街に帰還した。そして大臣に一瞬世界樹が揺れたのだが何か知らないかと訊かれ。説明したらドン引きされながらも怒られたギルド・フロンティア一行。もうやるなと何度も言われたのだった。
しかし、相手が攻撃してこず更にはその場から動く事も無い。そして床が氷で覆われている所為で思った様に動く事が出来ないのだから距離をとって火力で吹っ飛ばすと言うのは当然の事では無いだろうかと、発案者であるレフィーヤは思った。
まぁ、流石にあそこまで威力が出るとは思わなかったので。若しも次があるとするなら流石に火薬や爆薬は止めておこう。そんな風に思いながら、火力の特化した印術を持ち運べるように布に印しているレフィーヤだった。
さて、冒険の後にあるもの。それは休暇である。
しかも今回は割と長めの一週間だ。何故、そんなに休暇を取るのかと言えば、スキュレーを倒した際の爆発。あれが結構なダメージを装備に与えていたのだ。フルメンテナンスである、主にコバックが。ルインクリーパーが現れた際に反射的に守ろうと前に出ようとした所為か、一番、酷い状態だった。
尚、其れに関しては素直にレフィーヤは謝っておいた。問題ないと笑って流されたけれど、何とも心の広いものだ。コバックなのに。いや、コバックだからか。
と、またくだらない方向に思考が持って行かれているのに気が付くが、まぁ其れでも良いかと思うレフィーヤはさて今日はどう過ごすかと考えながら。取りあえず外に出るかと足を動かし。
「…何やってるんですか?」
キチガイがキチガイを吊るしている場面に遭遇した。分かる様に詳しく言うとローウェンと言う人外系キチガイがクロと言う純正のキチガイを吊るしている。そしてレフィーヤに問い掛けられたローウェンは大した事では無いと言った。
「唯ちょっとギルド長に頼まれたから折檻してるだけだから」
「成程」
「だが流石に吊るすのは酷いんじゃないか?ん?そう思わないか?だから降ろして」
「で、何したんですか?」
「ちょっと施設を吹っ飛ばしただけだ」
「取り敢えず石投げときますね」
「ちょ?! 流れる様に投げつけてこようとしないでくれないか? というか慣れてるな君?!」
「えぇ、よく的が吊るされるので」
「君もキチガイなのか?! えぇ!!?」
「キチガイにキチガイって言われるのちょっと」
いや、かなり傷つくレフィーヤ。自分は、自分はキチガイでは無いと言い聞かせながらローウェンを見る。
「それにしてもなんでローウェンさんがギルド長に頼まれたんですか?」
「降ろしてー」
「いやな、キチガイの対処はキチガイにさせるのが一番だって言って頼まれた」
「聞いてー」
「ギルド長…凄くよく分かってますね」
「ちょっとー」
「流石にクルミの対処は断ったがな…金がいくらあっても足りんし」
「ですねー」
「無視しないでくれないかね?」
何か雑音が聞えるが気のせいだと会話を続ける。
「あ、そうだ。私、ちょっと出かけてきますね」
「何時ものか、クルミに出くわさない様に気を付けろよ?」
「それはもう、全力で」
「それでも見つかる時は見つかるんだけどな」
「そんな事言わないで下さいよ」
出掛けたくなくなってきてしまうじゃ無いか、そう思うレフィーヤ。仕方の無い事だ、自ら厄災に突っ込んでいくような馬鹿では彼女は……いや、冒険者は、と言うか自分は大体似たような事処では無いレベルの災厄に突っ込んで挑んでいた事に気が付いてしまった。詰り、自分は馬鹿だったのかと愕然とするレフィーヤ。一瞬だけだけども。何故ならその災厄に勝利しているのだから!!
まぁ、馬鹿である事に変わりないが。それはそれと言う事で。
「因みに、ローウェンさんの今日の予定は?」
「あれを吊るし終わったから……ラガード公宮に少しな」
「この前の事でまだ何かあるんですか?」
「いや別件らしいぞ? まぁ、あれだしな。俺達、第四階層到達者だし。其れ関係だろう」
「あぁ、確かに」
「もしかしたらミッションの話になるかもな」
「在り得る」
と言うか其れだろうと内心思っているレフィーヤ。これは何時もより早めに帰って来るべきかと予定組んでいく。色々と歩き回る積りだったが、近場の散策だけにしようと。序でに買い物も済ませておこうと思いながら。
「まぁ、取り敢えず行ってきますね」
「おう、いってらっしゃい」
「降ろしててくれないかね?」
「あ、そうですね。別に良いですよ」
「本当かね! ならよろし――――――」
「じゃあ、火球で貴方事燃やしますね」
「いやぁ!! 吊るされて居るのって良いなぁ!! 最高だよ! 暫くは此の侭で良いかな!! と言う訳で存分に散歩を楽しんでくるといい!!」
「クロさん凄く分かり易いですね」
最近ではコバックに脅す様に言ってもそんな事をしないと分かられてしまったから反応が薄いので。とても懐かしく思う。と、そんな風にしんみりとしているとローウェンが何かを思い出した様に声を出す。
「あぁ、そう言えば。レフィーヤ、出掛けるならいい場所があるぞ」
「はい?何処ですか?」
「料理店なんだがな…雰囲気はちょっと棘を感じるが味は良かったから行って損は無いと思うぞ?名前以外は本当にいい店だから、名前以外は」
「何ですか其れ」
念を押す様に二回も言うとは。そんなにひどい店名なのだろうか?気に成ってしまうでは無いかと問い掛ける。
「で、どんな店名なんですか?」
「それはな」
言って、間を置き口にする。
「栗鼠の喫茶店」
瞬間、レフィーヤから殺意が溢れ出す。