世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第二百六話

「確かに迷宮っぽいですねここは」

「だな」

 

そう、言葉にローウェンが軽く壁を撫でながら見渡す。そこはヘスティアの言って居た迷宮と思われる場所。今まで見つからなかったのが頷ける程分かり難く、また入り難い場所に在るそこで、ゆっくりと歩いて回りながらレフィーヤは地図を記していた。

 

「ふむ…流石に全く同じってことは無いですね。それでもまぁ、似通った部分は多いですねここ」

「そうだな。と言ってもそこまで詳しくは無いがな」

「仕方ないですよ。オラリオに在った迷宮に入ったのが一回だけで、しかも一瞬だったんですから」

 

その言葉に、そうなんだがなと言ってさてと呟く。

 

「どう思う?」

「別のもので在るかどうかは判断しかねますが。取り合えず、前の迷宮みたいに無尽蔵にモンスターが湧いて出るってことは無いみたいですね」

「そこは流石にな。昏き禍が居なくなった訳だし」

「まぁ、そうだったとしたら色んな意味で困った事に成ってた所ですね」

 

ヘスティアの仕事量的な意味で

 

「取り合えず、地図にしてみた感じ、そこまで重なりはしませんから。そうですね…崩れずに残っていた場所、と言うよりは崩れた結果入り込める様に成った場所と言った感じですかね」

「成程。其れならまぁ納得だ」

「新しいかどうか分からないなんて事に成ったことに関してですか」

「流石に、オラリオで何度も迷宮に挑んでたやつらが判断できないっていうのはおかしいと思って居たんでな」

「まぁ、アスラーガの不思議な迷宮みたいに形がその度に変わるなんて事は在りませんでしたからね」

 

今まで挑んでた場所と同じだけど違う場所だったというなら、まぁそうなるのも仕方の無い事だ。発見した人はそれはもう大変だったことだろう。とても妬ましい。出来れば自分たちが見つけたかったっとゆっくり休んでいたレフィーヤは思う。

 

「思っても仕方ない事ですけどね」

「何が?」

「くだらない事ですよ」

「っか、程々にね」

「分かってますよ」

 

そんな事よりも冒険して地図を描く事の方が重要なのだから、其の事に考えるのは一瞬だ。ふっと、息を吐き瞬時に切り替えたレフィーヤは地図を一旦鞄に仕舞い、杖を構える。

 

「そこまで多くは無いですけど。やっぱりモンスターが居ますね」

「都合が良いと言えば良いからな。住み着くのはまぁ当然だろうな」

「ですよね」

 

なんて、良いながら曲がり角からモンスターが顔を出すのと同時に、術を放ち貫く。声を響かせる事無くモンスターは即死する。そして、消える事無く残ったモンスターに近づく。

 

「消えない、と言う事は魔石の方ではないみたいですね」

「そうだな。しかし、昏き禍があの魔石の方のを生み出してたみたいだが、居なくなったりはしなかったな」

「あぁー……そう言えばそうですね」

「まぁ、親が居なくなったからと言って子供まで居なくなるなんて事は無いって事なんでしょ」

「そう言われると当然の事の様に思えますね」

「まぁ親が居なくなったのだから、いや子が親に成ってとなるだけでござるか」

「あれでも一応、生き物だからね」

「自己増殖と言うかが出来るモンスターも居たしな」

「いましたねそんなの」

 

今この時、ローウェンが言うまで忘れていたが。真面に戦わなかったからか印象が薄いから仕方ないのだが、正面から戦えば苦戦を強いられた事だろうが。相性とは怖いものだとレフィーヤは今更ながら思う。

 

「で、モンスターの強さに関しては」

「そう変わり在りませんね。いえ、しいて言えば中間位ですかね? ある意味、一番面倒な感じですよ」

「そこそこ強くて、そこそこ賢いと言う事か」

「その割には警戒することなく出てきたわよね」

「警戒はしてたと思いますよ。ただ安易に顔を出したからああなっただけで」

「警戒心が無いというよりは慣れてないって感じかな?」

「そこら辺も中間位なんだな。外程の警戒心は無いが。話に聞いたオラリオのモンスター程無警戒と言う訳では無いと」

「良く分かりませんね」

 

何故、そんな事に成ったのか。とても興味深いが、それはそれ。取り合えず依頼を熟してしまうかと地図を取り出して、歩き出す。取り合えず確認しなければいけない事もあるし。

 

「確か、そこまでしっかり調べられてないって話ですよね」

「あぁ、もし調べられてるんだったら俺達に依頼なんて来ないしな」

「ですね。なら地図を描きながら」

「下に続く道が在るかを探すぞ」

 

と、銃を弄りながらローウェンは言う。そう言えば最近銃弾が在る程度量産できるようになったらしいが、質的にはそうなのだろうか。ラキアから訪れた変態が関わっているらしいし、彼も何も言って居ない事から問題ないのかもしれないが。

 

なんて、思って居る間にもそれを見つけた。

 

「あぁ……これは階段、って感じでは無いが下には続いてそうだな」

「ですね。これは報告しないといけませんね」

「そして依頼として出された其れを受けて俺たちが一番乗りか」

「其れはもう。そうでなければ全力で悔しがりますよ」

 

流石にそれをした相手に八つ当たりはしないが。まぁ称賛しつつねちねちと嫌味を言うかもしれないが。

 

「地図は?」

「取り合えず、今行ける処は描き終えたと思いますよ?」

「ならこれで依頼は完遂と言う事で良いか」

「はい、それじゃあ」

「帰るぞ」

 

少し、先に進みたいという誘惑を振り切り、彼らは帰路へと付いた。

 

 

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