私ハリーはこの世界を知っている   作:nofloor

36 / 48

 前回投稿から3分の1年経ってしまいました。
 ようやく一通り書き溜めができたので投稿です。


アズカバンの囚人
エピローグ 私ハリーの終わりの後悔


 

 

 また今年も一年が終わろうとしている。

 

 原作『ハリー・ポッター』の知識を持って生まれた私、ハリエット・ポッターが、魔法界に足を踏み入れて3年が経つ。

 

 

 1年目、「賢者の石」

 一昨年、私はホグワーツに入学した。

 いろいろと問題を起こした後で、自分と、あるいは原作と向き合い、私自身が何をしたいのかを考えた。

 その結果として、一人の命を救うことができたと思う。

 

 2年目、「秘密の部屋」

 去年だ。去年は生徒たちに直接被害が出るかもしれない、恐ろしい年だった。

 まあそれに怯えていたのも中盤までだったけど。私は途中から原作の知識を失っていたのだ。

 原作の記憶が無ければ、怯えるも何もない。気楽ではあった。

 でもそんな不安定な状態で、よく死者を出さずに切り抜けられた。

 

 

 入学から2年間、危ない場面はいくつもありつつも、なんとかやってきた。

 

 

 

 

 じゃあ、今年は。

 3年目、「アズカバンの囚人」

 

 私、ハリエット・ポッターのホグワーツ3年生のこの1年はどうだったか?

 

 

 去年、一昨年に及ぶべくもない。

 

 

 

 最悪の年だった。

 

 

 

 結局のところ、油断していたんだと思う。

 

 去年、一昨年に比べれば、危険のない年だろうと。

 ヴォルデモート卿が教師に憑りついているわけでもない。

 遭えば即死の怪物がうろついているわけでもない。

 

 今までよりも安心して、一年を終えられる。

 もしかしたら、原作より良い結果を求められるかもしれない。

 そんな風に考えていた。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 

 勘違いしてしまっていた。

 今まで2年間を乗り越えてきたのだから、今年も大丈夫だと。

 その成功が、どれだけ危うい薄氷の上に乗っていたかを忘れていた。

 

 人生は階段のようで、うまくいくときは一歩一歩、ひとつずつ。

 でも、悪いことが起こるときは転げ落ちるように連鎖する。

 一歩でも足を踏み外せば真っ逆さまだ。

 

 今年、私が足を滑らせたのはいつだったか。

 思い返してみれば、いくつか心当たりがあるような気もする。

 私は神様じゃないから、正確になんてわかるわけないけど。

 

 あのときああしていれば、なんていうありきたりな後悔を抱いても、もう遅い。

 

 

 原作なんてとっくに崩壊してるんだから、もうこんなことを考えるのは馬鹿馬鹿しいかもしれない。

 

 それでもあえて言うなら、原作の「アズカバンの囚人」

 その結末を、私は迎えることができなかった。 

 

 後悔と、苦しさと、悲しみと、とにかく私の胸を裂けんばかりに締め付ける感情たち。

 そして何よりも、自分への怒り。

 

 

 過程は色々、違いはある。

 

 結果だけを言ってしまえば――

 

 

 

 シリウス・ブラックが命を落とした。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。