世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第二十一話

第一迷宮、不思議の迷宮。

 

其処に、レフィーヤとローウェンの二人、そして十数人の人達がいた。何をしているのかと言えば、レフィーヤが反射的に受けてしまったクエスト、砦の建設だ。といっても、実際に其れを行っている訳では無く、建設の為に訪れている人達の護衛をしている様なものだ。しかし、其れでさえも。

 

「なんか、あの人達。グラスイーターをハンマーで殴り倒してませんか?」

「してるな」

「森ネズミなんて恐れ戦いて逃げ回ってますし……あ、投げた釘がシンリンチョウに刺さった」

「そうだなぁー」

「……おかしくないですか?」

 

主に戦闘能力が。これ、冒険者必要なのかと疑問に思う程、彼等は強かった。でも一般人らしい、元冒険者でも無いという。如何いう事なのか。

 

「あのな。お前が居た場所は知らんが。ここいら一帯は何時モンスターが襲ってくるか分からんのだよ」

「そう言えば、少し前、街中をシンリンチョウが飛んでましたね」

「そう、そんな感じで迷い込んでくるんだよ。そして、それは決してシンリンチョウとかそう言った比較的脅威でない部類に入るやつだけって訳では無いのは分かるだろう。まぁ、要するにある程度の戦えなきゃ生きてけないだろ、って事だ」

「それは……はい」

 

その通りだ、当然の事と言える。其の当然の事がオラリオでは、いいや。オラリオ以外の場所でも出来ていなかった事を思い出した。だって、神に気に入られて恩恵を得なければいけなかったから。そうで無ければ、そんな事は碌に出来ないというのが常識だった。そんな実力は得られないというのが常識になっていたから。

 

だから驚いた。平然と、冒険者で無い人たちがモンスターを倒している事に。そして疑問に思った。

 

「これ……私達必要なんですか?」

「依頼受けといて何言ってんだと言いたいが、まぁ分からなくもないというか普段なら要らんだろうな。頼むとしても、もっと冒険者に成ったばかりの奴らだろうな……あ、そう言う意味じゃお前もそうか」

「ならなんで貴方も居るんですか?」

「お前が勝手に受けたから……って訳じゃ無くてな。第二迷宮の件だよ」

「第二?……あ、石灰魔人」

「そうだ、あれは突然現れたらしいからな。若しかしたらって事だ。あの教授も、そう考えて依頼を出そうとしてた訳みたいだしな教授は」

「そっか……なら私が受けたのは」

「迷惑とか間違いとそう言う事は無いぞ。俺がついて来たし。実力って意味なら、此れでもアスラーガに居る冒険者の中でもトップクラスに凄いんだぞ俺って」

 

其れは何と無くだが分かっていたレフィーヤ。何というか、向けられる視線が違うのだ。こう、憧れと言うか畏怖と言うか。そんな念を感じるのだ、彼に向けられる視線には。

 

ただ、キチガイを見る様なものや、憐れむ様な視線も混じっているのは……仕方が無いのかも知れない。

 

「そう言えば、ハインリヒさんとコバックさんは?」

「ハインリヒは薬の調合。コバックは武具を整備に出してたからな。来れる状態じゃ無かったって事だ」

「すみません」

「だから謝る必要は無いんだよ。次、気を付ければな」

「そうだぞレフィーヤ君。過ちを犯したならば其れから学び次に繋げればいいんだ」

「はい……ところで何でホロンさんが居るんですか?」

 

「暇そうだったから引き摺ってきた」

「暇だったので引き摺られてきた」

「あ、そうですか」

 

理由が……酷い!!

 

そんな理由で連れてきたローウェンも、全く抵抗しなかったと分かってしまうホロンもだ。あれなのか、冒険者とは性格があれな感じで無いと駄目なのかと。そして、もう一つ疑問に思う事が在った。

 

「あと……そこでかすみさんから貰ったお弁当食べてる女の人、誰ですか?」

「ぬん?」

「は?……って、ぉう?! お前何時から居たんだよ?」

 

気が付いていなかったのか、驚いた様に飛び退くローウェン。誰なのか知っている様で、少しげんなりとしている。そして如何したのかと首を傾げる女性。いや、本当に誰だ。

 

「あぁー此奴、此奴なぁ。知り合いのござる」

「ござるににござる。以後お見知りおきを」

「……は?」

 

なんて?

ござる?

 

いや、何時だったか、そう最初に酒を飲んだ日に行っていた、フーライの知り合いだったか、恐らく彼女がそうなのだろう。だが。

 

「え、ござ……ござる?」

「ござる」

「ござる……それで名前は?」

「ござるににござる」

「いやだから」

「此奴の名前、ゴザルニだぞ」

「えぇ?」

 

色々と訊きたい事が在った。あったのだが、そう言ったもの全て押しのけて一つの疑問が浮上する。それは失礼な問いであるだろう。しかし、それでも聞かず位にはいられない!!。

 

「その、口調……如何したんですか?」

「気が付いたらこうなっていた故、拙者にも分からないで御座る」

「自分の口調に関して如何思ってるんですか?」

「まぁ、おかしくはあるでござろうな。尤も、直そうとすると何故か師匠に両断されるイメージが浮かび怖くてできないのでござるが」

「そッ――――――?!」

 

それはその師匠が原因なのではと、思わず言いそうになって止めた。

 

確認する様にローウェンを見る。諦めろというように、首を振っていた。あと、ホロンがよく分からないポージングをしているのだが何だあれは。なんて如何でも良い事を考えているとローウェンが、あっと呟いた。

 

「終わったみたいだな」

「そうか、では軽く確認してから帰るしよう」

「でござるなぁ」

「所で結局お前はなんで此処に居たんだ?」

「食料が尽きた故、恵んで貰えないかと思って立ち寄ったのでござる。よく考えれば木の実でも良かったし狩りをすればよかったのでござるがな。流石に第三迷宮から徒歩でアスラーガを目指すと疲れで思考がに鈍ってしまうのでがざるな」

「うん、弁当を勝手に食った事とかそう言うのがぶっ飛ぶような発言だなと言うか馬鹿かお前は」

「知ってるでござる。直せぬ事も」

「救いようが無いな。っと、砦は問題はなさそうだな」

「うむ、では帰るとしようか」

「ござるな」

「あ、弁当食った事は許さないから」

「ござッ?!」

 

酷い会話をしながら、迷宮の外に向かう三人。それに付いて行きながらふと、レフィーヤは思った。こんな物々しい砦、なんで作ったんだろうかと。

 

「あれ、若しかして私の所為?」

 

そう思った瞬間。とても気分が重くなったのは言うまでもない。重い足取りでレフィーヤは三人と一緒にアスラーガに帰還し。

 

「教授が迷宮に取り残された?」

 

聞かされたそれは、間違いなく緊急事態だった。

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