Fate/Ultra Order【本編完結】 作:無限正義頑駄無
実は前話を投稿した直後に、本作タイトルのUltraの部分がUrtraとスペルミスしていることに気付きました。
最初の投稿から約一年越しに気付くとか恥ずかしい……。
※第二部ネタバレ注意
私はオフェリア・ファムルソローネ。
レイシフトAチームのメンバーの一人だ。
殺戮猟兵によるカルデアへの襲撃は失敗。
それどころか
まさかカルデアに根源接続者が居たなんて……!
軽い事情聴取を受けたあと、私たちはサーヴァント共々シミュレーションルームに放り込まれた。
『これからAチームの先輩方には俺と立花の人理修復の旅を実際にやってもらいます。俺たちより上手くできると言うのならそれを証明して見せてください』
『わたしたちより短い期間と少ない被害で達成できたら先輩方の勝ち。わたしやお兄ちゃんを煮るなり焼くなり好きにすれば良いよ』
二人の言葉で奮起する私たち。
私たちの私たちによる私たちのための人理修復の旅が始まった。
だが、その旅は呆気なく幕を閉じた。
冬木を突破して勢いに乗った私たちは聖女と光の巨人の言葉に耳を貸さず、最悪の選択肢を進んでしまった。
滅亡の邪神が完全なる姿で誕生し、私たちは為す術なく蹂躙された。
気がつくと私たちは冬木に戻っていた。
そしてどこからともなく藤丸立香の声が聞こえる。
『ゲームオーバーです。残念でしたね。これで先輩方は俺と立花より上手く人理修復などできないと証明されました。全ての特異点を攻略するまで部屋から出られませんので、二回目のチャレンジ頑張って下さいね。やり直す度に敵が増えたり強くなったりするので注意して下さい』
この言葉でAチーム全員が察した。
彼らは私たちをここに閉じ込めて、各
挑発に言い返す時間すら惜しい。
私たちは再び冬木を抜けてオルレアンに突入した。
今度は忠告通り、バット星人を始末してからハイパーゼットンを撃破。
結果、ハイパーゼットンは復活せずオルレアンも攻略完了。
しかし第二の特異点でまた私たちは全滅した。
地球よりも遥かに巨大な人工天球から絶え間なく送り込まれて来るロボットの軍勢。
一体一体がウルトラマン並の巨体と戦闘力を有しており、ローマの兵士もろとも皆殺しにされた。
天球の守護者・ビートスターを相手に武力ではなく対話による接触を図るという選択に至るまで、私たちは何度も全滅し、その度に冬木・オルレアン・ローマを繰り返し巡った。
その過程で藤丸立香の言っていた「少しずつ増強される敵」というものを、私たちは身を以て味わった。
冬木の上空に巨大な戦艦が出現したのだ。
それがロボットに変形し、胸部から放つ黄色い破壊光線で街ごと吹き飛ばされた。
カルデア側の配慮だろうか。
のちに特異点内で拾った端末に入っていた情報によると、あれは「ネオマキシマ砲」という平行世界の人類が純粋な科学のみで生み出した兵器らしい。
他にも様々な怪獣のデータが手に入った。
一度攻略した特異点でも、難易度が上昇することでまた敗北してしまうようになってから、私たちの進軍速度は段々と落ち始めた。
そして初めて第三特異点を突破し、第四特異点に突入するまでのインターバルにおいて、藤丸立花とマシュがロシア……カドックの担当する
証拠として破壊されたロシアの空想樹「オロチ」の前で記念撮影をしている藤丸立花とマシュの姿が私たちの前に映し出された瞬間、カドックは崩れ落ちた。
慰めの言葉のひとつでも掛けてあげたいところだが、時間は待ってくれない。
第四特異点が始まる。
そこでまたしても私たちは敗北を刻み付けられた。
ロンドンの地下から出現した古代遺跡。
その中心から姿を現す大いなる闇。
その名も邪神ガタノゾーア。
同じ邪神の名を冠するハイパーゼットンが生温く感じる程の絶望感。
ウルトラマンティガは石像に変えられ、私たちもガタノゾーアの吐き出す闇の霧に飲まれ一瞬で絶命した。
自身の
邪神を目の当たりにして心の中に芽生えた闇。
立て続けに起きた衝撃的な出来事のせいで、次の挑戦ではカドックは全くと言っていいほど役に立たなかった。
カルデア側も彼をリタイアだと判断したのかカドックとアナスタシアを回収し、穴埋めとしてキリシュタリア様が契約している神霊を
根源接続者というものはなんでもアリなのだろうか……。
最初は根源接続者が居るから人理修復できたのかと思ったが、彼女が参入したのは第七特異点からだという。
つまり第六特異点にすら未だに辿り着いていない私たちが何を言ったところで言いがかりにしかならない。
キリシュタリア様と契約している神霊が参加したことで、この死のループともお別れ……この時の私はそう思っていた。
ガタノゾーアの体は非常に頑丈だった。
サーヴァント達の宝具も、ウルトラマンティガの光線技も、ガタノゾーアに傷ひとつ付けることができなかった。
そうして敗北と挑戦を繰り返している内に、とうとう第四特異点にも敵が増強される時が来た。
剛腕戦士ダーラム。
俊敏戦士ヒュドラ。
愛憎戦士カミーラ。
そして彼ら闇の三巨人が従える超古代怨霊翼獣シビトゾイガー。
私たちは一気に苦境に立たされた。
ガタノゾーアと闇の巨人に挟まれて何度も袋叩きに遭った。
更にシビトゾイガーが小柄な身体を活かして民家に侵入しロンドン市民の虐殺を行い、「藤丸兄妹の時より大きい被害を出す」という失敗条件を満たし易くなってしまった。
私は一度だけ、カミーラを魔眼で見た。
愛憎戦士という肩書きに興味があったからだ。
しかしその結果見えたカミーラの「可能性」は、とても悍ましいものだった。
ガタノゾーアが吐き出すものよりも更に強力な闇を身に纏い、巨大な獣へと変貌する。
その姿は人の悪意をこれでもかと濃縮したかのようなグチャグチャ具合で、とても言葉では言い表せない。
この「可能性」には、いくら私でも干渉できない。
形を持たないものを「ピンで留める」ことなど不可能だ。
愛憎……、愛しさと憎しみ。
どんな生き方をすればそれらの感情がこれほどの怪物を生み出すのだろう。
魔眼で間接的に見ただけで私は心臓が止まりそうになった。
アレが直接私の前に現れたら、間違いなく私は身も心も壊れてしまうだろう。
私はポケットの中から小さな防犯ブザーのようなものを取り出す。
これはカドックがリタイアした直後にマスター全員に配布された道具だ。
『リタイアしたくなったらそのボタンを押してね〜』
と、
他のメンバーがすぐに投げ捨てたり踏み潰したりする中、私だけは持ったままだった。
このままではいずれアレを直視する時が来てしまう。
でもキリシュタリア様を裏切るようなことができるわけ……!
そうして悩んでいる内に、藤丸立香が私の担当する
私たちがもたついている間に
彼ら兄妹とマシュなら、本当に全ての
私の魔眼でも見れない光景を生み出せるのかもしれない。
私は決心した。
だけどそれは決してさっきまでの迫り来る恐怖からの逃避ではなく、未来への希望を見出しての選択だ。
キリシュタリア様、ご期待に添えず申し訳ありません。
だけど私は……!
私はゆっくりと、しかし力強くボタンを押した。
☆★☆★☆
空想樹を破壊してカルデアに戻って来た俺を出迎えたのは、Aチームの一人のオフェリアさんだった。
「オフェリアさん、貴女がここに居るということは……」
「いいえ、私たちAチームは未だに人理修復を成し遂げてはいないわ。私はリタイアしたからここに居るの」
そうだったのか……。
しかし怪獣相手に何度もボロ雑巾にされた割に意外と落ち着いているように見える。
「貴方にお願いがあるの」
「…………え?」
☆★☆★☆
空想樹を破壊しても消滅しない北欧の
そこに俺はオフェリアさんと護衛のさっちゃん、そしてオフェリアさんのサーヴァントであるシグルドを伴って戻って来た。
この
スルトを倒さない限り、この
そしてそのスルトは、シグルドの霊基に潜り込みオフェリアさんのサーヴァントとして現界していた。
「さあ、黄昏の時だ……」
シグルドという外殻を破り、正真正銘のスルトとして顕現する巨人の王。
奴を倒すことが、オフェリアさんから頼まれた「お願い」だ。
「さっちゃん、オフェリアさんをお願い」
「一人でやれるのか、立香?」
「やってやるさ。オフェリアさんの運命は、俺が変える!」
オーブリングを取り出し、二枚のカードをスキャンする。
「アルトリアさん!」
『謎のヒロインXX』
「永夢さん!」
『
「未知なるXXの力、お借りします!」
『フュージョンアップ!』
『ウルトラマンオーブ エックスカルテット!』
「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」
無理ゲーと化した第四特異点。
クリプター達がロンドンの住民の心に希望の光を灯してグリッターティガを誕生させるのは厳しいんじゃないですかね。
オフェリアの魔眼で察しているかもしれませんが、リタイアが重なるとさらに難易度が上昇します。
カミーラとガタノゾーア、どちらか一方を倒すともう一方がデモンゾーアに進化するという鬼畜仕様。
とりあえず書けるのはここまで。