世界樹の迷宮 ―――英雄達の軌跡―――   作:春山乃都

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第四十四話

第五迷宮の最下層にて、更に奥から琥珀が流れて来ている事。そして、人の手に依って作られただろう装飾板。其れを手にギルド・フロンティア一行はアスラーガへと帰還した。

 

帰ってすぐに、しっかり休めよと、そう言ってローウェンは装飾板を手に歩いて行った。恐らくマガンの家か、サラ教授の研究所だろう。彼は、あの板から何を読み取ったのだろうか。あ、と呟いてからとてもいい笑顔を浮かべていたから、きっと冒険に関わる事だろうが。其れ以外思いつかないし。

 

と、そんな事を考えるレフィーヤは今、第二迷宮に居る。

 

ふぅ、と息を吐く。思いだすのは初めて第二迷宮に訪れた時。なんか、何時の間にか来る事に成ってたな、いや仲間に成ると言ったのだから当然だけど。改めて考えると、色々と手一杯だったなと気が付いた。冒険に付いて行ったのも、言い訳の様なもんだったし。或は、誤魔化していたのかも知れない。

 

勿体ない事したなと思ってしまったレフィーヤはもう駄目だな自分は、と思う。

 

けど、仕方が無い。だって勿体ないし。折角の冒険だったのに楽しまなかったのは駄目だ、本当に勿体ない。過去に戻れるなら殴って気絶させてから代わりに楽しむのに。まじで勿体ない。迷宮攻略は一回しか出来ない・・・のだろうか。まぁ、初めてのと付ければ攻略に次なんて無いから勿体ない事に変わりないが。

 

ふらりと現れたシンリンチョウを叩き落としながら見渡す。

 

気が付く、そう言えば一人で来るの初めてだと。最初の時は少し違うので除外するが…やはり、初めてだ。なのに、意外と余裕が在るなとレフィーヤは思う。慢心や油断では無く余裕、此れ大事。モンスターを如何にか出来るのは対処できてるから、不意を突かれれば死ぬ。そんな事を考えながら森ネズミを燃やして先に進む。

 

やはり、吹っ切れたからだろうか。ちゃんとやり通すと。冒険者として冒険をするのだと。そんな、心構えの問題なのかもしれない。

 

 

少し休憩を兼ねて地図を見る。その割に深い所まで来てしまったなと思う。

 

何故、彼女が第二迷宮に居るのか。理由は依頼だから、と言うやつだ。詳しく言うならば、ホロンに話し掛けられたのが切っ掛けか。

 

「そろそろ、始原の印術を憶えても良いだろうな」

 

そう言って、第二迷宮に一人で向かい、そこに生息するボールアニマルを三匹討伐する様に依頼されたのだ。なんでボールアニマルなのかと疑問に思い問い掛けたが。

 

「一応の確認だ。ちゃんと扱えるだけの技術を持っているのかを、だ。ボールアニマルが対象なのはちょうどいいからだよ」

 

との事らしい。教わらないと言う選択肢は無かった。それに、一応は依頼なので報酬も出る。面倒であると言う事を除けばデメリットも無いというかメリットばかりだ。だからレフィーヤは依頼を受けて此処に居た。

 

そして、その依頼に関してだが。レフィーヤは順調に二匹を倒し、そして今。

 

「…居ない」

 

必死に探していた。でも見つからない。下へ上へといったり来たりしてるのに見つからない。後一匹なのに、後一匹なのにだ!!

 

前に怪物退治の為に来た時はどんどん出てきたのに、何故こういう時に限って現れないのかと。苛立ちを発散する様に放たれた火球がベノムスパイダーを焼く。炎を消そうと暴れ回り、暫くして崩れ落ちたのを見て虚しさを感じる。やはり、八つ当たりは良くないのかも知れない。

 

「吊るす方が良いなこれなら」

 

吊るされる様な人は相応の理由が在るので嬲る様にしても誰も文句文句言わないし、寧ろもっとやれと言われる位だ。そう思いながらうんうんと頷き、街に帰ったら誰か吊るされて無いかなぁと呟く歩くレフィーヤ。完全にオラリオの冒険者としては道を踏み外す処かトリプルアクセル決めながら別の路線に行ってしまっている事に気が付いていない。

 

 

そして一時間後。

 

 

「くそがっ!!」

 

言葉が荒れているが仕方のない事。見つからないのが悪いのだから、詰り出て来ないボールアニマルが悪いのだから。良くないとか思って於いて速攻で爆発カズラに八つ当たりの氷槍を叩き込んだとしても、それでもレフィーヤは悪くない。

 

全部ボールアニマルが悪いんだ!!

 

想定よりも遥かに時間が掛かっている事に若干の焦りを感じながら、改めて地図を見る。若しかしたら出やすい階層とかがあるかも知れないと。すっかり埋めきってしまった地図を。

 

「…………」

 

なんとなく、無言で地図を見つめるレフィーヤ。アリの巣構造の、幾ら浅くとも埋めるのはそうたやすい事では無いそれが、しかし綺麗に埋まっている地図を。

 

これ、全部自分で歩いて埋めたのかと思い。

 

「………んふ」

 

変な笑い声が漏れた。何と言って良いのか分からないが、しかし嫌では無い感情が湧いて出てくる。新しい扉を開くとはこういう事かと、成程理解しましたよ神様。何て思い自らの主神に念を送るレフィーヤ。

 

それ、あかんやつやって聞えた気がするが気のせいだろう。

 

今ならボールアニマルの事も許せそうだ、爆炎の印術を叩き込むだけで。そう思いながらレフィーヤはスキップしながら再び探し始めるのであった。

 

そして、第二迷宮にある一つの大部屋の広さがちょっと広がったと言う。

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