佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである 作:鮭愊毘
この名前を聞いた時俺は、ああ 俺は●されるのかなと思った。
いやだってこの三人の家系ってすごく偉くて下手したら消され(この先は見てもいられないほど悲観的になっているので省略)
勇者後記298.●.●●
信頼
「んーん~」
「何唸ってんだよ」
「いつまでたっても思い出せないんだ」
「前言ってた"一年前から今に至る記憶"……だっけ」
「そう。一年前まで俺は"佐藤太郎"で、女の子三人とでっかい化け物と戦って……」
「進歩なしじゃねぇか。……で、そのあとマスターに拾われて今の名前と」
万丈は俺の手元にある物体に目を移す。
「そいつを貰ったのか。…………ん?今思ったけど、なんでお前は桐生戦兎なんだ?」
「は?」
「名前の由来」
「戦兎はウサギと戦車」
「まんまだな。桐生は?」
「……マスター行きつけの床屋の名前」
「……」
「……なんか、悪かったな」
結局、今日も進展なし。完全に頭から抜けてるな。……それにしても不思議だ。中学生の体を大人の体にするなんて。
これは、俺がまだ佐藤太郎として生きていた頃の話―――
神世紀298年
俺の名は佐藤太郎。名前も容姿も特徴がないのが特徴……?である。今日は休日だが行かなければいけない場所がある。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい。今夜は焼肉だからね!」
母のこの言葉に心が躍った。昔は「夜は焼肉っしょ!」と奇声を上げながら家ではしゃいだことがある。それに父がノり、母に怒られる……といったことがあった。今はしていない。怖いから。
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「お、来たか」
「それより話って?」
俺が行く場所……それは大赦。神樹様を祀っている機関。父はそこの技術開発部の次期部長候補。俺は大赦の図書館のような部屋で勉強をしている。独学ってやつ。
「勇者システムのアップデートについてだ」
現在、勇者として戦っているのは四人。女子三人と俺。
「バーテックスもバカじゃない。俺たちの知らないところでお前たちの戦い方を学習しているかもしれない。攻撃も激しくなるだろう。そこで、"精霊"というモンを追加することにした」
「することにしたって……」
ちなみに、俺がほかの勇者と顔を合わせたのは彼女らが二回目に戦うことになった時。
俺が勇者になって1回目の戦いが終わった。
「まったく、どうして俺が言ったとおりにやらなかった!」
「すいません……」
俺は絶賛父親から説教中である。理由は一つ。戦いのとき正規の勇者三人とコンタクトを取らなかったから。
「しょうがない。……行くぞ」
「どこに」
何故だろう、悪寒がする。
――――――――――――
~乃木家~
俺は大きな家を前にした時回れ右をしてその家を視界から外して、
「帰る」
「待て待て待て!」
「だって考えてもみてよ!俺たち佐藤家は大赦に属せるか属せないかわかんないほどの地位だぞ!?その真逆のここに来てみろ……
緊張する→俺は緊張すると目つきが悪くなる→睨んだと勘違いされる→一族郎党消される」
「……」
「バッドエンドじゃねーか!これが本当の最悪ってやつだよ!」
しかし俺の言い訳は通じるわけもなく
「いいからさっさと歩け」
「……」
――――――
「いいか、まずは当主のお二人に挨拶をするんだ」
つまりあの時いた三人のうちの一人の両親に会え、と。
「俺だけな」
……はい?
「太郎はあっち」
親が指をさした場所には大きな戸があり、その裏で誰かが騒いでいた。
「まさか……」
「しばらくそこで待ってろ」
俺は戸の前に立つ。しかし開けることはできない。こんな戸、バーテックスに比べたら……と思うが神聖な乃木家とあんな怪物を並べてはいけない。そう思うと……
「あれ~? お客さん~?」
「あ……」
なんてこった……
三ノ輪銀SIDE
今日は須美と一緒に園子の家に遊びに来ている。祝勝会の二次会とのこと。
すると突然、園子がその戸の裏に誰かがいると言い出した。すると須美は
「泥棒!?それとも……誰かの怨念!?」
「違うと思うよ~」
……とにかく、開けようとする園子。それを阻止しようとする須美。あたしはどうすればいいかわからなかったのでその場に座っていた。
園子が戸を開ける。すると、
「あれ~? お客さん~?」
男が一人立っていた。ん?なーんかどっかで……
佐藤SIDE
「な~んだそんな事か!気にしなくていいよ!な、須美、園子」
「ええ」
「うん」
「そうだな」
「切り替え早っ!?」
「というわけでよろしくね!"さっとん"!」
家の地位は気にしなくていい こう言われ俺はそれを承諾した。この判断は間違ってなかった。にしても"さっとん"か~。
「あ、そのっちはこういうあだ名つけるの好きだから……」
「そっか。……ありがとう」
「えへへ~」
園子は喜んでいる。これだけ純粋な人は珍しい。どうやら神世紀に入ってから道徳の教え方が変わったらしく、それ以前のものより人への接し方、物事の考え方が重視されるようになり、表では仲が良くても裏では嫌っている、こういう人はほぼなくなったらしい。それでも、無垢な人はレアだとか。
「これで勇者四人が揃いました。というわけで……」
「戦術会議をしましょう」
「遊ぼう!」
「「……」」
「会議か~。わっしーらしいね~」
「先に行っておくけど、俺将棋とかトランプとかめんことかカルタとかやったことないからな」
「須美!今は祝勝会の二次会だろ?遊ぶしかないでしょ!」
「銀!勇者がそろった今こそ、会議をするべきよ!佐藤さんは大赦勤めで忙しいんだから」
おお、そこまで調べられてるのか。
「大赦勤め!?すごいな佐藤!何してるんだ?」
「端末のアップデートにカスタマイズってところかなー」
「かすたま……え?」
「使いやすいように改良するって事」
「ごめんなさい。私、横文字は……」
まだそんなに時間は経ってないけど懐かしいという思いがこみ上げてくる。
「……何ニヤニヤしてるのよ」
「夏凜か。丁度いいところに。はい、煮干し」
偶然会ったトレーニング仲間の夏凜に好物のにぼし(一袋)を渡す。こいつとはよく二人で行う鍛錬の相手をしてもらってる。
「ありがと……」
煮干しの袋を抱き立ち去ろうとする彼女の背中に
「信頼してるからな」
こうつぶやいた。深い意味は無い。同じ鍛錬を重ねる者どうし交流を深めたほうがいいと思ったからな。
「な……何言ってんのよ!」
今の俺の言葉をどう受け取ったらそういう返事になるのか。それはわからないが少なくとも悪い意味ではなさそうだ。
一章(わすゆ編)は巻きで行きます。仮面ライダー要素は二章から。