世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第三十三話

「――――――――――――――くッ……はッ」

 

レフィーヤが冒険とは関係ない事で死に掛けてから三日。彼女は印術の修練をしたり、ダーナ直売店で買い物をしたり、また一緒に食事しようでござるーと言って追い掛けてくるゴザルニから全力で逃げて、結局捕まって死に掛けたりしていた。そんなレフィーヤが居るのは、ローウェンの借りている部屋。更に正確に云えば、その端っこ。其処で、掛布団に包まって震えていた。何度目かの死を覚悟して。何故、その様な事の成っているのかと言えば。

 

「は…はははははははははははははははははははははは――――――――ッ!!!」

 

笑っているのだ、ローウェンが。爆笑と言う領域を超えて。あれ、部屋が揺れてるぞなんて感じる程、声を響かせている。其れはもう、凄まじい笑顔で、何処かで聞いた様な気がする程度のものでしかない、笑顔とは本来攻撃的な物である的事が頭を過ぎ去っていく。全くもってその通りである。

 

と言うかこんな状況でも気にせずに黙々と準備できるコバックとハインリヒは素直に凄いと思い。あ、違うと気が付いた。あれは気にしてない訳じゃない、準備に集中する事に因って全力で気を逸らしているんだと。本当の意味で気にしていないのは畳の上で寝転がりながらせんべいと言う菓子を貪っているホロンだけだ・・・・・何でホロン居るの?

 

「いや、大惨事になるだろうからと思ってな。若しも暴走した場合は止める者が必要だろう?」

 

そう言って、何気にレフィーヤの考えた事を読んだ上でホロンは答えた。暴走した場合って、なら止めてよ思い。最悪な事にまだこれはその領域では無いから動いていないのかと思い至ってしまった。でも怖いから如何にかして欲しいと視線を向けると、仕方ないと言いたげに肩を竦めて。

 

「それ以上続けると出発が遅れるのではないかな?」

「それもそうだな」

 

ピタッと止まった。え、其れで止まるのと思い、驚く程にあっさりと。こんなに簡単ならもっと早く止めても良かったのではと思ってホロンを見ると、詰まらなそうに出て行くところだった。それだけで悟る。面白そうだから止めなかったのだなと。そしてレフィーヤは誓うのだ、何時かしばく。

 

「あぁ……さて、少しあらぶってしまった。すまんな」

 

少しでは無いと思ったが口に出さない。だって、レフィーヤは賢い子だから。

 

「いえ、あれは少しってレベルじゃなかピョッ」

「コバァアアアアアアアック?!」

「さて、話の腰を折るアホは取り敢えず黙らせるとして」

 

目にも止まらぬ速度で繰り出された拳が腹部に突き刺さり崩れ落ちるコバック。思わず叫ぶハインリヒだが、そんな物は知らんとばかりに話を続け・・・様として。

 

「まぁ、黙ったままだと話が進まないから起きろオラァ!!」

「ゴロッポォ……は?! ここは、あぁ、此処が彼の地獄って奴なのね。鬼が見えるわ」

「いや、違う。違うんだコバック。鬼はいるが此処は現世と言う地獄なんだ……!!」

「はい、茶番此処まで。真面目に行くぞー」

 

あ、はいと。そう言って姿勢を正して表情を引き締める二人、切り替えが早いと感心すべきなのか。あれがおふざけなのかと呆れればいいのか。取りあえず、レフィーヤも何時か一緒にふざけてみたいと思った、主に殴る的な意味で。

 

「じゃ、改めて説明をするが。俺が此処まで喜んでいる理由はな…迷宮だ」

 

知ってる。

 

「しかしだ。唯の迷宮じゃなく、つい最近発見されたばかりのものだ。それが何を意味するかと言えば」

 

再び、笑い声を響かせそうな程に笑みを深めてから言葉にする。

 

「未知、未知の冒険だ!!それが今回の第五迷宮を調査せよというミッションにはある!!これで心躍らない方が可笑しいだろう!?……あぁ、出来れば見付ける所から俺がやりたかったなぁー」

 

と言い、調子を下げるローウェン。そう言えばと、見付かっていなかった其れを誰が見付けたのだろうと疑問に思う。

 

「で、その第五迷宮は誰が見付けたんですか?」

「あ?あぁ、リズリーっている迷宮内で店開いてる女性だよ」

「リズリー……さん、ですか。私が会った事は?」

「無いだろうな、と言うか会った事あるなら忘れんだろう。あんな鞭持った危なそうな女の事は」

 

誰だ其れ。鞭持ったって、迷宮内だから其れを持っているのではと思うが、もしも普段から其れを持ち歩いているなら確かに危なそうだ。冒険者?ある意味危険物だから。

 

「まぁ、情報が貰えるってのはありがたい事だ、が……全て知る事が出来るって事は無いだろう」

 

真剣な表情で、ローウェンは語る。

 

「今迄みたいに、ある程度情報が揃ってる状態で挑むのとはわけが違う。何が居て、何が居ないのか。何が必要で、何が不要なのか。さっぱりだ。しいて言えば場所が雪山だからそこら辺の準備が重要だって分かる程度だ。あ、後当然だが」

 

「D.O.Eが出ると考えて置く事」

 

分かったなと、見渡す。其れは、問われるまでも無い事だろうと、彼等は頷いた。其れを見てローウェンはとても満足そうに話しを続ける。

 

「ホロンは遅れると言ったが、出発は明日の予定だ。今日一日は出来る限りの準備をして、しっかり休んでくれ。以上」

 

じゃ解散と手を叩き。各々が動き出すのを見て、ローウェンは頷いて呟いた。

 

「楽しみだね」

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