く。其の見つかった場所がただの残骸なのか、新しいものなのかで随分と対応が変わってくる事だろう。其れこそ大騒ぎに成り得る。つい最近、その迷宮からとんでもないものが這い出てきて色々なものに傷を残したばかりだし。

 

「まぁ、依頼の内容はこんな所かな」

「ふむ、まぁ気に成る所もあるがそれに関しては取り合えずおいておくとして、受けるかどうかはちゃんと話し合ってだな」

「ですね」

「と言う訳で、少し話し合って来るから。返事はそれからで」

「分かったよ。まぁ何となく返答は予想できるけど」

「ならその通りになると思うぞ。俺が思う予測と同じならだがな」

 

そうかい言いながら手を振るヘスティアに見送られながら二人はギルドから出て仲間の居る宿へと帰る。そして彼らに依頼の話をして如何するかと問い掛けて。返ってきた答えは、勿論予想通りのものだった。

 

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