世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第二十二話

「と、言う訳で。さっくり準備したら駆け足で第三迷宮に教授の救出に向かうから留守番よろしく」

「分かったわ。気を付けてね」

「あれで分かったんですか?」

 

いや、重要な事は言っている。言っているが何故留守番なのかとか、そう思わないのだろうかとレフィーヤはコバックを見る。すると申し訳なさそうに視線を逸らした。

 

「今ね。私、装備がサブの物しか無いのよ」

「それは……なにか問題が?」

「何時もならそれでも問題無いんだがな。今回はな」

 

言いながら、準備を軽く銃を見るローウェン。続ける様に言葉にする。

 

「教授の護衛をしていた冒険者曰く、行き成り襲い掛かって来たのは見た事も無い怪物だった……との事だ」

「それって、この前の石灰魔人みたいな?」

「そうだ。そして、そんなどんな事をしてくるか分からん奴に。サブの武具でも問題ないだろう……なんて考えるのは余りに危険で、相手の事を舐めてるとしか言いようが無いだろう?」

「それは……はい」

「まぁ、急だったから仕方ないと言えなくもないが。其れでも、この際だからってメインの武具を全部整備に出すのは馬鹿のする事だよな」

「申し訳ないわぁ」

 

頭を下げるコバック。別に謝らなくてもと言いたいが、しかしローウェンの言っている事は正しいので口をつむぐ。と、そういえば一人姿が見えない事にレフィーヤは気が付いた。そう、ハインリヒだ。

 

「ハインリヒさんは如何したんですか?」

「気分転換に外へ出た途端、子供たちに見つかって連れ去れたわ」

「成程……じゃあ駄目ですね」

「でしょうね」

 

子供は元気だからね。冒険者とは言え無事とは言えないだろう。仮に、運よくそうだとしても疲れ果て、とてもでは無いが迷宮に行ける状態では無いだろうから。

 

「ま、取り敢えずそれはそれで仕方ないだろう。都合が良い事に腕の良い冒険者を二人程連れて行けそうだからな」

「腕の良い?」

 

その事言葉にレフィーヤは見る。

 

「こうか?いや、こうだろうか?」

「弁当がほしいのでござる」

 

首を傾げながらよく分からないポージングをしているホロン。女将であるかすみに弁当を強請るゴザルニ。

 

……腕の良い冒険者?

 

とてもでは無いがそうは見えない 一人は印術を教えて貰った人物なのだが、そう思ってしまったのだから仕方がないだろう。

 

「まぁ、色々とあれな気がするだろうが今は気にするな」

「ローウェンさん」

「と言うか冒険者なんて馬鹿か畜生しか居ないからな?」

「凄く聞きたくなかったです」

 

何だそれは。ここら辺の冒険者とはそんなにも得体の知れない何かなのか?

 

あと言い方が。それだとアイズさんも馬鹿か畜生の何方かだと言っている様に聞こえるじゃないかと苛立ちを覚えて。

 

「いや、命の危険が在るって分かってるのに飛び込む時点で馬鹿としか言いようが無いだろう」

「――――ぐッ?!」

 

其れに関しては正しい、正しいが認めてはいけない!! 

 

「おぉ、おおぉぉおおおお!! 成程こうなのだな!!」

「一つではござらぬ……六つでござる!!」

 

丸くなりながら絶叫を上げるホロン。弁当を一つ持ちながら更に要求するゴザルニ。その二人が、レフィーネの視界に入った。

 

そして思う。

 

オラリオの冒険者とは…色々な意味で違うなと。比べるという行為が如何に無意味なのかを悟ったレフィーヤだった。あとこの二人と一緒で大丈夫なのだろうかとも。というかホロン、貴方何やってるの?

 

「良ーし。ホロンが何に納得したのかは知らんが準備は出来たな、と言う訳で行くぞー。あ、因みに拒否権無いから」

「む、そうか。ならば行こう。因みに、あの恰好が一番疲れないと気が付いただけだからな?変な風に覚醒した訳では無いからな?」

「弁当の事を許してくれるでござるか?」

「手伝うならな」

「では参るとするでござる」

「ただし今さっき俺の金で弁当を貰った事に関しては許さん」

「ござー……しょんぼりにござる」

「え、俺可笑しい事言ったか?」

「いや、普通だろう」

「ですね」

「ござー」

 

寧ろ何故そんな事をしたのかと思わずにはいられないレフィーヤだった。というか、勝手に金を使ったのに許されると何で思ったのかと。

 

「あ、先に言って於くが連携とかそう言うのは其処まで深く考えるなよ?やるべき事をすれば良いだけだし、ややこしくなるからな」

 

何を言っているのだこの人は?

 

それで良いのだろうかとと言いたくなる言葉に。しかし二人は其れもそうかと頷いた。何故、何に納得したのだ。と、ローウェンが軽く頭に触れて語りかける。

 

「疑問に思うのは仕方が無いが。今回はそこまで時間が在る訳では無いからな。実際に見て自分で考えてくれ」

「で、ござるな。実際に見ない事には分からないものでござる。食べてみないと美味しいかどうか分からないのと一緒で」

「うむ、ゴザルニ君の言っている事は正しいな。聞いて学ぶも良いが、見て学ぶのは基本だからな。まぁ、美味しい云々は、人に因るが」

 

言うだけ言って、彼等は荷物を持って外に出る。慌てて追いかけるレフィーヤ。先程の言葉がどの様な意味なのか考えながら。三人が立ち止まって居る事に気が付いた。急いでいるのではなかったのかと思って、何かを見ている事に気が付いた。何だろうかと見れば其処には。

 

「―――――――――……」

「ぉう」

 

倒れ伏すハインリヒが居た。

 

「……うん。まぁ無視!!」

「死体みたいな冒険者が見えたがそんな事は無かった」

「安らかに眠れ…でござる」

「きっとコバックさんが拾ってくれますよね」

 

彼等は何も見てない。

だって急いでいるのだから。

そうして彼は駆けていく。

サラ教授の救助の為に。

 

第三迷宮へ向かって。

 

 

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