「相変わらずF.O.Eは馬鹿しかいないな」
「それか目が見えてないかですね」
「なら、なんであたし達の事を見つけられるのかしらね??」
「臭いとかで判断してるとか?」
なんて会話をしながら落ちていくF.O.Eを眺めるギルド・フロンティア一行。
「…まぁ、楽だから良いけどな!!」
「そうだね。道具を消耗せずに済むというのはとても良い事だからね」
「その代わり違う意味で面倒ですけどね」
「あぁー、確かにそうね」
襲って来る奴とそうで無い奴。違いは在れど、気が付いて居ない時は、いや気が付いたとしても同じ行動しかしないF.O.E。何が面倒かと言えば、下手すれば何処までも追い掛けてきたりすることだ。先程、落ちていた蛙型のF.O.Eの様に。何かしら、追えない状態にでも成らない限りは。
「面倒と言うよりは鬱陶しいって感じだけどな」
その言葉に確かにと頷きながら更に上の階層へと向かう。
なんとなく、レフィーヤは辺りを見渡す。これと言って何かを見つけた訳では無いがふむと声を零した。其れが聞えたのか、ローウェンは振り返り訪ねてくる。
「どうした?」
「いえ、大した事じゃ無いんですよ。改めて見たら第四階層って綺麗な場所だなって思っただけなので」
「あぁー、まぁ確かにな。今まで見てきた迷宮の中でも群を抜いて…って程じゃないかも知れないが、それでもかなりいい景色だな。空も近いし、ある意味床が無い部分があるのも神秘的で実に良い」
「その所為で酷い目に在ったけどね」
「あれは覗き込んでたお前が悪い」
「そう言われると言い返せないッ!!」
でも言って欲しくないと身悶えるハインリヒ。まぁ、何が悪いのかと言えばハインリヒがと言うよりは彼の運が悪かったと言うべきなのだろうが。あとは間が。地震が起こるなんて思っていなかっただろうし。
「そう言えば風も無いのに花弁が落ち続けてるけど…なんで無く成らないのかしら?」
「気に成ってたけど気にしない様にしてた事を言わないで下さいよコバックさん。凍らせますよ?」
「凄く怖い事言わないでほしいわ」
仕方ないじゃ無いかとレフィーヤは思う。だって考え出したら泥沼にはまった様に思考から抜けだせなくなりそうなのだから。
「単純に天の支配者がそう言う風に創ったってだけかもしれんがな」
「成程……天の支配者すごく便利」
「大体は天の支配者の所為で話が済むしな。面倒くさい時は重宝しそうだな」
何か在ったら天の支配者の所為。やはり便利だとレフィーヤは頷きながら思う。まぁ、ハイ・ラガート公国でしか通用しないだろうけど。他の場所じゃ誰?で終ってしまいそうだし。
「まぁ、分からない事の答えが知りたいなら知ってそうな奴に聞くのが一番だけどな」
「知ってそうな人って誰ですか」
「いや、人であるかは知らん」
「え?じゃあ、其れって何ですか?」
「天の支配者」
「わぁ、凄い便利」
なんにでも使えるな天の支配者。なんて思いながらもまぁ、確かにと思う他無い。だって、こんな謎の花の木を。若しかしたら世界樹の迷宮その物を作ったかも知れない存在なのだから。そりゃあ、天の支配者に聞くのが一番だろう。答えてくれるかは分からないけれど…って。
「答えてくれるか分かりませんよねそれ」
「そしたらあれだ、あれ」
「何ですかあれって」
「資料を奪う」
「…その資料が無かったらどうしますか?」
「ぶちのめしてから訊く」
「暴力ですか」
「暴力だな」
「……成程」
理解したと頷きながらレフィーヤは笑みを浮かべて思った事を口にした。
「一番便利なのは…暴力なんですね」
「一般からしたら非常にあれだが、真理ではあるよな」
「物騒極まりないけど否定はしない」
「結局それが一番なのね」
全員の意見が一致した。そして、それとは関係なく彼等は歩み続ける。途中、突っ込んで来た鳥型のモンスター…と言うには馬鹿なのでF.O.Eだろうそれを射ち落したりしながら。
「しかし本当に出て来ないな翼人」
「あぁ、そう言えばそうですね。何か在ったんでしょうか?」
「…ミズガルズの調査隊が関係してんのかね?」
「なんで其れが出てきたんですか?」
「いや、公宮で調査隊が第四階層の探索に出たって話聞いたからだが?」
「その…聞いて無いですよ」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「無いです…ですよね?」
本当に言って居ないのか分からなくなったので確認する様に視線をコバックとハインリヒに向ける。するとレフィーヤに同意する様に頷いてみせた。まぁ、ちょっと前まであれな状態だったハインリヒとコバックなコバックだから余り当てには成らないが。其れを見たローウェンは少し考えるような仕草をしてから、謝罪の言葉を口にした。
「あぁー…すまん。確かに言ってなかったな」
如何やらレフィーヤは間違っていなかった様だ。まぁ、調査隊の事を言われてもへぇ、と言った感じにしか返さなかっただろうが。確かに先に進まれて居るのは悔しいが、冒険をしていれば良く在る事だ。要するに其処まで重要な情報では無いと言える物だ。だから彼も言わなかったのだろう。
「しかし、私達より先に進んでいるとは。やりますね」
「まぁ、割と足止め食らってたけどな」
「それに関しては申し訳ない」
心底、申し訳ないと言った様子のハインリヒに気にするなとローウェンは軽く手を振って見せて。
「反省してんなら戻ったらなんか奢れ。それで帳消しな」
「…分かった。財布の紐を緩めておくよ」
「と言う事で滅茶苦茶高いものを頼めよ二人とも」
「辛い物を食べましょう」
「フルコースね」
「欠片も容赦ないね君達は!!」
財布が軽く成ってしまうと嘆く彼を見ながら軽く笑み。階段を昇り次の階へと足を踏み入れ。
「…あ」
「どうしたんですか?」
先を歩いていたローウェンが声を零す、何事かと彼の見ている方を見てみると。
「…あ」
そこには、冒険者たちの姿が。きっと、彼等こそが。
「ミズガルズ図書館の調査隊……か」
思ったよりも早く、出くわした。