世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第三十話

ローウェンに因るD.O.Eとの戦闘、いや蹂躙が終わり。さらに奥に、深くへと足を進める一行。だが、ローウェンは。

 

「なんかさぁー、幾らなんでもあの言い方は酷くないですかねぇー?」

 

完全に拗ねていた。其れはもう、膝を抱えて地面にのの字を書き始める程に。まぁ、そんな状態なのに普通に歩いてるレフィーヤ達に置いてかれる事無くついて来るは、其の儘の態勢でモンスターの急所を撃ち抜いているのだから。やっぱり人間やめていると思ってしまうレフィーヤだった。

 

そう言えばと、何と無くでしかないが先程のD.O.Eとの戦闘を見て思た事を口にする。

 

「もしかしてですけど手を抜きましたか?」

「何でそんな事しなきゃいけないんだよ」

 

何を言ってい居るんだ此奴はと言う感じの視線をローウェンから向けられるが、直ぐに気が付いたように頷いた。

 

「あぁ、あれか。俺がD.O.Eを嬲ってたからそう思ったのか」

「あ、嬲ってたんですね」

「そうだぞ。でも別にあれは手を抜いたとか、遊んでたとかそう言うのじゃないからな?」

「調べてた…だろう?」

「正解だ。飴舐める?」

「貰うー」

 

取り出された飴を舐めるハインリヒを見て、彼の言った言葉にそう言う事かと納得した。必要以上に痛めつけている様に見えて、だから手を抜いているのか最悪D.O.Eで遊ぶという完全に人外認定する他無い事をやっているのかと思ってしまったが。調べる為にやっていたというならそうなるだろう。

 

あの敵が、どの様な行動を取り、どの様な事が出来るのか。其れを知るのは、とても大切な事だから。まぁ、それにしては一方的過ぎて分からない事が多い気がするが。距離を取って戦うのが主なガンナーであるローウェンにそんな事を言っても馬鹿かお前はと言われると分かり切っているので、レフィーヤはそっと言葉を仕舞い込んだ。

 

「でも、D.O.Eを一方的に嬲れる時点で人間とは認めがたいのでその辺は訂正しませんからね?」

「レフィーヤ、お前もさらっと毒吐く様になったな……まぁ、別に訂正する必要は無いけどな」

「え、認めるんですか?」

「尤も訂正しないともれなくお前も最終的に人外に成るって事だがな」

「いや、流石にあんな事出来るようになるとは思えませんので」

 

神様から再び恩恵を与えられれば分からないけれど。そうで無ければ出来る様に成るとはとてもでは無いがレフィーヤには思えなかった。と言うか、流石にあそこまで行きたくないというのも本音である。憧れのあの人が聞いたら憤慨するかもしれないなぁ、なんて如何でも良い事を考えながら近づいてきたフォレストバットを杖で叩き落としてから火球で燃やす。そしてレフィーヤは歩き、あっと声を出して止まった。

 

其れを、微笑ましく見つめるローウェン。

 

「そうか、為らないか…だと良いな」

「あの、止めて下さい。そんな目で見ないでください。私自身、さっきのが出来てしまった事に愕然としてるんですから。出来るだけ考えない様にしてるんですから止めて下さい!!」

「でも冒険者として成長したなら祝うの当然だろう?」

 

だからと口にしてから。

 

「おめでとうレフィーヤ」

「立派になったわねレフィーヤちゃん」

「人外への第一歩おめでとう」

 

「「「心から祝福するぞ」」」

 

「まぁ、僕は人外に成りたくないけどね」

「あたしも」

 

レフィーヤは思った。此奴ら燃やしてやろうかと。気が付けば杖を構えていたが別に構わない気がした。尤も、ローウェンにはどうやっても当てられる気がしないので対象はコバックとハインリヒの二人だが。まぁその二人も避ける成り防ぐ成りするだろうから徒労に終わるだろう。

 

と、そんな物騒な事を考えているレフィーヤの肩をローウェンは優しく叩いた。如何したのかと見れば、さっきと変わらず微笑みながら。

 

「俺みたいになればあの二人をぶちのめせるぞ?」

「何言ってるんですかこの馬鹿は」

 

なんて言いつつも、今この場でその領域に到達できるならば。そんな事を思ってしまうレフィーヤだった。怒りは人を人外へと押し上げるらしい。無理だから否定したけど。いやまてよ、ホロンはもう出来ると言っていた。詰り今ここで人外に成りたくないという感情を捨てれば出来るのか?

 

そんな薄暗い情念に惑わされそうになり、慌てて振り払う様に頭を振る。けれど苛立ちを覚えた事に変わりは無いので、最下層に怪物が居たならそれに叩き込もうと密かに思うのだった。

 

「さて…確か今は十四階だったよな?」

「ん、ああ、そうだね」

「なら最下層は十五階か。確り体制を整えてから行くぞー」

「いやなんで分かるんですか?」

「音」

 

そう言ったローウェン。試しに、レフィーヤも耳を澄ます。聞えて来るのは、水の流れる音。それは、此処までの階層で聞いて無かったもので。詰り、この下には、水が流れているという事なのだろう。

 

そして、今までの最下層の事を考えると。確かに、そう判断するのが妥当だろう。ならば当然、此処から下に降りたなら其処には。

 

「居るのかは分からんが、居ないと考えて行動するのは其れこそ馬鹿のする事だよな」

 

言いながら、見渡す。其々がそれぞれ素早く確認をする。武器に問題は無いか見たり。アイテムの位置を調整したり。杖を握り直したり。其々がそれぞれの事を行い……頷いた。

 

じゃあと、ローウェンは呟いて。

 

 

最下層へと向かう。

 

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