佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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神世紀298年 ハロウィン

空白

神世紀299年末 天才物理学者爆誕

せんとくん「一年前まで戦ってたのは覚えてる」

…………改めて見ると全然記憶失ってねーじゃねーか!
あらすじのアレは誇張しすぎました。申し訳ありません。

戦兎が気にしているのは当時中学生だった自分の体をわずか一年足らずでどうやって大人にしたか、なぜ自分は学者レベルの頭脳を得たのか の二つです。



第三話 イノセントの脱獄犯

「戦兎、お前何しでかしたかわかってんの?」

 

「あいつも人体実験の被害者みたいなんだ」

 

「お前と一緒の?」

 

「そうみたいだ。……とりあえず、お前の話を聞きたい」

 

俺は自室をうろちょろする万丈に声をかける

 

「話って何」

 

「全部だ」

 

「……わかった。話そう。

 

俺が生まれたのは、香川の産婦人科だった――――」

 

「ちょっと待て!ちょっと待てぇい!」

 

「何しやがる!」

 

「そこから話す必要、ある?」

 

マスターが万丈の話を妨害する。

 

「全部って言われたから最初から話しただけだ」

 

「まぁ、さっきのは俺の言い方が悪かった。あの事件について教えてくれ」

 

「……八百長が発覚して、俺は格闘技界から追放された。そしてある時、『葛城巧の助手』の仕事を紹介され、そいつがいるであろうマンションの一室に行った。

 

いくらインターホンを押しても出てこない。それに鍵がかかってなかったからそのまま入った。

そしたら、葛城はすでに死んでてその後すぐに警察が押し寄せてきて捕まった」

 

「異議あり!」

 

「はいマスター」

 

「それ、ちょっと出来すぎてんじゃないのぉ?」

 

「だよな。そう思うよな!」

 

「……にしても戦兎、よくこいつを信用したな」

 

「今度は信じよう こう思っただけだよ」

 

「今度?俺たちは初対面だろ」

 

「まぁまぁ」

 

この話は置いといて。先日のボトルは……

 

「お~」

 

オレンジとグリーンの色をしたボトルが完成した。

 

「オレンジのは鷹っぽいな。こっちのは……何だ?」

 

「そういう時は、これでしょ」

 

ビルドドライバーを取り出す。

こいつは腰に巻かずにボトルを挿すとそのボトルがどんなボトルか判断するうえ、ベストマッチまで見つけてくれる優れもの。

 

 

〔SOJIKI!〕

 

「……」

 

「そ、掃除機ぃ?」

 

「スマッシュがどうしたらそんなもんになるんだよ……ん?」

 

 

―――――――――

 

龍我SIDE

 

 

俺の携帯が鳴っている。相手は……

 

「香澄!香澄なのか!?」

 

『万丈龍我か』

 

「誰だ!香澄はどこだ!」

 

電話に出たのは聞いたこともない男の声だった。

 

『女に会いたいか? いいだろう。

今から言う場所に来い』

 

「……」

 

 

「万丈、どうした?」

 

「……何でもねぇよ。外行ってくる」

 

「おい!」

 

 

――――――――

 

 

「ここか……?」

 

「ようやく来たな。万丈龍我」

 

「誰だテメェ!」

 

「ナイトローグ」

 

「香澄はどこだ!」

 

「せっかちだな。ここだ」

 

謎の男の言う場所に付くと、そこで待っていたのは"ナイトローグ"とかいうヤツと、スマッシュが一体。

 

「スマッシュ!?」

 

「ああ。君の女のな」

 

「――――」

 

スマッシュが何やら唸っている。その声はとても聞きなれたものだった。

 

「香澄……?本当に……」

 

「―――――」

 

「うぁあ!」

 

スマッシュが俺に火の玉を放ってくる。

 

「やめてくれ!香澄!」

 

足が動かない。本当に心を許せていた人が異形の怪物になって俺を殺そうとするなんて……

 

「―――!」

 

「――全く。そんなに死にたいか」

 

突如スマッシュに浴びせられる銃撃。その正体は、アイツだった。

 

 

―――――――――――

 

 

戦兎SIDE

 

 

外に出た万丈を追いかけるとそこには、スマッシュと俺の記憶に微かにある男の姿

 

 

「コウモリ男……」

 

「ナイトローグだ」

 

「どっちでもいいそんなもん!」

 

 

〔LION!〕

〔TANK!〕

 

〔Are you ready?〕

 

 

「変身!」

 

 

俺はビルド TF(ライオンタンク)に変身し、先制攻撃をする。

 

「俺の体に何をした!人体実験したんだろ!」

 

「モルモットなど、いちいち覚えていない。闇雲に選んだボトルで私に勝てると思うな」

 

「ふざけんなぁ!」

 

初めて実戦で使うボトルなだけあり、使い勝手が悪い。

 

すると、スマッシュが動けない万丈へ追撃を仕掛けようとし、とっさにナイトローグから離れ、スマッシュを蹴り飛ばす。

 

 

「やめろ!そいつは香澄なんだ!俺の……女なんだ!」

 

「倒して成分を抜き取れば元の姿に―――――」

 

 

「そんなことをしてみろ。女は消えてなくなるぞ」

 

 

「何?」

 

「ハザードレベル1。体の弱い人間はガスを注入された時点で死に至る。スマッシュの成分を抜き取れば、魂とともに肉体も消滅する。助かる道は無い」

 

「そんな……」

 

落胆する万丈に再度攻撃を仕掛けようとするスマッシュ。

しかし

 

「―――!!」

 

「どうなってやがる」

 

「どうして……自分に攻撃を……」

 

スマッシュは火の玉を無理やり自分に向かって放ち、火だるまになって転がり苦しむ

 

「……本当に戻せないのか?」

 

「仮面ライダー、お前の力でもこれはどうにもできない。さぁ、どうする」

 

ナイトローグはこう言い残し、霧に紛れ消えてしまった。

 

「…………少しでいい。元の姿に戻してやってくれ!頼む……!」

 

「ああ。やれるだけのことはやってみるさ」

 

 

〔RABBIT!〕

〔SOJIKI!〕

 

〔Are you ready?〕

 

 

「ビルドアップ!」

 

左腕が青緑色の掃除機になったラビットソウジキフォームでスマッシュとその周りの炎を吸引。それを竜巻にして頭上に待機させ、

 

 

〔GORILLA!〕

〔DIAMOND!〕

〔BESTMATCH!〕

 

〔Are you ready?〕

 

 

「ビルドアップ」

 

 

〔輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!Yeah!〕

 

 

〔READY GO!〕

〔VOLTEC FINISH! YEAH!〕

 

炎の竜巻をダイアモンドの力でダイヤの竜巻に変え、右拳でそれを殴り飛ばす。

 

スマッシュ本体と香澄さんが一時的に分離された。

ゴリラの右腕でスマッシュが香澄さんに戻るのを阻止する。

 

 

「万丈!俺にできることは、ここまでだ」

 

「香澄!」

 

「龍……我?」

 

「もういい!喋るな!」

 

「ごめんなさい。私……あなたを騙して……」

 

「鍋島って男に……頼まれたの。あなたを格闘家に復帰させてくれるって言うから……」

 

「……」

 

「私と出会わなければ、もっと幸せな人生があったはずなのに……ごめんね……」

 

「ふざけるな!これ以上の人生があってたまるかよ!俺は……お前に会えて……本当に幸せだった……!」

 

 

香澄さんの体が完全に消滅した。

スマッシュを投げ飛ばし、成分を回収。やはり、肉体は戻ってこなかった

 

 

「ぁ、あぁ…………」

 

「万丈?」

 

「……ありがとう。俺のわがまま聞いてくれて。でももういいんだ……」

 

「何がだよ!刑務所に戻ってもいいってか?そんなで香澄さんが喜ぶと思ってんのか!」

 

「……」

 

「このまま戻ったらお前は一生殺人犯のままだ!それでもいいのかよ!」

 

「……」

 

「…………はぁ。好きにしろ。あの人の思いを踏みにじらないよう生きるんだな」

 

「俺は……」

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

「で、結局ここに戻ってきたと」

 

「あのナイトローグとかいうのには借りがある」

 

「そっか」

 

俺は浄化装置の浄化したてのボトルを手に取る。

外装には龍の意匠があり、色も青。まるであいつみたいな

 

 

「ほら」

 

「あ?」

 

「あのスマッシュの成分を基にした、ドラゴンフルボトルだ。お前が持ってろ」

 

「……」

 

「にしても……女ねぇ」

 

「ん?」

 

「あ、悪い。不謹慎だよな」

 

「お前にも、いるのか?」

 

「まぁ……ね。一年近く会えてないけど」

 

「行けよ。悔いを残すことだけはするんじゃねぇぞ」

 

 

―――――――――

 

 

とはいうものの、彼女の居場所はわかっていない。手掛かりになるのは……

 

あそこしかないか

 

 

 

 


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