佐藤太郎は勇者である/桐生戦兎は仮面ライダーである   作:鮭愊毘

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第五話 怒りのチェッキングアンサーズ

「ねぇマスター」

 

「んー?」

 

「あの時やらされたテストが研究所の入社試験だったわけだけれども」

 

「おう」

 

「追い出された」

 

「はぁ!?」

 

「……あ、違うな。『大赦で仕事しろ』って言われた」

 

「大赦で研究所の仕事をしろだぁ? まぁ、よかったじゃないか。俺が連絡してなかったら本当に追い出されてたかもしれないし」

 

「大赦に連絡?どうして?てかなんでそんな事―――」

 

「まぁまぁまぁ!いいじゃないそんな事!大赦味方につけておけばさ、万丈の冤罪もはらしやすいんじゃないかなって」

 

「……マスター、あんたのバイトって、ホントにバイト?」

 

「なっ、俺を疑ってるのか!?

戦兎、考えてみろ。こ~んなイケてる悪者がいるわけないだろ?」

 

こう言ってマスターはコーヒーをこちらに出してくる。

 

別に悪者なんて言ってないのに……うわまずっ!」

 

「お前……!人がせっかく淹れてやったのに―――

 

うわまじぃ!」

 

「「……」」

 

「わかった。この話はやめだ。このボトルあげるから水に流して」

 

「俺もこんなコーヒー胸張って出してきた勇気に免じて今の事は忘れるよ

 

で、何このボトル」

 

「コミックだ。洗濯物の中に入ってた」

 

「へー」

 

マスターから新しいボトルを受け取ると、地下室への入り口から万丈が顔を出す。

 

「戦兎!何か爆発したぞ!」

 

――――――――

 

「なぁんだよ。ボトル出来ただけじゃん。驚かすなよ」

 

浄化装置にいれたボトルは完成すると煙を出しながら爆発……とまではいかないほどのボカンという音を出す。

 

完成したのは紫と薄紫色の二本。

 

 

「これは……なんじゃ?」

 

「忍者?」

 

「こっちの色が薄い方は……」

 

「パスパス。今はそれやってる場合じゃない」

 

「だったら何だよ」

 

「決まってんだろ?ベストマッチ探しだよ。マスター?パネル出して」

 

「あいよ!」

 

マスターから一枚のパネルを渡される。これはボトルを10本セットすることが可能で、同じものがもう一枚あり、これらにすべてのベストマッチを入れると凄いことが起こる……らしい

 

「コミックに合いそうなのは……海賊かな?」

 

「いや忍者試せよ」

 

万丈が勝手に忍者ボトルをセットする。

するとパネルの中央に『N/C』という文字が現れ、ベストマッチであることを証明した。

 

「うそーん……」

 

「見たか俺の! 第・六・感 !」

 

今の『N/C』は忍者とコミックのボトルのキャップにラベルとしてあるのだが、最初は何の頭文字かわからない。

 

ちなみに、薄紫色のボトルには『Y/R・L』と描かれている。

 

これを頭の片隅に入れつつ、早速武器の設計を開始する。素手では心もとないだろうし

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

「できた!名付けて、4コマ忍法刀!」

 

剣先がGペンの形状をし、刀身に鍔側から、分身・火遁の術・風遁の術・隠れ身の術 を模したコマが描かれている。

 

「試したい……はやく試―――」

 

携帯からスマッシュの反応を知らせる着信音が響く。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

「どこだ……?」

 

目的地に来たはいいものの、肝心のスマッシュが見当たらない。

 

 

「よぉ!仮面ライダー!」

 

「誰だ」

 

深紅の体をした男が現れる。

 

「あの戦い、見てたぞ。初めて使うボトルにしてはなかなか良い動きだったじゃないか」

 

「……まさか、お前が鍋島を!」

 

「鍋島……こいつのことか」

 

「!」

 

「まぁ見てな」

 

 

〔DEVIL STEAM!〕

 

 

男の持つ短剣からガスが発生し、鍋島を覆う。

 

「あ……あああアアアアア!!」

 

「そんな……スマッシュに……!」

 

「どうだ?こいつを使えば、お前も体験したあの装置を使わずとも、人間をスマッシュにすることができる」

 

「俺も……?」

 

「ここで答え合わせをしてもいいんだが……俺と遊んでからだ!」

 

男が短剣で斬りかかってきた。

俺はそれをドリルクラッシャーで受け止める。

 

男は一度後ろへ下がり、再度突撃してくる。

ドリルクラッシャーを左手に持ち替え、右手でボトルを交換する。

 

〔NINJA!〕

 

〔Are you ready?〕

 

「ビルドアップ!」

 

TF(ニンジャタンク)になり、ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀の二刀流で攻める。

 

「何でもかんでも武器を増やせばいいってもんじゃない」

 

こう言って男は短剣を持ち手と刀身の二つに分離させ、右手に持った銃にこれらを連結させる

 

〔RIFLE MODE〕

 

「お前はあの時からそうだ。何も変わっちゃいない。重心が傾いている」

 

「くッ!」

 

ドリルクラッシャーと忍法刀ではドリルのほうが重い。その分、それを持っている右側に体が傾いてしまう。

 

「だったら……!」

 

〔COMIC!〕

 

〔BESTMATCH!〕

 

〔Are you ready?〕

 

 

〔忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!Yeah!〕

 

 

「ほう……」

 

忍法刀のトリガーを1回引く。

 

〔分身の術!〕

 

もう一度引き、分身の術を発動。

 

〔火遁の術!〕

 

忍法刀に炎が宿り、男を取り囲むように陣形を整える。

 

〔火炎斬り!〕

 

地上と空中、双方から男を斬撃。

その後、分身が消える。

 

 

「ハザードレベル3.4……まだまだいけるな」

 

 

「……」

 

「中々面白いものを見せてもらったよ。俺は"ブラッドスターク"。

佐藤太郎とかいうガキを大赦より先に回収したのが俺だ」

 

「何だって……?」

 

「俺は今、ネビュラガスを使って生き物の体を変化させる実験をしてるんだ。今のところ失敗なしだ」

 

「……」

 

「流石にこれで判っただろう」

 

「――――ぁ」

 

「お前の記憶にない一年。これはお前が散華の影響で動けないことを良いことにファウストにひたすら実験を重ねられていた時間」

 

「―――るな」

 

「頭からすっぽ抜けてたのは、何度もネビュラガスを体に入れられた後遺症だろう。にしてもよく生きてたな。よく記憶の欠損が一年で済んだな。

 

そんな体だから、仮面ライダーとかいう軍事兵器を扱えるんだよ。

考えてもみろ。ラビットタンクは兎と戦車。戦車は兵器。兎は実験動物の一つ。

 

さあ、俺は約束通り答え合わせをしてやったぞ。スッキリしただろう?

じゃ、俺はこの辺で―――」

 

「ふざけるなァァァ!!」

 

「おっと」

 

「ァアアアア!!」

 

「ハザードレベル3.6、3.8 どんどん上がっていくぞ!ハハハ!それでいい!」

 

「何がオカシイ!!」

 

「――――」

 

「……あーあ。これじゃあスマッシュ退治どころじゃねぇなこいつは。仕方ない」

 

〔STEAM BREAK! COBRA……!〕

 

 

――――――――――

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

「今度こそじゃあな。鍋島はくれてやるよ!クソガキ。せっかく体を動かせるようにしてやったのに、お前はどうして戦う道を選んだんだか……

 

 


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