第五迷宮を攻略してから何時の間にか二日が過ぎた。実は装飾板を捨てようとしてた事が発覚したコバックを吊るしたり。勝手に依頼を受けた上に、休めと言われたのに速攻で迷宮に向かったレフィーヤが吊るされたりと。そんな事をしたりされたりしていたから、本当にあっという間だ。
初めて吊るされたレフィーヤだがよい物では無かったと言う。後、爆笑してたゴザルニを何時か吊るすとも言っていたそうな。
さて、色々あったが無事に自由を取り戻したレフィーヤは今何をしているかと言えば。荷物の整理だ。冒険に向かう為の準備と言う事だ。別に、ローウェンに冒険に行くぞと言われた訳でも無く、依頼を受けて此れから向かう訳でも無いが。
何故そんな事をしているかと言えば、見てしまったからだ。あと聞いてしまったのだ。ローウェンの高笑いを。気球艇乗り場に向かって全力疾走する彼の姿を。そして思ったのだ。
あ、これは次の探索は直ぐだな。きっと、帰ってきたら高らかに言うのだろう。冒険の時間だ、と。
迷宮探索、詰りは冒険に必要な物そうで無いものとを分けた上でよく使う物とそうで無いもの、後はいざと云う時に使う物とを分けてから鞄に入れていく。メディカにアムリタ、テリアカΩも忘れずに。
「……そういえオメガって何だろう?」
ふとした疑問、分かった所でなにかあると言う訳では無いが。どうしても気に成る類いの物だ。後で訊こうと思いながら、他の道具も入れていく。
と、ある物が目に付く。其れは巻物だ。そう言えば、ポシェに渡されていたなと手に取った。なんでも、この巻物に書いてある事を読み上げるだけで呪言が使えるらしい。聞いた時は便利なものだと思うと同時に、こんなものを作ってカースメーカーの人達は大丈夫なのかと心配した。尤も、それに関しては巻物は一回使えばそれでお終いな消耗品であると教えられた。あと、性能も可成り劣化してしまっているとも。
後に、同じ様に印術を石に刻んで誰でも使える様にした物も在ると知ったレフィーヤは、其れを見せてもらったが確かに威力が低かった。いやそもそも、消耗品と冒険者を比べるだけ無駄であると言う事か。
まぁ、使うかどうかは分からないが。いや、分からないから余裕が在るなら持って行くとしよう。そう考えながら取り敢えず置いて置く。と、其処で在る事を思う。
食料如何しようかと。
「と言う事で訊きに来ました」
「いや何を?」
「そう言えば食料は何処で調達してるのか知らないなと」
「女将さんから貰うか、ダーナ直売店で買うかだな」
「あぁ、そう言えば売ってましたね」
あの時は便利だなと思うだけだったが、改めて考えると流石に色々置いて置き過ぎじゃないだろうか。下着とかも売ってたし。いや、どれも冒険に必要な物だと言うのは分かっているのだが。もう少し、他の店に任せるとかしないのだろうか?
「そこら辺どうなんですか?」
「だから何を??ちゃんと言ってくれないと分からないのだが?」
「ダーナ直売店色々と商品置きすぎですけど大丈夫なんですか?」
「あの店、殆ど冒険者専用みたいなところあるからな」
「他の店は大丈夫なんですか?」
「お前は保存に適した物と、単純に美味しい料理とが同じ物であると思うのか」
「あぁー…成程。考えてみれば当然の事ですね」
あれを極めればそれが疎かになる。そんな当然の事で。ダーナ直売店に関して言えば、あの店が冒険者を対象とした商売をしているから商品が豊富であると言う事だ。食料が必要、武具が必要、薬が必要と。冒険には必要な物が沢山ある。
けど、単純な美味しさで比べたら琥珀軒の料理には勝てないと。
「考えてみればって……お前分かってただろ?」
「はい」
何処で食料をと言う疑問に関してもダーナ直売店だろうなと思っていたし、というか女将から弁当を渡されている所を見ている。その後の問い掛けに関しては訊くまでも無いと言った状態だった。なら何故聞いたのか。確認の為に訊いたらいけないのかと。
と、そう言えばと見渡す。確認の為にローウェンの部屋に来た訳だが、目当ての人物が居らずに何故かいたハインリヒに聞く事に成ったが。その目当てだった人物、コバックはどうしたのだろうかと。
「何処行ったんですか?」
「ローウェンは爆笑しながら疾走してった」
「其れは知ってます」
「コバックはダーナ直売店の鍛冶の所、武具の点検をしてもらうとか何とか言ってな」
「……全部ですか?」
「全部だ」
「吊るします?」
「吊るさない、今回はあれだからな。直ぐに出る事は無いって分かってるから」
「爆笑してましたしね」
「爆笑してたからな」
「ただいまー」
「御帰り」
「お帰りなさい」
あら、レフィーヤちゃんと。戻ってきたコバックは嬉しげに言う。何の用かと。既に用事は済んでいる告げたのだが。まぁ、戻るのもなんだと、其の儘居座る事にしたようで、座り込む。座布団っていいよね。
「で、どの位掛かるって?」
「明日には済むそうよ」
「そりゃよかった」
なんて、会話を聞きながら置いて在る茶菓子を口にする。
そして、夕暮れ時にて。
「お前ら喜べ!!」
スパンと音を立てて襖を開き、現れるローウェン。何事かと、準備を終えてゆったりと休んでいた三人は彼を見て、其れを見ながらとても楽しそうに口にする。
「冒険の時間だ!!」
レフィーヤの予測は、当たった。